REPORTハングリィゴースト
PlayStation2
2003年7月31日発売発売:SCE  開発:DEEP SPACE  

  カプコンで『魔界村』『ロックマン』をプロデュースし、『バイオハザード』の開発にも関わったという触れ込みなんだけど、 カプコンから独立してからはなんだかパッとしない (というか、前回のPS2『エクスターミネーション』で思いっきり株を下げたと思われる) 藤原得郎氏率いるディープスペース(旧ウーピーキャンプ?)の最新作。
  まぁ、その『エクスターミネーション』も一般評ほどは悪くないゲームだと思ってるんだけど、 それ以上に、和製の主観視点ゲームという点と、スクリーンショットがなかなか良さげだったのと、 自称“擬似死後世界体感アドベンチャー”というとこに惹かれ、購入&プレイとなった。


  簡単に言うと、地獄に落ちた主人公が、地獄の村を巡る旅をしてその最後に審判を受け、 旅の内容によって、そのまま地獄に落ちたり、また生き返ったりと、まぁそんな感じのゲームになっている。

  基本操作は意外にも、左スティックで前進・後退、左右旋回、L2、R2で左右並行移動というもの。 で、L1を押しながら左スティックの上下で視点の上下移動を行う。
  「じゃあ右スティックは何してんの?」となるわけなんだけど、 攻撃&腕の操作が右スティックに割り当てられていて、これがこのゲームの操作の特徴にもなっている。 例えば、武器を装備して、右スティックを下・上と入れると武器で攻撃となるし、アイテムを装備して右スティックを上に入れると向いている方向にアイテムを投げる。 また、アイテムをゲットする場面では、右スティックを前に倒すことで腕を前に伸ばし、罠の気配がしたらスティックを離すと、腕を元に戻したりする。 この操作にちゃんと面白みがあれば、上のような操作系にもまだ説得力があったんだけども・・・
  同じく左スティックで前進・後退&左右旋回でも、 ロックオン操作を活用したGC『メトロイドプライム』とは違い、このゲームは自前で上下を向いて調べなくちゃならないことが多い。敵も意外と上下に動く。 そういうゲームであるなら、もっとスムースに視点操作できるFPS的な操作系にすべきだったろうし、 右スティックの使い方にも、この操作系を後押しするような面白みはなかった (スティックの倒し具合が何かを左右することもないし、スティックの左右は完全に浮いているので、実はボタン1つで代用可なはず)。
  それ以外の操作は、×orR1を押しながら移動で一定時間ダッシュ(旋回も速くなる)、 □で装備の切り替え(武器→素手→装備アイテム→素手→武器・・・)、十字キー左右で装備の選択など。
  意外に戦闘で苦労させられるのは、何よりこの操作系によるところが大きい。 通常の武器となる槍は、右スティック下で攻撃を溜め、前に倒して攻撃するというのが基本。 また、敵の攻撃はサイドステップで避けるのが基本になるんだけど、ダッシュしながらの左右移動じゃないとその攻撃を避けるのはほぼムリ。 つまり、なるたけ“槍の攻撃を溜めながら左右ダッシュで攻撃を避け・・・”と操作したいわけなんだけども、 その為には、×ボタンと右スティックをほぼ同時に使いこなさなければならない・・・ムリゆーなって・・・。 どうしても、“右スティック=腕の操作”っていうアイデアにこだわりたいのであれば、それでも操作しやすいように、ゲーム内容を工夫するべきだろう。 まぁ繰り返しになるけど、現状では“右スティック=腕の操作”っていう操作にこだわる価値を見出せないわけだが。

  エンディングを左右する要素としては、まず「運命力」というものがある。 詳しくはよくわからんのだけど、どうやらイベントをこなせばこなすほど高まる要素っぽい。
  んで、場面場面の選択に応じて、イベントに遭遇できるかどうかが変化して、一度選択すると元には戻らないというのが、一応、このゲームのウリになってたりする。 例えば、宝箱を開けたときには必ずアイテムが2種類出現し、 その片方を選択した時点で残りのアイテムは消えてしまうという作りも、そこらへんのアピールになっているんだろう。
  で、そのキーポイントとなるのが「逸話」という紙切れの情報アイテムで、 イベントに遭遇する前に、これによりそのイベントの背景を知っておかないと、そのイベントが発生しないようになっている。
  さらに、説明書などには明記されていないものの、 「物欲」「依存欲」「破壊欲」という3つの欲を抑えることも高ランククリアへの道であることが、ゲームの終盤で明らかになる。 物欲はアイテムをゲットするたびに上昇し、依存欲は逸話を初めとした情報アイテムをゲットするたびに上昇し、 破壊欲は敵や、アイテムが入ってるタルを壊したりすると上昇するというもの。 つまり、高いランクでクリアするためには、アイテムを必要最低限しか取らず、情報アイテムは必要最低限の逸話だけをゲットし、 戦闘はなるたけ避け、タルも必要なものだけしか壊さないようなゲームプレイが求められるわけだ。
  んでも、そのアイテムが必要かどうか、その情報アイテムが必要かどうか(一旦手に取らないと内容が全くわからない)、 その戦闘を避けられるかどうか(何気なくアイテムを取った瞬間に脈絡なく結構強力な敵が現れちゃったりする)、 そのタルの中に入ってるアイテムが必要かどうか、それぞれ、最初のプレイでは全くわからんというのが問題。 逸話の入手方法のほとんどが、イベント云々ではなく、宝箱やタルの中に入ってたりと他の一般アイテムと全く変わらんというのもねぇ。 繰り返しプレイを前提としてるのであればそういう作り自体が完全NGとは言わんけど、“全く”わからんというのは流石に問題だろう。

  後戻りのできない選択を繰り返してゴールを目指すという作りからして、 繰り返しプレイを前提とはしてるんだろうけど、何より、その繰り返しプレイに面白みがないのが大問題。
  繰り返しプレイさせるのであれば、毎回何か違う驚きがあるような、仕掛け・ストーリーの幅がほしかったのに、 (運命力&三欲の条件は除いてのフラグ立てで)繰り返しや試行錯誤だけでは解明不可能っぽい極細の正解ルートが2本用意されているだけだった。 つまり、プレイしてる時は、「チュンのサウンドノベルのような絡み合った分岐で構成されたゲームで、 クリア時にはその辿ってきたルートが示されるといいな〜」なんて思ってたんだけども、実際のこのゲームの内容は、 極端に喩えれば、“イベントは背を向けて提示された2枚のカードから1枚選択するようなもので、 引いても中身が分からないカードは、実はA・Bという2種類からなっていて、全てAのカードを揃えていくと最終的にAの話が、 全てBのカードを揃えていくと最終的にBの話が・・・”そういう作りと言えるんじゃないだろうか (もちろん、引いた時点でアウトなカードや、A・B共通のカードなんかもあったりはするものの)。 2枚のカードを選択する時点で、何かしらの判断材料が用意されていればまだしも、それがほぼ皆無に近いんだもんなぁ・・・。
  作る側もそのキビしさを理解してるのか、一度ゲームをクリアしてからもう一度プレイすると、 その冒頭に2つの話の正解ルートを提示してくれる(運命力や三欲が絡んでくるのでそれだけでクリアできるようなもんではないんだけど)というお粗末さ。
  そのように正解ルートを探る面白みがないのであれば、 他に繰り返しプレイさせるネタがほしいところなんだけども、そういうものは全く用意されていない。
  一度クリアして、欲を抑えてプレイすべきゲームということが分かると、アイテムをやたらめったらゲットするわけにはいかない。 それ以前に、箱を壊さないと中身がわからないのに、箱を壊した時点で破壊欲が上がる。 手に取らないと内容が分からないのに、逸話を手にした時点で依存欲が上がってしまう。 結局、“一度プレイして中身を覚えて、ロードしてまたやり直して・・・”ってことにならざるを得ないと思うんだけど・・・。
  そもそも、アイテムの使い方には予想以上にバリエーション・自由度がなく、1度目と2度目のプレイで自分のプレイが変わるとは思えないんだよなぁ。 地面の油溜まりに火種を投げ入れると炎が燃え上がったり、水でそれを消せたりと、 部分的に面白いアイデアはあったものの、もうちょっと他のアイテムを交えてバリエーション豊かにしてくれないと・・・。 まぁ、“保持アイテムを抑制して先に進むべきゲーム”っていう方向性が先にあったのでは、そういう発想も生まれなかったんだろうけど。
  最後のチャチな性格診断のためプレイするには、1度のクリア時間が長すぎるってのもある。 自分の初回のクリア時間のデータは7〜8時間ってところで、やり直してる部分もあり、実際のプレイ時間はもうちょっと長いはず。 公式にはクリア時間は2時間〜15時間くらいの幅があるということなんだけど、 良い結果で終わるためには、運命力を高める必要があり、そのためには沢山のイベントをこなさなくてはならず、 結局、プレイ時間が伸びるという作りになっているわけで。
  もちろん、それ以前の問題として、操作感が重たく難アリなので、プレイしててツラいというものあるわけだけども。 操作感が良好で、三欲っていう要素がなければ、とりあえず1つくらいはベストエンディングを見てみようという気にもなれたに違いない。

  グラフィックは基本的に結構よく描けてるはずで、デザイン関係も悪くないのに、「サイレントヒル」ほどの緻密さは無い上に、 洋ゲーにあるようなスケール感もない(見える範囲、移動できる範囲、共に狭い)ので、そこまでの好印象も残らず。 エフェクトを上手くきかせた敵キャラなんて、結構よく描けてるんだけどなぁ・・・。
  日本語音声は、登場人物が欧米人らしいので若干違和感がなくもないけど、まぁやむを得まい。 全体的に単語や会話に日本人っぽいバタ臭さが感じられるのも、むしろこのゲームの味としてプラスに受け取っておきたいところ。 イロイロと雰囲気作りにこだわってるっぽいのに、「情報アイテム」「攻略メモ」といった単語が出てきてしまうのはどうかと思うが。
  また、せっかくの地獄なんだし、もうちょっとホラーテイストがあってもよかったんじゃないだろうか。 実際、グロかったり陰惨だったりする場面はあるのに、それが全くもってホラーテイストには繋がってはいないので。 「体感性」をウリにしておきながら、体感「アトラクション」っていうのを前面に押し出してたりと、 そこらへんの中途半端さも気になるところ(見える範囲、移動できる範囲の狭さにも繋がってるような)。 まぁ、ホラーやグロをウリにするのは気が引け、どっかしら歯止めがほしかったのかもしれないが、そういう人たちにはそもそも不釣合いな題材に思える。

  細かいところでは、一応、十字キーで装備武器やアイテムの切り替えができるものの、 装備するまでにローディングの間ができてしまい、特に戦闘中はこの操作で装備を変更するのはリスキーになっている。 よって、主にポーズメニューで装備を切り替えることになるわけだが、この作りも頂けない。 ポーズメニューを開くと、そこからアイテム関係、ステータス関係、逸話などの情報関係、オプション関係を選ぶという形になってるんだけど、 例えば、装備を変えたいときなどは、ポーズメニューに入ったとき、そこからアイテム関係を選んだとき、 それぞれにディスクアクセスがあって、(ここのアクセスは短いのに)積み重ねで結構鬱陶しく感じられてしまう。
  大体、使用頻度が違うんだよな。 ステータスや逸話の確認なんてそんなに頻繁に行うもんじゃないし、ましてやオプション関係をいじる機会なんてもっと少ないだろう。 一方、ポーズメニュー内でアイテムを切り替える機会は非常に多い。 であるなら、ポーズメニューを開いたらまずアイテム画面に、そこでLRでステータスや逸話に切り替わるといった形にする方がベターだったように思う。
  ちなみに、アイデアとして面白いと思ったのが、 “見る”ことがフラグになってる場面があったこと(ある場所に目を向けると幽霊が出現する)。 それが上手く生かされてたわけじゃないんだけど、案外、これまでなかったことだと思う。


  主観視点に可能性を見出したまではよかったし、(その方向性も含めて)良いところがないわけじゃないんだけども、 ダメな部分がそれを圧倒してしまっている。
  結局、どういうゲームを作りたかったのか、プレイしてもイマイチ分からなかった。 地獄体験ってとこをメインにするのであれば、もっと没頭感を高める作りに、 繰り返しプレイをメインにするのであれば、もっと繰り返し楽しめる作りにと、かなり早い段階でシッカリと意識する必要があったんじゃないだろうか。

2003年9月1日記載