REPORTSerious Sam: The First Encounter
PC
2001年3月22日発売発売:Gathering of Developers  開発:Croteam  

  1998年あたりを転機に、FPS(主観視点シューター)は、パズル要素が強まったり、ステルス要素が追加されたり、ミリタリーな舞台になったりと、 複雑化、細分化の傾向が強まって今に至るわけなんだけど、その方向性に反して原点回帰を狙った異端のFPSがこの『Serious Sam』で、 FPSをジャンルとして定着させたあの『DOOM』へのリスペクト的な意向が強い、純シューターFPSとして高い評価を得た。
  デモ版が予想以上に好評だったので、元々予定されていた1/3分のステージをパッケージングし、 その代わりに値段は抑えめにしたという、割と変わった形でリリースされたタイトルでもある。 次の2/3のエピソードからなる続編『Serious Sam: The Second Encounter』も2002年2月にリリース済みで、 一応、この話のファイナルになる予定の『Serious Sam 2』は来年のリリースが予定されている。
  ちなみに、Co-op(いわゆる協力プレイ)で有名なゲームでもあるんだけど、いつも通り、シングルプレイの感想・評価ということに。


  エイリアンの突然の侵攻によって追い詰められた人類は、最後の手段として 一人だけを過去に送り込むことができるという超古代遺産「Time-Lock」を用い、 エイリアンに対しての猛烈な戦いっぷりで生きる伝説となった「Serious Sam」こと「Sam Stone」を 過去のエジプトに送り込むのだった・・・というストーリー。 ただ、マニュアルを読む限りでは、なんで過去に行くことで現状を打破できるのか、よくわからんのだけど・・・。
  んまぁ、そういうストーリーに大した意味があるゲームではなく、 白いTシャツにジーンズ姿の屈強なタフガイSerious Samを操り、 エジプト風の景色なステージを突き進み、敵をなぎ倒しつつゴールを目指せ!というゲームになっているわけだ。
  ちなみに、いかにもなSamの風貌とは裏腹に、開発のCroteamは東欧クロアチアの開発メーカーだそうな。

  その方向性の通り、操作系は極めてオーソドックス。 キーボードのWSで前進後退、ADで左右平行移動、マウスで旋回も含めた視点操作というのはもちろん、 走る・歩くを切り替えたり、ジャンプしたり、しゃがんだり(しゃがむ機会は全くなかったが)。 マウス左クリックで攻撃で、数字キーの1〜8で武器の切り替えを行う(一応、マウスのホイールで武器選択ができるようにもなってるけど、 マウスのホイールを使って武器を選ぶ余裕があるゲーム性ではないので、普通はキーボードを使って武器選択をすることになるはず)。 それぞれの武器の攻撃方法は1種類だけとシンプルな作りなので、マウス右クリックはスイッチを押すなどのアクションボタンに割り当てられている。
  一応、FPSに分類されてるこのゲームなんだけど、実は主観視点と客観視点の切り替えも可。 Samのモーションがややヘボい上に、「発想はFPSなわけだし、やっぱり主観視点でプレイでしょ!」とずっと主観視点でプレイしてた自分も、 途中で、大量の敵に四方八方から攻められるような場面では、自キャラが見える客観視点の方がプレイし易いことに気付いてしまった。
  また、Samの頭の中にはNetricsaというコンピュータが埋め込まれており、適時情報を提供してくれるという設定。 知らない敵を倒したり、新しい武器を得たりした時はもちろん、開かない扉を目の前にした時に画面にアイコンが表示され、 右ダブルクリックでその情報をチェックできるのが面白いシステムだった。 謎らしい謎があるゲームではないものの、“この扉は開かないから別ルートを探さないと”とか “この扉には鍵がかかってるからそれを見つけないと”という情報が得られるのは嬉しいし、武器や敵の概要がその場で分かるのも、やはり助かる。 これらのNetricsaのメッセージが、ガチガチの情報オンリーではなく、やや人間味があるとこがまた良い。
  サイト(照準)もちょっと変わっていて、 サイトが合ってる敵の体力が50%以上残ってる時はサイトが緑、50%〜25%の時は黄色、25%〜0%の時は赤くなるという仕様。 また、発射直着弾な武器の場合、サイトに色が付いていればその敵に攻撃がヒットするという判断基準にもなる。 地味ながらもナイスシステムだったと思う。

  グラフィックはオリジナルの「Serious Engine」によるもので、非常に印象的。 まず何より、ゲーム的な特徴でもある、広大なステージ&大量の敵という点で驚かされる。 他のFPSでは類を見ないほど広いスペースが多く、もちろんその遠くにいる敵が攻撃してくることもあり、 遠くの敵を攻撃することもできるし、延々と大量の敵が出続けるゲームではないものの、 虫のような小型の敵だけじゃなく、主人公Samと同じくらいの大きさの敵が何十体もドワーッと湧いてくる場面もある。 驚くべきは、(少なくとも自分の環境では)それによって描画が落ちたり操作が重くなったりすることがほとんどなかったこと。
  かといって、物量的なパワーだけのゲームではなく、 印象的な太陽光などのレンズフレアなど、エフェクトも非常に美しいし、テクスチャも十分に描き込まれてると思う。 背景のエジプト調デザインも印象的で、特徴的かつ大小のメリハリが付いた敵キャラのデザインもイイ。

  ゲーム的には、だだっ広いステージで大量の敵が出てくるということで撃ちまくり系爽快FPSと思いきや (まぁ、そういう面がないわけじゃないんだけど)、実はそうでもなかったりする。 『DOOM』や『QUAKE』をプレイした人なら、先に進むためのスイッチを入れた途端に、あるいは、必須のアイテムを取った途端に、 秘密の扉がゴゴゴーッと開き、中から強敵が出現して「どわ〜っ」ってな経験があるはず。 このゲームは、その部分を抽出・発展させたものと言っても過言ではない。
  最初から配置されてる敵もいることはいるものの、 アイテムを取ったり、特定の場所に到達したり、目の前の敵を倒したりといったフラグに反応して、 敵がワープしてきて突然ワラワラと現れるっていうシーンが非常に多いのが特徴となっており、広い広場の真ん中で四方八方から敵に襲われるなんていう場面も多い。 ゲームの難易度が高くなってる第一の要因はここにある。
  特徴的な音を立てる敵が多いというのは、そこらへんを配慮してのことなんだろう。 特に笑えるのが、「アァァァァーッ!」と声を上げながら自キャラに突撃し自爆攻撃をしてくる「Beheaded Kamikaze」で、 四方八方から「アァァァァーッ!」っていう声が聞こえだした時なんてもう・・・。夢に出そう
  実は、この“爆発”ってのもこのゲームの難しさを象徴するキーワードと言える。 沢山の敵が出てくることもあってか個々の敵AIは非常に単純で、一旦こちらに気付いてからは、視界とかそういう要素はなく、 主人公に対して突撃してきたり、ワラワラと集まって来たりするだけ。 よって、割と敵との近い距離で戦闘になることも多く、こうなると自キャラにも攻撃が当たってしまう爆発系の武器(ミサイルランチャー&グレネード)は非常に使い難い。
  使い勝手がイイのはダントツでチェインガン(攻撃力は劣るがそれでも使いやすいマシンガンと弾薬共通)と レーザーガンなんだけど、使いまくれるほど弾薬が豊富なゲームではないんで、 これらをいかに節約して進めるかが問題になってくるわけだ。
  爆発系の武器を上手く使ったり、射程の短いショットガンを上手く使ったり・・・。 そして、このゲームの場合、大抵の敵は1vs1ならほとんど苦労せずに倒せるので、デフォルト装備の二丁拳銃も重要になってくる。 この武器は弾丸無制限な上に、少なくとも1vs1の戦闘でなら十分に戦える程度の攻撃力はあるし、 射程も無制限なので、サイトの仕様からも分かる通り、遠くの敵にも容易に攻撃が可能。 その代わり、リロードの時間がこのゲームでは致命的ものになっており、集団戦闘では非常に使いづらくなっている。 この武器をいかに上手く使い、他の有用な弾薬を節約できるかが、ゲームのキモと言えるんじゃないだろうか。 例えば、相手からは見えずこちらが攻撃をヒットさせても微動だにしない敵を二丁拳銃でまず排除したり、 壁などの地形に引っかかってる敵に対し、相手の攻撃がヒットしない場所に隠れてその敵を二丁拳銃で排除したり、と。
  敵の出現同様、アイテムもフラグ立てで出現することが多いってのもあって、 例えば、「後でレーザーガンの弾が手に入るからここでレーザーガンを使っちゃって・・・」とか、 「この後にあの敵のラッシュがくるから、この弾は残しておいて・・・」とかいうように、覚えゲー的な要素がかなり強くなってしまっている。 実際、序盤の数ステージを除けば、かなり繰り返しプレイする場面が多くなってくるし(終盤はそのオンパレードといっても過言ではない)、 どこでも気軽にセーブできるからこそのゲームバランスでもあると思うな。 このお陰で、シングルプレイに限れば結構人を選ぶゲームになってるかもしれないし、 個人的には、爽快感というより達成感の方が大きく感じられるゲームだった。

  多彩なシークレットが存在するのも、『DOOM』リスペクト的な観点からすれば当然のこと。 ステージクリア後の成績を見る限り、普通にプレイしていてはまず見つからないようなシークレットもタンマリ用意されているようだ。 ただ、普通はシークレットを発見するとプレイの手助けになるんだけど、このゲームの場合は出現するアイテムに見合う以上の敵が出現してしまうこともしばしば。 2ステージほどある隠しステージも全くもってそういう性格のもので、クリアするにはスルーした方が懸命だったりする。
  そういう作りになり得てるのは、このゲームにFPSにしては珍しいスコア要素があるからだろう。 つまり、ハイスコアを狙うには、敵を出して敵を倒してスコアを稼ぐ必要があるというわけ。 この仕様によって、シングルプレイにもそれなりのリプレイ性がある・・・かも。

  時折、主人公Samがその風貌にあったいかにもな独り言をいう楽しいし、 遺跡の前で「インディ・ジョーンズ」のテーマを口笛で吹きだしたのも笑ったけど、ホントにポイントポイントでだけなので、ちょっと中途半端な感じも否めず。
  音楽では、敵がワラワラと湧いてくる場面で鳴り出すノリの良いロックサウンドが非常に印象的。 そのサウンドに合わせて無我夢中で湧いてくる敵を倒しまくってると、軽いトランス状態に陥ってしまいそうだ。


  こういったPCゲーのどこでもセーブできることを前提にしたゲームバランスには常々疑問を持ってたし、 突然敵がワープして現れてくるゲームも好きじゃない。 よって、全面的に支持できる内容とは言い難いんだけど、それもここまで突っ走った内容になっていれば、これはこれで納得というもの。 傑作とは思わないし、人を選ぶとは思うけど、“快作”という言葉がピッタリの一本だろう。

2003年8月22日記載