REPORTViewtiful Joe
GAME CUBE
2003年6月12日発売発売:カプコン  

  『P.N.03』に続く、カプコンの例のGCオリジナルタイトルの1つで、 同時に発表された5本の中では、おそらく最も前人気が高いタイトルだろう。
  ディレクターはPS2『デビル・メイ・クライ』の神谷英樹氏が担当。


  ゲームの形式としては、サイドビューの格闘ジャンプアクション。 アナログスティック(あるいは十字キー)で主人公「ジョー」を操作し、Aでジャンプ、Xでパンチ、Yでキック。 XとYで攻撃ってとこがちょっと変わってるとはいえ、これだけ見るとかなりオーソドックスというか古典的な印象を受けるはず。
  スティック上下は「回避アクション」に割り当てられていて、それぞれ、上避け、下避けになる。 敵が近接攻撃をしてくるとジョーの頭のところか足の部分にドクロマークが出現し、それを回避アクションで回避すると、敵が目を回して気絶状態に。 まず、これがこのゲームの基本部分。

  そして、このゲーム最大のポイントは、 主人公となるヒーロー「ビューティフルジョー」の特殊能力である3種類の「VFXパワー」にある。 ちなみに、それぞれのVFXパワー使用中には「VFXゲージ」を消費していき、パワーを解除すると徐々にゲージは回復、 VFXゲージがゼロになってしまうとジョーの変身が解除してしまい、一定時間VFXパワーが使用できなくなってしまうという仕掛け。
  Lトリガで発動するのが、このゲームの最も基本となる「スロー」。 スローの一番のポイントは、スロー状態にすると攻撃を回避して気絶状態になった敵に「ロックオン」し、 そいつの攻撃を加えると大ダメージを与えて思いっきり吹っ飛んでいく。 んで、周りの敵全てにロックオンマーカーが付き、気絶してない敵も吹っ飛ばせるようになる(スロー解除するまでこの状態が続く)。 よって、“攻撃を避る→スロー発動で敵を吹っ飛ばす→周りの敵も吹っ飛ばす”というのが、 このゲームの基本パターンになってくるというわけだ。 パンチなら横に、キックなら前方斜め上に、しゃがみパンチのアッパーなら敵を上方に、 それぞれ敵を吹っ飛ばすことができるので、敵が沢山いる方向に向かって吹っ飛ばして敵を巻き込んだり、 天井が低いところでは、敵を上に吹っ飛ばして落ちてくるところにジャンプキックでさらに吹っ飛ばして・・・みたいなアクションも可。 また、スロー中は敵の攻撃を自動回避してくれるのも大きなポイント。 VFXゲージを大きく消費してしまうものの、ボサッとしてるとガンガンとダメージを食らってしまうこのゲームでは、非常に重宝する。 さらに、よくわからんけど、スロー中は様々な現象がダイナミックになるという設定で、 通常攻撃の威力が上がるのはもちろんのこと、爆発が大爆発になったり、落ちてくる水滴が巨大化したり、ロケットなどのジェット噴射が強力になったりなどなど。 もちろん、素直に時間を遅らせることを使わせるギミックも用意されている。
  Rトリガはジョーの動きが高速になる「マックススピード」。 単体で攻撃に使うことはほとんどなく、単体ではマックススピード中パンチ連打で出現する分身で、画面奥にあるアイテムボックスを壊すのがメイン。 より重要なのは、スロー中のマックススピードを使うことで、 (周囲はスロー状態なのに)自分だけ通常時と同じようなスピードで走れるようになるという点で、この使用頻度は結構高い。
  そして、Cスティックの上下が「ズーム」。このズーム状態では様々な特殊攻撃が行えるようになる。 ズーム中のパンチはパンチ連打。特にスロー中のズーム&パンチは最も攻撃力のある攻撃で、 無防備な相手なら仰け反らせてダメージを与えることも可能だし、ダウン中の相手に対する攻撃手段としても有効。 一方、ズーム中のキックは、360°全方位を攻撃する回転キック。 意外と通常攻撃に隙があるゲームだけに、コウモリなどの戦闘員より小さいザコキャラに囲まれたときには重宝する。 さらに、ズーム中にジャンプで上昇攻撃、空中で下降中にズームで降下攻撃。 これらは、攻撃に使うというより、上や下の壁を壊したりする使い方がほとんど。 このズーム能力によるズーム状態は、画面いっぱいにジョーが表示されるほどなので周囲の状況はほぼわからない。 よって、他の2つの能力に増して、ポイントポイントで使っていく能力ということになる。
  意外や意外、このVFXパワーを使った謎解き的な側面が意外に強いゲーム内容になっており、 中ボス戦、ステージボス戦なども、どういうタイミングでどのVFXパワーを使うとどんな効果があるのか、そこらへんを考えさせるような作りになっている。 つまり、そこに気付くまでは一方的にやられっ放しになることもしばしば。 そういう意味では、いわゆるアーケードスタイルのアクションゲームのバランス調整とはまた違うんだけども、 消化するのが難しいスローなどの各要素を、非常に上手く消化していたと思うし、 敵の攻撃を避けて吹っ飛ばすというゲーム性もオリジナリティが高く、評価できる。

  ただ、手放しで全てを褒められるゲームでもなく、気になる点もちょいちょいと見受けられる。
  特に気になったのは視点に関して。
  難易度的には割と厳しいゲームで、トライ&エラーを繰り返すことになる。 それでも2Dゲームということで、「ハァ?」ということが多かったカプコンのこれまでの3Dアクションゲームに比べると、 格段にまとまってて上手く作ってはあるし、それはそれで結構なんだけど、 どうも視点的な不自由さでダメージを食らうことが多く、ムダなトライ&エラーが多いようにも感じられた。 画面上に見えない敵から攻撃を受けることが意外に多いし、地面(あるいは下の状況)が見えない場所へ降りなくちゃならない場面も何箇所かある。 確かに、効果音で敵の攻撃を判断させようとしてる試みもわからないではないんだけど、それで十分にフォローできるわけもなく。 “家庭用機だからこういうトライ&エラーでもOKだろ”という安易な発想が感じられる。ダメなものはダメ。 そういう意味では、各種ステータスの表示が大きすぎて邪魔に感じられるのも視点的な不自由さを増長させる一因になっていると感じられた。
  特に中盤以降のボスは、敵の攻撃パターンを見切るというより、敵に攻撃を出させないようにするといった、 ボス敵の攻撃そのものを無効化するようなパターンが多すぎ。 つまり、ボス敵を逃さず追いかけていくことが重要なのに、視点的にボスを見失ってしまいがちなのもイタい。 画面外に飛び出しすぎなボスが多すぎるというか、飛び出すボスを視点的にフォローできてないというか。 せめて、画面外のどの方向のボスがいるかを示すだけでも随分違ったと思うし、 そうなれば、もうちょっとボスの攻撃パターンを工夫しようとも思ったんじゃないだろうか。
  細かいところでは、ボス敵がこちらのラッシュから無敵状態になって逃げ出すときに攻撃判定を持ってることが多いのも気になったところ。 確かにスローがあるので回避可能とはいえ、ややテンポが悪く感じられたし (ここらへん、スロー中のズーム&パンチが一番のダメージ源ってとこにも問題があるんだけど)、 そんなところでダメージを稼ぐより、もうちょっと他の攻撃パターンを工夫してほしかった。 そういや、最後のロボバトルも、とにかく自キャラの動きの重さだけがツラい感じでイマイチだったな。
  より根本的なところでは、こういうシステム上、2人以上の敵から同時に攻撃されると逃げるしかないし、 敵の攻撃を避けるとこから始まるだけに、どうしても敵主導になってしまう。 よって、戦闘自体は(爽快感こそあれ)そんなに楽しくなかったりも。 何かしら敵を捌けるような要素(投げであるとか)がほしかったかな・・・。 ただ、ここらへんはシステム的にやむを得ないところだろうし、逆に、ステージのバリエーションなどでそこを上手くフォローしていたと捉えるべきかもしれない。
  敵を上手くVFXパワーを使って倒すといわゆるお金に相当する「V-ポイント」が多くもらえるという仕掛けになっていて、 それを使ってショップで技や体力上限など購入し、パワーアップしていくんだけど、ここも若干消化不良気味。 特にVFXゲージの回復量が格段に増える「VFXターボチャージャー」なんてのは、 逆にこれがないと非常にストレスが溜まるだけだったし、あえてアイテム扱いにした理由がよくわからん (段階的にパワーアップしていくならまだしも、1段階だけだし)。 技にしても、「んなの最初から使わせてくれよ・・・」というのがほとんど。 コンテニュー回数を減らすことがゲームの目的として上手く組み込まれてないので、残機を購入する目的もやや弱い。 まぁ、戦闘そのものでバリエーションを付けにくいゲームではあるし、V-ポイントの見返りを何らかの形で設けたかったんだろうけど・・・。
  ちなみに、VFXゲージは、ステージ内にある「V-フィルム」というアイテムを50個集める毎に最大値が増えるんだけど、 これはステージクリアするたびにリセットされ、最初の値に戻される。 よって、ステージ序盤は特に不自由な感じを受けるものの、 ステージを進むにつれより華麗に戦えるようになっていき、それがボス戦で頂点に!というわけで、こちらは面白い仕様だったと思う。

  ゲームを通した全体のノリは秀逸の一言。 かなりチンピラチックというかヒーローっぽくない言動で、 「Henshin-a-go-go-baby!」という掛け声で変身する主人公ジョーのキャラが良いし、 映画の世界の中にさらわれてしまった恋人を助けるという設定で、映画のパロディもふんだんに盛り込まれてて、なかなかえる。 どこかで見たようなギャグが多いのは、狙いでもあるんだろう。 ステージボスが動物が原型になってる怪人だったり、ザコ敵が「戦闘員」という位置付けだったり、 最後に巨大ロボまで出現したり、何より変身ヒーローだったりと、日本の特撮モノの影響も大で、非常に上手い和洋折衷だった。
  キャラクターはいわゆるトゥーンレンダリング処理されているんだけど、 影になる部分が真っ黒になっているので、かなり濃い目の個性的な印象を受けるだろう。 VFXパワー使用時のエフェクトも含めて、グラフィックは非常に良いデキだと思う。特に、スローで映える華麗なジョーのモーションは素敵。 その反面、ステージ間のデモシーンでのモーションは若干雑な印象。音声が良かっただけに、ちょっと勿体無い。

  全7ステージで、自分はまずいわゆるノーマル難易度の「ADULT」でプレイし、 プレイ時間は12時間ちょっとでコンテニュー39回。 コンテニューを使って繰り返しプレイした部分も確かに多いけど、基本的にそれぞれのステージは割と長め。 ステージは、それぞれ前半、後半、ボス戦と別れており、 それぞれの間にあるインターバルでショップにいってパワーアップすることができ、 ステージ開始前と後半開始前にデータセーブすることができる。 特に繰り返しプレイすることが多くなるであろうボス戦の前でセーブできないこともあって、 ちょっとした時間にサクッとプレイするようなタイプのゲームにはなっていない
  で、ADULTでクリアした後に出現する高難易度の「V-RATED」を7時間半コンテニュー7回(つまり通算46回)でクリアという状況というのが今の状況。 ちなみに、それぞれをクリアした時点で1体ずつ隠しプレイヤーキャラが出現し、V-RATEDモードクリア後にはさらに高難易度の「超V-RATED」モードも出現する (ドクロマーカーが出現しないので「高難易度っていうかねぇ・・・」って感じになっちゃってるが)。 隠しプレイヤーキャラでも、ちゃんとシナリオ部分がいじってあるのがエラい(モーションは共通で、音声はゴニョゴニョとなってるけど、テキストが変えてある)。 基本的にADULTでクリアしたキャラをV-RATEDで引き継ぐようになっている反面、いきなりV-RATEDで始めると異常なキツさ。 個人的には、よりコンテニューを減らすような方向性でリプレイ性を高めてるのかと思ったんだけど、若干冗長な部分があるゲームだけに、そういう形にはしづらかったのかもしれない。


  アクションゲームとして手放しで褒められるゲームでないと思うし、 「100%楽しかった」と言えるタイトルでもないんだけど、何よりその発想と、その発想をゲームとしてまとめ、 オリジナリティの高いゲームに仕上げたところを、非常に高く評価したい。 ゲーム的にも、シナリオ的にも、おそらく日本人以外には作りえないゲームだろう。

2003年7月21日記載