REPORTMAX PAYNE
PlayStation2
2003年5月22日発売国内販売:EA  発売:Rockstar  開発:Remedy  

  北米では大ヒットした第三者視点によるアクションシューティングなんだけど、 その北米ではPCで2001年7月発売、コンシューマ機(PS2&Xbox)では同年12月発売と、かなり遅れてのローカライズということになった。


  3年前、妻と幼子を「ヴァルキア」という新手の麻薬の中毒者による犯行によって失ったニューヨーク市警の刑事「マックス・ペイン」は、志願して麻薬取締局に移った。 そして、今、その元締めである「ジャック・ルピーノ」に対する潜入捜査が功を奏し、大きなヤマまであと一歩と迫っている・・・というのが物語の導入。
  そのマックス・ペインの(行動はどうあれ)外見は、 いかにもなタフガイとはちょっと違って、若干骨ばったオッサンという雰囲気。
  おそらく元から字幕はなかったんだろうし、それ以外のテキスト全般と音声が日本語化されている。 マックスの低くてシブいボイスは結構なんだけど、ちいと低音一辺倒すぎる感じも。 低い中での鷹揚というか、そういう表現力は感じられなかった。勿体無い。
  ステージ間のイベントシーンや、ステージ内で一部のアイテムを調べたときのイベントシーンは、 実写やゲーム中のCGキャラに水彩画風のエフェクトをかけ、コミックのようなコマ割りがしてある「グラフィックノベル」というのもで、 そのタッチはDave McKeanが描く「Batman: Arkham Asylum」なんかを思い出させる、非常に独特なもの。 実は、XB『Dead to Rights』の時に随分と引き合いに出されてたゲームなので、 てっきりそういう系のノリ・雰囲気かと思っていたんだけど、 実際は、やはりそういう比較的最近の社会派アメコミ的なものが色濃く出てると思う。 主人公マックス・ペインの独白で物語は語られていき、案外「復讐だ〜!」っていう感じでも熱血漢でもなく、どこか冷めており、 その比喩を多用したやや抽象的な語り口は、やはり独特だし、各章の間にはマックスが見る悪夢を描いたステージ(イベントシーンじゃない)があったりと、 そのストーリーテイリングには一見の価値アリだろう。 ギャング系で突っ走ってくかと思いきや、後半で割と意外な展開になり、 話がデカくなりすぎていくので、等身大の物語って感じではなかったのが意外だったけども。 暗黒社会の犯罪を絡めてるっていう意味じゃ確かにノワールとも言えるけど、いわゆる“香港ノワール”とはまた違ったテイストだと思うな。

  ゲームの形式としては第三者視点によるアクションシューティング。 視点は主人公の真後ろに固定で、キャラ操作と視点操作が一体となった、いわゆるFPS的な操作形態になっている。 話の流れ的に大きく3つのパートに分かれており、それぞれが8つくらいの章からなり、そのそれぞれも幾つかのステージで構成されている。
  非常にいただけないのは、右スティックでの視点操作、左スティックでのキャラ操作、共に難点を抱えてるという点。 視点操作は、パッドの関係か実に使いづらく、視点の動きが遅すぎ、速すぎのどちらかで、 いい塩梅の操作感に収まってくれず、非常に狙いを付け辛い。 まぁ、この手のPS2のゲームではお決まりのパターンだ。 一応、オプションで感度調整はできるものの、周りを結構見渡すというゲームの性質上、 視点操作の最高速度をこれ以上遅くはしたくないので、結局ほとんど使い物にならない。 第三者視点という性質上、どうしても正確に狙うのはムリなわけだし、 ある程度補正が付いてるようなんだけど、その加減が見た目的に分からないのも×。 確かに、なんとなく撃ちまくり、なんとなく敵に当たるというのは、このゲームのテイストにマッチしてるとも言えるんだけど。 キャラ操作は単純にソフト的な問題。 元がPCゲームなだけに、その動きが全くもってデジタルなのだ。 8方向にしか動けず、移動スピードも一定(結構速め)。 これをアナログスティックで操作することになるので、時折、思惑とややズレた方向に動いてしまったりする。これはかなり頂けない。 また、ゆっくりと歩くことができれば、ゲーム的にまた変わってきそうでもあったんだけど、元がPCなだけにそこまで求めるのは酷というものか。
  で、この操作感も含めて、PCゲーの移植としての下手さが目立つんだよな・・・。
  意味不明かつイタかったのが、データセーブの仕様。 デフォルトだとオートセーブなんだけど、これがステージ開始後にセーブするというもので、 目の前に敵がいて銃撃戦に突入してんのに画面が止まってセーブなんていうことがあるのも困るんだけど、 何より、データロードして「さてゲームを始めるか」と思った直後に勝手にセーブ開始してしまうというのが、鬱陶しいことこの上ない。 別にプレイ時間を保存してるわけじゃないし、マジで意味不明な仕様だ。 かといって、オートセーブをオフにもしづらい。 というのも、アイテム、体力はステージ間で継承され(パート1とパート2の間とパート2とパート3の間だけでリセットされる)、 特に「Painkiller」(体力回復アイテム)が重要で、これをいかにシブって進められるかというゲームなだけに、各ステージごとにリトライできるようにしておきたいわけ。 でも、手動でセーブすると、そのステージのデータしかセーブされないので、結局、各ステージ開始後にメニューを開いてセーブすることになってしまう。
  操作感にも関わってくることなんだけど、描画フレームレートの不安定さもかなり酷い。 “敵が出てくると重くなる”というより“敵が出てこない特定の場面でだけ軽い”ってな感じで、全般的にかなりガクガクする。 グラフィックは工夫されているというより、力技な感じで、 当時は結構綺麗と言われたPC版のグラフィックをムリに再現しようとしすぎた結果が、フレームレートの不安定さに繋がってるように思う。 テクスチャの描き込みが際立つ反面、モデリングは大雑把で、 綺麗なとこ(武器や背景)は綺麗なんだけど、ダメなとこ(顔のテクスチャを除いた人物関係)はダメという、若干アンバランスな印象。
  その他の操作は、十字キーで武器選択、R1でショット、R2でジャンプ、L3ボタンでしゃがみなど。 ○はPainkillerの使用で、いつでも体力回復できる反面、持てる数が最大8つと限られており、装備や所持アイテムがかなり継続されていくゲームとして、なんとかゲームバランスを保っている。
  一応スナイパーライフルも用意されてるんだけど、×ボタン押しっぱなしで倍率上昇し、×ボタンを離すと倍率が固定され、 また倍率を変えるときはまた銃を構えなおさなくちゃならないという操作法が若干使い難く、パッドのせいかフレームレートのせいか細かく狙うのが難しい上に、 敵の察知能力が高すぎて、こちらに気付いてない敵を狙撃なんていうシチュエーションがほとんどないので、狙撃の重要度はかなり低いゲームになっている。 んまぁ、ゲームのテイスト的には間違ってないと思うんだけど、 意外に遠くの敵が普通の拳銃で倒せたりする(一部、倒さなくちゃならなかったりする)ので、だったら狙撃銃を使わせてくれ(使いやすくしてくれ)よ、とも。
  そして、ゲーム面での一番の特徴が、L1・L2で発動する「バレットタイム」だろう。 いわゆるスローモーションで、自分の照準以外の動きが遅くなるというもので(実際は、自分の連射能力も上がるっぽい)、 L1で発動すると、いかにもなダイブをしながら発動(着地時に自動解除)し、L2で発動すると、その場で発動(L2を押すと解除)し、 発動のために必要となるゲージは、敵を倒すことによって回復していく。 おそらく、映画で流行のスローモーション演出を効果的にゲームに組み込んだ初のゲームと思われる。 弾丸や薬莢、破片などが上手く描けており、その雰囲気は上々(ここらへんが後発の『Dead to Rights』との差か)。 また、その場にいる敵の最後の一人を倒すと、その敵をユックリと周りから見回すような演出が入ったり、 狙撃時には発射された弾の真後ろから着弾まで見るような演出が入ったりという演出もアリ。 ただ、ゲーム的には結構消化不良の感も。 何より、視点操作の操作感のマズさによって、バレットタイム中もあまり敵を上手く狙えないというのがマズいし、 割とオールマイティに使っていける反面、その効果(どれくらダメージを避けれるか、どれだけ敵に与えるダメージを増やせるか)が、曖昧なところがあり、 中ボス級の敵と戦う時は、とにかくバレットタイムを使用して真っ向から連射して終了、なんてのが常套手段になってくる。

  難易度は結構シビア。 単発のダメージが大きく銃撃戦ではガンガンと体力が減っていくし、手榴弾などの爆発系ダメージにより(ほぼ)即死なんてこともある。 敵の攻撃を避けきれるゲーム性ではない。 ジャンプアクションの比重が大きいゲームではないものの、 時折あるジャンプで越えなきゃならない足場は意外にギリギリに設定されているので、落下即死ってこともそれなりあったりして。 特に、序盤はちょっとキツいかな・・・。 貴重な体力回復薬が木箱の中やロッカーの中などに隠されてるのに気付かないと、かなりキビしいかもしれない。 ただ、中盤以降は、割と体力回復薬の場所が分かりやすいような気がするし、 逆に言えば、体力回復薬を取り逃さなければ、(もちろん、ある程度の繰り返しプレイは必要になるけど)極端に難しいゲームではないはず。 一応、使う武器を工夫することによってある程度ダメージを軽減することはできるし、各ステージが短いのが救い。 単発のダメージが大きいのは、ある意味銃撃戦らしさの演出でもあるんだろう。
  「ノーマル」をクリアすると「ハードボイルド」、それをクリアすると「デッドターゲット」と、3段階の難易度が用意されてるのは悪くない。 ただそれ以外の、徐々に時間が減っていき敵を倒すと時間が増えるという「カウントダウン」モードや、 常にスロー状態でワラワラ出てくる敵を倒しまくるオマケステージは、共に特に面白みがあるわけじゃない。
  最後に、やはりかなり映画からの影響が大きいらしく、 敵ザコ同士の会話に結構映画ネタが散りばめられているのは悪くなかったんだけど、一部の映画でかなり重要なネタバレがあったのは、さすがにどうかと思ったな。


  確かに、独特のストーリーテイリングには一見の価値アリ。 ただ、PCからの移植が上手くいったゲームとは思えないし、そのストーリーテイリングに付随するものとして以上にゲームとして評価できる部分は少ない。 単なるノワールテイストの銃撃戦アクションを楽しみたいのであれば、PS2でも発売が予定されている『Dead to Rights』の方を薦めたい。

2003年6月21日記載