REVIEWNINJA GAIDEN
Xbox
2004年3月11日発売発売:テクモ  開発:Team NINJA  

  これまで「DEAD OR ALIVE」シリーズをリリースしてきた、板垣氏率いるTeam NINJAの最新作。 Team NINJAとしては、初の非対戦型ゲームということになる。
  タイトルの「NINJA GAIDEN」というのは、主にFC時代、シビアなアクションゲームとして国内外で高い評価を受けた「忍者龍剣伝」の海外タイトル (日本でも、かつてゲームギアでだけ『忍者外伝』という名前でリリースされてたりもする)。 主人公が「リュウ・ハヤブサ」という名前の忍者であること以外、(ストーリーだけでなくゲームの内容を含めて)特に共通点はないようだけど、 “アクションゲームである以上はヌルいものは作らないぞ”というTeam NINJAの意気込みの表れでもあるんだろう。


  そんな「NINJA GAIDEN」というタイトルであるにも関わらず、 自分が驚かされたのは、いわゆるステージクリア形式ではないということ。 確かに章という区切りはあるにはあって、その章をクリアした時点で点数が算出されてランク付けされるんだけど、 データセーブはゲーム中のセーブポイントで行わなければならず、 逆に章をクリアしてもデータはセーブされない(&できない)という仕様。 章の最後にボスがいるとは限らないし、同じ場所を行ったり来たりしたり、その章では直接関係のない場所へも行けたりする。 つまり、一本の流れからなるゲーム(『バイオハザード』みたいなの)を、話の展開で章に区切っただけという感じかな。 で、敵を倒したときに出現する「エッセンス」がいわゆるお金的な要素となり、ところどころにある店で回復薬なんかを買えたりする。

  基本操作は、Xが小攻撃、Yが大攻撃、Bが飛び道具で、Aがジャンプ。 Y+Bでボム的に使う「忍法」、X+Aで敵に対してホーミングするようにジャンプする「風駆」、 Lがガードで、ガード中に左スティックを倒すとその方向に素早く転がることができる。 視点関係の操作はRのいわゆるカメラリセットボタンのみで、 右スティックを倒すとそのまま主観視点に移行し、また動き出すと客観視点に戻るという仕様 (リュウが向いている方向ではなく、画面の方向に対して主観視点になる)。
  一番特徴的なアクションは壁走りだろう。 ジャンプして壁に対して真正面から接触すると壁を垂直に駆け上がり、斜めに接触すると横に壁を走る。 壁走りは一定時間しか行えなかったり、壁走りからのジャンプは方向が固定されてたりと、 決して自由度の高いアクションではないんだけど、 立体的な展開自体を楽しむものとして、これはこれで良かったろう。 ちなみに、PS2『Shinobi』のような落下即死の場所はほとんどないし、 アクション自体もそんなにシビアではなく、あくまでもステージを探索するための手段という感じの作り。 ここが『デビル メイ クライ』と大きく違う部分で、このゲーム独自の面白みを生んでると思う。
  ただし、さらに上を目指すなら、アクション要素をアクションとして楽しめるようにする、 そして、そのアクションを戦闘と組み合わせる、そういう方向性が必要。 特に残念だったのは、一瞬だけ壁に張り付ける「壁くっつき」というアクションの活躍の場が皆無だったこと。 壁に向かってジャンプした後スティックを離すという変わった操作が面白かっただけに、もうちょっとゲームに上手く組み込んでほしかったな。 これは水面の上を走れる「水走り」についても言えることで。

  謎解き的な要素は、思っていたよりはある、そんな感じ。 謎解きといっても、基本的にはお使い的というか、ステージ内を行ったり来たりさせる仕掛けであって、 その役割(これ自体を否定する人も多いけど、自分は重要だと思う)は割と上手くこなせているんじゃないかな。
  視点については板垣氏が自信満々に語ってたし、カメラリセットのみの操作ということを聞いてから、 何か斬新な工夫がされてるのかという期待をしてた。 が、結局のところ視点はこのゲーム最大の難点と言っていいだろう。 これが自分が恐れていたことが現実になった第1ポイント。
  やっぱり、カメラリセットだけで視点を制御するのはムリがある。 当然のように、微調整が難しく、ジャンプしたい方向に正対するという単純なことすらままらならないことが。 その上、小回りの効かない操作性が、この難点をさらに際立たせる。 このゲームでは、絵的に自然に見せるためか、スティックを入れた方向に瞬時に向きを変えるのではなく、 ホンのちょっとだけだけどクルッと向きを変えるようになっている。 つまり、瞬時に向きたい方向を向けない→瞬時に見たい方向を見れない、となるわけ。 つーか、アナログスティックで操作する以上、視点云々の前にこの操作性にしたことが理解できん・・・。 確かに、敵の近くに行くと(画面上に敵が見えなくても)そちらの方向にカメラがホンのちょっと動くことによって、 敵がいることを知らせてくれるという工夫はされており、それはそれで重宝した。 が、それだけでフォローしきれるわけもなく・・・。 これは、視点操作の代わりに右スティックに当てた操作に説得力が感じられないということでもある。 主観視点中に動けるわけでもないんだから、その役割は十字キーで十分だったろう。 実際、XB『魔牙霊』はそうやってたし、そのことに関しては成功していたわけで。 もっとも、演出のためにゲーム性を犠牲にしたわけではなく、 単に視点に対する問題意識が低いだけっぽいので、 『デビル メイ クライ』などと同列にしてしまうのは可哀想なんだけども。 また、視点が完全にCPU任せになる一部のボス戦でのカメラの自動調整にも、若干アラが目立つ。

  メインとなる近接攻撃は、対戦格闘ゲームデベロッパらしいコンボちっくな操作が組み込まれており、 XXYであるとかXX→XXといった簡単なコマンドで行う。 武器は大きく分けて、日本刀、ヌンチャク、両手持ちの大型武器の3種あるものの、 標準装備の日本刀「龍剣」だけで事足りる。 少なくとも、武器を使い分ける必要があるゲームではない。 まぁ、敵からの単発のダメージがデカいゲームなだけに、大型武器は使いづらく感じられるし、 数で勝負のヌンチャクはダウンしにくい人以上の大きさの敵にはやはり使いづらく、 結局、龍剣に落ち着いてしまうってところか。
  その近接攻撃に自動追尾性能があるというのは、自分が恐れていたことが現実になった第2ポイント。 極端な場合はコンボの途中に攻撃対象が勝手に変わっちゃったりする (複数の敵が一気に押し寄せるゲームではないので、そういう場面は目立たないけど)。 正直、この仕様に気付いた時点で「あ、もうあんまり期待できそうにないな」と思ったし、 結局のところ、それはそう間違っていなかった。
  また、基本的に1vs1を前提としたような攻撃ばかりで、 複数体の敵を対象にしたような攻撃がほとんど見当たらないのも気になるところ。 結局このゲームも、1vs1を拡張した(で、しきれてない)だけの格闘アクションなんだよねぇ。 もっとも、その追尾性能自体(&技の性能やヒットバックの調整)はシッカリしたものになっており、 XB『魔牙霊』みたいに1vs1の状況でも技が噛み合わないなんていう場面がなかったのは救い。
  当然のように、複数種類の敵が混在するような場面では、狙いたい敵を上手く狙うことができず、 非常に苦労することになってしまうんだけども、作る側もそれを理解してるのか、 特に全く性質が違う敵が混在するような場面はかなり控えめ。 その上、あまり敵が一度に押し寄せるような作りにはしてないのが上手かったところで、 大体3人くらいの敵が現れて、1体を倒すとまた1体現れという展開がほとんどとなっている。
  結果として“同じ(あるいは似たような)敵3人vsリュウ”というシチュエーションが一番多くなるんだけど、 それ自体は楽しいものに仕上がってると言っていいだろう。 やはり、ザコキャラの行動パターンが複雑で、攻撃パターンも単純ではないところがポイントか。 同じようなシチュエーションの繰り返しにも関わらず、 実際にはあまり同じようなことの繰り返しにはならず、意外なほどに飽きがこない。 かなりガードが効くことが重要で、ガードをしつつ転がり避けなどを交えて戦うことにより、 単なるボタン連打ゲーにはなってないのも良かった。 結構敵のガードも固いんだけど、(少なくともノーマル、ハード難易度程度なら)それが理不尽に感じられることもない。 ここらへんのバランス感覚は意外と難しいところだと思うので、評価したい部分だ。
  近接攻撃をフォローすることになるはずの飛び道具は、 初期装備で敵の動きを止めてくれるはずの手裏剣にあまり出番が無かったのが残念。 まぁ、他の飛び道具にしても、使える場面があるにしても 他のアクションと有機的に組み合わさっているようなところはなく、ここらへんがマイナス方向での『デビル メイ クライ』との違いか。

  15体以上登場するバラエティー豊かなボス戦は、 見栄えがするものが多く、内容的にもそれなりには作られているものの、残念ながら非常にムラがある。 概ね、人型のボスは攻撃が当たるかどうかがよくわからず、 あからさまな隙っぽいところでもガードされたり、避けられたりするので説得力が弱く、 大型のボスはその攻撃の対処法が分かりやすい反面、攻撃のバリエーション不足でやや淡白な印象。 そして、全体的に単発のダメージが異常に大きい (体力の半分近くのダメージを与えるような、そして少なくとも初見ではその攻撃を見切れないような攻撃が多い)。
  ここらへん、体力回復に幅があることが、逆に作り手の逃げ道になっちゃってるんじゃないだろうか。 体力回復アイテムは、回復量が少ない「霊命薬」が最大10個、全体力回復する「霊命仙薬」が最大で5個、 体力がゼロになった時点で自動的に体力が全回復する「魂返の護符」が最大3個、それぞれ持ち運べる。 ちなみに、店で買うときは霊命仙薬は霊命薬の10倍、魂返の護符は霊命仙薬の3倍の値段なので、 なるたけ霊命薬で済ませるように進めていくというのがゲーム攻略の基本路線になってくる。 で、体力回復のマネイジメントを運任せにしないというのは、 マトモなアクションゲームを作ろうとするなら重要な要素だと思うんだけど、ちょっと幅を持たせすぎなんじゃないかと思う。 体力回復するためにはポーズメニューを開かなくちゃならないので、 その頻度が増えれば増えるほどゲームのテンポが崩れることを考えれば、 持てる薬の数の上限を減らした上で、ボス戦での単発のダメージの減らした方が良かったんじゃないだろうか。 体力回復薬が自由に買えない序盤が必要以上に難しくなっちゃってる原因でもあるので (というか、それならそれで、そういうことを踏まえてバランス調整すべきだと思うんだけど、 ボス戦のダメージ共々、作る側がその幅を消化できてない証拠なんじゃないかな、と)。
  人型の敵相手ですら、このゲームのウリであるコンボがほぼ機能せず、 単発の攻撃をチビチビ当てていくしかないのも気になったし、削るようにしかダメージを与えられず長期戦になりがちであるにも関わらず、 残り体力によって攻撃パターンが変わるような工夫に物足りなさが残る。
  また、これは道中にも言えることなんだけど、難易度の鷹揚に脈絡がないのも非常に気になるところで、 序盤のボスが異様に強かったりする(なんせ、最初のボスがゲーム通してかなり強敵な部類だったりする)のに、 終盤で肩透かしを喰らうようなボスがいたりする。 つーか、ラスボスが最弱ってどういうことだよ・・・。 実はこれ、リトライの仕様との兼ね合いでもある。 つまり、ゲームオーバーになったらセーブしたところからやり直しとなるのに、 一部にはセーブポイントからボス戦まで距離がある場面があったりするのだ。 で、大抵、そういう場合はボスが弱く設定されている、と(3戦連続となるラストはその極限)。
  道中にしても、もうちょっと難易度上昇曲線をキチンと考えてほしかったな。 特に序盤は必要以上に厳しくなってると思う。 武器の技が少なく(特に投げ技がない)、忍術もないしと、こちらの行動の選択肢が限られてる上に、体力が少ない。 しかも、店が無く(もっとも金も無いのだが)、体力回復薬が限られてる。 その割には敵の攻撃がキビしい。 その上、独特で不備のある視点操作に苦労させられるわけで・・・。 意味のある(価値のある)高難易度ってのを、シッカリと考え直すべきだろう。

  改めて言うまでもないだろうが、 家庭用ゲーム機のゲームでは最上級のグラフィックであることは間違いない。 全体的に非常に丁寧に描き込まれており、マルチタイトルや例え最新のものでもPCゲーでは時折感じられる雑さみたいなものとは無縁。 日本、ヨーロッパ(?)、屋内、屋外、自然、人工物、それぞれ隙なく描き込まれているのがまた素晴らしい。 最近のリアルタイム描画では進歩著しい水の表現も、 水面だけじゃなく、滝の水しぶきであるとか、水中の画面の揺らぎ具合など、非常に凝ってる。 それでいて、フレームレートが60fpsでかなり安定してるというのは、格闘ゲームデベロッパらしいこだわりと言えるかもしれない。 あえて難点を挙げるとしたら、妙にテカってるように思える敵キャラの独特の質感くらいか。 そして欲を言えば、もっと破壊可能であるとか自分の行動に反応するオブジェクトを増やしてほしかったのと、 動的な光と影の演出を考えてほしかったところ。
  また、イベントムービーの質も非常に高い。 個人的には、イベントシーンもゲーム本編とシームレスなもので構成するべきと考えてるんだけど、 一応、そういった場面もある(そして、それはそれで質が高い)し、 リアルタイムポリゴンでは表現しにくいところ(大掛かりな破壊シーンやグチョグチョ系などの生体的な場面)で ムービーを使ってるのはわかる。
  デザイン関係は、生体的なものに関してはイマイチで、 一つ目のザコキャラが初めて出たときは「ダサッ(笑)」と思わず吹いてしまったほど。 メリハリに欠けたところがあり、禍々しさみたいなものが上手く表現できていない。 ただし、そういうものを除けば、敵キャラ、装備などにしても、なかなかセンス良くまとまってると思う。 特に、“現代の忍者”というテーマを上手く消化したリュウのコスチュームは秀逸。カッコいい。
  日本のゲームとしては、敵の首がスパーン!と飛んだり、血がプシューと出たりと、いわゆる残虐表現が結構凝ってるのもイイ。 まぁ、それほどバリエーションがあるわけじゃないし、 死体が残るわけでもないしと、それがウリになってるようなゲームではないんだけども。 これは、例えば、壁走りが極々短い時間しか続かなかったり、 壁くっつきが一瞬だけだったりってのと同じで、ゲームにある種の説得力を持たせる手法と言える。 日本のデベロッパはえてしてそういう“リアリティの扱い”が苦手だと感じていたので、こういった方向性は高く評価したいところだ。
  英語音声と日本語音声が用意されてるのも良いんだけど、当然のようにムービーのリップシンクは英語に準拠。 ただ、リアルタイムポリゴンのイベントシーンは、ちゃんとそれぞれの言語に合わせてリップシンクしてるっぽい。これはエラいなぁ。 それもあってか、ムービーシーンのリップシンクもPS2『Shinobi』の時ほどは気にならず (リュウが常にマスクを着用してるからってのもあるんだろうが)。

  自分の場合、難易度ノーマルでクリア後、ハードでクリアした状況で、ゲームデータ上のプレイ時間は40時間オーバー。 おそらく、ノーマルを普通にクリアするだけでも20時間くらいはかかるんじゃないだろうか。 必要以上に水増しな感じもしなかったし、ボスの数からしても真っ当なボリューム感のあるゲームと言えるだろう。 特に最近、ボリューム感を出すのが難しくなってきてるアクションゲームとしては、ここの頑張りも評価に値すると思う。


  かなり期待していただけに、肩透かしを喰らってしまったというのが正直なところ。 同じシビアさでも、もうちょっと緻密なシビアさを期待してたんだけど、 かなり強引な味付けで、肝心の戦闘全般では上達感&達成感というアクションゲームらしい楽しさをあまり感じることができなかった。 それでも、技術力の確かさは改めて証明されたし、方向性で評価できる部分もある。 海外でなかなかのセールスを記録してるらしく、早くも続編が噂されてるわけだけども、現時点で完成品というんじゃなく、 あくまでもまだ素材の段階という意識を持てるかが重要になってくるだろう。 問題点を整理して、次に繋げてられて初めて、このゲームの価値が生まれてくるんじゃないだろうか。 3D格闘アクションは日本のゲームデベロッパの生きる道だと思ってるんで、何とか頑張ってほしいな。

2004年4月27日記載