REVIEWMetal Arms: Glitch in the System
Xbox
2004年5月20日発売国内販売:マイクロソフト  海外販売:Vivendi Universal  開発:Swingin' Ape Studios  

  昨年11月に発売され、メディア関係の評価は高かったものの、 あんまり売れたという話も聞かない3機種マルチタイトルが、 パッケージと説明書だけのローカライズというXboxワールドコレクションに登場。
  ちなみに開発のSwingin' Ape Studiosは、Midway社を出た人たちが設立した新規デベロッパで、この『Metal Arms』がデビュー作な模様。


  舞台となるのは「Droid」と呼ばれるロボットたちが住む惑星「Iron Star」。 この惑星は労働者Droidを科学者Droidが改良することで発展してきたのだが、 「Exavolt博士」はDroidの根本的な“進化”を目指して研究を進め、新たなロボットを完成させた。 しかし、そのロボットは自らを「Corrosive将軍」と名乗り暴走、研究室を飛び出してしまう。 その後、彼は「Mil」という新たなロボットの軍団を作りだし、今や惑星Iron Starを制圧しようとする状況になっていた。 そんなある日、とある廃墟を調査中だった反乱軍のDroidが、通常のDroidとはデザインの異なる不思議なロボットを発見し、基地に持ち帰って修復。 彼は自分が「Glitch」という名前であることしか覚えていなかったが、 そのまま反乱軍に参加、Corrosive将軍率いるMil軍団に立ち向かうのだった・・・というのが話の導入。
  プレイヤーはGlitchを操作し、Corrosive将軍を倒すべく、全42ステージを次々とクリアしていくことになる。

  その基本的な内容は、FPS変形の客観視点シューティング。 つまり、左スティックでキャラ移動、右スティックで旋回込みの視点操作という、 最近の和ゲーではPS2『THE 地球防衛軍』のようなタイプ (少し古い話だと、自分としてはDC『MDK2』なんかが一番近いイメージ)。 個人的には、右スティックの操作感はやや合わないところがあって、 視界の動きが速すぎるか遅すぎるかで、なかなか丁度よい塩梅に落ち着いてくれなかったのが残念。 根本的なアナログの勾配の設定が調整不足なのかもしれない。
  他の操作は、Rトリガでメインウェポン、Lでサブウェポン、Aでジャンプ。 ジャンプは2段ジャンプが可能なんだけど、高さがほとんど稼げない反面、距離はかなり伸びるという、その操作感はやや特殊。 極々微妙な調整しかできないジャンプの基本的な操作性はまぁ構わないんだけど、 せめて2回目のジャンプ時には自由な方向にジャンプできるようにしてほしかったな。 ジャンプアクションはそれほどシビアではないものの、このジャンプも含め、全体的に立体的な展開が多いのは好感が持てる。
  メインウェポンは多彩。 マシンガン、ショットガン、ロケットランチャー、スナイパーライフルといったベーシックなものの使い分けは非常に重要だし、 「Ripper」という直接的なダメージは与えないけど腕を切り落として無力化させてしまう武器も面白い。 そして、中盤くらいで登場する「Control Tether」という特殊武器が、 このゲームのキーを握ってるといっても過言ではない。 これは敵の大部分の背後に存在するデータポートという場所に打ち込むことで、 その敵に乗り移って行動できるようになるというもの。 乗り移るとGlitch本体はその場で仮死状態となり、 乗り移ったボディが破壊されたり、その場所から一定以上の距離離れてしまったりした時点で、またそこに戻ってプレイ再開となる。 もちろん、あからさまに用意された“こいつを乗っ取ってくれ”シチュエーションもあるんだけど、 例えば、EMPグレネードで敵の動きを止めて背後に回ってその敵に乗り移るとかも可。 一般兵「Grunt」はもちろん、上級兵「Guard」、 そして何より1体でも苦労させられる大型ロボ「Titan」を乗っ取ることができれば、 脅威が去る上にこちらの戦力アップと、それで一気に戦局を打開できたりするわけだ。
  一方のサブウェポンは主に手榴弾型の武器で、 XB『HALO』同様、これもいいアクセントになっている。 こちらにも「Recruiter Grenade」という敵ロボを仲間にしてしまうグレネードがあって、 弾数は極端に少ないながらも、終盤は重宝する。
  このゲームでは基本的に避けきれない敵の攻撃がほとんど。 緊急回避的なアクションが用意されてないし、敵の攻撃を避けるために動くというより、 敵の弾になるたけ当たらないように動き回るという感じで、撃って撃たれての混戦となることが多い。 やや大味に感じられることもあるけど、敵味方入り乱れての激しい戦闘ということで、これはこれでアリだろう (それゆえに狙撃で予め敵を排除したり、敵に乗り移ったりということの重要性が高まってるというのもあるんだし)。 ただ、これによって自分へのダメージも小さなダメージの蓄積という感じになっており、 そういうこともあってか、ダメージを受けてることがややわかり難いのは難アリ。 さらに爆風のダメージ範囲が、その見た目以上に大きいことが非常に厄介。 そうならそうで、もうちょっと爆風を大きく描いてほしかったな。
  ボス戦にしても、敵の攻撃を見切るという攻略性は非常に弱いが、そもそもボス戦の比重が大きいゲームではないし、 そういったボスステージではそれ以外の部分の工夫がなされているので、それが大きなマイナスということではない。

  各ステージは流れ的には一本道でありながらも、 その展開が工夫されてるし、仕掛けも多様で飽きさせない。 混戦っぽさを演出するロボットのセリフや、 ちゃんとグレネードを避けたり、物陰に隠れたりという敵AIも (こちらの裏をかいたり連携したりというほどではないが雰囲気作りという意味では)結構優秀。 戦車やバギーを操作するステージも良いアクセントになっている。
  難易度は結構キツめ。 特に、終盤近くになると「なんじゃこりゃ・・・」っていう場面がチラホラ。 いくら工夫の余地があるとはいえ、ちょっとやりすぎに思われるところも。 敵の攻撃をどうやっても避けきれないゲームだと思うので、 ノーマルはまだしも、それ以上の高難易度なんてゲームになってるのかねぇ・・・。
  あと、暗すぎるステージがちょっと目立つかな。 スポットライト処理されてるステージが結構あるんだけど、それでフォローしきれるはずもなく、かなりのストレスに。
  全42ステージとはいうものの、それこそボス戦のみのステージがあったりもするので、プレイ時間はかなりバラつきがあり、 自分の全てのステージのプレイ時間合計は約17時間ほど。 超ボリュームってほどじゃないものの、シングルプレイのプレイ時間としては及第点だろう。 さらに、収集要素としては「Secret Chip」があって、これを集めれていくとマルチプレイのマップがオープンになっていく。 ちゃんと各ステージに何個隠されているか明示されてるし、一部にはステージクリアが規定のタイムを切っていればゲットできるという工夫があるのも○。 ただいかんせん、結構よくできているらしいそのマルチプレイモードは、 Live非対応な上に、いわゆるBOT戦もないので試す機会すらなかった。勿体無い。

  グラフィックはなかなか美しい。 キャラクターの全てが(絵の質的には)無機質なロボットで、 舞台もやはり無機質な基地、都市がほとんどというのも、今の3Dグラフィック向きなんだろう。 SF的な描写も楽しい。 ただ、キャラのモデリングの緻密さに比べ、地形(特に自然系)はやや大雑把に感じられることも。 しかし、Xboxなりに美しいと思える内容でありながら、実は他機種もほぼ同レベルのグラフィックってのがスゴい (ただし、共にフレームレートに難アリで、PS2版はややグラフィックの質も落ちるらしいが)。
  無骨でヤボったい感じのメカデザインは明らかに日本じゃウケなさそうだけど、 海外サイトの情報を見る限り、かといって向こうでもウケたわけじゃないらしい。 ただ、その動きには愛嬌があるし、色使いもさほどケバくなく、結構まとまっており、 実際にプレイしてみると好印象だったな。 腕のパーツが取れたりとか、下半身パーツだけが走り回ったりという、ロボらしい細かい芸が効いてるのも良かった。
  SEは悪くないんだけど、やや地味か。 ロボっぽいガッチョンガッチョン感は思ったほどではなかったし、ダメージが受けたのがわかり難い一因がここにあるようにも思う。 テクノなBGMは割と印象的。

  最後に、かなり苦労させられた英語に関して。
  やはり字幕がないのはかなりの痛手。 さらに、軍隊調ということもあって、セリフが速い上にスラングや訛りも多いので、 実はイベントシーンの会話や無線での指令などの理解度は、我ながらかなりお粗末だったと思う。 3割くらいしか理解できてないんじゃないかな・・・。 もっとも、基本的には(展開は多彩だが)道なりに進んでいくだけの場面がほとんどなので、 英語が原因で詰まることはないはずだけど。


  なるほど、なかなかの良作だった。 アクション面ではこれといった特徴がなく、かなり戦闘偏重なアクションシューティングでありながらも、 独自の工夫と、展開の面白さにより、それが十分面白いものに仕上がってると思う。 しかし、基本的な操作感が手にもっと馴染み、難易度の鷹揚がもうちょっと自分のツボにハマり、 そして英語が100%理解できてれば、もっと楽しめたんだろうな、と。

2004年6月21日記載