REVIEW天空2
Xbox
2004年2月26日発売発売:マイクロソフト  

  レース要素皆無のスノボゲーXB『天空-TENKU-』は、 やや作りの粗いところもあったけども、とにかくゲレンデ感が秀逸で、マイベストノボゲーの1つとなった。 よって、この冬、GC/PS2『SSX3』、GC『1080°シルバーストーム』に続く3本目のスノボゲーとなる本作 XB『天空2』は、個人的には大本命の一本ということになる。


  内容的には、相変わらずレース要素皆無のフリースタイル専門スノボゲー。 独特な部分は前作を継承してるので、とりあえずは前作のレビューを参照のこと。
  操作面での変更は、まず、前作ではAXYボタンでも行えたグラブトリックが、完全に右スティックでのみ行うようになったこと。 前作でボタンを使ってた人は戸惑うだろうけど、 感圧を使ったボタンのトリックは、思ったような技が非常に出しにくかったので、個人的には当然の変更だと思う。
  Bで行うレールスライドの操作法も若干変化。 前作では画面中のキャラを見ながらLRでバランスをとってたのに対し、 今回はバランスのゲージが表示され、それを見ながら左スティックの左右でバランスをとるようになった。 面白いのが、左右にバランスを崩してジャンプすると、 そちら側にジャンプするということ(逆に言うと、真正面にジャンプするためにはちゃんとバランスがとれてなければならない)で、 それを使ってレールからレールへのジャンプをする場面が出てきたりもする。
  地味ながらも結構大きいのは、前作では、しゃがみ中(ジャンプ準備時)にも通常時とほぼ同じようにターンができたんだけど、 本作ではさらに、しゃがみ中の方が鋭いターンができるようになったこと。 いや、確かに体重をかけてるんだからターンできやすいはずという理屈は分かるし、 絵的にも説得力があるんだけども、このゲームではしゃがんだら後はジャンプするしかないわけで、 そういう操作の上でこういう仕様にするべきだったのかというと非常に疑問だ。
  新たな要素として大きいのは、平地でのトリック「バター」の追加。 平地を滑っているときに素早く左スティックを上下、あるいは下上と入力するとバターという状態になり、 スティック上下でバランスをとることでそれを持続していく。 「SSX」でも3作目で同じようなボードプレスが採用され、コンボ色が強くなったわけだけども、本作もそれに似たような傾向がある。 ただし、レールスライド、バター共にそんなに簡単に長い距離をできるようなもんでもないし、高得点を狙うには他に重要な要素があるしと、 少なくともゲームをクリアするくらいまでのレベルであれば、ムリしてまでコンボを狙う必要はないバランスになっている。
  他に新しい操作として、Yボタンで行う「リップトリック」(ハーフパイプの淵でバランスをとるハンドプラントなどのトリック)もあるけど、 滑る流れが止まってしまい、コンボに組み込みにくい上に、そこまでのメリットもないようで、存在感はゼロに近い。
  また、スノースケート(ボードに足が固定されてないスノボ)も登場し、 スノースケートで滑ってるときは空中でXを押すとフリップ系トリックを出すことができる。 が、これもいつでもスノースケートで滑れるというわけじゃなく、 予め設定された特定のドロップポイント、特定のチャレンジで使うだけなので、やはりそこまでの存在感はない。

  本作のキーワードは「スタイル」だ。
  このゲームの根幹とも言える新要素が「スタイルボーナスシステム」。 これは、微妙かつスムーズな動きが評価されるというもので、 例えば、空中で回転するときは左スティックを一杯一杯まで倒すのではなく、中途半端な位置で固定する。 すると、画面下部に表示される「スタイルメーター」がギューンと上昇していき、高ポイントに繋がるというわけ。 これにより、単にグルグルと回転しただけのトリックより、格段に高いポイントが獲得できる。 ・・・と説明してもあまりピンと来ないとは思うんだけど、 “とにかくズドーンとかっとんでクルクル回れ!”とか、“素早くコマンドを入力しろ!”とかだった これまでのスノボゲー(に限らずトリック系アクションゲーム全般か)とは、 一線を画すプレイ感覚に仕上がっており、見た目的にもかなり不自然さが軽減されてると思う。
  また、着地が4段階に評価され、それによって点数が上下するようになったし、 前作では時間に比例してたレールトリックの点数が、距離に比例するようになり、 異常なほどには点数を稼げないようになったのも改善点。 スタイルの導入とこれらの改善により、トリックの点数の説得力が格段に増したのが、 前作に比べてゲームとして格段に楽しくなったポイント。
  その反面、あまりにもコケ易くなりすぎた感もある。 確かに、「現実にそのスピード&その角度でいったら確かにコケるわな」とは思うんだけど、 ゲームとしては必要以上に難易度を上げてしまってるところも。 このゲームの場合、着地が(コケないまでも)悪いと、トリックの点数が大幅に下がるという要素がある (さらに、操作不能の硬直時間が生まれてしまう)わけで、それをもっと拡張する形で対処してほしかった。
  そういったゲーム部分とは別の、 もう1つの“スタイル”の意味は、スノボ文化のスタイルということだろう。
  前作同様、実在の山、実在のウェア&ギア、実在のプロボーダーが出てくるわけだけども、 今回はさらに実写ムービーが非常に多く収録されているのがポイント。 それも、単なるスノボのビデオクリップではなく、プロボーダーへのインタビュー、 スポンサーへのインタビューといったものがメインで、メディアも含めたスノボ文化のスタイルを説明しようという意図が感じられる。 ちなみに、分量が多いからか画質はイマイチだけど、ちゃんと字幕付き(って当たり前?)。 さらに、そこらへんを十分に意識したんであろう、 スノボ文化の説明を上手く散りばめてある取扱説明書の作りも、非常によくできてると思うな。

  メインとなるのは前作のSUPERSTARに相当する「CAREER」モード。 その流れは基本的に前作と同じながらも、そこに、新たなチャレンジとして「PHOTO SHOOT」が追加された。 これは、色の付いたリングを全て通過しつつ(その感覚はかなり短いので、要するに“定められたルートを辿りつつ”)、 目標スコアをクリアすれば成功というもの。 「PRO」チャレンジにしても意外と融通が利いてしまう中、かなり明確な課題クリアモードということになり、これがなかなか面白い。 リングをくぐったときの「カシャカシャ」というSEも気持ちイイ。 ただ、相当タフな内容なので、かなりの試行錯誤が強いられるはず。 それもまた良いところなんだけど、ハーフパイプを使った課題だけはちょっとシビアすぎるような。 また、通常ライディング中の要素としては、ステージ内に隠された8体の雪だるまを破壊する「SNOWMAN」に加え、 マウンテンごとに5つ設定された、トリックに関する課題「TRICK」や、 「Tony Hawk's Pro Skater」シリーズなどでもお馴染み「GAP」が用意されており、 これらをクリアしていくことによってもプレイヤーのランキングが上がっていく。 前作よりは分かりやすくなった気がするSNOWMAN、課題が明確なTRICKはいいとしても、GAPは判定がシビアすぎ。 ステータスによってジャンプの飛距離が変わってきちゃうこのゲームでは、 届かないことは元より、跳びすぎてしまって×なんてこともあるので、もうちょっとユルくしてほしかったところだ。
  一点気になったのは成長要素。 前作同様、チャレンジをクリアしていくことでスキルポイントをゲットし、 それぞれのステータスに割り振っていくんだけども、まず、その基準がよくわからんというのが1つ。 チャレンジをクリアしてもポイントをゲットしないこともあるし、ゲットする量もアヤフヤ。 これはランクの上昇についても言えることで、もうちょっと分かりやすい形にしてほしかった。 あと、ランク1位になっても全てのステータスがMAXになるほどはスキルポイントは得られない。 スキルの割り振りで性格づけをしていくような内容ではないと思うんで、この仕様もちょっと謎。
  ちなみに、自分はCAREERモードでランキングが1位になり(つまり、最後の大会で1位を獲得)、スタッフロールを見た段階。 それでもSNOWMANやGAPはもちろん、PROやPHOTO SHOOTもちょっと残ってるし、 さらにランキング1位を達成すると、各山に1つずつ「LEGEND」という超高難易度チャレンジが出現。ボリューム感も十分。
  ゲレンデ、雪山感はやはり秀逸。 ジャンプ台やレールといったいわゆるヒットアイテムの量が増えたので、 その分、リアルなゲレンデっぽさは若干薄れた感じもあるけど、それでも十分。 いぜんとして30fpsながらも、全体的にあらゆる要素が少しずつ向上した印象で、グラフィックは非常に美しい。 空中での回転はまだまだぎこちない(もっとも、これはジャンプ後に回転を調整できるゲームシステムでは限界があると思う)けど、キャラクターの動きも向上。 これは、前述のスタイルがプラスになっている部分も大きいはず。
  「Electronica」「Emo」「Hardcore」「Rap,Hip Hop」「Rock」「Ska,Reggae,Surf Rock」というジャンル別に 収録されてるインディーズの楽曲は前作の約230曲から約300曲へと大幅増。 Xbox本体に録音した曲も流せたり、白ボタンによる曲スキップという嬉しい機能も継承 (本作ではメニュー画面等、いつでも曲をスキップできる)しつつ、 さらに「お気に入り」機能が追加された。 これは、黒ボタンを押すとその時に流れてる曲がお気に入りに登録され、 サウンドトラックで「FAVORITE」を選択することにより、お気に入りの曲が流れるようになるというもの。これまたナイス。 欲を言えば、現状ではお気に入りへの追加とお気に入りの全消去しかできないので、 お気に入りのリストを見ながら削除できたりするような機能がほしかったところ。

  唯一といっていい退化した要素はリプレイ。 前作はスティックで早送り等の操作をダイレクトに行えた上に、 黒ボタンで視点を切り替えられたのに、本作ではそこらへんがなぜか削除されてしまった。 リプレイの視点も無難ながらも工夫が感じられないし 切り替えがないことも含め、バリエーションがない。
  グラフィックは優れてるんだから、このゲームのコンセプトから考えても、 むしろ、自分で(曲も含めて)編集してオリジナルビデオクリップが作れるような仕掛けすらほしかったというのに・・・。


  見事に、前作をブチ抜いてマイベストスノボゲーに躍り出た。 相当に試行錯誤を強いられるので、実際は、ちょっとオススメし難いところもあるんだけども、 スノボゲーのみならず、トリック系アクションゲームとしても、 新たな地平を切り開いたと言っても過言ではないと思うし、是非、試してもらいたい一本。 ちなみに、本作には前作には無かったチュートリアルも用意されてるし、前作をプレイする必要は全く無い、はず。

2004年5月6日記載