REVIEWガングレイヴOD
PlayStation2
2004年3月4日発売販売:レッド・エンタテインメント  開発:戦船  

  2002年7月にリリースされた前作PS2『ガングレイヴ』は、 ユーザーからの期待は大きかったのに、いざ出てみたら「アレ?」という声が多かったんだけど、 その独特のテイストと攻撃偏重のゲームシステムで、個人的には結構買ってるタイトルだったりする。
   その後、深夜枠でTVアニメ化され(というか、過去のエピソードがTVアニメで語られ)、この続編のリリースとなった。 本当なら発売日に買ってチェックしたかったんだけども、丁度忙しくてねぇ・・・。 で、戦船はデザイン関係の仕事をしただけかと思いきや、スタッフロールを見る限りでは開発自体を担当してるようだ (というか、今年の始めにセタと合併したらしい)。


  とりあえず、前作の改良作であるからして、まずは前作のレビューをチェックしてほしい。
  キャラの背後に(ほぼ)視点固定でありながら、いわゆるFPS的な操作法ではない操作法、 体力&シールドの仕様など、基本的なところは継承しつつ、前作の難点はかなり改善されている。 例えばL3ボタンを押しながらじゃないと速く歩けないなんてことはなく、 結構普通のスピードで移動できる印象になったし、横っ飛びも一応アナログな方向に跳べるようになった。
  そして、「DEMOLITION SHOT(以後DS)」の位置付けの変化が、ゲームシステム上の最大の改良点と言えるんだろう。 ビートカウントを繋げてDSゲージを溜めるというのは変わらないものの、 前方集中型、周囲攻撃型、時間失速型(要するに一定時間周囲がスローになる)の3種を選んで発動。 前作のようにビートカウントが途切れることはなくなったし、 何より、これによって(どのDSを発動しても)シールドが回復するようになったのが最大のポイントとなる。 シールドを自動回復させるためには結構待たねばならず、敵が近くにいるときはほぼムリなわけで、 つまり、“ある程度受けるダメージを無視してバリバリと攻撃し、 シールドがなくなったら(あるいはなくなりそうになったら)DSを発動してシールド回復”ってのが、本作の大まかな流れになってくるわけだ。 実は前作ではこのDSがあまり上手くゲームに馴染んでなかっただけに、この変更はかなり大きく、ゲームに上手くメリハリが付けられたと思う。
  ちなみに、DSはそれぞれ3レベル用意されておりレベルに応じたゲージを消費するんだけど、 最初から全てのDSが使えるわけではなく、ゲームを進めてスコアを増やしていくにつれて増えていき、 一度増えてしまえば、他のモードやまたゲームを最初からプレイしたときにもそれが継承されるという形。 ちなみに、普通にプレイすれば初回クリア時には全てレベル2までくらいは、 あるいは初回からでも意図的にスコアを狙っていけば、初回クリア時に全てのDSをゲットできるかもしれない。 高レベルのDSはそれに応じたDSゲージを消費するということで、 単純な成長要素ではないし、あまりゲーム的に効果のある仕掛けってわけではなく、 最初からは強力なDSを使えないようにするというだけのものか。 まぁ、レベル3の各DSの演出は笑えるし、意味がない仕掛けではないだろう。
  もう1つのポイントが溜めショットの追加・・・というより、むしろ通常ショットを防御する敵が(大量に)現れることだ。 盾を構えた敵はもちろん、剣を装備した敵にも通常ショットはかなり弾かれてしまう。 で、そういう相手には、溜めショットを撃ち込むか、近接攻撃で攻撃する必要がでてくるわけ。 これにより、必然的に攻撃すべき対象の優先順位が生まれてくることになり、 これがゲーム性を高めることに繋がったし、連打の中に溜め動作を加えることで、これもやはりメリハリを生むことになった。 ・・・んだけどねぇ。一方でゲームの足を引っ張ってしまっているんだな、これが。
  一番の問題点はロックオンの操作性。 ロック対象の変更はボタン1つだし、ロックボタンを押したときにどの敵をロックするのかも分かり難い (必ずしも思った敵を自由にロックできるもんじゃない)。 さらに、ロックできる距離が意外と短く、一度ロックしてもそのロックが非常に外れやすいのも気になるし、 特に溜め攻撃コンボ時に自動的に敵を狙ってくれるのは結構なんだけど、せっかく敵をロックしてるのにそれを無視して攻撃することがあるのが非常にイタい。 つまり、“どの敵を狙うか”の重要度が高いにも関わらず、それを満足に行える操作性にはなってないということになる。 これに関してはロック操作の改善・改良以前に、 そもそも、ロック操作を必要とするようなゲームにするべきだったのかという、根本的な疑問も湧いてくるわけだ。 移動に関する基本的な操作形態(ロック操作も込みで)の、FPS的な操作形態に対する優位性が見えてこない。 あるいは、2本のスティックを同時に操作させることに敷居の高さを感じてるのかもしれないけど、 平行移動するためにわざわざボタンを押さなくちゃならなかったり、 ロックを切り替えたりする方が(ギクシャクした操作性になる上に)よっぽど煩わしい (まぁ密かに、FPS的な操作よりカメラを調整しやすいという点には、やや優位性があるように思うんだけども)。
  ちなみに、現状の視点的な問題点もバカにならない。 自キャラが壁際に立ったときカメラが寄ることで自キャラが画面から出てしまい、 自キャラの状態がわからなくなってしまうのが痛かった。 で、これが特にボス戦で頻発。 ボス戦の作り自体はそれなりに攻略性が高いにも関わらず、それ以上に視点的な問題で苦労させられることが多かったのには辟易させられた。

  とにかく短いという前作に比べ、ボリューム面での改善も著しい。 全6ステージで2時間半でクリアできた前作に対し、 本作は全9ステージで初回クリア時間は3時間半(ただし、前作同様、イベントシーンなどを除いた実プレイ時間)と、 基本的な部分もボリュームアップしたが、今回はまずグレイヴでクリアした後、 ストーリー的にそのグレイヴと共闘することになる「屍十二」「ロケットビリー・レッドキャデラック」というキャラクターでもプレイ可能になる。
  は、近接攻撃重視キャラ。 射撃能力がやや弱く、射撃の溜め撃ちがない代わりに、近接攻撃のタメ攻撃ができる(でもその性能的には射撃攻撃)。 また、横っ飛びの性能もちょっと変わっており、前には攻撃不可のショートダッシュ、横には側転、後ろにはバク転と、全体的に隙が小さめ。 ・・・が、コイツが非常に使いづらい。 その横っ飛びが前作のような完全デジタル仕様なのもマズいんだけど、 非常に根本的な問題として、通常の近接攻撃が意外とヒットしづらい。 ロックできてる相手にもスカることがあるってのは問題だし、 恐らくモーションの関係であろう、初弾が右側にいる敵にヒットし難いのも、 このゲーム(&このキャラの位置付け的には)には相応しくないだろう。 ヒット感的にもヒットしてるかどうかわかりづらい(よって、爽快感も弱い)。 そもそも、このゲームの近接攻撃はオマケみたいなもんだしなぁ。 しかも、DEMOLITION SHOTも全体的に攻撃範囲が狭いものが多く、これまた使いづらい。 タメ攻撃を近接攻撃ボタンで行うので、誤って防御が暴発したりするのも煩わしい限り (そもそも、防御動作が必要なゲームだったんかと・・・)。
  一方のビリーは、ギターに取り付いた幽霊という設定で、 そのギターを弾くことでエナジー攻撃するという、なかなかパンチが効いたキャラクター。 近接攻撃の出がやや遅いこともあって、一応、射撃重視というキャラなのもしれないが、 射撃が直進しないので壁に遮られたりすることがたま〜にあるというだけで、 基本的に非常に使いやすいキャラクターになっている。 DEMOLITION SHOTも攻撃範囲が広めで使いやすい。 しかし、それ以上に演出的な部分が楽しいキャラクターだったりして。 攻撃時はもちろん攻撃タメ時にはギター弾きまくりだし、横っ飛び時には膝をついたまま滑っていきギュイイーンみたいな。
  リプレイ性を高める要素としては、 「OPTION」の「CUSTOMIZE」という項目で、射撃の攻撃力と近接攻撃力をそれぞれ4段階上げることができる (プレイ時間に応じて徐々に上げられるようになっていく模様)。 さらに、ゲームのプレイ状況(クリア時の成績など)に応じて、OPTIONの「EXTRA」の隠し要素がオープンしていく模様。 成長要素のないゲームなもんで、 CUSTOMIZEでキャラを強くして高難易度に挑戦してね、 そして高難易度をクリアすればそれに応じたオマケが出るぞ、ってな形なのかと思ったんだけども、 どうもそうではないらしく(どうもCUSTOMIZEをいじってのプレイはEXTRAに反映されない?)、 これらの要素がキチンと機能していたかというと非常に疑わしい。
  ちなみに、自分のプレイ履歴は、 初回は難易度ノーマルでグレイヴ(約3時間半)、2周目はCUSTOMIZEでショット能力を上げて難易度ハードで屍十二(約5時間)、 その次はやはりCUSTOMIZEをいじって難易度ノーマルでビリー(2時間半)。 が、EXTRAが全くオープンにならなかったもんで、 CUSTOMIZEをデフォルトに戻して難易度ノーマルで屍でクリア(3時間半)という状況。 つーか、ビリーでクリアした時点で既に超ダレダレ。
  そもそも、3人のキャラ性能の差が弱く、基本的な戦い方は変わらないので、 そのプレイ感覚が見た目ほどには変化しないのがイタい。 まぁ、単発の攻撃の威力は大して重要ではなく、 近接攻撃に魅力のないこのゲームで、性能差を設けることの難しさはわかるんだけども・・・。 そして、隠し要素のオープンの条件が分からないというのは、 そこまで含めてのボリュームという評価がほしいのであれば頂けない仕様だろう。

  舞台は前作の3年後。 簡単に言うと、また悪魔の薬「シード」を使う悪者が現れたので、ミカはグレイヴを復活させてそいつらをやっつけるというお話。 ただ、かなり言葉っ足らずだった前作に比べ、かなり分かりやすい話になったのも、改善点といえば改善点なんだろう。 相変わらず無口(というか喋らない)グレイヴはさて置き、 成長したミカ、その相棒をしてる男の子「スパイク」、そして屍にビリーと、かなりゲーム中の口数が多くなったからでもある。 個人的には前作みたいなのも捨てがたいんだけど、ストーリーは無難に盛り上がるので、これはこれで良しとしたい。 ただ、最後の最後での少年漫画的なノリはちょっと頂けなかったが。 キャラクターではビリーが非常に良い味を出してたのに対し、 屍はその声優さんのチョイスも含め、その激昂っぷりがやや中途半端な感じも。
  前作同様、セルシェードを使用したムービーシーンは独特のテイスト。 一般的に言って、必ずしもセルシェードを使ったからといって効果的にアニメっぽさを加えられるわけじゃないんだけど、 原案とキャラデザを担当した漫画家の内藤泰弘氏の、直線的で線が細いという画風とのマッチングも良いんだろうし、 それと陰影のキツい独特の表現法により、“アニメをCGで再現”という形ではなく、これがこのタイトルそのものという感じになり得てるんだと思う。 もちろん、先にアニメありきのゲームではなく、ゲーム内で世界が完結してる(例えばフェイスウィンドウの絵もセルシェード処理されたCGになってる)というのも大きい。
  一枚絵+フェイスウィンドウ+テキスト(音声)というイベントシーンで、 かなり大き目のフェイスウィンドウに動きを持たせる工夫がされてるのも、 (驚くほど効果的というわけではなかったにしろ)評価して良い部分だろう。 ただ、このイベントシーンが一括でとばせない (つまり、スキップさせるとイベントシーンの次の場面に移るだけだったりする)のが微妙に鬱陶しく、 特に繰り返しプレイさせることを前提としたゲームとしては非常に頂けない点。 スキップボタンを押した人の意図としては、 “そのシーンだけをとばしたい”より“そのイベントシーンを丸ごととばしたい”の方が圧倒的多数のはず。 もうちょっとよく考えれ。
  ゲーム中のグラフィックの質は高くないが、全体的に統一感があるのでその印象は悪くない。 キャラのモデリングも結構個性的で特徴があって良かったと思う。

  結局のところ、ゲームとして下手げにまとまってしまっただけに、基本的な操作性の粗が目立つ結果になってしまった。 撃ちまくりをウリにするのであれば、根本的な部分での改良が必要だったろうし、 この操作法にこだわりたいのであれば、むしろアクションっぽい部分をより強化していくべきだったんじゃないだろうか、と。

2004年7月26日記載