REVIEWクリムゾンスカイ High Road to Revenge
Xbox
2004年5月20日発売発売:マイクロソフト  

  2000年9月にPCでMSからリリースされたフライトシューティングゲーム『Crimson Skies』の リメイク版というか、テイスト継承版というか、 そんな感じのXB『Crimson Skies: High Road to Revenge』(北米では去年10月リリース)のローカライズ版。 その位置付け的には、「Mech Warrior」→「Mech Assult」や「Unreal Tournament」→「Unreal Championship」みたいな関係かな? (もっとも、本編のPCでの展開が予定されてないので、ちょっと違う)。
  海外ではXbox Liveによる対戦の評価が非常に高いようなんだけど、例のごとく、今回はシングルプレイにしぼったレビューということに (ちなみに、画面分割によって、オフラインでも最大4人まで対戦可、Liveにも1つの本体から2人同時に参加可能となっている)。


  舞台はIF世界の1930年代アメリカ。 アメリカ連邦政府が崩壊し、いくつかの州からなる小国家に分裂。 道路や橋といった各国家間の陸路は断たれ、空路が主な交通手段となった世界。 プレイヤーは空賊団「フォーチュンハンター」のリーダー「ネイサン・ザッカリー」となって、 他の空賊や小国家軍などを相手に大暴れすることになる。

  前のPC版もややフライトシューティングテイストなゲームだったらしいんだけど、本作はそれがより一層強まってる、らしい。 飛行機の操作は基本的に左スティックのみで行えるようになっていて、 例えばスティックを左に倒せば勝手に左にロールして旋回となり視界が傾くこともない (ただし、スティックを下に入れ続ければちゃんと宙返りになってその時にはもちろん視界は上下逆転するし、 右スティック左右で手動のロール(というか機体傾け)も可でこの時にもちゃんと視点は傾く)。 以前のDC『エアフォースデルタ』やPS2『スカイオデッセイ』にもあったような形式で、 それらは非常に操作し難い印象があったんだけども、その調整が上手いのか、本作は予想以上に違和感がなく、自由に飛べる感じ。 まぁここらへんは、あまりシビアではないそのゲーム性にもよるんだろう。 例えば、多少のスピードで地面などの障害物に接触したくらいではダメージすら受けないし、 よっぽどスピードが速くて垂直にぶつからない限り、即死ってのもまずない。 さらに、メインウェポンは弾数無制限だし、敵を倒すと時折出現する回復コンテナをゲットするとその場で耐久度が回復したりもする。 コックピット視点も用意されていない。
  機体の基本操作は左スティックの他に加え、Yの一時的な(ボタンを押している間の)加速とBの一時的な減速で行う。
  変わってるのが「特殊飛行」というアクション。 右スティッククリックをした直後に左右のスティックを倒すと、その方向の組み合わせによって様々な特殊飛行を行うというもの。 例えば、左スティック上&右スティック下だとロールしながら降下しての180°ターン、 左スティック左&右スティック左だとロールしながらへの平行移動、左スティック下&右スティック上だと急上昇など。 ゲームクリアに必須ってほどじゃないんだけど、特に180°ターンなどは便利だし、何より使うとカッコいい。 家庭用機ゲームらしい面白い要素だった。

  基本的なゲームの流れは、 そのマップ中のある対象(アイコンが表示される)の近くでアクションボタン(デフォルトはX)を押すことでそれと会話し、 ミッションを受け、それを達成したらまた他のミッションを探し・・・を繰り返し、 そのステージの一番の目標をクリアしたらステージクリアで次のステージへ、というもの。 例えば、普通に飛んでる飛行船を撃墜するとお金をゲットできたりするし、やや“GTA的”な流れっぽく感じるかもしれないけど、 ミッションを請け負う流れにはほとんど自由度がないし、あくまでも雰囲気作りといった感じ。 必要以上に行ったり来たりさせられることもないし、そういう意味では十分に成功してると言えるだろう。
  戦闘は当然のように機銃によるドッグファイトがメイン。ロックオンのようなシステムは存在しない。 一応、敵機も自機と同じくらいの性能になってるようだけど、 その行動に工夫がないので、少なくとも1vs1なら苦労はせず、まさにザコキャラって感じ。 こういうフライトシューティングって、個々の戦闘があまり変わり映えせず、 結果としてゲーム全体がややメリハリに欠けてしまうことがある。 しかし、このゲームはイロイロな要素を上手くまとめており、上手い具合にメリハリが付けられていると思う。 相手は戦闘機は元より、中ボス的な存在となる飛行船や、果ては謎の巨大メカまで出現。 ステージも、海上、ビルが乱立する都市、後半には地下遺跡が出てきたりとバリエーション豊かで、 ボス戦も含め、各ミッションの内容も工夫されてる。 面白いのが、地対空砲台の近くでアクションボタンを押せば、飛行機を降りてその地対空砲台に乗り込んで、攻撃することができるという要素。 で、好きなときにまたアクションボタンを押すと元の飛行機でまた飛び立つ、と。 各ミッション内にこれが上手く散りばめられており、良いアクセントになっている。
  また、大抵のステージに修理工場が存在し、ミッション中であろうとなかろうと、そこに行けばダメージを修復できるので、 よくも悪くも、多少のダメージに対して敏感になる必要はないことが多い。 つまり、大抵の場合は、戦闘して手遅れになる前に修理してまた戦闘に戻って・・・の繰り返しという形になるわけだ。 とはいえ、制限時間があるようなミッションも多いし、もちろん、修理工場がない場面もあるので、 それによって緊張感が削がれるというほどでもなく、これもメリハリを生んでる要素のひとつになってると思う。
  欲を言えば、もっと空賊っぽいミッションがほしかったし、 戦闘機の敵にもうちょっとメリハリ(敵のエースパイロットみたいな)がほしかったけど、 ゲーム全体を通した展開、各ミッションの内容に大きな不満はナシ。 よくできてると思うし、かなり満足。

  残念だったのが、お金という要素が全く生きなかったこと。 基本的に、各機体の1段階だけの性能強化にしか使わない(あとは一部のミッションで少し、修理の度に極々僅か使うだけ)し、 そのアップグレードの足かせになるのはむしろ「アップグレードトークン」というアイテム(後述)の方。 なもんで、お金そのものに全く存在感がない。 まぁ、ゲームにおけるウェイトが大きくないもんで、これがゲームの足を引っ張ってるわけではないものの、 例えば、何らかのカスタマイズ要素と絡めるなりして機能すれば、ミッションの内容にもより幅が生まれたに違い。
  もっと分かりやすいところで残念だったのが、リプレイ要素が上手く設けられてなかったこと。 シングルプレイのキャンペーンモードは、極端に短いわけではないものの、そこまでボリューム感があるわけでもない。 確かに、クリアしたらLiveで対戦して、っていう意向はわかるんだけども、にしても、もうちょっと上手くリプレイ性を設けられたはず。 その際たる例が機体のアップグレードに必要となるアップグレードトークンの仕様。 これは各マップ内に隠されてたり、特定のミッションクリア時にゲットできたりするんだけど、 なぜか、2周目プレイ時にも1周目と全く同様にゲットできていってしまう。 これが“マップ内のアップグレードトークンをゲットしたらそれはそれっきり”っていう形であれば、 ある種の探索要素として、リプレイ性を高めたと思うんだけどな。探索(飛行)自体は楽しいんだし。 難易度(4段階)をステージ間に自由に変えられちゃうという仕様もどうかと思うし、 ゲームクリア後にステージ選択ができないのも残念だった。

  グラフィックは無難な美しさ。 動きが軽いこともあってか、リアルなスケール感こそ感じられないけども、地形の描き込み具合は上々だし、 水面、モヤといったエフェクトのきかせ方が上手く、全体的に非常に美しい。 肝心の空も綺麗だ。
  また、海外のゲームにしては、プリレンダムービーでのストーリー進行が非常に多いゲームでもある。 まぁ、キャラが立っていることもあって、飛行機に乗ってない時のストーリー進行はそうならざるを得ないんだろう。 あまりクドクド話すことはなく、アクションシーンのような場面が多いので、それでダレることもないはず。 決して美形とは言いがたいキャラクターの顔だけども、 表情の変化は多彩かつ結構ナチュラルだしと、その質は高い(画質はあまりよくないが)。 ローカライズの仕事には定評があるMSだけあって、本作もそこらへんは十分に及第点。 そのムービーシーンでは、せっかくのかなりシッカリしたリップシングがムダになっちゃってるけども、TV映画を思わせる雰囲気に仕上がってる。 そして何より、ゲーム中の会話(味方機のセリフなど)が日本語になってるのが大きい。 独特の世界観に味のあるキャラクターたちで、ハリウッド映画的な話の展開も良かった。


  最初の方で書いた通り、Liveによるマルチプレイ対戦の高評価が目立つタイトルで、 確かにシングルプレイはややコクがなく、傑作には至らないものの、 お手軽ながらも、飛んでる感覚が楽しめる秀作と言えるんじゃないかな。 現代機での機銃によるドッグファイトには説得力がなくなっちゃってる中、 過去の架空世界という設定も良かったし、何気にオンリーワンの魅力を持つ一本でもあると思う。

2004年6月14日記載