REVIEWジャック×ダクスター2
PlayStation2
2004年3月11日発売発売:SCE  開発:Naughty Dog  

  前作PS2『ジャック×ダクスター』は、2001年末に日米でほぼ同時にリリースされ、 翌2002年末にはPS2『ラチェット&クランク』がやはり日米でほぼ同時にリリース。 よってこの時点では、PS2の(プラットフォームホルダーが送る)アクションゲームとして、 この2タイトルを一年おき交互にリリースされていくんじゃないかと思ってた。
  が、2003年冬には、北米で両方の続編がほぼ同時にリリースされるという事態に。 実際は、年1ペースの「ラチェット」が異常っちゃ異常だと思うんだけど、 この「ジャック×ダクスター」が(ストレートなブラッシュアップに努めた「ラチェット」と違い)、 その内容の大幅刷新を図ったからこその結果でもあるのかもしれない。 もちろん、国内ではそれに加え、 SCEのアクションゲームの顔として年末に発売された『ラチェット&クランク2』に押し出される形で、 さらにリリースが遅れてしまったというのもあるわけだが。
  ちなみに、今年の冬もまた(少なくとも北米では)「ラチェット」と「ジャックン」の2本立てでのリリースが予定されている。 スポーツゲームじゃあるまいし、さすがに年1ペースは忙しなすぎるような・・・。 もっとも、2年経つと随分と時間が空いてしまったように感じてしまうという、最近のゲーム業界の移り変わりの激しさにも驚かされる。


  ということで、その刷新の大きなポイントは、 “物語の舞台の変更”“ミッション制の採用”“銃撃戦の追加”の3つ。

  とにかく、前作をプレイ済みの人は、本作のTVCMを見てその豹変っぷりに驚いたんじゃないだろうか。
  主人公「ジャック」、その相棒でイタチの「ダクスター」、メカニック担当の「ケイラ」、ケイラの父「セイジィ」の4人は、 失われた文明「プリカーソル文明」の不思議な機械を研究いていたが、その機械が暴走し、4人は異世界に引き込まれてしまう。 彼らが辿り着いた先は、「バロン」という独裁者が支配する巨大な街「ヘブンシティ」。 ジャックはそこに付いた途端、バロンの軍に捕らわれてしまう。 それから2年後。ダクスターはジャックを救出すべく監獄に潜入、ジャックとの再会を果たすが、 ジャックはバロンの「ダークウォーリアー計画」の実験体として、 暗黒の力「ダークエコ」を体に注入され続けて、変わり果てた姿に。 さらに、制御できない怒りによって、怪物「ダークジャック」へと変身してしまう体になってしまっていた。 何とか監獄から抜け出したジャックは、バロンへの復讐を誓うのだった・・・というのが物語の導入。
  舞台となるヘブンシティは、廃退的SF風の世界観だし、 パッケージ裏には「この腐った街をぶっ壊すんだ!」というキャッチコピーが。
  ただ、舞台&設定は変われど、そのノリは思ったほど変わってなかった。 その原因となってるのがジャックの相棒「ダクスター」の存在だろう。 前作同様、コロコロと大きく変化する表情、軽口を叩きまくりなキャラクター、共にパワーアップ。カワイイ。 しっかりとした英語のリップシンクを諦めて日本語音声でプレイしたのは、 何より、英語でプレイするとこの魅力的なダクスターのキャラが損なわれそうな気がしたため。
  ただそれ以外のキャラ(特に人間系)は魅力薄。 妙にサル顔の主人公ジャックを初めとして、そのモデリングはかなり独特。 それなりに演技してるイベントシーンも、全くといっていいほど盛り上がらない。 もちろん、脈絡の欠けたお使いに終始するという、シナリオの展開のマズさにも原因はあるし、 肝心のジャックが、その置かれた境遇を考えればちょっとおとなしすぎるような・・・。 せっかく設定でいじってきた上にちゃんとしゃべるようになったジャックは、もうちょっとハッキリとした性格付けをしてもよかったんじゃないだろうか。 まぁここらへんは、そこが秀逸だった『Beyond Good & Evil』の直後にプレイしたってのもマズかったのかもしれない。
  メインの舞台となるヘブンシティは、なるほど、ひとつの街といってもおかしくない広さ。かなり広い。 スラム街、商業地区など幾つかのセクションに分かれており、そのそれぞれが特徴的かつ非常に描き込まれている。 朝昼晩とゆっくりとグラフィックが変化してくのも前作同様。 そこに結構な人数がテクテクと歩いており、 そのすぐ上では市民の足である「ズーマー」というホバーメカ(ちなみにバイク型だけだった前作とは違い、車に相当するような中型のものも登場)がワラワラと飛んでいる。 それらのモデリングも全く雑には感じられない。 ヘブンシティ以外のステージも良く描けてる。 草木といった自然物にしても、(もちろんこのゲームの世界観に合わせたレベルではあるものの)かなり自然だ。 グラフィック(特に技術的な部分)に関しては本当に素晴らしいと思う。文句の付け所が見つからない。 「ラチェット」シリーズもそこらへんは優秀なゲームだけども、あれ以上のインパクトがある。

  で、今回のゲームの大まかな流れは、 街の中にいる誰彼にあってミッションを請け負い、それをクリアしたらまた次の誰かにあって・・・というものなんだけど、 とにかく街が広いもんで歩いての移動なんてかったるくて話にならない。 よって、飛んでるズーマーを強奪(△ボタンで行う)し、このズーマーによる移動が基本となってくる。 そして、ヘブンシティには警察的な役割の「クリムゾンガード」が多数巡回しており・・・と、 要するに“「グランドセフトオート(GTA)」的”な形と言えるだろう。
  が、下手げにこの形式としたことが、結果として、一番のマイナスになってしまったようだ。 その素晴らしいグラフィクもあって、低空でブーン!と飛んでいくズーマーに乗ること自体が楽しい瞬間もある。 でもそれはホンの最初のうちだけ。とにかく、このズーマーでの移動がタルい
  確かに人も歩いてるし、ズーマーも飛んでるが、いかんせんそれ以外に干渉できる要素、仕掛けがなさすぎて、 素晴らしいグラフィックに見合った箱庭感は感じられず、住民やクリムゾンガードの単調なセリフが、タルさに拍車をかける。 街は概ね平面的な構造をしており、立体的な構造は極々僅かだし、(お店であるとか)恒常的に利用できるようなスポットは存在しない。
  できることが少ないどころか、目的地に向かう以外はこれといって見当たらず、 結局、ズーマーに乗って目的地に向かって道なりに進んでいく以外の選択肢が見当たらない。
  例えば、クリムゾンガードが見てるところで人を轢いてしまったり、 クリムゾンガードを轢いてしまったりすると、クリムゾンガードがワラワラと集まってくる警戒状態になる (故意にクリムゾンガードに攻撃したときはもちろん、うっかりとクリムゾンガードのズーマーを引っ掛けてダメージを与えてしまった時にも警戒状態に)。 ズーマーの飛行高度はR2で二段階に切り替えられるんだけども、 高いモードではどうしても他のズーマーに引っかかってしまう(ズーマーの量の割に道幅が狭い上に、なぜかジャックだけが猛スピードで飛行してるので)し、 低いモードではどうしても人を轢いてしまう。 つまり、故意にではないのに警戒状態になってしまうことになる。 これが実に鬱陶しい。 で、その警戒状態を解除する方法が、明確な形で見えてこないというのが頂けない。 とりあえず、その場でクリムゾンガードを倒してても、次から次へといくらでも湧いてくる。 かといって、どこかに隠れられるような作りでもないし・・・。 まぁ実際は、ズーマーで逃げてればいつの間にか警戒が解除されたりもするし、 目的地に付いた時点で警戒は解除されちゃうんだけど、その方法論が明確になってないとゲームとして成り立ってるとは言えないだろう。 逆に、指名手配とかそういう要素もないので、(当然メリットも無ければ)鬱陶しい以上のデメリットはない、 つまり、ゲーム的にキチンとプレイヤーに関与できてるとは思えないのだ。
  やはり、お金的な要素がないと、なかなかこういうシチュエーションは生かせないんじゃないだろうか。
  しかも、ミッションの流れもほぼ一本道で、分岐はもちろん、横道に逸れるようなミッションも無かった、はず。
  このゲーム形式は、ミッションの分岐、カスタマイズ性、あるいは自由度の高いショートカットといった、 ちゃんとした自由度があってこそのものだろう。 そういうものがない以上、この部分は全て上っ面だけの飾りみたいなもん。 何のためにこういう形式にするのか、根本的にそういった考えが完全に欠けてたんじゃないだろうか。 じゃなけりゃ、こうはなんないでしょ。
  ズーマー関係で面白かったのは、ダメージを受けて炎を吹いてるズーマーから飛び降り、 そのまま(地面に着かないで)他のズーマーを乗っ取るっていう流れくらいだったなぁ。
  個人的に面白いと思ったのはズーマーよりむしろ「ジェットボード」の方。 これは浮遊するスケボーのようなもので、フリップやスピンといったトリックもさることながら、例のごとくグラインド(□ボタン)ができたりもする。 で、このジェットボードは単にミニゲーム的な存在ではなく、ゲーム中盤以降はいつでもR2ボタンで乗り降りできるというのが面白い。 ヘブンシティでも、このグラインドを使ったショートカットがあれば面白かったろうに、 実際はジェットボードに乗ったまま人に体当たりしてしまうと攻撃と見なされてしまい、また警戒状態になってしまうという・・・。 もうちょっとここで工夫できれば、オリジナリティのあるアクションゲームに仕上がった可能性もあったんじゃないかねぇ。
  で、こういう形のゲームの流れになったこともあり、前作のパワーセル、オーブに相当するような、 ゲームの進行に必須の収集要素はなくなっている。 その代わりの収集要素は「頭骸石」と「プリカーソル・オーブ」の2つ。 前者は、「メタルヘッド」という種類のザコ敵を倒すと出現する宝石で、一定数集めるごとにダークジャックが技や特殊能力を得ていく。 最初はこれがゲーム進行に必須なんじゃないかと思ったものの、 そんなこともなく、後述するようにダークジャックを使う機会自体がほとんどないので、存在感はゼロに近い。 後者は、各ステージに隠しアイテムのように置かれていたり、 ヘブンシティ内のミニゲームをこなすことによってゲットできるもので、一定数が溜まっていくごとにシークレット要素がオープンしていく。 悪くない要素だが、各ステージにあるプリカーソル・オーブの数が全くわからない上に、ミニゲームは全く面白くないので、結局は集める気にならず。

  大幅刷新といっても、その基本的な操作感&アクションは変わらず。 パンチとキックの微妙な使い分け、意外とクセがある二段ジャンプの操作感、 なぜか上下がズームイン・アウトに割り当てられている右スティックによる視点操作も相変わらず。
  アクション部分の最大の追加要素は、R1ボタンで銃撃を行うということだろう。 使える武器は物語の進行によって最終的に 「レッドバースト・ガン」「イエローブラスター・ガン」「ブルーバルカン・ガン」「ピースメーカー」の4種類となり、 それを十字キー4方向で切り替えて使うことになる。 いわゆるロックオン的な要素や主観で攻撃する要素はなく、向いている方向の敵を何となく狙ってくれる仕様 (ただし、レッドバースト・ガンとブルーバルカン・ガンにはレーザーサイトが付いており、どの敵を攻撃するのかは分かるようになっている)。 ということからも分かる通り、非常に大味な印象だ。 ショットガン的なレッドバースト・ガン、かなり遠くの敵にも攻撃できるイエローブラスター・ガンはまだしも、 弾数が極端に少なくちょっとボム的な存在でもあるピースメーカー、 ちょっと待つと一気に連射力が上がるがそれに見合った攻撃力が感じられないブルーバルカン・ガンは、 あまり活躍の場が見当たらず、武器の使い分けという意味でもイマイチ。
  1作目も視点に関しては褒められたもんじゃなかったけども、 本作でもそこに進歩がなく、予想以上に動きがモッサリとしており、 背景に引っかかるというありがちな難点を抱える上に、カメラリセット操作が用意されてないがない。 ジャンプアクションだけならまだしも、これが銃撃戦と組み合わさってしまうと、そのストレスはより大きくなってしまう。
  工夫のない体力の仕様も、これまた銃撃戦にミスマッチ。 こっちがどう行動するか以前に敵の射撃の精度に依存するような場面が結構あり、 要するに何となくダメージを食らってしまうわけだけども、 その割に体力は、最大値が8で敵からのダメージは概ね2という大雑把な仕様なのもいただけない。 ここらへんは『ラチェット2』と好対照。
  先に出た(といっても海外では本作のリリースの方が先だが)その『ラチェット2』が、 シューティング要素を上手く消化してきてただけに、余計に「なんじゃこりゃ」っていう・・・。 確かに、打撃から銃撃っていうコンボは「ラチェット」にない魅力ではあるんだけど、 見た目を除けば銃撃の意味はないしなぁ・・・。
  あと、一応前述のダークジャックへの変身も新要素っちゃ新要素なんだけど・・・。 これは、アイテムボックスを壊した時などに出現する「ダークエコ」をゲットしていくと「ダークエコメーター」が溜まっていき、 これが満タンのときにL2を押すと、ジャックがダークジャックへと変身するというもので、 ダークジャックは銃器こそ使えないものの、高い攻撃力と強力な特殊技を覚えることができる。 が、その活躍の場は全くといっていいほど見当たらず・・・。 高い攻撃力が必要とされるような敵はこれといって見当たらないし、遠距離攻撃ができなくなるというマイナスも大きい。 さらに、意外とダークエコが溜まっていかないので、発動できる機会もそれほど多くない。 しかもストーリーに絡んでくるわけでもないし、結局、ダークジャックもこれまたただの飾りのようなもん。
  それぞれのステージの作り自体はそう悪く、平凡の一言で済ますのはちょっと失礼かもしれないレベルではあると思う。 ただ、落下即死などの一発死の場面がムダに多いような(ジャンプアクションに結構クセがあるだけに余計に厄介)。 また、銃撃戦という要素が生まれたからか、アクション面では若干ダイナミックさが失われたような気も。 ボス戦もこれといって印象に残らず。特にラスボス戦はあり得ないくらいに淡白だった。

  自分のクリア時間は約17時間。 プレイ時間的には可もなく不可もなくといったところだけど、スーマーによる移動のカッタルさを考えれば、あまり褒められたもんじゃない。 本編のリプレイ性はゼロに近いはず(なんせタルいので)。 集めたプリカーソル・オーブは85個(最後のシークレットをオープンするには200個必要)で、ヘブンシティ内のミニゲームは15個くらい残ってる。 ここをやれば、当然かなりのプレイ時間になるんだろうが・・・。 前述の通り、各ステージに残ってるプリカーソル・オーブの数が分からないのもイタかった。
  ちなみに、字幕だけじゃなく音声の方も、日本語、英語の他に、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語から選択可。 ただ、音声を選択するというより、イベントシーンでの字幕を除いた全てがその言語になってしまうので、英語以外の言語でプレイするのはちょっと難しいはず。 まぁできて悪いことではないんだけどもも、 せっかくイベントシーンのリップシンクは英語に準拠してるわけだから、音声だけを英語化できる仕様があった方が嬉しかったろう。
  最後に細かいところでは、ゲーム中にポーズを押すと「リングメニュー」が表示され、 マップなどのデータやオプションの変更などができるものの、この項目がムダに数が多く、結構鬱陶しく感じられる。 普通に必要なのは、ミッション、マップ、ミッションのやり直しくらいなんだから、 階層的に整理するなり、もうちょっと工夫して欲しかったところ。 もっとも頻度が高くなるのは全体マップ表示のはずなんだけど、 ポーズを押した直後には必ずミッションが表示されるようになっており、いちいち煩わしい。 リングメニューの表示自体も(ホンのちょっととはいえ)テンポが悪いわけで・・・。 マップとミッションを表示して、ミッションのやり直しの選択をできるようにするくらいなら、一画面で納まるっしょ。


  前作が結構好きだっただけに、とにかく期待を大きく裏切られた一本だった。 どういう意図を持ってミッション形式に変更したのか。 そして、「ラチェット」がアクションシューティング的な方向性を見せてたのに、なぜに同じような方向に向かってしまったのか。 ましてや、そういう方向へ上手に改良された『ラチェット2』と比べると、本当にお粗末としか言いようがない。ガッカリ。 ダクスターなんかを見る限り、人間をフィーチャーしたシリアス路線より、 むしろ動物キャラクターを使ったコミカル路線の方がいいものができるんじゃないかと思ったりもした。

2004年5月26日記載