REVIEWSystem Shock 2
PC
1999年7月31日発売発売:EA  開発:Looking Glass Studios/Irrational Games  

  密かに、1994年3月に発売された前作『System Shock』をほぼリアルタイムでプレイしており、 宇宙ステーションで人工知能が暴走するというその内容は、シチュエーション的に最高のSFホラーだったし、 『Ultima Underworld』と同じ技術で作られた3D空間は説得力バツグンだったしで、 AT互換機でゲームをプレイしていた時期のPCゲーマイベスト3の1本だったりする(ちなみに、他の2本は『DOOM』と『MYST』)。 その後、しばらくPCゲーから離れてしまい、 (『System Shock』が一般的に高い評価を得てるとは思ってなかったこともあり) 『System Shock』に続編が出てるとは全く知らなかったのだけど、 去年、PCを買い換えたのを機に色々と情報を集める中、その存在を知ることとなった。 ただ、ゲーム自体が古いことはもちろん、国内では代理店がつかなかったこともあってか、 いくら探しても全く見つからず、結局、シンガポールの店から個人輸入で購入するハメに・・・。
  開発はもちろん今は亡きLooking Glass Studios。 同じくLooking Glassが開発した『Thief』のレビューを先にアップしたけど、 実は、先にクリアしたのはこの『SYSTEM SHOCK 2』の方で、 難易度を上げ、続けて2周目をプレイし、クリアしてのレビューアップということになった。 ちなみに、前作のゲームデザインを担当したWarren Spector氏は、 本作制作時には既にLooking Glassから抜けており、彼はその後、Ion Stormで名作『Deus Ex』を作ることになる。


  前作は、とある宇宙ステーションで高度な人工知能「SHODAN」が暴走し(というか、反乱を起こし)、 住民を殺害し、その住民を戦闘サイボーグに改造してしまったりする中、 コールドスリープから目が覚めたハッカーが、その宇宙ステーションを爆破し、そこから脱出するまでを描いた。
  本作の舞台は、あれから35年後の世界。 人類初の超光速ワープ航行機能を備えた宇宙船「Von Braun」がその処女航海中に、惑星「Tau Ceti 5」から謎の通信を受信。 そこに降り立った探査チームは、初の地球外生命体「Annelid」を発見し、それをVon Braunに持ち帰る。 で、それが今回の事件の引き金となり、宇宙船の中が大変なことに・・・。 プレイヤーは、Von Braunを護衛している宇宙船「Rickenbacker」から送り込まれた護衛兵となり、 またもや記憶が失った状態でコールドスリープから目覚めたところからゲーム開始ということになる。

  ゲームは前作同様、主観視点で進行していき、(かなり重ためではあるが)いわゆるFPS的な操作感と思ってもらって間違いないだろう。 ひと通りの操作は揃ってるし、特殊な操作はこれといって見当たらない。
  船内には死体がゴロゴロしており、Annelidに寄生されたゾンビがうろつく中、 プレイヤーは生存者と遭遇する機会はほとんどなく、 大抵、送信されてくる音声付きEメールを読む(聞く)ことで物語が進展していく。 ここらへんの、宇宙空間で孤立した宇宙船という閉所の中を、 ほぼEメールによるコンタクトだけでサバイバルすることになるその設定は、前作と非常に似ている。 ただ、今回は敵vs自分という単純な構図ではなく、結構話は込み入った話となっており、 そこが本作の魅力ということになってくるんだけども。

  で、ゲームの流れとしては、成長させるスキルを選択していくことによって、 プレイヤーごとに変わったプレイスタイルになるような成長要素があるのが特徴となってくる。 スキル上昇に必要な「Cyber Module」は戦闘によって得ることはできず、 イベント達成時にゲットしたり、マップ上に配置されてるアイテムとしてゲットしていくことになる。 つまり、少なくとも“戦闘で経験値を溜めて自分の能力を上げ・・・”という形ではないわけだ。 ここらへんは、(少なくとも形としては)『Deus Ex』に近いものを想像してもらえればOKなはず。
  まず、ゲーム開始前に3年間の訓練期間があり、 戦闘関係の能力が上がる「Marine」、ハッキング系の能力が上がる「Navy」、 超能力系能力が上がる「OSA」の3つの中からひとつのコースを選び、 1年ごとに3つの訓練コースの1つを選ぶことにより、初期スキルをゲットしていくという導入になっている。 テーブルトークRPGのキャラ作成を想像すると分かり易いかもしれないな。 で、実際に、ゲーム中のキャラ育成の方向性も、直接戦闘、ハッキング、超能力の3要素に分かれてるはず。 自分の場合は、とにかく難しいという話を先に聞いていたので、 自分にしては珍しく最初からEasyでプレイし、戦闘系キャラで18時間弱でクリア。 2回目は、Normal難易度で一応Psi系キャラで始め、14時間弱でクリアした。 ただ、これに関してはちょっと後悔。 確かに、Normalの序盤は非常にキビしいんだけども、Easyはなんせ手に入るCyber Moduleの数が多く、 結局、ハッキング系にも手を出すことになり、必要以上にリプレイの楽しみを削ってしまったような気がするので。無念。
  もっとも、これらのスキルが実際にリプレイ要素を高めてるかというと、結構疑問だったりする。 正直、必要、使える、使えない(重要ではない)の差が激しすぎて、 『Deus Ex』ほどはゲーム的な面白みとしてプラスにはなってないと思うのだ。 残念ながら、こういうシステムを採用してる割に、自由度はさほど高くない印象。 例えば、一般ステータス的な「Statistics」内では、 直接ダメージ増加の他にアイテムスロットが増えていく「Strength」が非常に重要だし、 コンピュータ操作などの技術に関する「Technical」では、 武器の耐久度回復度が上がり、エネルギー系のバッテリーの上限が増える「Maintain」はプレイスタイルに関わらず必須。 Psiは数ある割に使える能力が少ないし(個人的には「Invisible」以外コレといったものはなかった)、 ハッキング系能力も、監視カメラは簡単に破壊することができるので、 それほど必須という感じは受けないし、ハッキング能力があったからといって極端にルートが変わるような場面もほとんどない。 「Weapon」は、「Standard」が極端に使い勝手が良すぎる印象で、 その他の3つはそれぞれに、クセがあるけど使えないことはないという武器がかろうじて1種類ずつあるだけ。 要するに、Standardな武器を使う戦闘系キャラがダントツで有利な作りになってるわけだ。 逆に言うと、ハッキング系や超能力系には、その苦労に見合った面白み(プレイの違い)があるとは思えない、と。 せめて、もうちょっと生体系の敵に有効なPsiが豊富なら、Psiキャラの武器として「Energy」系の武器が使えたと思うんだけどな・・・。
  で、パズル的な要素はほとんどなく、 基本的には(弾薬、薬、Cyber Moduleをゲットするために)マップの隅々まで探索しつつ、目の前の目標達成を目指すという流れ。
  とはいえ、自由度とかリプレイ性とかに期待しなければ、 ゲームの展開自体は非常に面白く、十分に楽しめる内容だと思う。 やはり宇宙の孤独な空間という舞台設定がバツグンなわけで、 Eメールの音声を含めて音関係のデキが良いこともあり、 その臨場感は素晴らしいし、立体的なレベルデザインやその展開、バリエーションも上々。 そして、ラストの展開はニヤリ。前作をプレイしといて良かったと、心底思えるネタだった。

  ただし、ゲームバランス的にもやや難がある。
  まず、基本的に難しい。 実は、そんなに強力な敵が出てくるわけじゃないんだけど、 一般的なFPSほどにはクイックに動けない上に、単発のダメージが大きく、 体力回復の手段が限られてるので、ゲーム全体を通すとかなり難しいという印象を受ける。 ここらへん、PCゲーでは毎度毎度のことながら、いつでも自由にセーブできる仕様ゆえにでもあるんじゃないだろうか (ゲームの緊張感を削いでしまってる部分があるとも思う)。 また、全てリアルタイムで進行し、 Eメールを読むときなどにもポーズがかからない上に、 敵を倒しきるということがなく、常にそのマップ内にある程度の敵がいるように、 敵が湧いてくるという仕様が、そのキビしさに拍車をかける。 よって、敵を殲滅したと思ってEメールを読んでたら急に攻撃を食らってビックリ(どころではない)なんてことが。 で、敵が湧いてきて、敵を倒せば時折お金をゲットできたりはするとはいえ、 いわゆるRPG的な“敵を倒してお金を稼ぐ”っていうバランスにはなっていないので、 マトモにそれらを相手してると、弾薬や薬といった貴重な資産を食い潰していくことになってしまうわけだ。
  んで、特にキビしいのが序盤。 なんせ、弾が少なく、体力回復薬も少なく、基本的に体力が少ない。 とにかく弾が貴重なので、なるたけレンチで殴って敵を倒そうとするんだけど、 そうすると必然的にこちらもダメージを受けることになり、でもそれを回復させる手段が少なく・・・と。 レンチで殴って倒す感覚に慣れるまでは、かなりリトライする必要がでてきてしまうだろうし、 慣れるまではそれこそ敵と戦う前にクイックセーブ、敵を倒したらまたセーブ、そんな感じの流れになってしまう。
  んまぁ、いわゆるサバイバルホラー的な設定なわけで、 そこにはゲーム的なキビしさ(緊張感)がないとマズいというのは理解できる。 が、この序盤はちょっとやりすぎなんじゃ・・・。 逆に、スキルをゲットしキャラが強くなって、弾や薬に余裕がでてくる終盤はラクになってしまうというバランスも頂けない。 いわゆるスロット形式のアイテム所持で、 同じアイテム(例えば同じ種類の弾薬や薬)は1スロットしか占有しないというシステムにも問題があるようにも思う。 ここらへんは、成長要素があるゲームのバランス調整の難しさでもあるんだろうけどねぇ。
  ただし、リアルタイムといっても、 時間と共に消費していくステータス(例えば腹具合的なもの)はない(一部の装備ではあるけど、それは外せばいいだけのこと)。 リアルタイムで英語を判断するような場面はないし、Eメールは当然文章付きだし、いつでも読み直すことができるので、 (もちろん、安全さえ確保できれば)その大筋を理解するのはそれほど難しくないはず。 その場でやるべき目標はメニューで表示されるので、そういう部分で滞ることもほとんどないだろう。 英語に関しては“意外にラク”という部類かもしれない。

  3Dグラフィックエンジンとして『Thief』のDark Engineを使用したグラフィックは、 無機質な背景がほとんどな上に、そんなに広いスペースがないこともあってか、それほど古臭さを感じさせない。 陰影の演出が弱く、若干ノッペリとしてはいるけど、今でも普通に楽しめるレベルだろう。 一点、宇宙空間を窓から効果的に見せてた前作に比べると そういう部分での演出は若干弱く感じられた。


  ゲームとしての詰めの甘さは目立つものの、SFホラーADVな部分は秀逸だった。 その時点でかなり満足だし、今プレイしても遜色なく楽しめるはず。 前作共々、是非、今の技術でリメイクしてほしい作品だな。

2004年3月29日記載