REVIEWENTER THE MATRIX
Xbox
2003年6月19日発売発売:バンダイ  海外販売:ATARI  開発:Shiny Entertainment  

  大ヒット映画「マトリックス」を題材にしたゲームということで、開発中から高い注目を集めてて、 日米で映画「マトリックス リローデッド」公開と同時期に満を持して発売されたものの、 内容的にはかなり肩透かし気味という評判の一本。
  開発したのはShiny Entertainmentで、「どっかで聞いたことあるな?」と思ったらPS『MDK』を開発したところだった。 他ではPC『MESSIAH』というゲームが結構有名で、この『ENTER THE MATRIX』の開発はその『MESSIAH』開発チームが中心となっていたらしい。


  ストーリー的には、映画「マトリックス」と「マトリックス リローデッド」を繋ぎ、 さらにその「マトリックス リローデッド」と並行するエピソードを描いているという、 マトリックス三部作のストーリー補完的な内容となっており、 主人公は、映画「マトリックス リローデッド」にも登場した、 ザイオン反乱軍のホバークラフト「ロゴス号」の船長「ナイオビ」とその部下「ゴースト」。 二人のどちらかを選んでゲーム開始となる。

  ゲームの形式としては、基本的にはキャラクターの背後にカメラがガッチリ固定された客観視点アクションシューティング。 その形式自体が若干古臭いんだけども、 それに加えこのゲームは、左スティックで前進後退&左右旋回、Rトリガ+左スティックで平行移動という、いよいよ古臭い操作形態を採用。 よって、どうしても動きはぎこちなくなってしまう上に、上下を見るためにはいちいち主観視点に移行する必要がある。 この時点で「アイタタタ・・・」って感じがアリアリなわけだけども・・・。 この操作感で気になったのは、Rトリガを引きながらだと、8方向にしか動けないというデジタル仕様な点。 アナログスティックを使わせながら動きはデジタルという仕様は、非常に違和感があるし、毎度毎度のことながら腹立たしくもある。 ただこのゲームの場合、そもそもの発想としてはTYPE-Cの操作、 つまり、LRトリガで直接左右平行移動を行うという形なのかもしれないし、 その影響ってのもあるんだろう(だからOKってもんでもないが)。 こちらの方がデフォルトの操作よりかはスムースに操作できたかもしれないんだけど、 それに気づいたのはゲームを始めてしばらく経ってからだったもんで、途中から操作系を変える気にはなれなかった。
  で、それに伴って、黒ボタンがメインウェポンの射撃、白ボタンがサブウェポンの使用という操作になっている。 他は、Aでジャンプ、Yでパンチ、Bでキック、Xが扉を開けたりするアクションボタンなど。
  Lトリガで行う「フォーカス」は、一応、このゲームのシステム的な最大の特徴か。 要するに『MAX PAYNE』におけるバレットタイムで、発動中には飛んでる弾丸が見えるほどにスローモーションになるというもの。 フォーカス時には敵の弾が当たり難くなってかなりダメージが減る上に、こちらの射撃の精度が向上するという仕掛けになっている。 格闘時や移動中にも行える半面、敵のターゲッティングは基本的にオートなので、 『MAX PAYNE』や『Dead to Rights』なんかとはビミョーにプレイ感覚は違うんだけども、まぁ、同系の存在には違いない。 元々、映画「マトリックス」の影響から生まれた要素だと思うので、本家に逆輸入とも言えるだろう。
  フォーカスがアクション面で生きるのは、ジャンプの飛距離が伸びることかな。 いかにもな感じのモーションでビョーンと跳んでくれて、これはこれで楽しかったりする。 ただ、フォーカスしながら斜めに壁に突っ込むと発動する壁走りや、垂直に壁に突っ込むと発動するバック転は、 暴発でフォーカスゲージを消費してしまうことこそあれ、アクション的に生きる場面は見当たらず (ただ、その暴発がたまたまマトリックスっぽい雰囲気を醸し出すことがないわけではない)。 フォーカス中にアクションで行う銃弾避けも、モーションがデカすぎて実用性に欠ける。 フォーカスとジャンプを絡めたような、体術的なアクションをもうちょっと工夫して、 このゲームなりの色を押し出してほしかったところ。
  また、他の銃撃戦系ゲームとの違いは、素手の敵の近づくと視点がサイドビューに移行して、格闘ゲームのような形になるところにもある。 パンチ、キックはもちろん、パンチ+キックで投げたり、敵の攻撃にあわせてアクションで当て身のようなことができたりも。 ただ、和製の格闘ゲームのように楽しめるかっていうと、 モーション、当たり判定、システムなど、いろんな意味で相当に力不足気味で、かなり大味な感じ。 海外メーカーって、格闘要素をゲームにするのがホントに下手だよなぁ・・・。 当然のように、複数の敵を対象にした格闘システムではないし、ゲーム本編とのマッチングという意味でも、ギクシャクした感じは否めない。
  銃を構えた敵の近くでアクションボタンを押すと、敵の武装解除ができ、ゲームを進めるにあたって結構重要になってくるんだけども、 そのときのアクションの内容自体は、『Dead to Rights』ほど見栄えはしない。
  全体的に、フォーカス時のアクションを(見た目的にも効果的にも)もうちょっと派手にして、通常時とのメリハリをつけてほしかったな。
  フォーカスゲージが時間と共に回復するのは当然としても、なぜか体力も時間と共に回復する仕様。 一応、ポイントポイントで体力回復アイテムが落ちてたりするので、もしかしたら当初は無かった要素で、 ゲームバランスが上手く調整しきれず、強引に導入したんじゃないだろうか?と勘繰ってしまうんだけども・・・。。 まぁ、そういう仕様にするのであれば、フォーカスゲージ共々、その回復にはもっとメリハリがほしかった。 (終盤は特に)フォーカスありきのゲーム内容であるにも関わらず、意外とその回復速度が遅く、ゲームのテンポが崩れてる感じを受けたので。

  ゲームの流れとしては、非常に凡庸かつ冗長というイメージ。 ステージにこれといったギミックはなく、変わり映えせず取り立てて面白くない戦闘をこなしながら、 かなり一本道的で間延びしたステージを淡々と進んでいくというもの。 普通に撃ちまくってると速攻で弾切れをおこすバランスなので、適度に肉弾戦を交えて弾薬を確保しつつ、先に進んでいくことになる。 まぁ、そういう作りはそれで結構なんだけど、性能差がビミョーな同系の武器が2、3種類あって、 それぞれに弾薬が別だったりするお陰で、戦略的に武器を使い分けるというより、弾薬のマネイジメントだけのために武器を使い分けさせられるという印象が強い。 武器は、ハンドガン、アサルトライフルというように大まかに分けて用意すべきだったろう。 サブウェポンの手榴弾も、ミョーに動きが軽くて思ったところに投げられず、非常に使いづらい。
  その体力の仕様ゆえに、難易度はそう高くはないんだけど、どうも細かい部分での調整不足がかなり目に付き、ちょいちょいとムダに引っかかる。 指示が具体的に何を指してるのかよくわからないところがあったり、 味方を援護する場面では味方の体力の減りが異様に早かったり(ゲームオーバーになるのはほとんどコレ系の場面)、 画面が暗すぎたり(これはTVの照度を不自然なほどに上げることで対処したが)、スティックの操作感が敏感すぎたり、と、どうにも雑な感じ。
  3箇所ほど挿入されるミニゲーム的なステージ(ナイロビはカーアクション、ゴーストは照準だけを動かすシューティング)も、 ゲームとしてのツボがどこにあるのか分からん雑な作りで、ダラダラと間延びしてるというのもゲーム本編同様。

  というわけで、ゲーム的には今の平均的な水準にすら追いついてないと思うんだけど、 ゲーム全体のマトリックス的な雰囲気は上々で、結構楽しめる。
  まず、グラフィックはそんなに悪くない。 取り立てて印象に残る場面こそないものの、背景はそれなりに描き込まれてるし、キャラクターもそこまで雑な感じではないし、 場面によっては、結構広いスペースがあったりもする。
  ストーリーも、前述の通り、ちゃんと映画とリンクしたもにになっており、映画同様、ウォシャウスキー兄弟が監督&脚本を務めている。 よって、分量豊富なゲーム中と同質のモデリングを使用したであろうプリレンダムービーシーンや、 映画と同質の実写のシーンは、当然のように完全に「マトリックス」ワールド。 シブいゴースト、冷静なナイロビのキャラも良かったし、ここに限ればそれなりに楽しめたのも事実。 思わず、映画を観直したくなってしまった。 まぁ、そういうところで売るゲームとしては、一部で字幕と音声のマッチングがイマイチなとこがあったのは頂けないが。
  ちなみにその実写映像パートは、「リローデッド」や「レボリューション」の映像が入ってたりするし、 トリニティー、モーフィアスにはちょっとだけ出番アリ(ネオはセリフが一個もなかったけど・・・)。 トリニティーはCGパートでもちょい役で登場したりする。 ただ、中途半端に映画のネタバレって感じも否めないので、「リローデッド」を観る前にこれをプレイするのは、正直、どうかと思うんだけども。


  ゲームにメリハリを付ける存在だったはずのフォーカスがそういうものとしては機能せず、とにかく冗長でダラダラとした締まりのないゲームだった。
  んまぁ、一応評判は耳にしてたし、あんまり期待していなかったこともあって、マトリックス体験ゲームとしてはそれなりには楽しめたんだけど、 なるほど、メーカーイチオシ、ユーザー大期待のビッグタイトルにしては、お粗末なデキだわなぁ・・・。

2004年2月18日記載