REVIEWゴーストハンター
PlayStation2
2004年9月2日発売発売:EA  開発:SCEE  

  PS2『セインツ 聖なる魔物』を開発したSCEヨーロッパのケンブリッジスタジオの最新作。 つまり、欧州では昨年末にリリースされたらしいPS2『Ghosthunter』のローカライズ版で、 北米では今年8月になぜかナムコからリリース、日本ではこの9月になぜかEAからのリリースとなっている。


  まずはこのゲームのストーリー的な流れを。
  デトロイト市警の新米刑事「ラザラス・ジョーンズ」は、先輩女刑事「アンナ・スティール」と共に、廃校になった「モンセーユ高校」の調査に向かう。 ラザラスはその地下であやしげな機械を発見。 実はそれはゴーストを捕まえてそこからエネルギーを抽出する檻で、 ウッカリそれが作動してしまい、中に閉じ込められていたゴーストを開放されてしまう。 成り行きから、そのゴーストを捕獲することになったラザラスは、 学校だけでなく、「スペクトラルゲート」というワープ装置を使って色々な場所へ赴き、ゴーストを退治していくことになる。 そして次第に、その高校が廃校になった原因となる事件の真相や、さらにその背後に潜む大きな陰謀に迫っていくことに・・・。

  基本的には、客観視点で進行するアクションADVと言えるだろう。 左スティックを入れた方向にキャラクターは進み、右スティックでカメラ操作、L2がいわゆるカメラリセット。
  そして、このゲームの戦闘に格闘要素はなく、敵に対する攻撃はすべて射撃で行う。
  基本は△、R1、R2で銃を構える「ハンティングモード」に移行して、R1で射撃というもの。 このハンティングモードでは、視点が主人公の背後に固定され、その操作はFPS的なものになる。 背後といっても、やや斜め後ろから見る形になるので、(少なくともある程度スペースがある場所なら)主人公が邪魔になることはない。 ただし、動きが通常時より遅くなってしまい、敵を避けたり遠ざかったりするのには向かないので、 敵との戦闘は通常モードとハンティングモードを切り替えつつ行うことになるわけだ。 また、その操作系&視点が探索に向いている場面もあるし、 視点が固定される場面(それほど多くはない)でもこのハンティングモードは有効なので、戦闘以外でも視点を切り替えつつプレイすることになるだろう。
  また、□ボタンを押すと「一人称視点」に移行。 ただし、この一人称視点時には全く移動できないので、スコープの特殊能力を使って敵を探すときか、 スナイパーライフルで狙撃する時以外はほとんど出番がないはず。
  通常、狭いところではカメラがキャラによってしまい、キャラが邪魔に感じられることがしばしばなんだけど、 一応、ハンティングモードと一人称視点がそれを補っている。 問題は、△、R1、R2、□を使って移行し、通常操作に戻るときは○を押すというその操作形態。これがなかなか慣れなかった。 ハンティングモード中に△、一人称視点中に□はそれぞれ浮いているわけで、同じボタンをもう一度押せば通常操作に戻るとする方が自然だったと思うな。 さらに戦闘では、一番よく使う武器が溜め撃ちできるものなので、R1でハンティングモードに移行してボタンを溜めてるつもりが溜まってなかったなんてことも多い (これはSE等で上手く情報伝達できてないという問題でもあるが)。 やはり、モード切替と攻撃は分けちゃった方が分かりやすかったと思う。
  戦闘での特殊な仕掛けとしては、一応「フライングキャッチャー」というものがある。 ゴーストにフライングキャッチャーを撃ち込むと、そのゴーストの動きが遅くなるので、その隙に攻撃、と。 で、そのフライングキャッチャーが有効な時間内に体力をゼロにするとゴーストを捕獲することができ、 有効時間が過ぎてしまうと、フライングキャッチャーは手元に戻ってきてしまう。 ただ、別にそれで敵の体力が回復したりするわけではないし、フライングキャッチャーを撃ち込まないでもダメージを与えることはできるので、 普通に攻撃して体力を減らし、最後にフライングキャッターを撃ち込んで捕獲というのもアリ。 要するに、戦術的な重要度はあまりない。
  この戦闘は、さすがに戦闘が格闘だった『セインツ』ほどのグラグダ感はないし、 あれよりかはゲームになってるんだけども、全体的にかなり単調な感じは否めず。 まず、敵の種類自体があまり多くなく、その行動・攻撃パターンも単純。 移動系の特殊アクションがないもんで、そうならざるを得ないんだろうが、 こちらが攻撃する場所を考えたりタイミングを計ったりするような仕掛けが、もうちょっとあってもよかったと思う。 そして、武器の使い勝手にバリエーションが無さすぎるのも問題。 ほぼ標準装備といえる「パルスライフル」 (実際は弾数無限の「グロッグ17」が標準装備なのだが、威力が弱すぎる上に、パルスライフルも実質弾数無限に近い)が結構強くて使い勝手がよいので、 あえて他の武器を選択する理由があまり見つからないのだ。 スナイパーライフルは意外と威力が弱く、あからさまな“狙撃してくれ”シチュエーション以外では、ほぼ活躍の場がないし。 そして、全体的に攻撃のヒット感が弱いので、撃つ爽快感にも欠けるのが致命的なところか (ついでに、敵の攻撃のヒット感が弱く、ダメージを食らったときに瞬時に理解しにくいのも困りものなんだが)。

  一方、謎解き面で大きな役割を果たし、ストーリーにも大きく関わってくるのが、 とあるキッカケでラザラスと融合してしまったゴースト「アストラル」だ。 特定の魔法陣でアストラルを呼び出し、操作することができるようになる。 ラザラスとの違いは、空中を自由に浮遊できること、水中も移動できることで、逆に扉などを開けることができない。 物語の進行によって、このアストラルは5種類の特殊能力を得ていき、 これがゲームの謎解きのキモになるっぽかったんだけど、これはほとんど機能しなかったといっていい。 概ね、能力ゲット直後に数回使うだけだし、その使い方にも工夫が感じられず、かなり単純。 まぁ、肝心の空中浮遊と水中移動の方には意味が感じられたので、要素として完全に浮いてしまってるわけではないんだけども。
  そのアストラルも特定の場所で呼び出すだけだし、他にはこれといった謎解きもなく、道なりに進んでいく場面が多すぎる。 なのに、ジャンプもできないし、その移動にアクション性やダイナミックさが欠けるので、 (そして戦闘が淡白なので)ゲーム全体が間が抜けた感じになってしまった。

  グラフィックは、リアルタイムポリゴンのクオリティという意味では、PS2ソフトの最高峰の1つだと思う。 ボヤケ等の特殊効果的な演出も(『セインツ』ほどではないが)結構あるけど、より基本的な映像の質の高さが印象的だ。 特に、キャラクターの顔のクオリティの高さには驚かされる。 DC『シェンムーII』のハイクオリティアップが、ゲーム中ずっと続いてるようなもので、アップになってもまったく粗さが感じられない。 表情の作りも秀逸(リップシンクはイマイチだが)。 かといって背景が手抜きになっていこともなく、舞台はバラエティ豊かで、描き込み具合も上々。小物の豊富さも目に付く。 モデリングの雑さやテクスチャの雑さが目に付くこともないし、陰影の付け方が上手いのか、質感的なチャチさを感じることもない。 ただ、ホラーゲームを目指すのであれば、もうちょっと暗闇と明るいところのメリハリがほしかったところではある。 まぁ、ガンガンと出現するゴーストをドンドンと倒していくゲームなので、そもそも、あまり恐怖感ってとこに特化する気もなかったんだろうけど、 一部、背景の雰囲気が良いところもあったので、もうちょっとは恐怖ゲー的なものを狙えたと思う。 デザイン系も悪くない。 SF系の描写にはややバタ臭さがあるものの、それもそこまでは酷くないし、それ以外の部分は非常に雰囲気が出てる。 主人公がやや寸胴気味なのがちょっと気になったし、 ヒロインは、いくら先輩刑事という役割にしても、もうちょっと可愛くしてほしかったが。
  英語音声によるセリフのかけあいの楽しさ、ボイスアクトの素晴らしさは、前回の『セインツ』を継承してるといってよいだろう。 今回はとにかく主人公がナイスキャラ。 ウィットに富んだそのセリフは、実に生き生きとしている。
  ストーリーは、なんとなくハリウッド映画を思わせるベタめな展開で、驚きこそ欠けるものの、魅力的なキャラクターとあいまって、なかなか楽しい。 ただ、ラストでいまいち話がまとまらなかったのが残念。 真の黒幕が登場しなかったことはまだしも、せめて肝心のアストラルはもっとシッカリと話に絡めてほしかったな。 最後の展開がやや淡白で、そのシチュエーションほどには盛りあげられなかった感もあり。勿体無かった。

  難易度変化はないし、ゲームの流れに自由度もなく、2周目もまったく変化がない(というか、2周目という概念自体がない)ので、 リプレイはほぼ皆無と言っていいだろう。クリア後のオマケもない模様。 ゲーム本編のボリュームにはさほど不満はないんだけど、もうちょっとなんとかならなかったものか。 『セインツ』にはメイキングムービーがあって、それが結構面白かったんだけどなぁ。
  ちなみに、データセーブは、実質、特定のチェックポイントでのみ行われる形。 一部、やり直しが面倒な場面もあったけど、許容範囲内だろう。 ただ、なぜか、極々一部にキャンセルできないイベントシーンがあったのは解せないな。 どうもムービーを使った場面っぽい(絵の質そのものは他のリアルタイムポリゴンのイベントシーンと変わらない)んだけど、 だからといってキャンセルできない理由にはならんし。


  とにかく、長所と短所が前回の『セインツ』と同じすぎる。 長所は、セリフのやりとりとボイスアクトの巧さ、質が高く技術力も感じられるグラフィック、ステージデザインとゲーム性の絡み(地形によるパズル性というか)。 短所は、それ以外のゲーム部分の弱さ。特に、特殊能力を選択して使わせるというパズル作りのヘタさが気になるところだ。 グラフィック的な楽しさがあって、普通には楽しめたけど、最後にストーリーがまとまらなすぎた分、『セインツ』ほどではなかったな。 どうやらこのSCEEケンブリッジスタジオは長所も短所もハッキリしてるっぽいので、そこを上手く補うようなコラボがあれば、かなり面白いことになりそうなんだけどなぁ。

2004年9月26日記載