REPORTテイルズ オブ シンフォニア
GAME CUBE
2003年8月29日発売発売:ナムコ  

  PS・SSが発売された翌年の1995年12月に発売されたSFC『テイルズ オブ ファンタジア』は、 同じくSFCの『ドラゴンクエスト6』が同時期発売だったこともあって当初は埋もれ気味だったが、一部では高く評価され、“隠れた名作”的な位置付けになっていた。 その後のPS『テイルズ オブ デスティニー』(1997年12月23日発売)をキッカケにPSへの移植の声が高まり、1998年12月23日、PSへ移植され発売されることになる。 その後、PSで『テイルズ オブ エターニア』(2000年11月30日発売)、 PS2で『テイルズ オブ デスティニー2』(2002年11月28日)と発売されることになる「テイルズ」シリーズは、 DQ・FFに次ぐRPGシリーズの第3位集団の中でも上位に位置するシリーズと評価できるだろう。
  そのシリーズ最新作が、この『テイルズ オブ シンフォニア』ということになる。 PS系3作のキャラデザがいのまたむつみ氏だったのに対し、今回の『シンフォニア』は初代『ファンタジア』同様、 藤島康介氏がキャラデザを担当してるのは、初代以来の任天堂ハードでの登場(携帯ゲーム機は除く)ということを意識してか。
  ちなみにこのシリーズ、自分は初代を少しプレイした程度なもんで、他のシリーズとの比較は無し。その関連性も全くわからない。


  最近のRPGにしては珍しく、街やダンジョンが点在しているフィールドを移動できる形式になっており、 大まかな形式としては、際立った特色は無い、最近では逆に珍しいくらいのオーソドックスなRPGと言えるだろう。 ゲーム中盤以降は世界を自由に飛びまわれるようになったりもする。
  このフィールド+街というこの形式を採用したのは、良し悪しな部分がそれぞれある。 長所はもちろん、世界を冒険してるという雰囲気が味わえることであり、フィールドのこんなところにこんなとこが!みたいな発見があること。 短所は、ゲームの他の部分に比べると絵的な表現力が物足りなく感じられること(描き込み具合も緻密とは言い難いし、ゲームのこの部分だけが30fpsになっている)と、 世界を自由に冒険できる反面、世界が狭く感じられてしまうこと。 まぁ、設定的にこういう作りにせざるを得ないというか、 こういう作りだからこそ、こういうゲームになり得たわけで、単純に良し悪しで割り切れる問題ではないだろう。

  システム的な最大の特徴は、シリーズ伝統のアクションゲーム風の戦闘ということになるんだろうけど、 その前に、まずは成長要素などの大まかなシステムについてチェックしていこう。
  一番凝ってるのは「EXスキル」に関するシステム。 各キャラには4つの「EXジャム」を装備できるスロットがある。 EXジャムにはLv1〜Lv4という4つのレベルがあり、それぞれ4種類ずつのEXスキルを持っている。 つまり、EXジャムを装備し、そのジャムの持つスキルから1つ選び、最大で4つのEXスキルを発揮できるようになるわけだ。 このスキルは単純なステータスアップから、攻撃のコンボ回数が増えるものまで、非常に様々。 キャラのジャンル(近接キャラか遠距離キャラかなど)によって、その内容の傾向が変わる上に、各キャラオリジナルのEXスキルも用意されており、 しかも、特定のEXジャムを組み合わせることで複合EXスキルという能力が発現したりと、その選択肢・バリエーションは相当な数となる。ここまでは良い。
  で、このEXスキルが関わってくるのが、キャラクターの「タイプ」という要素。 各キャラには「タイプゲージ」というステータスがあって、「T(テクニカル)」タイプのEXスキルを多く装備すると徐々にTタイプに、 「S(ストライク)」タイプのEXスキルを多く装備すると徐々にSタイプにゲージが振れていく。 んで、このタイプによってキャラの覚える技が変わっていく、というもの。 このタイプという要素がかなり消化不良気味だったのが残念。 結局、このタイプってのはSかTかっていうデジタルなもので、より大きくTタイプに振れたり、Sタイプに振れたりしても何の影響もないっぽいというのがまず第一。 何より、かなり根本的な問題として、各キャラの技が、このTかSかっていう選択ではあまり変化しないというのがある。 TかSかに全く左右されない技も非常に多い上に、その成長が分岐する技にしても、 意外にその性能差がハッキリしてないことが多い(元が同じ技から派生するだけに、似たような技になってしまう)。 技の派生は片方のタイプしか選択できず、例えば、「魔神剣」のTタイプ派生技「魔神剣双牙」を覚えているときに、 Sタイプ派生技「剛魔神剣」を覚えるためには、魔神剣双牙を忘れるという操作をしてからでなければならない。 つまり、“タイプをSからTにTからSに変えつつ、技を覚えては忘れ、自分なりの技のラインナップを作ってくれ!”っていう意図なんだろうけど、 そういう意図に応える気になるほどは技のバリエーションがなかったりするんだな、これが。 そもそも、派生が2段階だけってのが物足りないんだよなぁ。 技の系列は減らしてもいいから、その代わりに派生のバリエーションを増やしてほしかったところだし、 “○○という技と××という技を覚えれば、△△という上位技を覚える”みたいな仕掛けが、もっと分かりやすく、もっと豊富にあったら面白かったと思うんだが。
  もうちょっと地味な要素としては「料理」がある。 戦闘終了後にXボタンを押すと、その時設定されていた料理を作り、それに見合った効果(HPやTPの回復など)が現れるというもの。 料理は各キャラによって得手不得手があり(もちろん得意な方が効果が大きい)、料理をするにはその料理に見合った材料が必要だったりする。 また、料理を覚える主な手段は、各街でヘンテコなものに変装している「ワンダーシェフ」を見つけ出すというもので、 このゲームの探索的なお楽しみ要素としては、(少なくとも分かりやすいものとしては)唯一のものと言えるかもしれない。 この要素、最初のうちは意味がよくわらかない上に、効果が微妙なので戸惑うものの、 実は、HPに比べると格段に回復手段が少ないTPの回復手段として重宝する・・・というか、TP回復以外を使う機会はほとんどなかったわけだが。 なんせ戦闘後にしか行えない行動な上に、戦闘に入る前に料理の設定をしておかなければならないので、 異常状態回復とか、能力強化とかを使うタイミングにはならないんだよなぁ。
  一見するとゲーム的な成長要素っぽいけど、実はお楽しみ要素色が強いのが「称号」。 各キャラはいろいろなタイミングで称号を得、メニュー内であらかじめその称号を選択しておくことで、 レベルアップ時のステータス上昇に各称号に応じたボーナスが付くというもの。 いかんせん、あまりレベルアップによる成長が何かを左右するようなゲームではないので (ステータスに関してはかなりジワジワ強くなってく感じで、気が付いたら何となく強くなってる、そんなゲームなので)、 実際にその恩恵を体感できる場面は無いと思うんだけど、フとしたイベントで急にヘンな称号を得られたりするのが面白かった。
  ・・・なんか全体的に、要素としては面白いんだけど掘り下げ不足気味。 まぁ、それぞれがゲームの足を引っ張ってるというわけじゃなく、本当に面白くなるためにはもうひとひねり必要って感じなので、別にマイナス要素というわけではない。
  と、結構凝ったシステムがあるにも関わらず、説明書&ゲームの導入ではちょっと説明不足な印象。 長丁場のRPGなだけに、終わってみればそれほど不満は残らないものの、もうちょっとやりようがあるんじゃないだろうか。

  敵キャラと接触することで戦闘シーンに移行し、その戦闘シーンはシリーズの伝統通り、アクションゲーム風。 仲間は最大8人まで増え、その中から(一部のボス戦を除き)自由に4人を選び戦闘に参加させる。 いわゆるシンボルエンカウント方式とはいえ、「グランディア」シリーズのように敵との接触しかたによって戦局が変化するという要素はないし、 敵の動きもこちらに気付けば寄って来るという単純なものがほとんどで、ダンジョンなどでは移動スペースが狭めなこともあって、避けられない敵も多い (フィールドでは猛スピードで自キャラに突進してくる回避不能の敵がちょいちょい現れる)。 ただ、このゲーム全般に言えることだけど、ローディング待ちは体感的に皆無に近いもんで、 それがストレスになることはなく、むしろ「いわゆるランダムエンカウント方式でもよかったんじゃ・・・」と思うほど。 もちろん、シンボルエンカウントがマズイということではない。
  戦闘に参加していなくても経験値が得られ、レベル的には戦闘に参加してもしなくても似たような感じだし、 (スキルを使うことで成長するんじゃなく)レベルに応じて覚えるスキルも多いので、あえて戦闘に参加させる理由は見つからず。 よく捉えれば、純粋に戦略と好みでパーティを組めることにはなるのだが。

  さて、いよいよ戦闘そのもののお話。 シリーズのウリであるはずのリアルタイムの戦闘シーンは、結論から言って、期待していただけにかなり裏切られた感がある。 小気味よく爽快感もあるんだけど、作業的かつ大味で、一言でいえば“楽しいんだけど、全く面白くない”そんな戦闘だった。
  基本的に操作するのはパーティーのうち1キャラで、他の3人には大まかな指令を与えたオート状態 (いつでも魔法やアイテムを使わせることはできるし、一応、操作キャラの切り替えもできるけど、操作キャラを頻繁に切り替えながら戦うゲーム内容ではないはず)。 サイドビュー状態で、コントロールスティックで左右移動&ジャンプ、 Aで通常攻撃、B(+スティック)&Cスティック上下でその操作に割り当てた技を発動、Xでガードというのが基本操作となる。 通常攻撃は(EXスキルを使わなければ)最大3発のコンボとなり、そこから技をキャンセルして出せたり、 その技からさらに上位の技をキャンセルして出せたりと、細々とながらハデに動くその攻撃は、アクションゲームっぽい雰囲気と爽快感がある。
  敵が仰け反る基準が曖昧だったり、こちらの攻撃が繋がる基準が曖昧だったりするのも気になったけど、あくまでもRPGの戦闘ということで、 純アクションゲームではないし、そういうものを目指すべきでもないんだろう。 ただ、もうちょっと敵の攻撃の隙や、攻撃するまでのモーションは分かり易くするべきだったんじゃないかな。 結局、意識的に敵の隙に攻撃をヒットさせたことなんて、皆無に等しいので。 ここらへん“防御の位置付けの中途半端さ”ということもできるだろう。 特に気になったのは、X+↓で行う特殊防御。 発動するまでにちょっと時間がかかる上に、終了後に隙がある代わりに、発動中には全てのダメージを1/5に抑えるという防御行動なんだけど、 消費TPが意外に大きく、使い勝手がよくない割に多用できないというのが難点。 もうちょっと見返りが大きくてもよかったと思うし、ここまで消費TPを大きくすることもなかったろう。
  んで、完全サイドビューで2Dだったこれまでのシリーズと違い、ターゲットとする敵と自キャラを結ぶようにラインができて、 そこを前後に移動するという、一応平面的なフィールドが存在する半3D的な内容になってるというのが本作の特徴、らしい。 Rトリガで時間を止め、その間にコントロールスティックでターゲットを変更することができる、 というか、ターゲットの変更を除けばラインから外れるような平面的な位置取りはできないということになるわけだ。 より大きな問題は、どちらかっていうとこっちの“位置取りのままならなさ”の方だと思う。 結局、位置取りが思うようにならず、複数の敵と相対したときは、ただの乱戦になりがち。 あくまでも対象にした敵から離れることができないので、安全なスペースに逃げ込むようなことはできないし、 よって、範囲効果の回復魔法とかは必要以上に使いづらくなっちゃってる (もちろんこれに関しては、自分以外の味方がAIという形式によるところも大きいんだけど)。 また、ターゲットにしてる敵以外との位置関係が分かりづらく、ある程度広い範囲への攻撃にしても、複数の敵を対象に考えるのはちょっと難しい。
  (通常攻撃を除けば)詠唱に時間がかかる魔法でしか攻撃できない魔法キャラは操作してて面白くないこともあって、 結局、肉弾キャラで(敵の動向に反応して、ではなく)適当に必殺技を散りばめながら戦い、アイテム&魔法で回復のマネイジメントを行う、だけ。 終始乱戦気味で、連携とかの要素は感じられなかった。 それでも、ザコ戦に限れば、ストレスの無さと気持ち良さで、総合的にはプラスの印象が残ってたかもしれない。
  そのマズさが集約されるのは、やはりボス戦ということになってくる。 前線でいくら頑張っても敵キャラを捌ききれるわけじゃなく(敵が自分を無視して後衛キャラに突進ししてきたらなかなか止め様が無い)、 体力と防御力が低い魔法系キャラを2人は庇いきれない。 実は、魔法キャラに集中攻撃してきたらどうにもならないんじゃないかな?   集中攻撃ということを知らないアホな敵が、適度にターゲットを変えてくるから助けられているだけで。 である以上、特にボス戦では、攻撃魔法を使う「ジーニアス」ではなく、 突出して強力な治癒能力を持つ(唯一、状態変化を直す魔法を使えて、強力な全体治癒魔法が使える)「リフィル」の出番になりがち。 というか、結局、リフィル×近接キャラ×3という組み合わせであれば、ボス戦で苦労することはほとんど無いような・・・。
  そもそも、このゲームでも、ゲームがそもそも進めば進むほど戦闘がラクになるという、RPGではアリガチなゲームバランスが、若干顔を出す。 かといって、上記の2大難点をそのままに、“敵の攻撃力を高くして、体力を増やして・・・”という方向性で敵を強くしても、 それが面白さに繋がってくるとは思えないんだが・・・。
  やはり、肝心の複数vs複数がゲーム的に消化されてないと、RPGの戦闘としてはキビしいものがある。 ボス戦も、よく考えれば苦労したのは敵が複数体の時だけだったような・・・。 これなら、従来のシリーズの戦闘を拡張する形で、 (「餓狼伝説」シリーズやSS『ガーディアンヒーローズ』のような)並行な複数のラインを用意した形の方が、面白いゲームになったんじゃないだろうか。
  また、パーティ戦闘をリアルタイムのアクションで行うことの限界も感じる。 だったら、操作キャラは1キャラに限定して、後はサポートキャラとして割り切ってゲームデザインをした方が面白いものになるんじゃないかな (もちろん、このゲームの現状としては、いろんなキャラを使えることで気が紛れてるのも事実なんだけど)。
  ちなみに、味方AIで気になったのは、TPが無くなるとこちらが出してる指令に関わらず敵に突撃していき肉弾戦をしてしまうこと (このゲームは通常攻撃をヒットさせるとTPが回復する仕様なので、それを狙っている模様)。 TPがないと始まらないこのゲームで、それが気になるのはTPが少ない(そしてTP回復手段が少ない)序盤くらいではあるんだけど、 完全に防御を固める(あるいは、敵を避ける)指令があるべきだったろう。

  俯瞰視点で進行するダンジョンは、こじんまりとしたのが多く、唸らされたり目を見張ったりという仕掛けがわるわけではないものの、 豊富なダンジョンの数に応じて、バリエーション豊かで一応謎解きらしきものがあって工夫されており、評価できるところだろう。 シンボルエンカウントということで敵との遭遇にムラがある(例えば画面を切り替えないと敵は復活しないし、避けられる敵が多く戦闘機会が少なくなることもある)ので、 単純ながらも手間がかかるパズルを解いているときは「オレ、何やってんだろ・・・」という気にならないではないけど、やはり全体としてはプラスに評価したい部分だ。

  グラフィックは、良くも悪くも“小奇麗”という表現がピッタリ。
  キャラクターはデフォルメ頭身で、モデリングは上手くできてると思う。 特に、アニメチックな3Dヘアスタイルは、PS2『ゆめりあ』の資産なのか、よくできてる(欲を言えばもうちょっとフサフサ動いてほしかったけど、それでも一応揺れてたりする)。 ただ、アニメ調であるなら、もうちょっと表情豊かであってほしかったか。
  ポリゴン背景は、かなり細かく丁寧に描かれている。さらに、全体にボヤけたようなエフェクトがかかっており、背景には温かみが感じられる。 これが特に効果的だったのが、村レベルの街(ってのも変な話だが)で、その自然と人間の協調が感じられる温かみのあるグラフィックは、密かに感動モノ。 スクリーンショットで見るより遥かに好印象だった。 街(その中の部屋も含む)&ダンジョンの描き込みのバリエーション×量=物量的なパワーは相当なレベルで、 「これしか出番が無いのにこの描き込みようは・・・」と思うことしばしば(それはそれで若干アンバランスにも感じられたりもしたのだが)。 敵キャラも、地味ながらも良く描けており、モデリングも上手いし、モーションも凝ってる。
  その一方で、スケール感、迫力という意味ではちょっと弱い。 大型の都市や大規模なはずのダンジョンなどでは、必要以上にミニチュア感覚になってしまってるようにも思うし、ボス戦も全体的に迫力不足。

  後はキャラクターとシナリオについて。
  旅の仲間、キャラクターは総じて魅力的。 主人公「ロイド」は、本人はクールなヤツを目指してるが熱血漢。 中盤は若干“熱血”に振れすぎな感もあったけど、あまりガキっぽい感じはしないし、素直に好感が持てるキャラクターだった。 義父がドワーフという設定も良い。 「ジーニアス」は、頭が良く大人びてはいるが、少年っぽさを遺憾なく発揮するロイドの可愛い弟分。 一応ヒロイン的な扱いとなる「コレット」は、 生まれながらにして将来は世界救済の旅に出る運命を定められた神子という設定と、そのゲーム中の扱いに面白みがあるキャラクター。 中盤以降は、重くなったストーリーを一気に明るくする「ゼロス」、 巨大な斧を操る感情の起伏に乏しい少女というベタすぎる設定がやっぱりヒットだった「プレセア」らが良かったし、 もちろん、それ以外のパーティキャラもそれぞれ魅力的だった。
  そんな仲間キャラの魅力を上手く表現してるのが「スキット」と呼ばれるシーン。 これは、右下にZボタンマークが出たときにZボタンを押すと、フェイスウィンドウ+テキスト+音声による味方キャラの会話シーンが展開されるというもので、 例えば何らかのイベントの後にその感想を語り合ったりというだけではなく、 砂漠に居る時には「暑いよな〜」という話題のスキットがあったりと、日常的な話題も結構沢山用意されている。 やはりパーティで冒険するRPGは、味方キャラ同士の会話がないと寂しいし、キャラも膨らみきれない。 パーティ内の日常的な情景の描写は、キャラクター重視のRPGには必須の要素と言える。かといって、それを全てイベントシーンでまかなおうとするのは、ちょっとムリがある。 そんな中、非常に面白く、効果的なシステムだったと言えるだろう。 ポリゴンキャラの表情が若干おとなしめなとこも、表情豊かなスキットのフェイスウィンドウで上手く補完されていた。 欲を言えば、もうちょっと(イベントの前後関係ではなく、自分が置かれた)状況に応じたスキットを増強して欲しかったところではあるけど。 例えば、物を調べるときにAボタンの代わりにZボタンが表示されてスキットが始まるとか、もうひと工夫できたんじゃないだろうか。
  で、そのスキットシーンの良さのベースとなってるのは、声優のチョイスの上手さだろう。全体的に隙がない。 イベントシーン自体の作りの不甲斐なさ(後述)を何とかカバーしてるのも、声優陣の奮闘によるところ大だと思う。
  物語の構造自体も、かなり良く作られてる。 世界の設定、事件の関連性、それにまつわる人間関係など、非常に上手くできており、 それが物語の全編に散りばめられているので、先が気になるストーリー展開となっていて、最後まで飽きさせない。 想像以上にハードな序盤の展開にも意外性があって良かったし、最初は説明不足気味で、徐々にそれが語られていくという作りにも好感が持てる。 終盤は若干勢い任せにも感じられたけど、これはある程度仕方のないところだろう。
  と、キャラも魅力的で、話自体も面白いはずなのに、どうにも盛り上がりに欠けるのは、 イベントシーンの表現力不足によるところが大きいんじゃないだろうか。 絵的にも、キャラクターの単純な演技(と呼べない代物)に、 単純なカメラワークと、そこにあるのは、結局、キャラを記号として扱う2D時代のRPGの延長に過ぎずない。 さらに、このゲームで魅力であるはずの音声にしても、手動でボタンを押して先に進ませなければならないという仕様なため、どうしてもテンポが崩れてしまう。 音声と同調せず先行表示されてしまうテキストがボイスアクトを台無しにすることもしばしば。 音楽も垂れ流し気味で、イベントを効果的に盛り上げられてないことがほとんど。 つまり、旧来の無音声RPGに声を乗っけただけであって、音声を生かそうという意識が感じられない、と。 ついでに、街やダンジョンなどオブジェクトを遠目から見るときは効果的だったボヤケエフェクトは、イベントシーンの演出としては上手く機能しておらず、 「なんで彼はにじんで見えるんだろう?」とか、ヘンな違和感を覚えることもしばしばだった。勿体無い。
  もちろん、イベントシーンだけの問題ではなく、シナリオ的な書き込み不足もちょいちょいと気になるところで、肝心なところで淡白になる傾向も。 基本的に世界の社会的な部分の描写は淡白だし、例えば終盤では、ゼロスの葛藤(ゼロスの妹に関する必須イベントもほしかった)、 ジーニアスの友情にまつわる描写などに物足りなさが。ユグドラシルが早々にキレちゃったのも残念なところで、 もうちょっと彼の持つ(感情ではなく)理念の部分を描写してほしかった。
  あと、物語中とゲーム中でのキャラクターの強さのギャップも、実はかなり気になったところ。 敵との相対的な強さもそうなんだけど、一番気になったのは、 (物語の重要な要素である)「エクスフィア」を身に付けた人間の(設定的には)超人的な強さの表現不足さ。 序盤の「クラトス」に関してはまだ情状酌量の余地はあるが、位置付け的には重要であるはずの「ユアン」というキャラクターの扱いは難アリだろう。 ここらへん、ゲーム性とストーリー性のギャップという、旧来のRPGが持つ難点が全く解消されてないどころか、むしろ表に出てきちゃってると思う。
  例えば、ダンジョン内に従来のRPG同様、武器・防具が割と脈絡無く置かれてたりするのもその一環。 そもそも、“ダンジョンの宝箱を開けると強い武器が・・・”っていう流れはかなり不自然なとこがあるので、ホントに必然性があるところだけピンポイントに配置すべきだったろう。 大体、このゲームは従来の武器と素材を組み合わせることで新たな武器を作るという「カスタマイズ」という要素があったのに、 カスタマイズで生成できる武器はほとんど同じ場所にある武器屋で買えてしまったりと、ほとんどお金節約要素にしかなり得ておらず、ちゃんと機能してるとは言い難い。 通常の武器=武器屋で購入、強い(あるいは特殊な武器)=カスタマイズで生成、そんな役割分担をしてほしかった。
  また、予想されていたことだが、道中のアニメシーンはほぼ皆無であるにも関わらず、エンディングはアニメシーンとなっている。 その位置付けは、まさに“ゲームをクリアした人へのご褒美”的。 本当にRPGをストーリー表現手段だと考えてるなら、もうそういうのはヤメレって・・・。 エンディングはクリア後のオマケではなく、あくまでも物語の一部であるべき
  街での会話のテキストは極めて平凡。 まぁ、相手が一方的に話しかけるという形では限界があるにしても、世界を股にかけて動き回るRPGなだけに、 もうちょっとシチュエーションに合ったバリエーション豊かなテキストを用意してほしかったところ。

  最後に、クリア後には戦闘によって得られたGRADEでいろんな要素を購入するという形で、新しい条件でゲームをスタートできるようになる。 モンスター図鑑を引き継ぐとか、プレイ時間を引き継ぐとか、 「んなのわざわざ買わせんでくれよ・・・」という要素もある(ただし、大抵安いのでそう問題ではない)けど、 経験値が半分になるとか、戦闘後に得られる基本経験値がゼロになる代わりにコンボ数が経験値になるとか、面白い要素もチラホラと。 プレイ時間が長いRPG(ちなみに自分のクリア時間は45時間強)だしこういうリプレイ要素があるべきとまでは思わないけど、 もちろんあって悪いことはないというか、評価していい部分だろう。
  戦闘の難易度が「ノーマル」と「ハード」と2つ用意されているのも、リプレイ要素として評価できる。 でも、だったらだったで2周目以降はイベントシーンをキャンセルできるようにしてほしかったな。


  冒頭に、“最近では逆に珍しいくらいのオーソドックスなRPG”と書いたけど、 つまりこのゲームは、スーパーファミコン時代のRPGの延長線上にあるんじゃないだろうか。 いろんな要素が散りばめられた育成要素に、ローディングのストレスがなく気持ちよくプレイできる戦闘に、それぞれひと工夫あるダンジョン。 キャラクターは魅力的で、人間関係、ストーリーの構造自体はよくできてるし、細かいイベントが散りばめられた世界を冒険し、世界を救う。 それはそれで評価したいし、そういう側面からだけ見れば、間違いなくハイレベルな一本ではあると思う (で、そういうRPGがPS以降少なかったのも事実だろう)。 ストーリーのいろんな要素の描写には物足りなさが感じられたりもするけど、 それはSFC時代のRPGなりのもの(その表現力に見合ったもの)ということで自重したのかもしれない。
  でも、今の自分がRPGに求めているものは、ストーリーとゲーム性のより高い次元での融合と、 ストーリー表現手段としてのRPGが持つ新たな(今のハード性能に応じた)可能性。 それを見事に体現したゲームじゃないにしても、 せめてその欠片・試みくらいはどこかにないと、ゲームとして価値を見出すことはできない

2003年10月12日記載