REVIEWO・TO・GI 百鬼討伐絵巻
Xbox
2003年12月25日発売発売:フロムソフトウェア  

  2002年12月にリリースされ、そのオリジナリティで好評を博したXB『O・TO・GI 〜御伽〜』の続編。 1年という短いスパンだったこともあって、タイトルが発表された当初はてっきり+α版かと思ってたんだけど、かなりちゃんとした普通の続編でビックリした。


  というわけで、前作をベースにした続編なので、基本的には前作との共通部分は多い。 とりあえず、前作と共通なポイントは、空中の比重も結構大きい格闘バトルゲームであること、 独特の和テイストのグラフィック&サウンド(ただ、グラフィックにはちょっと変化もあるので後述)、 ステージを破壊する爽快感、時間を追うごとに減っていく「巫力」というステータスがあることによって、実質、各ステージには制限時間があるシステム、 ステージクリア時に経験値が換算されキャラクターがレベルアップしていくRPG的な要素、 いちいち手動でセーブしなくちゃならない仕様(ただ、今回は後述するフェイズ制のために、意味がないわけではないが)、モッサリとした視点操作感、 パターンが少ないキーコンフィグ(スティックの左右はもちろん上下リバースの設定すら不可)、 左スティッククリックがカメラリセットという不可解なキー配置、などなど。

  本作での最大の変更点は、前作の主人公ライコウを含めた6人のプレイヤーキャラクターが存在するということだろう。 (実際に操作する機会は多くないけど)主役扱いなのが陰陽師「安倍 晴明」(このゲームでは♀という設定)。 2つの扇子を武器に舞うように攻撃し、敵を掴んで投げることもでき(これも本作からの新要素)、高位の巫術も使える。 前作の主人公ライコウは、本作でも準主役扱い。 武器は前作の初期装備である刀に固定されたもののほぼ前作と同じ性能で、 格闘、巫術、機動力などオールマイティなバランスキャラという位置付けだろう。 後の4人は四天王と呼ばれる晴明の部下たちだ。 「渡辺 綱」はライコウに近い感覚でプレイできるキャラクターで、やや直接攻撃重視。 特定のコンボのフィニッシュ時には衝撃波が出て、とにかく攻撃範囲が広いのが特徴になっている。 「坂田 公時」は、パワー&投げキャラという分かりやすい位置付け。 装備できる巫術の数、コンボのバリエーション共に少なく、2段ジャンプができないなど機動力も弱め。 逆に「碓水 貞光」は機動力重視キャラ。防御力の低さを機動力で、単発の攻撃力の少なさを最大9発のコンボで補う。 単なる巫術キャラではなく、かなり特殊なのが「卜部 季武」。 攻撃時の隙が大きい代わりに基本的な攻撃範囲が広く、基本スピードがかなり遅い代わりに何度も空中ジャンプできる。 各キャラの攻撃の内容は固定なので、武器の種類でバリエーションを設けた前作、 キャラクターでバリエーションを設けた本作ということになるわけだ。
  これにより、ゲームの進め方も若干変化し「フェーズ制」というものが導入された。 3つほどのステージからなる「フェーズ」がひとつの単位となって、 そのフェーズのステージを(順序関係なく)全てクリアすると次のフェーズへという流れで、 そのフェーズ中に各キャラクターが使えるのは1回だけというもの。 各ステージには「地脈加護」という、キャラウターごとに設定された能力向上ボーナスがあるので、 一応、それが高いキャラクターを使うと有利になってくる、らしい。 正直、実感できるほどの効果はないんだけど、まぁ、色々なキャラクターを使わせようという意図なんだろう。 また、中盤にライコウ専用のステージと四天王専用のステージが出てきたり、 終盤はほとんど晴明が使えなくなったりと、使用キャラクターには制限があったりもするので、 ライコウは必須として、それに加えて四天王を2キャラ程度は鍛えながら進める必要が出てくる。
  通常ステージは全部で27面と、ほぼ前作同様の規模。 さらに今回は、それとは別にスコアアタック的な「百鬼討伐モード」が用意された。 フェーズを進めるごとに追加されていく全18ステージからなり、“ステージ内の鳥居をどれだけ早く壊せるか”や “規定数以上の敵を倒す”といった、様々な課題が用意されている。
  経験値によってキャラがレベルアップしていく仕様は、相変わらず好きになれない。 プレイヤーなりの難易度で楽しめると言えば聞こえはいいけど、 実際は、壁にぶつかった時に、そのステージをやり込んで解決すべきなのか、 経験値稼ぎをしてレベルアップすべきなのか判断付けづらく (一応、各ステージには討伐挌というLvの目安があるものの、ステージの内容、キャラ性能にバラツキがあることもあって、実際にはあまりアテにならない)、 極端な話、難易度バランス調整の放棄とも言える。 ただ、自分が1周目をクリアした時点でのライコウはLv13、Lvの上限は30ということで、 前作ほど直にLvがMAXになるという感じはしない。 何より、今回はキャラクターのレベルを上げて百鬼討伐モードに挑戦という流れがあるので、 前作よりかは経験値&レベルアップという要素は消化できているはず・・・と思ってたんだけど、 実際のところ百鬼討伐モードは予想以上にミニゲーム色が強く、 レベルアップがプラスになる場面は(少なくともクリア目的に限れば)あんまり見当たらなかったりする。 結局、ゲームをクリアしてしまえばレベルアップの目的は見当たらず、 どんどんヌルくなっていき、作業感が強まってしまうというのは、前作とさほど変わりなかった。 2周目には高難易度ステージを用意するなど、もうひと工夫欲しかったところだ。
  ちなみに、1周目クリア時のセーブデータ上のプレイ時間は10時間ちょっと (百鬼討伐は完全にスルーし、真ボス戦をクリア)で、各キャラクターのLv(括弧内は初期値)は、 ライコウ13(1)、公時7(3)、綱12(3)、貞光7(2)、季武7(4)、晴明11(10)。 その後、全ステージ浄化、言霊収集100%、百鬼討伐モード全てクリアし、プレイ時間25時間というのが現状で、 この時点での各キャラクターのLvは、ライコウ18、公時11、綱24、貞光14、季武11、晴明13となっている。

  ゲームシステム、操作感などの細かい変更点も結構多い。
  システム的な改良で一番大きいのは、武器の耐久度&修復という要素の削除。 鬱陶しいだけで面白みが感じられないシステムだったので、当然の処置だろう。 で、その代わりというか、Shopには「Develop」という項目ができ、お金を払って各キャラクターのステータスを任意に上昇させることができるようになった。 ただ、そもそもジンワリと能力を上げていくタイプのゲームだし、 最初のプレイではいつお金が必要になるかわからないので、これを活用するタイミングを見つけるのが難しい。 よって、ゲームの足を引っ張ってるわけじゃないけど、存在感はないな。
  操作面での最大の改良ポイントは、 ロック時のダッシュによって高さ的にもホーミングするようになったことだろう。 これによって、前作に比べれば随分と戦闘が噛み合うようになったし、高いところへの移動も随分とラクになった。これは非常に大きい。 その他にも、ダッシュ小攻撃による上昇力がアップしてたり、 攻撃を受けたときの硬直は小さくなったりという、細かい改良も効果的だったと思う。 敵が前作以上にポンポンと壁にぶつかって跳ね返るようになったのも、爽快感という意味でプラスだった。
  ただ、改悪と思える変化もあるのが気になるところ。 まず、歩き操作がなくなり、ちょっとスティックを入れただけでダッシュ状態になってしまうこと。 まぁ、そもそもチビチビと歩くようなゲームではないので、大きなマイナスではないものの、やっぱり手に馴染む操作感という意味ではマイナス。 しかし、それ以上にいただけなかった改悪は、ロック中の移動が前後左右4方向に固定されてしまったことだ。 それによるロック時と非ロック時の操作感のギャップは、プレイしていて非常に気になったし、 ロック時のみ行える効果的なアクションとかも見当たらないので、そのギャップが必要なものとも思えなかった。 こういった時代錯誤の操作のデジタル化は非常に理解に苦しむ。 どうもフロムは、アナログ操作に対する意識が低いんだよなぁ。

  逆に、変化を期待したのに相変わらずという部分もある。
  一番のポイントは視点操作について。 右スティックによる視点操作は非常にモッサリとしていて使いづらいし、左スティッククリックに割り当てられたカメラリセットが使いづらいのも相変わらず。 ワンテンポ(が前作より長くなったのは救いだが)待つと勝手にカメラリセットされてしまう(つまり、ある方向を見続けることができない)のもいただけない。
  ロック自体が使いにくいのも相変わらず。 どうやら一番近い敵にロックしてしまうようで、思った敵にロックできないということがままある。 むしろ、(基本的な視点の操作感を上げる必要はあるけど)画面中央に捉えた敵をロックするような仕様の方が、プレイしやすかったんじゃないだろうか。 何もしないで勝手に敵をロックオンしてしまう(逆に、ロックオンしないためにはLトリガを押しっぱなしにする必要がある)という 非常に使いにくいオートロックオン設定がデフォルトでONというのも理解に苦しむ。
  とにかく、プレイヤーが視点操作をしなくても遊べるようにという配慮が、ことごとく裏目に出てると思う。 視点操作がある程度は必要とならざるをえないという時点で、 むしろ、“視点はプレイヤーが操作するものなんだ”という立場でのゲームデザインが求められたんじゃないだろうか (もちろん、それを設定で切り替えられればモアベターだが)。
  もっと根本的なとこから考えると、もうちょっとダッシュの自由度が高くてもよかったんじゃないかと思う。 ダッシュ距離が一定なのか、敵を通り過ぎてしまうようなことが多いので (もちろんダッシュ攻撃を行った時点で止まるけど、ダッシュ攻撃自体、隙が大きいわけで)、 ダッシュの距離をボタンの入力時間で調整できるように、 また、ダッシュの速度・距離をこの程度に抑えるのであれば、ダッシュ中にも敵にホーミングするようにしてほしかった。 また、スティックを入れてダッシュすればそっちの方向に、 スティックを入れずにダッシュすればロック対象の方向に向かうという操作の差別化があってもよかったんじゃないだろうか。 視点操作とロックとダッシュの仕様をゼロから考え直せば、アクションゲームとしてもう一皮むける素材だと思うんだけどなぁ。
  相変わらず、垂直落下攻撃が暴発して即死してしまうことがあったのも気になったけど、 敵が頻繁に防御してくる場面と、落下即死の場所が重なる場面がほとんどなく、前作ほどは気にならなかったな。 垂直落下攻撃がない季武というキャラがいるのもプラスだったし。
  また、いぜんとして巫術の存在感が弱い。 制限時間的な巫力を消費してしまうということで、ただでさえ使いづらいのだから、 もうちょっと極端に巫術に弱い敵を出すなり、 攻撃範囲を広くしたり弾速を上げるなりもっと巫術を使いやすくするなりして、巫術を使う機会を設けてほしかった。 あるいは、もっと割り切って、巫力とのリンクから考え直し、いっそボム的な存在にしてしまった方がよかったかもしれない。 ただ、いくら存在感が弱いとはいえ、2周目で巫術の装備制限がなくなってしまうというのは、キャラの差別化という意味でプラスだったとは思えない。
  状態変化攻撃のキツさも気になる。 特に、一定時間継続的にダメージを受け続け、水の中に入らない限りそれが消えない青炎はこのゲーム最大の脅威か。 よって、せっかく種類豊富な呪具(アクセサリー)も、どうしても状態変化(特に青炎を氷結)を防ぐものを選ばざるをえない状況。 呪具に関しては、せめて2つ同時に装備できれば、自分なりの色を出せたと思うんだけども。

  前作ではやや単調にも感じられた各ステージの内容なんだけども、 本作では、その目的にしても、戦闘が続く場面にしても、 前作より上手くメリハリが付けられていて、バリエーション豊かに感じられる (これに関しては、使用キャラによってプレイ感が大きく変わるのも良かったんだろう)。 敵がわんさか出現する場面ができたのも嬉しい。評価したいポイントだ。 オープンなステージが増えたからか、ステージ内の透明な壁が気になる場面が以前より増えてしまったのはいただけないが。
  グラフィックで気になるのは、画面全体にモヤがかかったようなエフェクトがかかっていること。 画面に統一感を持たせようという意図はわかるんだけども、どうもエフェクトを効かせすぎな感じで、 本来このゲームが持つビジュアルパワーを損なってしまってると思う。 全体的には相変わらず美しいんだけど、印象に残るステージが前作ほど無かったのは、それによるところもあるんじゃないだろうか。 それでも、前作以上に尖がった感じの禍々しいデザイン関係は非常に秀逸で、(特に大型の)ボスキャラは印象に残るものが多かった。 全体的にエフェクトが派手になってるのも好印象。
  ストーリーは、やや言葉っ足らずではあるものの、そこはプレイヤーの想像に委ねるということで、そうマイナスでもないだろう。 相変わらず幻想的な雰囲気は良いし、真っ当に和風という要素を消化している。 ただ、もうちょっと四天王のイベントを作ってほしかったな。 というか、果たして本作にライコウは必要だったのかという、かなり根本的な疑問を抱かざるをえない。 晴明と四天王が、キャラクター的にも性能的にもメリハリが付いてただけに、それをライコウが若干食ってしまってるのが、非常に勿体無く感じられた。
  より細かいところながらも論外なのは、 百鬼討伐モードで、ステージクリア時にメニュー画面まで戻されてしまったり、未達成時にもキャラや装備を変えてリトライできないこと。 サクッとプレイするスコアアタック的な要素にするのであれば、もうちょっと考えてほしかった。 未達成時のメニューにタイトル画面まで戻る「Give Up」があるのも謎。 というか、手動でセーブするこのゲームの仕様からすれば、罠としか思えないんだが・・・。 視点操作と敵を掴んで投げる方向を決める時の左右操作が逆なのも×。 ここらへん、右スティックの視点操作がカメラ操作ということを意識した、右に倒すと左に視点が移動するという手法であることが、そもそもの問題か。 せめてキーコンフィグで変更できるようにしてほしかったところ。 説明書で、体力の仕様に関する説明が皆無なのもさることながら、肝心要であるはずの巫力が、かなりアッサリと流されてるのもいただけなかった。


  視点操作、ロックオン、ダッシュの仕様を練り直せば、アクションゲームとしてもう一皮むけたと思うんだけど、フロムにそこまで期待するのは酷というものか。 極端な仕様変更を避け、バリエーション増と地味な改良に徹したからこそ、少なくとも前作並の良作になりえたのかもしれない。

2004年2月28日記載