REPORTZERO ONE
GAME BOY ADVANCE
2003年4月24日発売発売:フウキ  

  総合誌(ファミ通)と専門誌(ファミ通キューブ+アドバンス)とで、 発売直前の雑誌レビューの評価が笑えるくらい真っ二つに分かれた、かなりマイナーめなアドベンチャーゲーム。


  形式としては、オーソドックスなテキストベースADVとしてよいだろう。全10話で構成されている。
  まず戸惑うのが、文章の早送りがA、Bでは行えず、十字キーの左右下で行うという、変わった操作系だろう。 片手でプレイできるような配慮かと思えば、選択肢は十字キー(&L)では選択できないし、当然、各種ミニゲームも同様。 別に、早送りが十字キー左右下に割り当てられてること自体は構わないんだけど、AあるいはBに割り当てなかった意図はイマイチよくわからない。 もっとも、それを除けば、高速スキップが可能だったり、バックログを読めたり、ゲームオーバー時にはそうなった原因を見ることができ、 そうなった分岐点からゲームを再開することができたりと、システム的なプレイアビリティは上々
  選択肢が出てるときにはセーブできないんだけど、シナリオ全体が全10話という形で細切れになっており、 ゲームオーバー時のリトライがしやすいこともあって、さほど気にはならなかった。
  また、通常は小さめの文字で二段表示というテキストも、文章として自然な程度には漢字が使用されており、 フォントの小ささの割にそれが識別しやすく、密かに評価できるポイントだったりする。

  主人公は比較的一般的な普通の中学生男子「常光寺ツトム」、 ただ、行方不明中の父はロボット工学の権威である「常光寺ノブヒコ」、姉は大学でAIの研究をしている「常光寺リツコ」。 さらに後になって「シロー」というサイボーグが出てくることで分かるとおり、 物語の序盤は「人造人間キカイダー」へのオマージュ精神が感じられる。 おそらく、ゲームタイトルの“ZERO ONE”も、キカイダーから拝借したに違いない。
  もちろん、ネットワークやAIの話を絡めてきて、若干現代的ではあるし、 敵組織も「ルード」という武器密輸シンジゲートだったりと、そんなにまんまっていう話ではなく、 何より、中盤でそのルードが壊滅し、その後のゲーム後半部分でかなり唐突に話の流れが変わっていくのが笑える。 前半と後半で全く別のゲームのようだ。 んで、ラストで前半と後半の話が上手くまとまってたかっていうと、これが結構微妙だったりする。 確かに、前半の要素もそれなりに取り込んではいたんだけど、 それを完全に消化して上手くまとまってる!ってほどはないし、前後半のバラバラ感はゲーム終了後も拭いきれず。 それでも、最後(後半)の敵の設定自体は独特で面白かったので評価したいところ。

  テキストの内容自体は平凡といっていいだろう。 シナリオ的な表現力とも相まって、熱くなれるとか、感動できるとか、緊張感があるとか、そういう要素は極めて弱い。 ただ、ゲームに関するネタや、昭和なマンガネタといった小ネタが適度に散りばめられていて、結構ニヤリとはさせられる。
  グラフィックは悪くない。 ディフォルメがキツすぎない若干バタ臭い絵柄も個人的には良かったと思うし、 何より、アニメーションやスクロールを使った動きのある演出が多数あって、 スクリーンショットをパッと見るよりは好印象が残るはず。 十字キーでキャラクターを操作する「マップモード」もゲームの良いアクセントになっており、いわゆるクォータービューな視点のところと、 奥行きのあるサイドビューなところ、それぞれ結構芸が細かく、いわゆるドット絵的なグラフィックも良く描けてる。
  ゲームオーバーに繋がる選択肢も、意味不明に選択即死ということは少ないし、 一部に推理シーンがあったり、ミニゲームが挿入されたり、時間制限のあるコマンド選択があったりと、それなりに工夫されている。 ここらへんの作りも結構丁寧な部類だろう。
  ボリューム的には、各話それぞれ30分程度で、クリアまでに5、6時間というところ。 一応、リプレイ要素としては、3人のヒロイン(同級生)がいて、途中の選択によって、後半、そのうちの1人と一緒に戦っていくことになるというのがある。 ただ、せっかく性格が違った3人なのに、大筋の流れは変わらず会話の内容が変わる程度だったのが残念。 また、前述の通り、ゲームオーバーに繋がる分岐は大量にあって、 見たゲームオーバー(エンディング込みで全105種類)はちゃんとエンディングリストにチェックされていくので、 このゲーム自体を気に入ればそこも楽しめるはず。


  ADVで最重要であるシナリオを筆頭に、総合的な面白さは期待してたほどじゃなかったんだけど、 面白いADVを作ろうとした試みと意気込みは評価できるし、その健闘を称えたくなる一本ではある

2003年9月28日記載