REPORTジャイアントエッグ ビリー・ハッチャーの大冒険
GAME CUBE
2003年10月3日発売発売:セガ  開発:ソニックチーム  

  ソニックチームの据置機のゲームとしてはDC『ソニックアドベンチャー2』以来の新作となる、 キャラクターも含めて完全オリジナルのアクションゲーム。 ここの3Dアクションゲームはこれまでほぼ100%ツボにハマってきたので、これも非常に期待してたんだけど・・・。


  世界に朝をもたらすニワトリの国「モーニングランド」に、ある日突然「カラス」達が襲ってきて、モーニングランドを夜の世界にしてしまう。 ニワトリの神様にその勇気が認められた人間の世界から来た少年「ビリー・ハッチャー」は、 卵を扱えるようになる伝説の「ニワトリスーツ」を身にまとい、カラスによって封印されてしまった長老たちを救うことで、 モーニングランドに夜明けをもたらすのだ!というお話で、ビリーたちのキメゼリフは「グッドモーニング!」。 そんな設定自体はオリジナリティがあってなかなか上手かったと思う。 主人公ビリーは単独でも行動できるものの、できることが非常に限られているので、 タイトルにある通り、巨大な卵を転がしてる状態がメインというちょっと変わったゲームになっている。

  当然、左スティックでキャラ操作、Aボタンでジャンプというのが基本。 ジャンプ中に再度Aを押してすぐに離すと、真下に急降下し、地面にバウンドして通常ジャンプより高く跳べるという「バウンドジャンプ」に、 Aを押しっぱなしにすると真下に急降下して周囲に衝撃波を放つ「エッグドライバー」を行う。 共に、攻撃手段というより、スイッチを押したり、真下に降りたりという用途に使うことが多い。 Bは前方へ卵を飛ばす「エッグシュート」。 一応、ビリーの基本攻撃手段と言いたいところなんだけど、実際は卵で直接敵を押しつぶすことが多く、そこまで出番は多くない。 ただ、通常、飛ばした卵はブーメランのように戻ってくるんだけど、エッグシュート後に動けば卵を避けることは可能なので、卵のリリース手段としては結構使う。 ジャンプ中にBで前方の地面に卵を叩きつけ、その衝撃波で周りの敵も倒せるという「エッグダンク」となるものの、 見た目ほど攻撃範囲が広くなく、「エッグシュート」以上に出番は少ない。 また、Rトリガで一定時間ダッシュができ、ダッシュ中にジャンプすると通常より遠くまで跳べる「ロングジャンプ」になり、 逆にジャンプ中にRトリガを押すと、ビリーが卵に貼り付いて前方に転がりだす「貼り付きころがり」になる。 ・・・と、その操作は意外に複雑

  視点の操作は、Cスティックと敵のロックオンとカメラリセット併用のLトリガで行う。 いきなり出鼻をくじかれたのは、視点の左右回転が自分の感覚と逆な上に、オプションで設定変更不可だったこと。 というか、スティック2本を同時に扱うFPSなんかが出てきてる以上、スティックを右に倒せば視点が右を向くってのをデフォルトに考えるべきだろうに・・・。 で、それをデフォルトにしないならば、左右回転のリバースもできるようにするべき。 また、ロックオンとカメラリセット操作が併用な他のアクションゲーム同様、近くに敵がいるとカメラリセットができないという難点があるんだけど、 これは必要性が感じられないロックオン要素を排除することで対応できたはず。 結局、ボス戦くらいでしか使わなかったし、そのボス戦では敵はほとんど1体だけなわけだし、 フィールドも狭いんだから、それぞれに調整したボス視点を用意することで対処するべきだったろう。
  視点の操作感及び自動調整は、さすがに「ソニックアドベンチャー」シリーズよりはマシで、箱庭的な3Dアクションゲームなりのものにはなってるものの、 微妙な不親切さが積もり積もって、これはこれで結構ストレスが溜まるものになってしまっている。 典型的な難点として、カメラが地形に引っかかるというのがある。 視点の操作をプレイヤーにゆだねる割合が比較的大きいゲームで、これは非常にイタい。 半透明を活用するなり、操作感そのものは左右しないようにズームインするとか、さらなる研究が必要だ。 周囲(特に画面の手前側)の状況が把握しにくいというのは、視点の旋回速度が遅いのと、(迫力重視なのか)カメラからビリーまでの距離が近めなのが原因だろう。 歩きになる範疇が狭く微調整が効きにくい、つまり、すぐに走り状態になり易すぎる操作性そのものにも問題あるんだけど、 それによって、チョンチョンと動かすよりは、小さい円を描くようにグルグル動いてる方が安定する。 なのに視点がその動きに敏感に反応してぎこちなく動くので、画面が落ち着かないなんてことも。 CPUによる自動調整はよりルースに、プレイヤーが行う視点操作はよりクイックにという調整がほしかった(後者に関しては、コンフィグで調整できればよりベター)。

  視点に限らず、どうもこのゲームには、一貫性に欠けるというか、感覚的に引っかかるところがちょいちょいと見受けられる。
  例えば、ダッシュジャンプした後の転がり状態からジャンプボタンを押すと、常にその場で垂直にジャンプとなるのに、 通常ジャンプからの貼り付きころがり状態でまたジャンプボタンを押すと(スピードがあまり落ちてない限り)回転したまま前方にジャンプしたり、 ブランコのように揺れるギミックでは純粋にその位置が飛び出した後の動きを決めるのに、1回転する同様のギミックではその時点での運動量が飛び出した後の動きを決めたり。 また、卵が勝手に転がり出す地面の角度が一定じゃないのも気になる。 あくまでも開発側が設定した場所で卵は転がっちゃう感じで、逆に、結構な坂に感じられるのにスイスイと登れてしまったりすることも。 卵転がし状態でもかなり急にターンができるのに、進行方向と真逆にスティックを入れると、ズザザーッ!って感じでかなり滑ってしまうのも引っかかる。
  操作系も含めて、根本的な部分での練りこみ不足な感じが否めないんだよなぁ・・・。 卵をキープした状態でコントロールスティックをグルグルと回して見れば、その動きがかなり不規則・不安定なのが分かると思う。 ただ、その不安定さを楽しむゲームであるというのも確かで、 暴れがちな卵を制御しつつ、ゴロゴロゴロ〜と勢いよく卵を転がしていくのは感覚的に間違いなく楽しい。 ここらへんが、(『マーブルマッドネス』や『モンキーボール』のような)球転がしと3Dジャンプアクションゲームの融合という、 この題材の根本的な難しさだろう。 まぁ、難しいからこそ、もうちょっとキメ細かな配慮がほしかったところなんだけども・・・。
  他に気になるシチュエーションとしては、“足場にジャンプしたら卵だけ乗っかって自分は下に落下、 代わり近場に別の卵があれば再チャレンジできるけど、無い場合は、 上に乗っかった卵が消えてまた卵が出現するまで待たなくちゃならない”というのがあり、これはホントにイライラさせられる。 このマズさは、操作性&ステージデザインと卵の仕様との複合的な問題。 例えば、卵を持ってないときに、足場の端に捕まるというこのテのアクションゲームではお馴染みのアクションがある。 でも、卵を持ってナンボなこのゲームで、果たして必要なアクションだったろうか?   このお陰で、卵を持ってないときに行ける高さが高くなってしまうわけで、 卵を持ってないといけない高さにするためにはより高さが必要となり、上記のような状況が生まれやすくなってるわけだ。 また、ビリーが手を離した卵は一定時間(かなり長め)で消えてしまい、元あった場所にまた同じ卵が出現するという今の卵の仕様の難点でもある。 例えば、卵がある場所で何かのアクションをすると卵が発生し、元の卵が壊れるという仕様であるなら、ストレスは軽減されたはず。
  もうひとつの気になるシチュエーションは、“(本来はビリーと卵を分断させる仕掛けである)レールに卵を乗せようとしたら、 レールの枠に入ってるにも関わらずなぜか下に落下してしまい、また卵を取ってくることに・・・”というもの。 これも、単純に当たり判定的な調整不足もさることながら、少しずつ転がすということが難しい操作性自体の難点とするか、 そういう操作性を前提として、このような進入速度によって卵がレールを転がる速度が左右されるという仕掛けを設けるべきだったのかということになる。 まぁ実はこのギミック、貼り付き転がりでクリアできてしまい、分断要素として機能してなかったりもするんだけど。

  このゲームでは、卵を育てていくというのも重要な要素になっている。 最初からステージ内にあったり、敵を倒したりすると出現する「フルーツ」を卵で押しつぶすことで卵にエサを与え、 それによって「エッグゲージ」が溜まっていくにつれ、卵は徐々に大きくなっていく。 で、エッグゲージが満タンの状態で、Rトリガで行う「エッグエコー」を卵に当てると、卵が孵化し、中から「エッグアニマル」や「アイテム」が出現したりする。 特にこのエッグアニマルをゲットすると、Xボタンで「ティム」という特殊攻撃が(一定回数)行えるようになり、 これにより卵では苦戦する敵を簡単にやっつけたり、そのエッグアニマルの持つ属性を生かしてステージ内のギミックを解いたりしていく (例えば、水の属性の攻撃によって火を消したりとか)。
  また、アイテムは1つだけ持ち運べることができ、Yボタンでいつでもそれが使えるというもの。 体力回復だったり、エッグゲージを満タンにしたり、いろんなアイテムがある。 ただし、卵から出てくるアイテムで有用なものは非常に少なかった。 1つだけ持ち運べるとは言うものの、死んだ時点で消えてしまうわけで、 とにかくすぐ死んでしまうこのゲームでは、アイテムをキープして何かに備えるという行為自体、あまり有効ではない。 その上、見た目が変わる以外の効能が全く分からなかった、卵に属性を付加する各種帽子など、使い道がない(あるいは、分からない)ものも多い。 まぁこれは、コレクション要素として割り切っちゃった方がいいのかもしれない。

  各ステージにはいろいろな「ミッション」があり、まず、ニワトリの長老を助けるというミッション1を、 そして最後にボスが控えてるミッション2をクリアした時点で、次のステージへ行けるようになる。 そのステージでミッション3以降をプレイしていくのも良し、先に進むのも良し。 また、後で「ローリー」「チック」「バンタム」というビリーの友達を救出するミッションがあって、彼らを助けるごとに、各ステージで彼ら用のミッションがオープン。 結局、各ステージそれぞれに8つのミッションが存在することになり、最初の2ミッション以外の6ミッション中の少なくとも3つは、 タイマンレース、100匹の敵を倒す、8匹のニワトリを探す、ミニゲーム屋といった内容で、残りがステージに応じたオリジナルミッションという形になっている。 全7ステージ×8ミッションと、ミッション数からするとかなりの数なんだけど、基本的に出発地点が変わるだけでステージの構成は変わらず、 ゲームの進め方も大して変わらなかったりする (例えば、100匹の敵を倒すミッションにしても、実際は100匹以上の敵を倒してゴールに行くという内容で、確かに敵の数は多いものの、基本的な内容は変わらない)。 趣向が変わって面白いミッションっていうと、それこそ探索系の8匹のニワトリを探すミッションくらい。 よって、むしろステージ数からすれば物足りなさが残ってしまったな。
  基本的に、箱庭的なステージ構成自体はよくできてると思う。 完全に箱庭というより、複数のルートが組み合わさったようなステージがほとんどだけど、その組み合わせ方は結構上手い。 ダイナミックな移動を散りばめたスケールの大きい箱庭って感じで、「ソニックアドベンチャー」で培ったノウハウが生きた、ソニックチームらしい美点と言えるだろう。

  ただ、上記の操作性などの洗練不足を除いても、気になるところは多々ある。
  ちょっとプレイすると、とにかく、残機の減っていく量に比べ、道中で残機が増える機会が極端に少ないという印象を受けるに違いない。 どうしても、残機を増やしやすいポイントで、意図的に残機増やしに励まざるをえなくなってしまうはず。 もちろん、こうなってしまったのは必要以上に死にやすいことが一因ではあるんだけど、 一番ベーシックな白卵の中身が1UPかスカ(当然、スカの方が多い)っていう仕様のマズさでもあるんじゃないかな。 これだと、普通にプレイしていて自然に残機が増えていかない。 白卵を育成する気になれないのはスカによるところが大きいわけで、 だったら、白卵には必ず1UPが入ってるけど、(そのステージにいる間は)同じ卵から1UPが出現するのは一度だけにするとかすれば、また違ってきたんじゃないだろうか。
  明確なチェックポイントみたいなものが用意されておらず、 何かのフラグを立ててから(つまり、何かのスイッチを入れてからとか、コインを取ってから)死ぬと、 そのフラグが立った状態で再開となるという仕様も、ちょっと引っかかる。 決死のダイブでコインを取ってしまえば、そのまま死んでしまってもOK、みたいなバランスは好かんので。 その上、(卵育成のためっていう配慮なんだろうけど)敵が全て復活してしまうのも、ちいと面倒。 だったら、敵とは別に、敵を生成するジェネレータのようなものを配置すればよかったんじゃないかな(当然、スコア要素は排除して)。
  各ボス戦はそれなりに工夫の跡が見られるものの、全体的にちょっと単調でメリハリに欠ける感じも。 そんな中、ラスボスの第1形態のとあるパターンだけが異様に厄介なのは気になった。 いや、ラスボスなんだから難しいのは結構なんだけど、前後とのバランスが取れてなく、非常に異質な感じを受ける。 別パターン時にもダメージは与えられるので、それに気付けばクリア可能なんだけど、その難パターンもダメージを受けないこと自体はそう難しいわけではないので、 その存在意義がよくわからない(ゆえに、別パターン時にもダメージを与えられるということに気付き難い)。
  各ステージクリア時には、クリアタイムや倒した敵の数など、総合的にランク付けされるんだけど、 クリアタイムを減らす余地がかなり大きいゲームなだけに、タイムアタック的なものに特化してしまった方が、効果的にリプレイ性を高められたんじゃないだろうか。 また、各ミッションには5枚のコインが隠されていて、全てのミッションで全てのコインを集めると、最後のオマケがオープンする、らしい。 そもそも視点に難アリなこのゲームでアテもない探索ってのはキツいものがあるわけで、もうちょっと段階的にオマケを散りばめてくれないと、プレイ欲が持続しないって・・・。 例えば、GBAにダウンロードするミニゲームなどは、ステージ中に隠すんじゃなく、コインで購入するような形にするとかさ。 このゲームのコンテンツが持つリプレイ性を、上手く高められてない印象を受けた。 あと、せめて全てのミッションをクリアしたときくらい、なにかご褒美が欲しかったな・・・。

  グラフィックは、大雑把なモデリングをテクスチャで誤魔化したようなのをベースに、 決して悪いわけではないが特に目を引くこともない凡庸なエフェクトと、「ソニックアドベンチャー」シリーズとダブった印象が大きい。 画面描画は基本的に60fps。ただ、敵が沢山現れたりすると結構激しく処理落ち(より正確に言うとコマ落ち)する。 確かに、描画される範囲の広さと、水面の処理に「おぉっ」と思わせるものはあるものの、 そのグラフィックの質自体は、ひと昔前、DC(だったら諸手を挙げて褒められる)レベルという印象。 よーく見れば決して質の悪いグラフィックではないんだけど、 緻密な部分と大雑把な部分の使い分け・配分が下手なので、全体の印象が悪くなっちゃってるんだと思う。 大体、卵を転がすというのを一番のウリにするのであれば、地面の平面の表現は、本来なら最も力を入れなくちゃならないとこなんじゃないだろうか。 なのにこのエッジの効いたモデリングは一体・・・。 スロープ状のとこだって、あんなにガクガクとした作りでは、そりゃ違和感も感じてしまうだろう。
  ソニックチームにしては意外に不甲斐なかったのが音楽に関して。 児童番組っぽい雰囲気の楽しげなオープニングミュージックは良い。が、それだけ。 まぁ、ニワトリ&朝っていうテーマが、音楽的に生かしにくかったってのもあるんだろう。
  最後に、密かに対戦モードは結構面白いらしいのに、それを一人で試せるモードが無いのが残念だった。


  卵を転がすという部分に限れば、間違いなく感覚的な面白さはあったし、ステージの作りにもさすがと思わせるところがあったりもした。 が、あまりにも未完成すぎる。 それでも続編に期待、とは思えないくらいに完成度が低く、正直、ちょっと手直しした程度では良作にはなりえないと思う。 これじゃ、振るわなかったセールスを残念に思う気すらおきないって・・・。

2003年12月15日記載