REPORT魔牙霊 -magatama-
Xbox
2003年11月20日発売発売:マイクロソフト  

  これまでは外部メーカーに開発を依頼したタイトルだけをリリースしてきたマイクロソフトなわけだけども、 この『魔牙霊』は日本のマイクロソフト内の開発チーム(Team Breakoutという名前が付いたようだ) による初の内作タイトルということになる。
  プロデューサーは、かつてスクウェアでPS『パラサイトイブ』やPS『FF9』などのメインプログラムを担当した川井博司氏。


  内容的には、客観視点の和風剣振り格闘アクション。
  左スティックを倒した方にキャラクターが移動し、一応、自動的にカメラは追尾するもののその動きはルースで、 基本的には右スティックで視点を操作し、Lトリガがカメラリセットに割り当てられている。 その視点の操作感はかなりクイックで、カメラが地形に引っかかっても操作に違和感を生ずることがないようにキャラクターにズームする仕様と、ここまでは非常に良かった。 カメラリセットのLトリガが防御(このときは移動不可)も兼ねており、 動きながらカメラリセットを行うと(極々短時間ながらも)いったん立ち止まってしまうという難点があったものの、 基本的な視点操作が軽快なので、全く気にならず。
  ただ、ホントにここんところ痛い目にあってるんだけども、 このゲームもカメラの左右回転が自分の感覚とは逆で、設定で変更不可だったのが痛恨。 つまり、スティックを右に倒すと視点が左に回転するという、視点を動かすというよりもカメラを動かすという感覚のもの。 なんせ、非常に間が悪いことに、自分の最近のゲームプレイ遍歴は、 GC『ジャイアントエッグ』(逆)→XB『ダイナソーハンティング』(これはキーコンフィグで変更化だったけど)→ XB『魔牙霊』(逆)→XB『スプリンターセル』→PS2『Kunoichi』(逆)と、 視点操作の左右が交互に入れ替わってしまっていて、その度に違和感を感じ、操作に慣れるまでにひと苦労させられてるという・・・。 『ジャイアントエッグ』のレビューでも書いたように、 FPSというゲームジャンルが定着した以上、やはりスティックを右に倒したら右を向くってのをデフォルトに統一すべきじゃないだろうか。 せめて、上下リバース同様、左右リバースも変更化にするべきだろう。っていうか、このゲーム、上下リバースすら設定できないので話にならない。 ボタンコンフィグも、A、B、X、Yを中途半端に切り替える4タイプが用意されてるだけ。 オーソドックスな操作だけではないこのゲームでは、もうちょっと自由度の高いキーコンフィグがほしかったところだ。

  攻撃は、Bボタンで行う斬撃が基本。 ボタンを押すと次々とコンボ攻撃を繰り出すというのはよくある話なんだけど、 その途中にBボタンを長押しすることで、そのコンボ数に応じた特殊なフィニッシュ攻撃を行うというのが目新しい部分。 それぞれのコンボ数に応じてタイミング的に慣れることが必要となるので、プレイヤーは上達感を得られるはずだし、1つのボタンで多彩な技が出せるというのも良い。
  そして、このゲーム最大の特徴と言えるのが、Xボタンで行う「龍撃」という攻撃だろう。 敵に何発か攻撃をヒットさせると、その敵に「着眼点」というマークが付き、その状態でXを押すといつでも、主人公に付いてくる浮遊物体「オロチ」による追い打ち攻撃を行うことができるというもの。 コンボ中に追い打ちをするもよし、ダウン中に追い打ちするもよし、複数の敵に着眼し、沢山の敵を巻き込むように追い打ちするもよしと、 システム的には結構自由度が感じられる攻撃になっているし、実際にプレイしても、意外に新鮮に感じられるアクションになってる。 また、十字キーで主観視点モードに移行することができ、その状態で狙った方向に自由にオロチを飛ばして攻撃することも可能。 視点の切り替えボタンがなく、十字キーを操作すれば主観視点に、右スティックを倒せば客観視点にという操作は、地味なポイントながらも、なかなか面白いアイデアだった。
  で、こういったオロチを使った攻撃をするには、敵を斬ることで溜まっていき、時間と共に減っていってしまう「神呪力ゲージ」が一定以上必要。 神呪力ゲージが溜まるスピードはかなり速いので、戦闘時にはほとんど問題ないんだけど、ゲームの進行の面では、この仕様が足枷になってしまってるような部分がある。 次の場所に進むための扉に封印がされており、空中に浮遊してる銅鑼をオロチで壊してその封印を解くという場面が結構あり、 そういうところでは、そのオロチを使うためには神呪力ゲージが必要なもんで、それを稼ぐための敵が延々と湧いてくるようになってる。 ここらへんは、妙に散漫でダラダラとした印象を与えてると思う。 神呪力ゲージはオロチ攻撃のダメージを左右するようにして、 いつでも(つまり、ゲージが無いときはダメージを与えられないけど)オロチを飛ばせるような形にした方がよかったんじゃないかな。
  このオロチとの連携が独特な部分だったのだから、もっと煮詰めた上で、ここで押していくべきだったと思うんだけど・・・。 最終ステージでオロチを使えなくしてしまうあたり、ちょっと理解できないものがある。
  Yボタンは「狂乱」という、付近の敵に大ダメージを与えるボム的な攻撃。 これに必要な「狂乱ゲージ」は、オロチで攻撃するごとに溜まっていき、 満タンになるとそれを知らせる太鼓の音がドンドンドンドンと鳴り出すので、その音が鳴ってる間にYを押すと「狂乱」が発動と。 で、Yを押さずに音が鳴り終わってしまうと、狂乱ゲージがゼロになってしまう。これによって、狂乱を戦略的に使えなくなってるのが致命的。 となると、ゲージがたまったら使わないと損なわけだけども、その発動時間が長めでカッタルイのがツラい。 確かにこの狂乱発動時の、リアルタイムにエンボスをかけるといったXboxらしいエフェクト満点のグラフィックが素晴らしいのはよくわかるんだけども・・・。

  とにかく色々と、アクションゲームとしてのデキには疑問・不満が残る。
  通常攻撃で気になるのは、その自動追尾性能だろう。 格闘アクションでのこういう性能は、ホントにロクなことにならないし、特に別枠でロックオン操作が用意されてるゲームでは、その意図が全く理解できない。 まぁ、不特定の対象に対する攻撃の当たり判定というものを上手く設定できないのを誤魔化してる(あるいは、そういう設定を放棄してる)んだろうけど・・・。
  で、一方のロックオン操作が使いづらいのも気になる。 ロックオンしてるにも関わらず、こちらのコンボしてる最中に敵を突き抜けてしまい、明後日の方向にコンボを繰り出すなんてことも。 ロックオンの意味がないじゃないか・・・。 どうも、ヒットバックを絡めた基本的なところの調整があまり上手くいってない模様で、 この現象は一部のボス戦でも気になるところだったし、全体的に、攻撃したときも攻撃を受けたときもそのヒット感が弱く感じられる (よって、「えっ?」って感じで攻撃を食らったり、攻撃されてもダメージを受けたことに気づかなかったりする)。 また、敵に突っ込んでいく攻撃が多い上に、敵が真後ろにヒットバックせず、敵の位置がずれ、次の自分の攻撃方向がずれ・・・と、 コンボの最中に自分の位置が制御不能気味になってしまうので、落下の危険がある狭い場所の立ち回りには苦労させられる (これはロックオンを使わない時にも言えることなので、余計にタチが悪い)。 ターゲットの選択のわかりづらさ、し難さも、このロックオンの使いづらさのひとつ。 敵が沢山いる場面が多いのに、ターゲットの切り替えが左スティッククリックという一方向なのは実用性に欠けるし、その切り替えの基準もよくわからない。 通常時の攻撃の自動追尾性能を無くした上で、コンボがヒット中の(あるいは最後に攻撃をヒットさせた)敵をロックオンするような形にして、 ターゲット切り替えは無くしてしまえば、シンプルにまとまったんじゃないかな。視点操作自体はクイックで使いやすいわけだし。
  その二刀流で敵を斬るモーション自体は、華麗でカッコいいんだけど、全体的にモーションが冗長で、メリハリが付いてないのも気になるところ。 これは敵の攻撃についてもいることで、モーション自体はカッコ良かったりするんだけど、 プレイヤーに対しての“攻撃がヒットしてますよ”とか“敵が攻撃しようとしてますよ”といった情報としてのモーションという意味でのデキの悪さを感じる。
  ロックオン時には、左右にスティックを入れながらジャンプで側転、 下にスティックを入れながらジャンプでバック転(ちなみに、これもモーションが冗長・・・)というアクションがあって、 特にボス戦ではそれなりに使ったりはするものの、通常時にできる移動系の特殊アクションは皆無。 また、ジャンプ攻撃も一種類だけだし、それもあまり効果的ではない。よって結局、地面にへばり付いて延々と敵を斬るだけになってしまった。 戦闘をメインのゲームにするにしても、ジャンプ(ボタン)を絡めたコンボを設けるなどして、もうちょっとメリハリを付ける工夫がほしかったところ。
  体力回復関係の仕様もかなり気になる。 まず、壷を割るなどして出現する、ステージに用意されてる体力回復アイテムが、一定時間で消えてしまうという点。 特に、狂乱などで意図してないのに壷などを壊してしまうことがあるので、余計に腹立たしい。 さらに、敵を倒したときに(極めて稀だけど)時たま体力回復アイテムが出現するというのも、かなり頂けない。 敵が延々と湧いてくることがあるゲームゆえに、それをフォローしようとしたんだろうけど、せめてその基準を明確にしないと、ゲームの仕様としては失格だろう。 アクションゲームとして良いものを作ろうと思ったら、 プレイヤーがある程度自由に体力回復をマネイジメントできるようにしなければならない。これもかなり基本的なところだと思う。
  全体的にボス戦は間延びしがち。その中でも、特にラスボス戦は酷い。 さらにその最終形態は、攻撃を与える機会が少ない代わりに、 体力回復アイテムが非常に頻繁に出現するという、時間の浪費だけといっても過言じゃない内容。 RPGじゃあるまいし、戦闘時間が長けりゃハクが付くってもんじゃないだろうに・・・。
  また、敵キャラクターの中では、人型の一般兵みたいなヤツがちと問題。 特にゲームの後半、防御する敵が多くなったり(で、それを真正面から崩す手段が見当たらない)、近接攻撃がメインながらも一応遠距離攻撃も行えたり・・・。 後者に関しては、(攻撃の自動追尾性能ともあいまって)ちょっと離れた敵を意図的に巻き込めるような攻撃がないのも問題だし、 やはり、遠距離攻撃ができる(あるいは得意)な敵、そうでない敵をハッキリ分けた方が、ゲーム性は分かりやすくなると思うんだけどな。 せっかく沢山の敵を一度に出現させられるんだから、弱い敵と強い敵のメリハリをつけ、上手く配置してほしかった。

  いわゆる経験値的な要素はなく、装備することでコンボやオロチの性能を強化できる「神呪玉」や、 体力や神呪力ゲージを増やすアイテムがステージ内に隠されているのみ。 神呪玉は、装備できる数の中でやりくりというか個性を出すというもので、その割にはバリエーションが少なかったのは気になったけど、要素としては悪くなかった。 問題はステータスを増やすアイテムの方。 特に体力増加のアイテムを取り逃して先に進んでしまうと、最後にドツボにハマる可能性がある。 アイテムで割と極端に体力を増加させること自体どうかと思うんだけど、こういう形にするなら、最低限、最後まで各ステージを自由にプレイ可能にすべきだったろう。

  グラフィックは上々。 日本の中小デベロッパが作ったソフトのような雑さがなく、背景、キャラクター共に細かく丁寧に描き込まれている。 また、大型のボス戦は結構な迫力。 和風で独特なデザインも良いと思うんだけど、 いかんせん先に出たXB『O・TO・GI』がその点では傑出してただけに、若干インパクト不足に感じられてしまう。 ここらへんは音楽にも言えることで、ちょっと不運かもしれない。 ムービーシーンも、驚きはないけど丁寧に作られてると思う。 ただ、他の面に比べると、若干リップシンクのレベルが低く感じられたのは気になるところだった。
  話自体はあってないようなもんかな。 要するに、伝説的な力を復活させようとする悪モノがいて、復活しちゃったので、それを阻止する、と。人間関係のドラマは皆無に近い。 過度に語りすぎるよりは好感が持てたけど、キャラクターと設定が魅力的だっただけに、もうちょっと話を膨らませてほしかったというのが正直なところ。
  クリア時間は結構差が出そうだけど、自分の場合、全てのステージをプレイして約10時間。 難易度変化もなければ、クリア後に追加される要素も無いようで、ボリュームという点にも物足りなさが残る。 設定に「終了評価一覧」という項目があり、クリア時の総合ランクとクリア時間のランキングが一覧で表示されるものの、 何度も繰り返して遊ぶようなゲーム性にはなってないと思う。 ステージクリア後のランク付けに、敵を倒した数とクリア時間という要素があるんだけど、 敵が延々と湧いてくる部分があるゲームなだけに、留まって敵を倒し続けるべきなのか、先を急ぐべきなのかという判断が、ゲームプレイ中には付けづらい。 よって、高ランクを目指すことに意欲をかき立てられない、と。


  イロイロとつっこんだけど、肝心の格闘部分の煮詰め不足は、『鬼武者』『真三国無双』といったメジャーシリーズらといい勝負。 そこを爽快感や総合的なバリューなどで、フォローできなかった(誤魔化せなかった)のが一番の違いだろう。
  それでも、部分的に良いアイデア・新鮮さはあったし、アクションゲームを作ろうという意気込みは感じられ、 (表面的なモーションも含めて)グラフィック面での技術力にも確かなものがありそうなので、 とりあえず、ここが作ったゲームをもう一本くらいは見てみたいな。まだ期待してる

【12/17追加】 狂乱ゲージを使わないとゲージがゼロになってしまう、と書いたけど、実際はゲージが8割程度に戻るだけだった。 となると、直に狂乱を使ってた自分のゲームプレイにも問題ありだったな・・・。

2003年12月15日記載