REVIEWアドバンスド ガーディアンヒーローズ
GAME BOY ADVANCE
2004年9月22日発売発売:トレジャー  

  トレジャーの多人数対戦バトルゲームの発端は、1994年9月にリリースされたMD『幽遊白書 魔強統一戦』にある。 「餓狼伝説」シリーズのような2ラインバトルで、最大4人まで対戦可能というこのゲームは、 当時珍しいバトルロイヤル系のゲームであることはもちろん、対戦格闘ゲームをベースにした1vs1でも結構成り立っているゲームバランスによって、 メガドライブ終期の作品ながらも、コアなプレイヤーたちのハートをガッチリとキャッチ。
  その後継的なタイトルが、1996年にリリースされたSS『ガーディアンヒーローズ』(以後『GH』)。 ラインバトルは継承しつつ(ちなみに3ラインに増加)、 ゲーム本編はベルトフロア格闘アクション(要するに『ファイナルファイト』系)みたいな流れで、 しかも経験値があってストーリーが分岐するというアクションRPGになった。 そして、最大6人まで参加できる対戦モードでは、ゲーム中に登場するあらゆるキャラクターを使えるという結構破天荒なもの。 今でこそ多人数対戦ゲームとして高く評価されてるけど、リリース当時は、マルチタップが必要な多人数対戦の敷居の高さと、 一人用プレイのイマイチさ、キャラ性能の差が大きすぎることなどによって、実はさほど評価が高くなかった記憶がある。
  ちなみに、1999年7月にはPS『ラクガキショータイム』という多人数対戦ものをリリース。 完全な対戦型ゲームで、経験値がなかったり、対戦格闘ゲーム色がほとんどなくなってたりと、かなり別物ではあるけど、 登場キャラが全て使用可という点に『GH』の影響が見受けられる。 相当知名度が低いらしく、もはやレアゲーに近くなっちゃってるようで、 隠れた名作とする声も聞かれるが、レビューを読んでもらえば分かる通り、自分の評価は高くない。
  で、本作GBA『アドバンスド ガーディアンヒーローズ』は、一応、その『GH』の続編というフレコミでリリースされたんだけども・・・。


  本作の舞台は『GH』から長い年月が経った世界。 前作で「天界」の手先となって主人公たちの前に立ちはだかった「ズル」が復活し、 前作の(表向きの)ボスだった暗黒魔道士「カノン」を蘇生させ、魂を抜き取ったかつての英雄(前作の主人公たち)を従え、魔道国家の復活をたくらむ。 それを阻止しようと活動していたレジスタンス軍は、最後の手段として「英雄剣」の力で異世界の「英雄魂」(要するにプレイヤー)を、名もなき一般兵の中に召喚させるのだった。
  ということで、デフォルトの状態で選べるキャラクターは「エン」「ライ」「ヒョウ」の3人で、 その違いは攻撃魔法の内容と初期ステータスのみ(グラフィックも色違い)となっている。
  最大の変更点は、ラインバトルが廃止となって、いわゆるベルトフロア形式になってしまったことだろう。 このこと自体は決して悪いことだと思わないのだが、なんでこうなるかなぁ・・・。
  とりあえず、基本操作はBの攻撃、Aのジャンプ、Rの防御。
  基本的な攻撃は、B連打で最大5発のコンボ攻撃、 十字キー横+Bで敵をふっとばす「大殴り攻撃」、 横×2+Bで「ダッシュ攻撃」、上+Bで「上昇蹴り攻撃」、下+Bで周囲の敵をふっとばす「地震攻撃」、 上下+Bで敵を吸い寄せるというが使いどころが見つからない「重力弾攻撃」、 左右+Bで敵を巻き込む(が出しにくさを考えればあえて使う場面がやはり見当たらない)「投げ」などで、 それ以外のいわゆるコマンド必殺技的なものは存在しない。 過去のこのジャンルのゲームを見れば、 方向入力が1回のコマンドや、方向入力が左右にまたがるようなコマンドはほとんどなかったことに気付くと思う (最も多いのが下上コマンドだと思うし、方向入力が1回でも攻撃ボタンを押してから方向キーを押すようにしてあったりする)。 8方向に動きながら攻撃するこのゲーム形式における、暴発を防ぐための措置だと考えられる。 つまり、このゲームではとにかく技が暴発しがちで、しかも、その特殊技が揃いも揃って大振りで隙が大きいのが困りもの。
  Rによる防御は、防御中にはMPを消費する反面、相手の攻撃、受ける方向関係なくオールマイティな防御が可能というもの。 ただ、この通常防御以上に重要なのは、敵の攻撃がヒットする直前に防御することで発動する「カウンター」で、 近接攻撃なら敵は硬直し、遠距離攻撃なら魔法弾を撃ち返してくれる。 当然、成功するしないに関わらずMPを消費することになるけど、ある程度タイミングを計って使ってる分には、目に見えてMPが消費していく感はない。 逆に、タイミングを取りづらい攻撃に対しては、Lボタンを連打することで(MPを大きく消費しながらも)カウンターを取ることができる、と。 敵が近接攻撃をするときには「!」マークを表示するので、キャラクターがゴチャゴチャしててもそれである程度は判断できる。 こういう仕様からしても、カウンターがこのゲームのキモとなってるのが分かると思う。
  そして、各(デフォルト)キャラは5種類の攻撃魔法を持っていて、Lボタンでそれを切り替え、防御中にBでその魔法を発動する。 大体、5種類の魔法をLボタン1つだけでの1方向のローテーションで選ぶってのはちょっとムリがあり、咄嗟に思った魔法を選ぶことは難しい。 存在価値が見えてこない魔法も多いし、そもそも5種類ってのが多すぎるようにも思うな。 2、3種類で十分だと思うし、4種ならL+十字キーで選択という操作法もアリだったろう。 操作不可のイベントシーン中にも魔法は選べるようにするだけでも、ストレスは軽減されたように思うが。
  その他では、ダメージを受けると溜まる「怒りゲージ」が一定量溜まったときに、AB同時押しで「ハイパーモード」が発動する。 高速化、ハイパーアーマー、攻撃後の隙のキャンセルといった恩恵もあるけど、 ダウン中にすらダメージを食らってしまうこのゲームでは、常に発動できるこのハイパーモードは緊急回避的な使い方が多くなるだろうし、 多少なりともMPがないと問題外なこのゲームでは(一応時間と共に回復するもののあまりにも微量なので)MP回復手段としても重宝する。

  このゲーム、動きが重い(そして技の隙が大きい)、技が暴発しがち、という難点に加え、 とにかく感じるのは、ベルトフロア形式にも関わらず“奥行き”という要素が消化不良に感じられること。 特に気になるのが、攻撃判定の上下の広さで、自分の攻撃はまだしも、敵の攻撃もかなり広く、 動いて避けたつもりでも避けきれないことが多い(というか、避けきれることの方がマレ)。 それを補うのが、MD『幽遊白書』から伝統の“相殺”(全ての攻撃が防御判定を持つ)なんだけど、 これだけ敵の数が多いと、相殺の基準もよく分からないし、 何となく攻撃が効かなかったり、攻撃が防げたり(これは高難易度で顕著)。 そこをカウンター(&ハイパーモード)でなんとかゲームにするという、大味この上ないゲーム。 ベルトフロアであることがなんのプラスにもなってない。 空中ダッシュ(ジャンプ中にもう一度ジャンプボタン)で上下に動けちゃうのも、 逆に自分の位置を見失うだけだし、最終ステージはグラフィック的にフロアの範囲が明確じゃなく(遠景と一緒)、 空中にいる敵と地面にいる敵の見分けがつき難いし、巨大なラスボスは完全にサイドビューのグラフィック。 どこまでベルトフロアってものを考えてこの方式を採用したのか、非常に疑問だ。
  さらに、メリハリを付けたかったんであろう格闘アクションっぽくない部分(強制スクロールシーンなど)は、 全体的にタルめになっており、やや冗長な感じを受けた。 ラスボス戦前の、激弱な敵がワラワラ湧いてくるだけの場面も、何をしたかったのか全くわからない。

  で、SS『ガーディアンヒーローズ』がそうだったように、このゲームにも成長要素がある。 ステージ内で敵を倒したときに出現する「クリスタル」を集め、 ステージクリア時にそれを7つのパラメータに割り振るというもので、 一方、クリスタルをパラメーターに割り振る代わりに「ラボラトリー」に投資することで、使用キャラが増えていく。 成長要素そのものに関して言えば、ステータスアップさせる区切りが少なすぎるし、 パラメーターの割り振りでそれほど自分の色が出せるようにも思えない (あくまでも魔法はサブで格闘が主なゲームというのは変えようがない)ので、ARPG風な楽しみは薄いと思う。 ステージをまたいで出現する敵は稀で、自分が強くなった実感を得る場面は見当たらない。 しかも、成長要素があるゆえにか、 序盤がキツい割に、終盤は(ピンポイントで辛いとこはあるにしても、全体的には)あまり難しくないという、 「なんだかな〜」なゲームバランスになってしまったのが頂けない。 問題はラボラトリーの扱いこのゲームをどうプレイさせたいのか、イマイチ分からない。 レベルアップしないという縛りを自分に加えてのプレイを推奨してるわけ?  なんか、ムダに試行錯誤が必要になっちゃうんだけど・・・。 ただ、そこらへんはある程度理解しているようで、難易度NORMALクリア後に出現する「TIME ATTACK」、 難易度HARDクリア後に出現する「ENDLESS」モードでもクリスタルが稼げるようになっている。 ・・・となると、いよいよラボラトリーの位置付けがわからん。 ストーリーモード時にも自然にクリスタルが溜まるような仕掛け(例えばクリスタルの累計であるとか)の方が良かったろう。 そもそも、クリスタルを得られる量がプレイスタイルによって大差無さそうなのも気になったんだけど、 逆に、クリスタル稼ぎにプレイスタイルが縛られるのも問題だろうし、これはこれで良しとしたい。
  大体、色んなプレイキャラを使えるのが『GH』の魅力だったのに、本作はキャラをゲットするのが面倒すぎるんだよなぁ。 結局、延々とENDLESSをプレイすることになる。 しかも、STORY MODEのデフォルトの3キャラはプレイ感が変わり映えしなさすぎるのも問題 (STORY MODEのリプレイ性にも関わってくる)。
  ゲームの難易度は、EASY、NORMAL、HARD、SUPER HARDの4段階で、 NORMAL以上の難易度でクリアするとそれぞれオマケ要素が出現する、らしい。 ちなみに、自分は最初にNORMALをクリアし、その後にEASY、HARDとクリアした状態。 NORMALをクリアすると、次々と出現するキャラクターをどれだけ早く倒すかを競うTIME ATTACKモードが、 HARDをクリアすると、決められた順番で次々と出現してくるキャラクターをどれだけ倒せるかというENDLESSモードが出現した。 EASYはMPが無限という、練習モードみたいなもの。 SUPER HARDは異常に難しいが、そもそも大味なゲームなもんでHARDくらいまでなら繰り返しプレイしていればいつかはクリアできる難易度だろう。 特にHARDは、最初にNORMALをクリアした時よりもラクだったな(1、2ヵ所詰まったけど)。

  キャラクターのグラフィックは、前作から登場しているものに関しては、それを(もちろん解像度を落として)流用しているようだ。 気になったのが、本作から登場するキャラは微妙に頭身のバランスが違う(やや頭がデカい)ので、なんだかギャップが生じちゃってること。 かといって、当然のように表情がわかるような大きさでもないし、あえてこうした理由がよくわからない。 背景のグラフィック&演出は、一応、展開などで工夫しようという意識は感じられるんだけど、全体的に単調な感じは否めず。 及第点だとは思うが、あまり見栄えはしないな。イベントシーンの絵(特にキャラクター)は雑な感じ。
  一枚絵背景のイベントシーンは上+スタートでスキップできるんだけど、 ゲーム中のイベントシーンはセリフ送りができるだけで、これが結構鬱陶しかったりする。 できれば、(それこそカプコンのベルトフロア系ゲームのように)早送りできるようにしてほしかった。


  こういう形式になった以上、SS『GH』と別物になるのは分かってたし、 それならそれで、GBAで意外と少ないベルトフロア格闘アクションとして期待してたわけ。 つまり、別物と割り切れば面白いのかっていう話であって、その結果は・・・んー、残念。 せめてもうちょっと動きが軽ければ、派手で大味なだけじゃなく、そこに真っ当な爽快感が付加されたと思うんだけどなぁ。 それ以上の期待をトレジャーにするのは、酷に思えてきた今日この頃。

2004年10月12日記載