REPORTKunoichi
PlayStation2
2003年12月4日発売発売:セガ  開発:セガワウ  

  昨年12月に発売され、ハードでストイックな3Dアクションゲームとして一部で高い評価を受け、 20万本以上のセールスいうことで、オリジナルのアクションゲームとしては売上げ的にも健闘したPS2『Shinobi』に続編が登場。 開発はセガワウとなってるけど、これはセガの分社再編によって、 前作を開発したオーバーワークスがワウ エンターテイメントと合併し、セガワウと生まれ変わっただけのこと。


  基本路線は前作『Shinobi』を継承してるので、まずはそれを参照してほしい。
  操作系での一番の変化は、前作ではロックオン中に敵とレバー反対に入れてアタックで繰り出したキックが、 通常アタックとは別のアクションとして独立、デフォルトでは前作の手裏剣に変わって△ボタンに割り振られることになったことだろう。 ちなみに、手裏剣は押し出されるようにL1ボタンに、それに押し出されるようにカメラリセットはR3ボタンに移行したものの、 ボタンの内容は(L3、R3も含めて)自由に配置変更可なので、その場所・配置は大した問題じゃない。 で、その蹴りは前作同様の敵の防御を崩す能力の他に、 蹴りによってその敵の装甲を剥がしてからじゃないとダメージが与えられないという敵が出現するのも大きいんだけど、 一番重要なのは「空中蹴り」というアクションの追加。 これはステルスダッシュとほぼ同程度のホーミング能力を持つ跳び蹴りで、ステルスダッシュ同様、空中で敵を斬ればもう一度行えるようになる。 つまり、空中斬撃→ステルスダッシュ→空中蹴り→空中斬撃→・・・というように繋げて行くことができ、前作より空中での移動量が大幅に増加することとなった。 さらに、前作では空中で一度しか行えなかった2弾ジャンプも、空中斬撃の度に行えるようになってる。
  一方、地上戦での新しいファクターは「分身攻撃」。 敵に攻撃をヒットさせた回数に応じて溜まっていく「チャクラゲージ」を消費して行う溜め攻撃で、 ロックオン中の敵に大ダメージを与えることができるというもの。 溜め時間は結構長めで、チャクラゲージが満タンの状態なら3回発動することができる。 ゲージが溜まるスピードはかなり遅いので、ステージの道中でホイホイ使ってくというものではない ・・・というか、道中で溜めてボス戦で放出ってのが基本だと思う。 前作の蹴りにあたる操作で行う「小太刀攻撃」は、ダメージは低めで「殺陣」によるダメージ増加の恩恵を受けないものの、 とにかくヒット数が多い攻撃。これでチャクラゲージを稼げとのことなんだけど・・・。
  ちなみに、スラッシュゲージは廃止され、時間に追われるようにプレイすることはなくなった。
  右スティックによる視点操作は、基本的にかなりクイック。 ただし、動き出しが必要以上に遅くなっており、スティックから指を離しても直に視点の動きが止まるわけでもなくと、若干クセがある。 アナログデバイスである以上、そういうフォローはいらんのじゃないかな。 で、これまた視点の左右回転方向が自分の感覚とは逆で設定で変更不可だったので、非常に苦労させられてしまった。 もちろん、前作と同じ仕様で、前回では不満に感じなかったんだけど、 FPSと客観視点アクションの垣根が自分の中で無くなってきた結果として、非常に違和感を感じるようになってしまったという。 んまぁ、ここらへんの文句についてはGC『ジャイアントエッグ』、XB『魔牙霊』のレビューを参照してほしいけど、 なんせ視点操作の忙しさ・重要度が大きいゲームなだけに、実はこのポイントだけで、このゲームを断念しそうになっちゃってた。 結局、『スプリンターセル』をクリアするまでこの『Kunoichi』を放置し、 その後『ラチェット&クランク2』(こちらもデフォルトは同じ操作なんだけど、設定で変更可)との同時進行を諦めることで、 何とか乗り切ったけども・・・。

  とりあえず、前作で自分が指摘した欠点は概ね改良されている。 カメラが背景に引っかかったときは、(完全にではないが、概ね)上下に動くのではなくキャラクターにズームするようになり、 操作に違和感が生じないようになってるし、キャラの移動も少なくとも八方向だけではなくなった。 真上や真下方向に見れる範囲も広がったし、壁に張り付いている時にも自分の後ろ側まで見れるようになった (ただ、これらは通常の視点操作の操作感とはギャップがあって、実用度はイマイチ)。 細かいところでは、ムービーシーンのリップシンクも、日本語が対象になっている(というか、英語音声は廃止)。

  しかし、自分も前作のレビューで、“次も落下即死を減らすことなく、その代わりダッシュに自由度を”みたいなことを書いて、 まさにその通りとなったんだけど、それがここまで機能しないとは思わなんだ。 まず、空中でダッシュ、斬り攻撃、蹴り攻撃、ジャンプという4つのボタンを状況に応じて使い分けなければならなくなり、かなり煩雑になってしまったというのが第一。 前作とは違い、空中で防御してる敵やアーマー付きの敵に対して斬り攻撃をすると弾かれ、下が奈落であればそのまま落下即死となるわけだ。 ただ、このこと自体は慣れでどうにかなる。 というか、前作をプレイした人にとっては、ここが向上の余地ということにもなるんだろう。
  空中でできることが多くなった分、空中の敵に対して殺陣を狙うシチュエーションが増えたし、空中にいる時間も大幅に増えた。 それにより、必然的に空中の敵から攻撃を受けることが増えたのがイタい。 攻撃を受けると、概ね硬直したままそのまま落下し、下が奈落であればやっぱり即死。 問題は、この攻撃を避ける手段が少ないということ。 つまり、空中での(実用的な)選択肢が少ない、と。 基本的には、ロックオンした敵に向かって突進するしかない(空中でターゲットを切り替える余裕はない)わけで、敵に撃たれたらそれまでな感じが・・・。 もちろん、敵はステルスダッシュの残像に向かって攻撃するので、百発百中ではないものの、 敵の攻撃するタイミングは当然のことながら敵任せなわけで、その攻撃を意図的に避けられる場面は本当に限られてくる。
  全体的にゲームのスピードが(微妙になんだけど)アップしてるので、余計に始末が悪い。 むしろ、空中では、プレイヤーに選択できる余裕を与えるように、若干スピードを落とすべきだったんじゃないだろうか。 そして、もっとダメージを受けた時の硬直を少なくし、 二段ジャンプや空中蹴りで復帰できるようにすれば(つまり、空中でダメージを受けることを前提にすれば)、 ゲームとしてまとまったと思うんだけども。 あと、もうちょっと落下中に空中で動けるようにしても、バチは当たらなかったと思う。

  一方、地上での分身攻撃も、ゲームに馴染んでいたとは言いがたい。 そもそも、このゲームの道中では一体の敵が脅威になることはないわけで、一体集中攻撃である分身攻撃を使うシチュエーションはないはず。 また、殺陣を狙っていくのが常套手段であるはずのこのゲームで、その殺陣を狙わずに小太刀攻撃でゲージを溜めろ!ってのも、全くもって馴染まない。 実際は、ムリに小太刀攻撃を行わないでも、(ちゃんとゲージ増加アイテムを取っていけば)大体ボスのところではゲージが満タンになってるんだけど、 じゃあ「小太刀はいったいなんなんだ?」ということになる。 ボス戦にしても、小太刀攻撃でゲージを溜めれるような作りにはなってないし (そもそもゲージが溜まるスピードが遅い上に、小太刀攻撃がマトモにヒットするボスがほとんどいない)。 逆に、この分身攻撃が逃げ道になってしまい、前作ほど“コンボを繋げて攻撃力を挙げてボス本体を攻撃”っていう色がハッキリしなくなってしまったと思う。

  んで、このゲーム、どうもボス戦が芳しくない。 特に気になったのが、こちらのコンボがロクに繋がらない上に、唐突に全身無敵になって、しかもそのまま反撃してきたりすること。 どうも、無敵反撃を必要以上かつ無神経に組み込んでる印象がある。プレイしていて説得力が感じられない。 ここらへんは、視点操作やロックオンの洗練不足さに起因してる部分も大きいんだけども。
  また、気になったのは壁走りの操作性。 完全にデジタル仕様で、ちょっとスティックを入れただけでも (極端な話、ジャンプからの流れで真上にスティックを入れてたつもりでも)左右方向にダーッ!とダッシュしてしまう。 その上、角度が付いた壁は壁走りで走り続けられなかったり(場所にいよっては続けられたりもする)、 そこで止まればいいものを、そのまま落下しちゃったりするのが頂けない。 別に上下に動けるようにしろとは言わんから、せめて、鈍角の壁くらいはそのまま走る続けられるようにしてほしかった。
  このゲームに爽快感が欠けてる原因は、何も、そのストイックなゲーム性に起因してるわけじゃない。 上記の壁走りにもあるように、何より、アクションとアクションとの繋がりのぎこちなさが、その原因なんじゃないだろうか。 他にも、空中キック後の空中斬りがなぜかスカることがあったり、ジャンプ攻撃から地上攻撃にはまず繋がらなかったり、 大振りな通常コンボは融通がきかない割りに、途中からガードされてしまったり・・・。 前作のようなシンプルな作りであればそう気にならないところなんだろうけど、 ここまでいろんな要素が増えると、そのそれぞれがスムースに組み合わさってないと、爽快感が得られないと思う。
  特に気になったのが空中戦全般について。 もっと当たり判定は大きめで良かったと思うし、(これは空中に限らないが)肝心のキック攻撃のヒット感が弱いのもかなり気になるところだった。

  グラフィックの路線は、統一感重視だった前作から、割と写実的ものに方向転換。 個人的には前作の方が好きだったんだけど、評判は芳しくなかったらしいので、まぁやむを得ないところか。 その質はまあまあ。驚かされるクオリティではないけど、結構丁寧に描けてるし、合格点だと思う。
  しかし、主人公のくノ一「緋花(ひばな)」の魅力が弱いのは、そのデザインによるところが大きいんじゃないだろうか。 地味ながらマズいのが、メットによって眉毛が隠れてしまってること。よって、可愛くも見えなければ、綺麗にも見えない。 せっかくのくノ一、カッコよく見せればいだけの対象ではないわけで、前作のデザインを追従すればいいってもんじゃないだろう。 フェイスマスクも含めて表情が見えなくなる戦闘モードに、 表情がもっと表に出る通常モードと、ここらへんにもっとメリハリを付けるデザインにしてほしかったところだ。 頭から垂れ下がってるヒラヒラも、前作のマフラーほど印象には残らず、とってつけた感が・・・。 設定的にはせっかくの長髪なんだし、もうちょっとそっちを生かせなかったもんだろうか。
  その緋花のコスチュームも含め、前作に比べるとかなり派手になった各種デザインは、個人的には安っぽく感じられ、ややマイナス印象。 前作のようなシブさ、統一感重視な方が好みではあるんだけど、こういう路線にするのであれば、もうちょっと弾けたものにしてほしかったな。 ただ、“現代(近未来)の忍者”っていう部分は、前作より上手くアピールできてる。

  ストーリーは、前作に比べると若干プレイヤーを放置気味。 前作の場合、過去の絡みも適度に表現しながら、ちゃんと“かつての部下を斬らなければならない”という“今”にフィーチャーしてるので、割とまとまりが感じられた。 一方、本作では、感情面の絡み合いは過去に起因してるにも関わらず、そこはプレイヤーに対して語られず終い。 かといって、“今”に人間関係・事柄関係共々面白い要素があるわけでもなく、と。まぁ、必要以上にクドクドと語られるよりはマシだったが。

  各ステージは長くなった代わりに、途中でローディングが挿入され、幾つかのパートに分かれてるようになって、死亡時にはそのパートからリトライ可という仕様に。
  で、ゲームデータに残る初回のクリアタイムは7時間半ほど。 ラスボス戦でのリトライは反映されてないし、まぁ、前作と同じくらいのボリューム感って感じかな。 前作同様、各ステージに2、3個ほど隠されてる「シークレットコイン」を集めていくにつれ、隠し要素がオープンになっていくという仕掛けになっており、 今回は難易度ごとそれぞれシークレットコインが設定されているので、よりリプレイ性を高めてると言えるだろう (自分みたいに最初からノーマルでクリアした人にとっては、その後にイージーをプレイするのは面倒に感じられると思うが)。 ただ、シークレットコインを幾つ集めた時点で隠し要素がオープンになるのかは、明示しちゃった方が良かったと思うな。
  隠し要素は、キャラ(これは各難易度でクリアするごとに追加される)と、 戦闘の無い「タイムアタックモード」、戦闘だけの「サバイバルモード」、ゴールまで辿りつけなど決められたミッションを行う「ミッションモード」など。 キャラ関係はまだしも、あくまでもアクションと戦闘が一体なとこに面白みがあるこのゲームにとって、 別枠の3モードはどれもいまいち面白くないので、まぁ、無いよりはマシっていう程度のものか。
  イージーではサクサクとプレイできるので、 (ボス戦はヌルすぎるけど)ノーマルとはまた違った楽しさがある反面、ハードはいまいち・・・。 敵の体力が増える、ダメージが増えるとかはOKというか、まぁ当然の話で、殺陣というシステムゆえに、 特に前者はゲーム性の変化にも繋がってくるんだけど、空中の敵の弾を出す頻度が上がってしまうのがイタかった。 システム的に対応しきれないとこだと思うので、攻略の喜びみたいなものは無く、単に苦痛なだけ。
  スコア関係では、評価項目の中に「破壊度」が追加されたのば×。 これはマップ中の障害物やコンテナなどを破壊した分だけ加点される要素なんだけど、いちいちそれらを壊すってのは鬱陶しいだけなので。 あと、相変わらずボス戦の「戦闘評価」ってのが、漠然としすぎてて、いまいちよくわからない。


  成長要素がない(今回は体力ゲージは増えてしまうが)アクションゲームという路線自体は、前作と変わらない。 その上、いろいろと改良されてはいる。さらに、前作のまんまのシステムでは限界があるし、続編として新しい要素を追加せなと頑張ったのも分かる。
  でも、残念ながら前作ほどの面白みはなく、新しい要素に振り回され、消化しきれなかったという印象しか残らなかった。 2周プレイして(最初ノーマルでクリアし、その後イージーでクリア)、初回クリア時よりは印象はマシになったんだけども・・・。 実際、本作をクリアした後に、また前作をプレイしなおしたら、やっぱり前作の方が楽しかった。 一見すると前作と同じようなゲームに見えるんだけども、改めて、こういうアクションゲームを作ることの難しさを痛感してしまったなぁ。

2003年12月23日記載