REVIEWReturn to Casle Wolfenstein: Tides of War
Xbox
2003年12月25日発売発売:マイクロソフト  海外販売:Activision  開発:Nerve Software  

  2001年11月発売にされたPC『Return to Casle Wolfenstein』の移植タイトルで、 北米では2003年5月に発売されたものが、今回、ワールドコレクションとして国内で発売されることになった。
  タイトルからも分かる通り、FPSの元祖とも言われる『Wolfenstein 3D』(92年リリース)に対するオマージュ的な作品で、 元々その『Wolfenstein 3D』を開発、リリースしたのはid Softwareなんだけども、この『Return to Casle Wolfenstein』に関しては監修したのみ。 当初、その開発を担当していたのはGray Matter Studiosで、その後、マルチプレイヤーモードの開発はNerve Softwareに任され、 やはりマルチプレイヤーモードが大きなウリということなのか、そのままXbox版の開発も担当することになったようだ。 Xbox版に「Tide of War」という副題を付けられたのは、ホンのちょっとだけ後に発売されることになる、 マルチプレイモードが丸々削られたPS2版『Return to Castle Wolfenstein: Operation Resurrection』との区別のためだろう。 ちなみに、この『Operation Resurrection』の開発は、 Gray MatterとRaster Productions(DC版『Quake III Arena』を開発したとこ)との共同開発となっている模様(実際はRaster単独かも)。
  まぁ、それだけ、このゲームにおけるマルチプレイモードの重要性は高いわけだけども、 とりあえず今回のレビューはシングルプレイを対象にしたものとする。


  舞台は第2次世界大戦時。ナチスドイツのSS隊長ヒムラーは、 かつてアンデッドの大群を率いて戦い、そして封印されたという、ハインリッヒ王子の復活を企んでいた。 プレイヤーは連合国のOSA(Office of Secret Actions、秘密捜査局) の隊員「B.J. Blazkowicz」となり、 ナチスの中枢に進入し、その邪悪な計画の阻止に向かうのだった・・・というのが大まかなストーリーライン。

  基本的には極めてオーソドックスなFPSと言えるだろう。 左スティックで移動、右スティックで旋回を含めた視点移動、Lトリガでジャンプ、Rで射撃、Xがリロードで、A&Bで武器を選択する。
  動いたり銃を撃ったりすると銃撃の精度が下がる(そして、照準が大きくなることでそれをプレイヤーに提示する)という、 これも最近は結構よく見かけるシステムなんだけど、 このゲームでメインで使うことになるサブマシンガン系は特にそれが顕著になっており、動きながら撃つという機会はかなり希少。 しゃがんで(左スティッククリックでしゃがみ・立ちの切り替えを行う)待ち構えて撃つような場面が非常に多くなってくるはず。
  敵からの単発のダメージは結構大きめに設定されており、 発射即着弾の武器がほとんどなもんで、シッカリと狙われると、それを避けるのはほぼ不可能。 特に近距離から斉射されると、かなりのダメージを受けることになる。 よって、むやみやたらに突撃して進んでいくのではなく、 右スティックをクリックしながら左スティック左右で行う覗き込み動作で曲がり角の先を窺ったり、 相手の攻撃に精度がない距離から狙撃して敵を排除したりして進んでいくことになるわけだ。
  このゲームでは敵の視覚的な索敵能力はかなり高く、 自分の視界ギリギリでない限り、こっちを向いていれば大抵すぐに見つかってしまうんだけど、 遠くから正確に射撃できる武器は限られてるので、敵の攻撃範囲外からの狙撃は結構重要度が高くなっている。 その反面、聴覚的な索敵能力は弱めに設定されているというか、 トンでもないところの敵が音でこちらに気づいてしまうような場面は、ほとんどなかったかもしれない。 そのゲーム展開は、そこまでステルス寄りでもリアル志向でもなく、 地点通過をフラグにして出てくる敵もいるようだし、割と従来のゲームっぽい流れと言えるんじゃないだろうか。 敵AIも、ムダに突撃してくることはなく、物陰に隠れたり、手榴弾を避けたりはするものの、 かといってチームが有機的に攻めてくるようなところはないし、これまた(良くも悪くも)フツーという印象。
  まぁ、通常射撃と狙撃のバランスは良かったと思うし、 FPSらしい緊張感はあって、それこそフツーに楽しめるゲームではあるのだが。
  おそらく1キーで武器を選択できるんであろうPCゲーの移植ということもあって、 A&Bによるローテーションの武器選択だと、ちょっとツラいものがある。 実際、“瞬時に武器を持ち替えて・・・”という使い方は、2つの武器だけならまだしも、満遍なくという意味ではかなり難しい。 でも、それが本格的にゲームプレイの足を引っ張ることがなかったのは、有効に使える武器が少ないからだろう。 大体の場面が、メインとなるサブマシンガン(アサルトライフル)と狙撃銃の併用で、 その他の銃器、火炎放射器、手榴弾といったものをあえて使う場面は、ほとんど見つからない。 特に、手榴弾が使いにくいのは気になったところで、敵がそれを見て逃げてしまう割に、 ダメージを与える範囲が狭いので、予想以上に使える場面が少なかった。 ロケットランチャーといい、もうちょっと爆破系の効果を大きくしてくれれば、戦闘にまた違ったメリハリが生まれたと思うんだけども。
  また、ラスボスも超肩透かし。ラスボスらしい迫力もなければ、その内容も実に淡白。 まぁ、FPSのイベント戦って得てして面白くないんだけども、にしてももうちょっと何とかならなかったものか。
  レベルデザインも平凡かなぁ。 一部にはかなりデカい施設なんかもあって、絵的にインパクトがあったりするものの、全体的には狭い場所が多く、割と地味め。 その立体的な作りにはちゃんとメリハリが付いてるものの、 かなり一本道的な傾向が強く、“○○へ行くために××をする”というより、 “××をしたら○○へ行けた”という印象が非常に強い。 イメージとしてはPS2『メダル・オブ・オナー 史上最大の作戦』に近いかも。 で、アレみたいな戦場の臨場感はなく、イベント戦に魅力がない反面、 やや立体的で、メリハリ自体は上手く付けられているという。
  グラフィックも及第点だろう。 Xboxならではという感じこそ受けないけど、それなりに丁寧に描かれており、あまり雑さは感じられない。 部分的にはかなり美しい場面もあるし、火炎放射器の炎は必要以上に綺麗だ。 ただ、非現実的な部分に意外と迫力が無かったのが残念。 ゾンビやサイボーグといったトンデモな敵が出てくるのもこのゲームの特徴なんだけど、 そういった敵キャラもあまり印象に残らないし。 基本的に60fpsなんだけども、それがやや不安定なのも気になったところ。 (キャラが増えたり広い場所に出たりするとフレームレートが落ちるというのでなく、常時、不安定のぎこちなさが若干感じられる)。
  自分の場合、4段階中、下から2番目の難易度でプレイし、クリア時のプレイタイムは12、3時間ってとこだったはず。 ステージ数はそれなりにあるのに、意外とボリューム感はない。 難易度的には、オートエイムをオンでプレイすると、これではちょっとヌルいかも。 ただ、単発のダメージはかなり大きいゲームで、近距離で攻撃を受けると一気にかなりのダメージを食らったりもするので、そうヌルすぎという印象はない。 また、ゲームをクリアすると、元祖『Wolfenstein 3D』が丸々プレイできるようになるという嬉しいオマケが。 流石にグラフィック的には時代を感じるし、ゲーム内容もシンプルなんだけど、これはこれで、やっぱり楽しかったりする。

  一応、マルチプレイの方も簡単にフォローしておこう。
  オフライン状態では画面分割の協力プレイのみが用意されており、二人でシングルプレイのミッションを戦うことができる。 Xbox Liveでの対戦プレイは、「一般兵」の他に、ゲージを消費することでダイナマイトを扱える「工兵」、 回復アイテムを出せる「衛生兵」、銃弾を出せたり爆撃要請が出せたりする「少尉」という4つのクラスが存在するという、ちょっと変わったもので、 両手武器は1つしか持てず、回復薬や弾薬は自然に出現しないので衛生兵や少尉に補給してもらう必要があるなど、シングルプレイとはまた違ったシステムになっている。 PC版の時から、シングルプレイは賛否両論、マルチプレイは高評価というゲームだったし、今でも外人さんなら対戦相手には困らない程度に人がいるようだ。

  最後に、ワールドコレクションということで、英語に関して。
   マニュアルのみの日本語化という内容なわけだけども、ゲームプレイ上、リアルタイムに英語力を試されるシーンは皆無と言っていい。 話が進むイベントシーンに字幕がないのはツラいとこだけども(英語云々以前に、音声の音量にムラがあるので字幕はほしかった)、 話の流れは単純なので、ノートに表示される任務目標の短い文章さえ理解できれば、 ゲームプレイでそう苦労することはないと思うし、 そこの任務解説を読めば、バックグラウンドやイベントシーンで示された情報なども十分に理解できるはず。 総じて、英語に関してはラクな部類と言えるんじゃないかな。


  シングルプレイに限れば、そこそこの佳作といったところ。 基本的な部分はよくできてて、FPSとして無難な楽しさはあるけども、このタイトルならではというインパクトには欠ける。 まぁ、やや割安なワールドコレクションであれば、割と納得できるセンかな。

2004年1月27日記載