REPORTヒットマン:サイレントアサシン
Xbox
2003年7月3日発売発売:アイドス・インタラクティブ  開発:Io Interactive  

  海外では2002年10月に発売され、暗殺をテーマにしたスニーキングアクションとして高い評価を得た『Hitman 2: Silent Assassin』のローカライズ版。
  PCオンリーだった前作『Hitman: Codename 47』とは違い、 向こうでは3機種+PCというマルチ展開をし、いまやアイドスを代表するシリーズモノになろうとしてるゲームなんだけど、 国内の家庭用機ではXboxのみのリリースとなるようだ。


  前作同様、プレイヤーはスキンヘッド&後頭部にバーコードという殺し屋「47(フォーティーセブン)」となり、 組織から与えられる暗殺ミッションをこなしていくことになるわけだけども、その導入はなかなか凝ってる。
  前作の最後で、自分が犯罪組織によって作り出されたクローン兵器であることを知り、 自分と同タイプのクローンを抹殺、その生みの親であるコバクス博士を葬り去った47。 その後、47は殺し屋業を廃業し、イタリアはシシリー島のとある教会に住み込み、「ヴィットーリオ神父」の下、敬虔な庭師として働いていた。 しかし、その存在を知ったロシアンマフィアがヴィットーリオ神父を誘拐、47に対し、5000万ドルという身代金を要求する (ここまでがチュートリアルを兼ねた最初のステージの内容となってる)。 そんな大金とは無縁の47は殺し屋時代のエージェント「ダイアナ」に連絡を取り、 お金とそのロシアンマフィアに関する情報のために、殺し屋家業を再開するのだった・・・という流れ。

  前作ではやや中途半端になってた操作と視点は、キャラクターを真後ろから見る客観視点に固定され、 さらに主観視点モードとの切り替えができるようになった。 よって、左スティックで前後左右平行移動&右スティックで旋回も含めた視点操作という、FPS的な操作系に落ち着くわけだ。 左スティックの移動はスティックの入力幅によって走る・歩くが切り替えられ、前作がPCオンリーということもあってか、 左スティックはデジタル仕様で8方向にしか動くことができない。 んまぁ、特にキャラの真後ろに視点が固定されてるとその方が作りやすいってのもあるんだろうけど、 やはりギクシャクした感じは否めず、気持ちよく動いてくれないところはある。 特殊なのは、Lトリガを軽く引いて離すことにより、「忍び足」モードになるという点。 ちなみに、Lトリガを引きっぱなしでしゃがみ、そのまま移動することもできる。 左スティッククリック中に視点(照準)の動きが遅くなるというのは、家庭用機ならではのナイスフォローと言えるだろう。
  Rトリガで装備アイテムの使用(射撃)、Aがいわゆるアクションボタンで、 方向パッド左右で左右覗き込み、右スティッククリックで客観・主観の視点切り替え、 Bで持ってるアイテム(武器)を捨て、Xで武器の構えのオン・オフの切り替え、黒でリロード、Yで武器装備画面と、 使うボタン数は多いものの、使い分ける操作はそんなに多くないし、特に複雑で入り組んだ操作系でもないんで、操作自体に煩雑さを感じることはない。 覗き込み操作はほとんど使いどころがないし(方向パッド左右×2で体をより乗り出す操作なんて、説明書でも全く説明されてない)。

  当然のように、敵の視界の自然さ敵の配置の自然さ自由度の高い各ステージの攻略法といった、前作の長所はそのまま。 その上で、とにかく難しいという印象だった前作に比べ、かなり遊びやすくなってる感じは受ける。
  ゲームシステム的には、(回数制限はあるものの)ステージ中のいつでもセーブができるようになったのが大きい。 過程を覚えたからといってもサクサクと進められるゲーム性ではないんで、非常に嬉しい仕様と言える。 前作同様、セーブしなくてもクリアできる程度のステージ規模にはなってるし、ノーマル難易度の7回なんてのはまず使い切れないんだけど、 この回数制限は“むやみやたらはセーブするなよ”っていう意思表示でもあるんだろう。良いことだと思う。
  ただ、難易度的にラクに感じられる最大の原因は、銃撃戦がユルくなったことに尽きる。 本作でも、狙撃銃やショットガンを食らうと、一発でかなりのダメージを受けてしまうんだけど、普通の拳銃やマシンガン系の武器のダメージが低くなったのが大きい。 前作のように、相手から拳銃でヘッドショットを食らって即昇天とか、マシンガンの乱射が頭に当たっちゃったらしくやっぱり即昇天、なんてことはなくなった。 もしかしたら、自分に限ればヘッドショットっていう概念がなくなったのかもしれない。 しかし、これでラクになったのは事実なんだけど、ちょっとラクになりすぎてしまったような・・・。 突撃してくる敵を次々とマシンガンでなぎ倒してとか、惨殺指向でのステージクリアが出来すぎる感がある。 そもそも、前作のマズさは、銃撃戦のキツさ自体より、であるにも関わらず銃撃戦を避けきれないところにあったと思うので、この仕様はあんまり嬉しくなかった。
  ゲーム面での最大の変化は、敵の察知能力に大きな変更があったことだろう。 例えば、前作では変装していれば怪しげな行動をしない限り気付かれることはなかったんだけど、 今回は、特に戦闘員系の敵に変装した場合、近くでジックリ見られるとその場で変装がバレてしまうようになったようだ。 さらに、敵の背後に歩いて近づくと敵にバレてしまうので、 ワイヤーで絞殺するためには忍び足をする必要があり、当然普通に歩いてる敵より動きが遅くなるわけで、 普通にウロついてる敵を後ろから近づいて絞殺できるのは、非常に限られた場面だけになってしまった。 また、人に見られてるときに忍び足で移動すると逆に怪しまれてしまうし、状況によっては、走ってるだけでも怪しまれてしまう。 基本的には歓迎したい方向性ではあるんだけど、特に変装に関しては前作のような分かりやすさも捨てがたいし、 “良くも悪くも、よりリアルになった”ってな感じと言えるだろう。 一応、センサーみたいなのが表示されていて、それが真っ赤になるとアウト(敵にバレる)という形にはなってるんだけど、 センサーが反応してからアウトになるまでの時間が短いもんで、それで判断できる場面は意外に少なかったりするし・・・。 まぁ、次作に繋がる変化であるのは確かだが。
  マップの仕様の変化も大きい。拡大縮小が扱いやすくなり、格段に見やすくなったというのもあるけど、 最大の変化は、(最高難易度を除いて)敵がマップ上に表示されるようになったこと。 敵が向いている方向もわかる上に、リアルタイムでその移動が表示されるので、これを見てるだけで敵の動向が結構分かってしまう。 便利だけど、こりゃズルいよな・・・。 やっぱり、こういうの無しで成り立つようなバランスのゲームに仕上げてほしかったところ。 また、マップ画面でもリアルタイムで進行するにも関わらず、当然のようにマップ画面では自分は動けないので、咄嗟の状況把握には向いてない。 便利さに対する調整でもあるんだろうけど、敵はどうあれ、マップ(地形)をチェックしたいときはあるわけで・・・。 どうせこういう形にするなら、ウィンドウ形式で表示するようにしてほしかったな。
  ステージ数は前作の12から全20ステージと増加。 東欧から中東、果ては日本と舞台は多彩で、屋外、地下基地、近代的なビルの中、お城などなど、そのステージ内容もバリエーション豊か。

  Xbox、PS2、PC版がほぼ同時にリリースされた(なぜかGC版だけ、かなり後(今年6月)になってからリリースされた)ことからも分かるとおり、 そのグラフィックはXboxならではというものではない。 それでも、多彩な舞台に合わせて描き込まれたグラフィックはなかなかのもので、陰影に結構メリハリが付いてることもあって、全体的にかなり存在感が感じられる。 敵キャラのモーションが自然かつ凝ってるのも、前作同様の長所と言えるだろう。
  BGMには本格的なオーケストラが起用され、非常に重厚なものに仕上がっている。 環境音メインで、ここ一番でBGMが流れ出すのも良い。 神に目覚めたという前フリの上で、暗殺という非人道的な行為を行う47に合わせ、どこか哲学的な雰囲気を醸し出してくれる。 その反面、サイレントな武器が多いこともあるんだけど、効果音は若干弱いか。

  ゲームの大局的なシステム面では、お金の概念がなくなった代わりに、ステージクリア後に、そのステージの評価が表示されるようになった。 面白いのが「隠密性」と「攻撃性」という2つの要素で評価されることで、 隠密性最大(敵に警戒されず)、攻撃性ゼロ(ターゲット以外を殺さない)でクリアした時に初めて最高の称号「サイレントアサシン」をゲットすることができる。 んで、このサイレントアサシンでクリアし続けることで、レア武器をゲットできるらしい。
  前作が“ベストルートを辿らないとクリアできない”、そんなバランスだったのに対し、 今回は、“(強引なのも含めて)いろんなクリア方法があり、 サイレントアサシンという称号を得るためにはベストルートを探さなくてはならない”、そんなバランスになっている。
  これはこれで、リプレイ性を高める上手い作りだったんだけども、リプレイしにくいセーブ関係の仕様が、ちょっとその足を引っ張っちゃってるのが残念。 一旦データロードしてからじゃないと(その上でまたタイトルに戻ってからでないと)、 最初のメニューのスタートからステージ選択ができなかったり、その際に、そのステージでどういう評価を得てるかが分からなかったり・・・。 もうちょっとここらへんを上手く作ってほしかったな。
  ちなみに、オプションの変更内容がセーブされないのも、セーブ関係のマズさと言える。


  確かにイロイロと改良されえるし、いきなり本作をプレイすればなかなかの良作なんだろうけど、 前作のテイストを知ってると、残念に思える点もチラホラ。 「Kain」シリーズに、「トゥームレイダー」シリーズと、開発が云々以前に、 そのプロデュース能力に疑問が生まれてきたアイドスだけに、次回作『Hitman 3: Contracts』でその真価が問われることになりそうだ。

2003年8月18日記載