REPORTチェインダイブ
PlayStation2
2003年10月16日発売発売:SCE  開発:アルヴィオン  

  極めて地味にリリースされたSCE発、アルヴィオン開発のアクションゲーム。 ワイヤーアクション系ということでちょっと気になってたし、気がつけば地味なSCE発のゲームを意外とプレイしてる自分としては、いよいよプレイせねば、と。
  アルヴィオンといえばPS2『ポイニーポイン』を作った (というか、開発メーカーとしては『ポイニーポイン』くらいしか実績がない)メーカーなんだけど、 今回は演出的には3Dでありながらも、ゲーム性的には2Dってことで「まぁ、マシなもんになるだろ」と期待していたのに・・・。


  というわけで、表現としては3Dポリゴンを用いながらも形式としてはサイドビュー2Dアクションゲームという、 SS『ナイツ』や「風のクロノア」シリーズのような手法で作られている。
  移動の基本は左スティックで、×でジャンプ、○がスイッチを押したりというアクションボタン。 そして、タイトルにあるように、このゲームの最大の特徴は「チェイン」というアクションになる。 空中に浮遊している「ボイド」という光点の近くでR2ボタンを押すと、そのボイドに向かって「プラズマチェイン」を発射し、 自キャラとボイドがそのプラズマチェインで繋がった状態になるというもので、最初に聞いたときは、AC『トップシークレット』、AC『エドワードランディ』、SFC『海腹川背』、 最近ではGBA『Ninja Five-O』と言ったプラ〜ンとぶら下がる系のワイヤーアクションを想像し、 期待したんだけど、その操作感はかなり異質。 このプラズマチェインにはゴムの様な弾性が備わっており、R2を押した瞬間に、 自キャラとボイドがピンと張ったゴムで繋がれるような形で、自キャラはボイドに対してグンッと引っ張られることになる。 で、タイミング良くボタンを離すと、チェインが途切れてポーンと飛び出すというのが基本。 もちろん、ボイドからなるたけ離れた場所からチェインした方が、その勢いが大きくなるという仕掛け。 この感覚はかなり新鮮で楽しい。この点だけは評価できる。
  で、基本的には一番近いボイドに対してチェインするんだけど、 ある程度の距離まで近づけば、左スティックで指定可で、その時にチェインするボイドは光るようになっている。 基本移動にアナログスティックを推奨してる(十字キーでも操作できるんだけど、説明書には書かれていない)のはこのためか?と思わせといて、 実際は、8方向&オンオフという完全にデジタルな操作をアナログスティックでさせてるだけっぽい(少なくとも、ボイドの選択以外は完全にデジタル)。 空中を飛び回るゲームなだけに、ちっとはアナログに対応させてほしかったところ。
  また、このチェインは単なる移動手段にとどまらず、攻撃手段にもなっている。 □ボタンでの2つの刃が付いた剣(要するに、ゲルググのビームナギナタみたいなやつ)「アンブレイカブル」による攻撃は、敵を直接破壊することはできず、氷結させるだけ。 氷結した敵はボイドと同じようにチェインすることができるので、それで勢いをつけて敵に体当たりをすることで敵を倒していくことになる。
  チェインで空中を飛び回ることになるので、それを補助するように、ジャンプ中にもう一度×で滑空(って程じゃなく、落下スピードが若干遅くなる程度なんだけども)になったり、 空中で右スティックを下に入れると落下速度が上がったりと、空中での動きには若干自由度が高めになってる。 どうせなら、滑空も×じゃなく、右スティック上でよかったんじゃないかと思ったりもしたけど、マイナス要因というわけではない。

  と、そのアイデアは独特で良かったのに、いかんせん、それが全くゲームとして形になれてない。
  どうも、2Dというゲーム形式の良さを全く理解してないようだ。 それは視界が制限され、その制御がプレイヤーではなくゲーム側に委ねられることによる、情報提示の分かりやすさなはずなんだけども・・・。
  とにかくこのゲームの視点は、演出重視というより、ゲーム性軽視。 スピード感を出そうとしたのか、チェインする度にカメラがキャラに寄ってしまい、情報として一番重要な周囲の地形、敵の位置、ボイドの配置が非常に分かりにくい。 個人的には、L1、L2でズームイン・アウトができるということに、ゲームをクリアするまで気付かなかったのも痛かった。 実は、カメラが寄ってしまったときはズームアウト、空中で足元方向を見たいときはズームインすれば、 ちょっとはストレスが軽減されてたっぽい(というか、常にズームアウトした状態がこのゲームの視点としては(まだ)相応しかったろう)けど、まぁ、だからOKってもんでもあるまい。 それで全く問題がなくなるわけではないし、2Dゲームとしてそういう操作を強いるのもどうかと思う。 やはり、こういう形式である以上は、瞬間的に次の行動を判断する材料は、ある程度その画面内で完結してないとダメでしょ。 ちなみに、空中を飛び回るゲームゆえに、例えば地上にスイッチがあることに気づかなかったりするんだけども、 これは視点的に情報を提供するより、アイコンやレーダーみたいなものを表示する方がよかったかもしれない。
  この手法が裏目に出てるポイントとしては、奥行きの消化不足というのもある。 主人公の軸(主人公が動ける平面上にいるのかいないのかハッキリしない敵が結構いて、 そこに見えてるのに攻撃がヒットしなかったり、酷いときには、氷結させたにも関わらずチェインできなかったりすることも。 これは、それをもっとハッキリさせるべきというより、基本的には敵も主人公と同じ平面上にいさせるべきだったろう。 で、例外的な攻撃パターンなどとして、そういう奥行きを使ったものがある、と。
  そもそもこのゲームは、攻撃がヒットしたのか、攻撃を受けたのかが分かり難すぎる。 ヒットバック等の演出のマズさもあるし、主人公の武器がビームナギナタ状というのも、絵的にマズい。 つまり、武器を振ると、その反対側にも光の刃が表示されるわけで、どこに当たり判定があるのかが絵的に判断しづらい。よって、常に突撃気味に攻撃せざるを得ない、と。
  敵の(氷結まで&破壊までの)体力表示が欲しくなったのも、そういう攻撃ヒットの分かりづらさが遠因としてあると思う (もちろん、ダメージの与え具合がよくわからないという、より直接的な原因もあるんだけども)。
  チェイン時の移動量&スピードが大きすぎるのも気になる。 確かに、それが独特の飛翔感を生んでるのも事実なんだろうけど、特に敵に対して体当たりするときなどは、あまりにも制御不能な感じを受ける。
  もっと根本的なとこから言えば、チェインを移動手段としてだけじゃなく、戦闘手段の根幹に据えようとしたのがそもそもの間違いなんじゃないか、 あるいは、戦闘メインのゲームにしちゃったのが、かなり大きな間違いだったんじゃなかろうか。 ある程度自由が利くゆえに、敵がいなければ移動自体で困ることはない。 また、アイテムのようなものは存在しないので、チェインをフルに活用して探索に精を出すという場面もない。 (ボス戦も含めた)ミニゲーム的なものでかなり誤魔化してるけど、とにかく、このゲームの通常ステージにはバリエーションがない。 というか、この方向性ではバリエーションを生み出せないんだろう。 で、通常ステージが淡々と進めてしまえる分、このゲームのダメなとこが強烈に出てしまうのがボス戦ということに。 むしろ、敵に対する攻撃も(特に通常ステージでは)移動手段の一環という位置付けにした方が、ゲームとしてまだまとまったんじゃないかな?
  ちなみに、ゲーム作りの下手さ加減は、途中のスノボシーンをプレイするとよくわかる (ちなみに、ここでも操作性は完全にデジタル仕様)。 アクションゲームでは結構よく見かけるタイプのステージなわけだけども、こんな酷いのはちょっと記憶にないぞ・・・。

  イベントシーンは、リアルタイムポリゴンシーンと、 プリレンダの一枚絵+フェイスウィンドウ+テキスト+音声というシーンからなり、分量的には後者の比重が大きい。 このゲームの場合、予算の都合上こうなっちゃのは仕方がないとか以前に、 そもそも(特にステージとステージの間の)イベントシーンの分量がムダに多すぎ。 全体的なイメージからすると、ミニゲーム(各ステージ)の間に面白くもないラジオドラマが挿入されているようなもん。
  特殊な装甲に身を包んだ超人同士の対決ということで、若干、漫画「強殖装甲ガイバー」っぽくもあるそのシナリオの骨子はそんなに悪くない。 が、とにかく方向性として一番マズかったのは、主人公と関係のないところで話を進めすぎなことだろう。 よって、ビックリするらいにダレる。 基本的に一人称にならざるを得ないコンピュータゲームでは、そのシナリオも一人称にこだわるべきであって、 (よっぽどストーリー表現に特化したゲームでない限りは)主人公の関係ないシナリオ進行はできるだけ避けるべき。論外。 冗長に感じられるのはそれだけが原因ではなく、テキストが洗練不足であること(もっと取捨選択ができたはず)や、 単語のインパクトに頼りすぎるハッタリ傾向が強く、中身が無いことにもよる。 (人間関係、心情の描写ではなく)物事の係わり合いという点での力量不足もアリアリ。 「神々の卵」の正体も「なんじゃそりゃ・・・」だったし、主人公「シャーク」に対する勘違いも、バレバレすぎて、終盤の展開は失笑以外の何者でもない。 さらに、肝心要であるはずの主人公「シャーク」、それに相対する「メッシス」の存在意義や、舞台となる惑星「エルム」の王家「ヒドゥンクラビィス」の存在意義もよく分からないまま。 途中はグダグダと話を進めるくせに、クリア後はアッサリと終わってしまう(というか、話を大してまとめきれないまま、アッサリと終わらせてしまう)。 男女関係を持ち出せばシナリオのコクを出せるだろうという、典型的な勘違いも窺える。 つーか、この『チェインダイブ』というゲームで何を一番語りたかったのか、全くわからん。 シャーク、メッシスと人間だったときの彼らと関わりを持ってる「モディ」の関係を描くなら、ヒドゥンクラビィス云々は必要なかったんじゃないかね。 もうちょっと違った見せ方があったはず。アクションゲームのステージ間に話を進める形式であるなら特に。 ・・・とにかく、PS2『メタルギアソリッド2』以来の、イベントシーンで頭痛がしてくるゲームだった。 なんせ、ボリューム感が無くサクサク進められるゲームながらも、一気に進める気になれなかったのは、ステージ間のイベントシーンが鬱陶しいからだったりするくらいで。

  シャークとメッシスのデザイン&モデリング的に力を入れすぎて、全体的にちょっとアンバランスだけども、デザイン関係は悪くない。 かなり特徴的な女性キャラのモデリングは、若干気持ち悪くもあるんだけど、まぁ個性的ということで悪くはないと思うな。
  リアルタイムポリゴン部分のグラフィックは、よく見るとモデリングやテクスチャには雑なところがあり、 質そのものはそんなに高いわけじゃないんだけど、統一感があって上手くまとまった色調と、 エフェクトの使い方の上手さによって、その質以上の印象を与えてると思う。評価できる部分だ。 特に、イベントシーンは、残像などの特殊効果の使い方がなかなか上手く、結構見栄えがする部類だろう。 モーションのチャチさと、いかにもゲーム的で平凡なカメラワークが(他のグラフィック面に比べると)気になるところではあるけど、 そういう表現力不足は一応認識してるようで、フェイスウィンドウ+テキストっていうフォローが付いている。 ちなみに、プリレンダ一枚絵のイベントシーンは、パーツパーツに分けて動かしてみたり、リアルタイムポリゴンと組み合わせてみたりと、それなりの工夫は見られる。 内容が内容なもんで、全くといっていいほど好印象は残ってないけど、何もやらないよりはマシだし、一応評価したいところではある。 まぁ結局、ここのグラフィックはイメージカット的な位置付けになってしまっているので、イメージカット付きのラジオドラマって感じなんだけども。 その音声キャストでは、主人公「シャーク」に相対する「メッシス」の声にハクが無さ過ぎたのはちょっと気になった。


  ゲーム部分に対する感想は、“アイデアをゲームとして具現化できてなさすぎ”という、『ポイニーポイン』に感じたものと全く同じものだった。 (表現の問題ではなく形式としての)2Dゲームと3Dゲームでは、その方法論が変わってくると思うんだけど、このゲームはそれ以前の問題。 ただ、その問題点を理解しやすいのは2Dゲームだと思うし、逆に言うと、それを露呈しちゃうのも2Dゲームということになる。
  というわけで、アルヴィオン(のアクションゲーム)はこれで見限ることにするわ。 SCEのセカンドじゃなければ、GBAとかでゲームを作って根本的な部分を修行してもらいたいんだけども・・・。 あるいはアーケードゲームであるとかねぇ。

2003年12月15日記載