REPORTタイムスプリッター 〜時空の侵略者〜
PlayStation2
2003年2月27日発売発売:アイドス  開発:Free Radical Design  

  開発のFree Radical DesignはRareで64『007 ゴールデンアイ』に関わったスタッフが独立したゲームスタジオで、 デビュー作であるFPS『TimeSplitters』(2000年10月発売)が大ヒットし、本作はその続編『TimeSplitters 2』のローカライズ版ということになる。
  ちなみに、前作はPS2のみで発売されたが、本作は3機種マルチ展開(日本国内ではPS2版のみリリース)。


  家庭用機のFPSということで、当然のように、左スティックによる前後左右平行移動、右スティックによる旋回も含めた視点操作というのが基本的な操作系となる。 R2が通常ショットで、R1は武器によっては存在するサブウェポン(アサルトライフルのグレネード弾とか)、 L1はしゃがみ、△がリロード、×がスイッチを入れるなどのアクションボタン、方向キーの左右で武器選択。 個性的というか、『ゴールデンアイ』の影響を色濃く感じさせるのが、L2による「照準モード」だろう。 画面上に照準を表示し、視点全体が右スティックによって動いてしまう通常時とは違い、画面中央部付近なら、照準を動かしても画面全体は動かないようになるというもの。 通常時のオートエイミングの操作感も『ゴールデンアイ』に非常に近いものがあるので、 ピストルで普通に撃つと(ボディーを狙うので)倒すのに何発か必要になる敵も、照準モードで頭を狙えば一発で倒せる、そんなバランス感覚も継承。 ちなみに通常時も照準がガッチリと画面中央に固定されてるわけじゃなく、ちょっと遊びがある。
  それによって、家庭用機でも(というか特にアナログスティックの操作感に常々苦労させられるPS2のデュアルショックでも)、 あまり違和感なく、こういうものなんだとプレイできるのが強みになっている。 その反面、視点操作自体は若干不自由に感じられることも。 一番イタかったのが、上下に向ける範囲が限られてるという点で、真下に向けないのはまだしも、上方に向ける範囲が限られてるのは結構イタかった。 旋回速度がかなり控えめで、コンフィグ等でそれを変えられないのもマイナス。 その反面、視点操作の上下の反転はもちろんのこと、ボタンの割り当て、スティックの役割分担など、操作系のカスタマイズ性が強いところは、評価したいところだ。
  また、これも『ゴールデンアイ』からの流れか、最近のFPSとしては珍しくジャンプができず、 それが実際に活用される機会がどれだけあるかは置いとくとしても、やっぱり微妙に不自由な感じは否めず。

  時は西暦2401年、宇宙に進出した人類は「タイムスプリッター」という謎の種族と遭遇、激しい戦いを繰り広げていた。 対タイムスプリッター特殊部隊がタイムスプリッター達が乗っ取った宇宙ステーションに乗り込むが、 コルテス軍曹とハートニ二等兵を除き全滅、何とか生き残った二人はタイムスプリッターの秘密兵器「タイムポータル」を発見する。 これは「タイムクリスタル」という結晶体を動力源としてタイムスリップする装置で、 タイムスプリッター達はこれによって過去の人類の歴史に干渉し、人類を破滅させようとしていたのだ。 この危機を打破すべく、コルテス軍曹とハートニ二等兵の二人はタイムポータルに飛び込んだのだった・・・というのが話の導入。
  という設定なもんで、一人用のメインモードとなる「ストーリー」では、西部劇、ゴシックホラー、現代、SFなどなど、 様々な時代、様々な場所を舞台にした全10ステージからなり、どのステージでも2人協力プレイが可能になってる。 初級、中級、上級という3段階の難易度があって、それぞれ単に敵の強さやアーマーの量だけじゃなく、 監視カメラが配置されたり、ミッション内容も若干変わったりするのは嬉しいところ。 ステージ中でのセーブは不可、リスタート地点も1つだけということで、各ステージの規模はそんなに大きくない。 また、体力関係は、ヘルス&アーマーというアリガチな仕様。 ただ、このゲームの場合、アーマーの初期値がゼロで、ヘルスの回復機会がステージ内で無いというのが若干ツラいところではある。
  その設定ゆえに、各ステージは良く言えば多彩、悪く言うと統一感が無く、 難易度的にも若干メリハリが欠けてるところもある(バラエティに富みすぎてて、ゲーム全体を通した継続的な難易度の流れが感じられない)。 それぞれのステージは、意外に箱庭っぽさに欠け、広いスペースが少なく、一本道的な傾向が強いものの、 ステージ内での流れ・各ミッションはよく考えられているし、見た目だけじゃなく内容的にもバラエティに富んでいる。 操作性も含めて、ハデさやインパクトはないけど、丁寧かつ上手く作られたFPSなのは間違いない

  敵AIはなかなか優秀で、特に視界によるこちらへの気付き方は非常にリアルなので、通常の撃ちまくりっぽい戦闘、対戦は悪くなかった。 その反面、音に対する反応は、そもそもプレイヤー・敵共に足音という概念がないのに、特に叫び声に非常に敏感すぎる印象を受けたりと、 良しにつけ悪しにつけ、ちっと中途半端な感じで、(大した分量はないが)ステルス的な場面はややイマイチ。
  マップとレーダー兼用の「サポートデバイス」は、いわゆるモーショントラッカー的なセンサーで、動いてない敵には反応せず、 なかなか良かったんだけど、画面上に常備されてるわけではなく、武器として選ばなくちゃならず、その切り替えが面倒くさくて、結局あまり使わなかった。 まぁ、あんまりレーダー頼りのゲームになっても面白くないんだけど、 チェックポイントが少ないこのゲームで、特に上級以上の難易度でプレイする時はちょっと気になる。
  ちなみに、自分は中級でクリアした時点でこのレビューを書いているのだけど、中級だとちょっとヌルいかもしれない。 ステージを最初からやり直した記憶はほとんどないし、チェックポイントからのリスタートも数える程度。 かといって、上級は、上記のチェックポイントの少なさ、アーマーの少なさがモロに響く形で、その上、敵が狙うから撃つまでも速いので、ちょっと難しすぎる印象。 よって、難しさ的に丁度いい気持ち良さがイマイチ感じられず。

  このゲームではストーリーと同等かそれ以上の存在になってるのが、「アーケード」といういわゆる対戦モード。 これはさらに「アーケードリーグ」と「アーケードカスタム」に分かれる。
  アーケードリーグは1人用モードで、CPUを相手にした対戦を楽しむモードとなっている。 「アマチュア・リーグ」「プロフェッショナル・リーグ」「エリート・リーグ」という 3つの難易度それぞれ15ステージずつとう計45ステージからなり、アマチュア・リーグを全てクリアしたら次のリーグがオープンに・・・という形。 そもそも、普通の対戦、チーム戦、陣取り戦だけに留まらず、倒される度に体の大きさが小さくなっていく「シュリンク」や、 一定時間内に敵を倒さないと死んでしまう「ヴァンパイア」、火ダルマになったキャラに触れるとそのキャラも火ダルマになってしまうという「ウィルス」などなど、 非常にバリエーション豊かな対戦ができるのがこのゲームの特徴で、 いろんな時代が背景になってるステージの豊富さと相まって、このアーケードリーグのステージとかなりバリエーション豊かになっている。 また、各ステージにはブロンズ、シルバー、ゴールド(全てかどうかは不明だけど、さらに上のプラチナもある)というランクが出て、 それに応じて、アーケードカスタムで使えるキャラ、モード、ステージなどが追加されていく仕掛けなので、それなりにプレイ欲もかき立てられる。 このCPUを相手にした対戦、いわゆるBOT戦の充実が、このゲームの最大の特色と言えるだろう。
  一方のアーケードカスタムは最大4人までプレイできる対戦モードで、 1人でも一応プレイできるけど、対人対戦がメインのモードと言っていいだろう。
  残る「チャレンジ」は、全21ステージからなる1人用の課題クリアモードで、 ステージ内に散らばるバナナを制限時間内に全てゲットするというドットイート的なモードであるとか、 銃撃戦にしても、基本的に敵と自分が同等だったアーケードリーグとは違い、 敵はザコ敵っていう位置付けになっている内容になってたりと、アーケードの範疇に留まらないものが収録されている。 で、アーケードリーグ同様、ランク付けとそれに応じたオマケ要素がオープンしていく。 これにしてもやはりアイテム重視なところがある上に、死亡した後の復活地点がランダムなことにより、かなり行き当たりばったりに感じられるステージも多い。
  そもそも、個人的には(対人戦も含めた)こういうスポーティな感じで、 ステージに配置されてるアイテム重視のFPSの対戦にはほとんど興味がないので、 ここらへんの要素は半分もプレイせずにダレてしまった

  グラフィックは全体的に非常に美しい。 テクスチャの描き込みの細かさで勝負というよりも、モデリングの上手さとエフェクトの美しさが強み。 特にエフェクトは綺麗で、モヤとかボヤケ、あるいは炎の感じとか、なかなかのもの。 キャラクターは、リアル路線ではなく、ややコミカルでクセが強めの個性的なモデリング。 デザイン的に日本人ウケは難しいだろうけど、モデリング自体はこれはこれで非常に上手いと思う。 もちろん、洋ゲーらしく背景の描き込み具合は上々。
  ステージ開始前にはそれぞれの舞台に応じた、導入のイベントシーンがあって、 アニメっぽく変化するキャラクターの表情、凝ったモーション、映画を意識したと思われるカメラワークなど、丁寧に作られてる。
  とはいえ、非リアル志向、ディフォルメ路線にするなら、もうちょっとゲーム内容にもそういうディフォルメがあってもよかったんじゃないかねぇ。 武器もオーソドックスなものがほとんどで面白みに欠けるし、それは敵にしても同様だし、ストーリーの最後の展開もやはり淡白だったわけで。


  丁寧に作られた佳作ではあるけど、あくまでも総合的なバリューで勝負というFPSなので、 長編的なドッシリ感を期待してしまうと肩透かしを食らう可能性大。 シングルプレイは、決してデキが悪いわけじゃないんだけど、やっぱり淡白な印象は拭えない。 逆に、対戦ができる環境にあれば、そのバリューが存分に生かされるんだろう。

2003年7月29日記載