REVIEWBeyond Good & Evil
Xbox [海外]
2003年12月2日発売発売:Ubi Soft  

    Ubi Softは2002年末のXB『Splinter Cell』以降、 非常に好調らしいけど、それ以上に、メディアからの評価が高いゲームをパブリッシュし続けてるところが素晴らしいと思う。 で、この『Beyond Good & Evil』は、そんなUbi Softが送る完全オリジナルのアクションADV。 内部開発タイトルということで、ゲーム内容、タイミングなんかから考えても、 「Rayman」シリーズの開発に関わった連中が随分絡んでるんじゃないだろうか。
  ちなみに、個人的には初めてのアジア版Xboxタイトルということになる。 おそらく、取説も含めて、北米版とほとんど変わらない内容だろう。


  アクションADVと書いたけど、全体的なキャラクターの体型は、 主人公Jadeの顔から想像するよりはもっとデフォルメが効いたバランスになっている。 かといって、例えば『ラチェット&クランク』ほどはデフォルメされてないし、ゲーム的にもあそこまでアクション色は強くない。 最近のゲームの中では、丁度GC『スターフォックスアドベンチャー』なんかに近いイメージかな。
  惑星「Hillys」では、日々「DomZ」という謎の軍隊による襲撃を受けており、「Alpha Section」軍がHillysの人々を守るために奮闘していた。 Hillysの住人である主人公「Jade」は、ひょんなことをキッカケに、そこに隠された真実に近づいていくことになる。
  水の惑星Hillysでの基本的な移動手段は水上ホバークラフト。 基本的には、これでダンジョン(に相当するステージ)へ行ってダンジョンを探索(ミッションを遂行)することになり、 ダンジョンをクリアすると話が展開、次のミッションへと向かうんだけど、その為にはホバークラフトを強化する必要があったりするので、 そのために必要な「Pearl」の足りない分を街を散策するなどして集め、新しいパーツをゲットし、 次のダンジョンへ・・・というのが大まかな流れになってくる。
  操作は、左スティックでキャラクターの移動、右スティックで視点の操作(右スティッククリックでカメラリセット)というのを基本に、 Rトリガを押しながら移動することで走り、Lトリガを押しながら移動することでしゃがみ移動、 Aがいわゆるアクションボタン、Xで横っ飛びによる緊急回避、Yで主観モードへ移行、 Bは一緒に行動するパートナー(後述)のアクションボタン。 視点の操作感に関しては、やや背景に引っかかる感じはあって、最高の操作感とは言い難いものの、 カメラリセットのレスポンスは良いし、まぁ無難なところだろう。
  ジャンプボタンに相当するものがないことからも分かる通り、アクションはかなり自動化されてる部分が多い。 上に足場があるとこに向かえば勝手にジャンプしてその足場を掴んでくれるし、 遠くの足場に向かってスティックを入れればジャンプするし、足場から降りるようにスティックを入れれば下に下りたり、 その足場にぶら下がってくれる(よって、落下死というものが存在しない)。
  また、戦闘は敵に近づくとその敵に対して円を描くように動くようになって、Aで攻撃、Xがサイドステップのような回避行動となる。 その移動の基準となる対象こそ勝手に決められてしまうものの、 スティックを入れながら攻撃することで、その相手以外にも結構自由に攻撃できるので、 「なんじゃこりゃー」ってもんではないにしろ、全体的に大味で淡白。 各種ボス戦も、工夫はされているもののやっぱり大味な感じ(特に、乗り物系のボス戦は淡白)。
  となると、なんだかダメっぽい感じがしてしまうかもしれないけども、 別にジャンプアクションゲームでもないし、戦闘がメインのゲームじゃないので心配無用。
  主人公Jadeは根本的には戦士ではなく、カメラ片手に活躍する調査員のようなもの (パッケージ裏には「action-reporter」とある)。 よって、主観視点モードで撮影するカメラが、まずポイントとなる。 ほとんどのダンジョンは「○○を撮ってきて」みたいなのが目標となるし、 マップを撮影すればそれを解析してポーズメニュー内で全体マップが見れるようになったり、 コードを撮影してメールで転送すればそのコード(扉を開くための暗号)を知ることができたり。 また、ゲーム本編とは(序盤を除けば)関わってこない要素として、 Hillysの生き物を写真で撮って科学センターに転送することで、報酬を得られるというのもあり、 1体撮影すればお金が貰えるし、それが一定数溜まればPearlが貰えると。 ダンジョンだけでなくフィールド上にも生き物はいるし、 見つけにくいもの、シャッターチャンスが少ないものなど、様々なものがあって、良いアクセントになっている。
  また、戦士でない以上、敵の兵隊と真っ向勝負するのは不利。 よって、多くの場面でステルス行動が強いられるというのが、もうひとつの特徴。 これは、“敵に直接見られない”と“不用意に音を立てない(走らない)”を基本に、 (XB『スプリンターセル』のようにゲージが表示されるわけじゃないが)暗い影に隠れるというのもある。 例えば、敵に見つかってもそのスペースの敵が警戒するだけで一定時間で (あるいはその部屋を一回出ると)それも警戒解除されるという、割とユルめのものながらも、 見つかった時点でほぼアウトな場面もあるし、ゲーム中でも結構なウェイトを占める。 上手く消化されてたと思うし、基本的には“ダルマさんが転んだ”的な展開ながらも、 見せ方を工夫するなどして一辺倒にならない工夫がされていたのも好印象。
  そして、基本的にパートナーと一緒に行動するというのも、非常に大きなポイントだ。 パートナーに対する指令は固有アクションを行わせるだけで、基本的にはその場所に行ってBボタンを押すだけでOK。 それでも、Jadeとパートナーを分断する場面を効果的に上手く散りばめており、 個々のパズルが(良い意味で)難しいというわけじゃないながらも、それぞれひと工夫されている感じで、なかなかの充実感が味わえる内容となっている。 下手げに指示系の操作を加えたりせずにシンプルに仕上げたのは、むしろ上手かったんじゃないかな。 また、これは演出的な意味合いも大きい。 操作を奪わないレベルの会話(セリフ)が結構あって、これが場を盛り上げてくれる。 同社の『Rayman 3』もここらへんが楽しかったんだけど、案外コレを上手くやってるゲームって多くないと思うんだよねぇ。

  イベントシーンは、おそらくゲーム中と同じモデリングを使ったもので、多分リアルタイムポリゴンによるものだと思う。 ・・・にしちゃ綺麗すぎる場面もあるんだけど、ムービーにしちゃ画質の劣化がないし、イベントシーンに入る直前に微妙な間があるわけでもないしなぁ・・・。 結局最後までここは確信が持ててなかったりする。 まぁ要するに、ゲーム中のキャラとシームレスなもの、と。 特にキャラクターのセリフ&(表情を含めた)アニメーションのデキが良く、その質は極めて高い。 また、海外のゲームにしては(ってのは偏見?)感情面の描写にきめ細かさが感じられたのもポイント高し。 で、このゲームはそのイベントシーンの使い方が抜群に上手かったと思う。 ダンジョンっぽいとこでもちょいちょいとイベントシーンが挿入され、全体的に結構な分量であろうにも関わらず、それが鬱陶しく感じられることはなかった。
  それほど極端な味付けはされてないJadeのキャラクターは、“無味無臭”というより“自然”なもので、 イベントシーンや会話などによって非常に魅力的なものに仕上がってる。 ややエラ張り系ではあるし、真緑のリップにやや引くかもしれないけど、顔の造形自体は日本人的にもそれほど違和感がないんじゃないだろうか。 イベントシーンでの表情の変化のよくできてるのも重要なポイント。 Jade以外のキャラも魅力的で、特にJadeのパートナーとなる「Pay'j」(Jadeの育ての親で、ブタのような顔を持つ種族)は秀逸。 最初見たときはどうかと思ったけど、プレイしていく内にどんどんと愛着が湧いてくるキャラだった。 一方で、敵の司令官はちょっと印象が弱かったかも。
  海外のゲームにしては(ってのはまたもや偏見?)勢い重視なとこがあって、 やや説得力に欠けるところがあるものの、その代わりというか、 前述の通り感情的な表現が上手かったのでそんなにマイナス印象は残らず。 「なるほど、そうだったのか〜」という真の意外性こそないものの、 飽きさせない程度に話の展開を上手く詰め込んであって、ストーリー的な部分も非常に面白いゲームだったりする。 これは、ゲーム(ゲームプレイ中)+ストーリー(イベントシーン)というものではなく、 ゲーム中のフとした会話やイベント戦がストーリーに厚みを持たせてたり、イベントシーンもゲームに馴染むように工夫がされてたり、 つまり、ゲームとストーリー性の融合という意味でハイレベルということ。

  グラフィックは、いわゆるマルチタイトルということもあり、 モデリングはやや大雑把な感じで、“Xboxならでは”という印象こそ残らないものの、基本的にかなり美しい。 SF的な部分にしてもあまりバタ臭い感じはないし、全体的な印象としては、沢山の色を使いながらも、決してケバくなることなく、どこか品がある。 エフェクト関係の使い方も上手い。
  音楽は文句なし。重厚で雰囲気バツグン。
  自分のクリア時間は11時間強。 水増しな感じは全く無く、とにかくテンコ盛りの展開なもんで、「え、そんなもんしかプレイしてなかったっけ?」という印象なんだけど、 これでもレース系を除いたPearlは全て集めたし、 1種を除いて(多分、倒してしまったザコ敵なんだろう)全ての生き物の写真も集めてのこの時間だし、 2周目であるとか、他にリプレイ要素があるわけでもないとなれば、さすがにこれはボリューム不足といわざるを得ないだろう。 個人的には、このゲーム唯一の致命的と言われても仕方のない欠点だと思う。 写真にしてもPearlにしても、素材的にはもっとやり込み要素として膨らませられるネタだと思うんだけどなぁ。 そのマップ内にいる未知の生物とPearlをマップ上に表示してくれるようになるセンサーが、割と早い段階で手に入ってしまうのもマズかった。確かに便利なんだけどさ。 良いように理解しようとすれば、話の展開をダレさせないように、無駄な展開を避けたのかもしれないが・・・。

  最後に英語に関して。
  目的はポーズメニューからチェックできるし、音声なしのテキストは時間で流れていかないので、 リアルタイムな英語力がゲームプレイ上必須というわけではないものの、 (イベントシーンも含めて)会話が非常に楽しく、重要な位置付けになってるゲームであることもまた確か。 それでも、字幕を表示できることが、非常に大きな救いとなるはずで、英語に関しては意外とラクな部類かもしれない。


  クオリティ&オリジナリティ、ゲーム性&ストーリー性、そのそれぞれがハイレベルにまとまった見事な一本だった。 難点はプレイ時間の短さのみ。 淡白で大味な戦闘もマイナス要因といえばマイナス要因なんだけど、ゲームの全体像からすると、大したマイナスではないし。
  あのラストからすると、続編が出るのは間違いないんだろうから、楽しみに待つことにする。

2004年4月30日記載