REPORTクロックタワー3
PlayStation2
2002年12月12日発売発売:カプコン  開発:カプコン / サンソフト  

  1995年にヒューマンから発売されたSFC『クロックタワー』は、怪人「シザーマン」から逃げて隠れるという、 当時としては珍しく“恐怖”に特化したゲームとしてカルト的な人気を得、 1996年発売のPS『クロックタワー2』がスマッシュヒットとなり、恐怖ゲーのひとつのメジャーシリーズとなった感があった。 ちなみに、1998年には現代日本を舞台にした番外編的なPS『クロックタワー ゴーストヘッド』も発売。
  その後、ヒューマンが倒産、シリーズとして宙に浮いてしまったていたんだけど、 唐突に『クロックタワー3』の製作がカプコンから発表され、随分と驚いた記憶がある。 というか、驚かされたのはその発表の内容。 カプコンとサンソフトの共同制作というのもよくわからなかったんだけど、 監督に深作欣二氏敵キャラデザインに雨宮慶太氏という、 「マジでクロックタワーが作れんのか?」というチョイスに非常に不安をおぼえ、しかもシナリオは悪名高きフラグシップが担当・・・。
  発売後、その不安が的中した形となったらしく、 とにかくシリーズのファンからはボロクソに言われており、自分も回避してたんだけど、 一応自分も『ゴーストヘッド』を除いてはプレイしてるわけだし、何となくヒマができたもんで、何となくプレイすることにしてみた。


  ・・・いや、スンゴイわ。悶絶。

  ゲーム内容の方は、“怪人から逃げて隠れる”という基本コンセプトは引き継いでる・・・というか、 かろうじて「クロックタワー」と呼べそうなのはそこくらいのもの。
  まず、これまで画面をクリックするスタイルだったのに対し、本作ではキャラを直接動かすタイプになった。 視点はいわゆるバイオ風に切り替えられ、スティックを入れた方向にキャラが進み、 視点が変わってもスティックが同じ方向に入れっぱなしだったらその方向に進み続けるというお決まりのフォロー付き。 どうしても小回りが利かないし、怪人に追いかけられている時に視点の切り替えがあると混乱したりするものの、そこまでアクション要素が強いゲームでもないんで、まぁ悪くない選択か。

  で、ゲームの導入はこんな感じ。
  世の中の影には人知れず「魔の者」という邪悪な存在があり、歴史的な凶悪犯罪には常に魔の者の影があった。 その魔の者に対抗できるのは「ルーダー」という超人の存在。 この能力が発現するのは常に少女で、15歳をピークにその能力は衰えてしまい、その血統によって引き継がれていっているのだった。 知らずのうちに母「ナンシー」からルーダーとしての血を引き継いだ主人公「アリッサ」は、 その母からの逃げるようにという手紙に母の危機を察し、実家の大きな館に帰るのだったが・・・。
  つまり、主人公アリッサは、魔の者との対決を宿命付けられたスーパーヒロインということになるわけだ。 もう、この設定からして相当にアヤしいわな。

  ゲームはステージクリア形式的なとこがあって、館の中を調べて怪しげな魔法陣に飛び込むと、 過去のとある場所にワープ(?)、そこで怪人に追いかけられながら、そこで起きた惨劇の実態を調べ、 最後にその怪人とのボス戦になり、そのボスを倒すとまた次の惨劇が起きた舞台に・・・という流れ。 ボス戦?っていう時点でやはりアヤしいんだけども、 アリッサが手を掲げると弓が出現し、それを空中に一閃・・・なんていうボス戦への導入からしても、 「セーラームーン」みたいなノリのスーパーヒロイン的で、もう笑うしかない。
  そういう形なので4人の怪人それぞれに舞台が用意されているんだけど、 それぞれの描き方が淡白なだけに、舞台が豊富というより、ゲームの全体像が散漫になってる印象の方が強い。

  そして、何より、恐怖ゲームとして有名なシリーズだったのに、 本作では既に恐怖の追及を放棄したとしか思えないところが、一番マズい点だろう。
  やはり恐怖感ってのは、どこかにリアリティがないと喚起されにくいわけで、 そこの認識が決定的に不足、というか、むしろ真逆とも思えることをイロイロとやってる。
  特に、恐怖の象徴となるはずの各怪人が、むしろギャグ的要素と化してるのが非常にイタい。 マズいのは奇抜なデザインだけじゃなく、セリフを含めたそのキャラクターによるところも大きく、 まるで一昔前の特撮モノ(戦隊モノや仮面ライダー)の怪人を思わせる。
  このゲームのホラー的な要素は、恐怖はもちろん、生理的嫌悪感を催すとかでもなく、ただ悪趣味な感じ。 ある程度のリアリティがあればその悪趣味さも味になったんだろうけど、このゲームの場合はその悪趣味さが妙に浮いてしまっている。

  シナリオもダメダメ。さすがフラグシップ。 アリッサが慕っていた祖父が実は・・・という骨子は悪くなかったんだけど、 祖父のキャラ、それに対するアリッサの感情の変化共に描写が雑で、それが生かされてたとは言い難い。 セリフ回しはアニメっぽくリアリティに欠け、ストーリーを理屈で構築できてる部分が極めて少なく、ひたすら感情の描写で逃げがち。 何か調べた時のアリッサの緊張感に欠ける反応も非常にマイナス。 シナリオそのものもマズい上に、ゲームとしてのシナリオという意味でも赤点間違いナシ。 ゲーム部分でストーリーが語れず、ひたすらイベントシーンに頼ってるといった、ゲーム部分とストーリーの離別具合も、近年の和ゲーでよく見られる難点だろう。

  全体的に、グラフィックは褒められるレベルかもしれない。 が、通常ゲーム時、リアルタイムポリゴンによるイベントシーン、プリレンダムービーシーンという3つに分かれていて、 イベントシーンも通常ゲーム時とは違ったモデリングが用いられていることもあり、基本的にこの3つがバラバラな感じは否めず。
  そのイベントシーンでは部分的に面白いエフェクトがあったりもして、キャラのモデリングも(デザインはどうあれ)ハイレベル。 ただ、内容が・・・。 ことあるごとに演劇のような大げささでうろたえるアリッサは、 ある意味新鮮だったんだけど、ゲーム部分にその躍動感がないので、非常に浮いてる感じ。 そのアリッサが唐突に勇ましい行動をとるのも同様で、各ポイントで各怪人が撃退される様は、まるでドタバタコメディーのよう。 さらに、声優による声、セリフ回し共に非常に稚拙な感じで、日本語音声が非常にマイナスに感じられる。 ちなみに、演劇調な登場人物の動き、凝ったカメラワークなどは、深作監督起用によるんであろう特色が良い部分で感じられる唯一の部分ではある。
  通常ゲーム時の背景は概ねよく描けてると思う。 『サイレントヒル2』の影響か、人物やオブジェクトの影をちゃんと描写してるとこもあり、 一部その影を演出的に使おうとしてるようなんだけど、試みとしては中途半端で、それほどの効果は出せていない。 また、逃げるというゲームシステムのせいか視点切り替えにメリハリがなく、さらに、キャラが背景から浮いてるところもあり、その背景もそれほど好印象は残らず。 質は悪くないのに、それが恐怖感の演出という意味では全くプラスになってない感じ。
  また、意外に不甲斐なかったのが音に関して。 特にSEによる演出はかなりイマイチで、ゲーム部分でSEが効果的に使われてるシーンは、ちょっと思い浮かばない。

  で、そういうシナリオやグラフィクだけでなく、ゲーム部分もかなりお粗末なものになっている。
  上で「逃げて隠れるという基本コンセプトは引き継いでる」と書いたけど、 実は、肝心要のこの要素がちゃんと消化できたとは言いがたい
  アリッサには体力というステータスがない代わりに「パニックメーター」というゲージがあり、 ゲーム中、アリッサが恐怖を感じるとこのゲージが上昇し、これがMAXになるとアリッサはパニック状態になってしまう。 パニック状態のアリッサは、アイテムが使えなくなり、時折プレイヤーの操作を受け付けなくなり、 視界が狭くなってしまい、この状態で敵から攻撃を受けるとゲームオーバーになってしまう。
  説明書のこういう説明を読んだときはなかなか面白そうに思えたんだけど・・・。 結局、恐怖を感じるのは敵からの攻撃によるものなので、実際はこのパニックメーターはいわゆる体力に近いものになっている (ちなみに、敵から攻撃されると直接ヒットしなくてもある程度近くにいるとゲージが上がってしまう)。 で、一度パニックになってしまうと、その制限により、ゲームオーバーになるかどうかは運次第な感じになってしまう。 その上、敵から隠れることが重要なゲームにはなってなかったりする。 隠れられるポイントは少なく、隠れることによる効果も小さめで、実際に敵から逃れるのに使うのは、セーブポイントなどで補給できる聖水を使うことによることが圧倒的に多い。 つまり、パニックになるのを避けるという点でも、パニックになってから対処するという点でも、ゲームとしての面白みは全くといっていいほどない。 もうちょっとパニックを上下する要素が豊富だったらなぁ・・・。
  そんな感じで敵から追いかけられながらプレイするゲーム部分は、パズル的な要素はほぼ皆無で、 しらみ潰しにマップを探索し、キーアイテムを発見するだけといっても過言ではない。
  ボス戦も頂けない。 攻撃ボタンを押すと主観視点になり、ボタン押しっぱなしにして力を為、弓を放出する。 問題は、この時に全く動くことができないということで、ボス戦全体が非常に大味かつ淡白なものになってしまった。 もちろん、こういった視点を採用したゲーム特有の、敵の場所がよくわからないことがあったり、視点の切り替わり時に操作が混乱したりという難点もアリ。
  元々雰囲気を楽しむゲームではあると思うんだけど、 (特にその雰囲気が壊れてんだから)もうちょっとゲーム的な面白みがほしかった。
  ゲーム形式的に設定しようがないんだろうが、難易度変化はなく、クリア後には5種類のコスチュームチェンジが可能になるけど、 よっぽどアリッサにお熱な人を除けば、リプレイ性は極めて低いと言えるだろう。 それでクリア時間が5時間弱というのは、さすがにボリューム的に難アリと言わざるを得ない。


  別モノという話は聞いてたけど、それがここまで酷いとは・・・。 つか、別モノになることは各人選で既に決まっちゃってたこと。 つまり、問題なのはその人選&企画だろう。責任者出てこい。 そして、シリーズ(つまり、ゲーム業界の資産を1つ潰した責任を取ってくれ

2003年7月13日記載