REVIEWブレイクダウン
Xbox
2004年1月29日発売発売:ナムコ  

  久々の国内デベロッパによる一人称視点のゲームということで、気にしてはいたんだけど、あまりにも微妙な空気にとりあえずスルー。 出荷自体もかなり少なかったらしく、その後、店頭でも全く見かけない状態なもんでスッカリ忘れていた。 で、フと思い出したようにAmazon.co.jpで購入し、プレイすることにしてみた。


  とある研究所で目を覚ました主人公「デリック」は、自分が記憶喪失状態であることに戸惑うが、 直後に軍の襲撃を受け、突如現れた謎の女「アレックス」に助けられる。 彼女に促されるように研究所を脱出したデリックは、 やがて自分の正体を知り、この世界に迫っている危機と相対することになる・・・という、近未来を舞台にしたアクションADV。 常に主観視点で進行しながら、非常に格闘戦の比重が大きいという変わったゲーム内容で、 FPSを作るという発想から生まれたゲームではなく、独自に、主観視点にこだわったゲームを作ろうとして生まれた作品であることは間違いないだろう。 いわゆるFPSとは違って、普通に運動するプレイヤーキャラの頭にちゃんと視点があるというそのプレイ感覚は、確かに新鮮だ。 このゲームのように、自分の体が視界に入ってくる(例えば、下を向けば自分の足が見える)海外製FPSってのは、ちょっと記憶にないな。

  デフォルトでの操作は、左スティックは前進後退&左右旋回で、右スティックは視点の上下と左右平行移動。 また、攻撃時には敵をロックオンするのが基本となり、ロックオン中はその敵を画面中央に捉えつつ、左右に動くとその敵を中心に円を描くように動く。 ロックオンの操作は、Aでロックオン、その後、もう一度Aを押すとロック対象が切り替えで、Bでロック解除。 近接攻撃の比重が大きいこともあって、そのロックオンの比重を大きくした操作系は、丁度、DC『魔剣X』なんかに近い。
  のっけからなんなんだが、なんで今更こういう操作系にするかねぇ・・・。 いや、その意図自体は理解できる。 スティック2本を同時に使わせるのを嫌って、基本的に片方だけで操作できるようにし、もう片方はそのフォローにまわしたのだろう。 ただ、『魔剣X』の時代ならまだしも、FPSが認知されつつある現状で、そういう発想でゲームを作る理由がわからん、と。 題材的にも、Xboxというハードを考えても、おそらく海外市場もターゲットに入れていたのだろうし。 さらにこのゲームの場合、視点の上下と左右平行移動という全く違う性質の操作を右スティックに担わせてるというところにも無理がある。 どうにもこうにもこの方向性にこだわらなくちゃ死んでしまう!というのであれば、 最低限、左右平行移動はボタン+スティックというような形にすべきだったろう。
  ちょっと話がズレるけども、ゲーム中に自動車に乗り込む場面があって、 そのときの車の運転を左スティック一本でやらせるってのも非常に疑問が残る操作の簡素化(?)だった。 つまり、スティックを上に倒すとアクセル。 別に運転しながら他に何かしなくちゃならないわけじゃないんだから、普通にLRトリガをアクセル&ブレーキに割り当ててほしかったな。 この車運転の場面は回数が少ない上に、その内容も実にユルい作りだったので、ゲーム進行を妨げるほどの難点にはなっていないが。
  んで、実は、FPS的な操作系(左スティックで前進後退&左右平行移動、右スティックで旋回を含めた視点操作)にも変更はできるし、 当然のように、自分はそれでプレイした。 何かにぶら下がってるときや、ハシゴを昇ったりしているときには、右スティックで周りを見回せるのだし、あえて前述の操作をデフォルトに据えた理由がわからん。
  まぁ、おそらくその操作をデフォルトにしてゲームを作っていたのだろう。 なんだか視点操作がぎこちない(上下の動きと左右の動きとがどうもシックリこない)し、(特にゲーム中盤までは)平面的な展開が多すぎることからも、それがうかがえる。
  基本的な操作感で最初のうち気になったのは、微妙な視点操作が行いにくいこと。 スティックをちょっと倒しただけでも過敏に動いてしまう。 オプションで感度を設定できるんだけども、それによっては解決できない、入力幅と実際の移動との勾配の問題だろう。 そのせいで、ちょっとしたことで上下に向いてしまうことが多かったので、 最初は「AUTO CENTER」(すばやく移動したときには自動的に視点が水平に戻る)をオンにしてプレイした(ちなみに、デフォルトもON)。 しかし、今度はFPS的に周囲を観察することが難しく、 自分の意に反して視点が動きまわってしまい(上下を向く→水平に戻る、が酷く繰り返される)、思いっきり酔ってしまった・・・。 結局、AUTO CENTERはオフでプレイし、中盤を過ぎた辺りでは慣れてしまっていたけども。
  Xはスイッチを押したり、アイテムを拾ったりする「アクセス」ボタン。 アクセスできる対象が画面内にあると、画面右上に「ACCESSマーカー」が表示されるので、その時にXを押すと、まずその対象に対して手をかざす。 で、もう一度Xを押すと対象にアクセスし、そこでキャンセルボタンを押すと何もしないで元に戻る。 おそらく、画面に複数のアクセス対象がある場合を想定してこういう仕様にしたんだろうが (アクセスできる対象が幾つかあるときは、手をかざした時にロックオンボタンを押せば対象が切り替えられる)、 いかんせん、そういう場面は多くないどころかほとんど見当たらないので、地味ながらも鬱陶しいだけの仕様だったりする。 特に弾薬や回復薬(といっても食い物やドリンクだが)は、手をかざした後、目の前に持ってきて、さらにXを押すことでそれらをゲットすることになる。メンドクサ。 しかも、目の前に持ってきた段階で、それをキャンセルする意味は皆無に等しいので、単なるムダ。 アクセスできるときにはアクセスできる対象の名称を示すなどして、アクセスボタンは一度押せば済むようにしてほしかったところだ。

  武器の持ち替えは、Yor十字キーで行う。 Yボタンは(直前に構えていた)武器構えと素手の切り替えで、 十字キーは、左方向で素手、右方向で直前に構えていた武器構え、上下で直接の武器選択を行う。 武器選択は必須のアクションなのだから、結局Yボタンだけでゲームを進めることはできないわけで、あえてYボタンをこういう操作に割り当てた理由がよくわからない。
  それに押し出されたように、黒ボタンでジャンプという微妙な操作が。 ジャンプの機会は意外と多いので、「黒ボタンで?」って思うだろうけど、そこらへんはキーコンフィグで、一応、対応可(ただし、4種類のキー配列しか用意されていない)。
  あと、白ボタンで手榴弾を投げる。 通常の銃器と別枠の操作を割り当てたというのは、戦闘にメリハリをつけるという意味で非常に結構な話なんだけども、 いかんせんこのゲームでは手榴弾の出番そのものが少なく、大した恩恵は受けない。
  基本的な攻撃はLRトリガで行う。 銃器を構えているときは、Rで射撃、Lでリロード、 素手のときは、Rで右手(右足)での攻撃、Lで左手(左足)での攻撃となっている。
  なぜ格闘戦の必要があるのかというと、銃器による攻撃が全く通用しない「トラン兵」が主な敵となってくるからだ。 また、人間の兵士に対しても、メインとなるサブマシンガンを離れたところから撃っても、 結構当たり外れのブレが大きく、あまり信用ならんので、結局近づいて殴ることになる場合が多々ある。
  逆に言えば、銃撃戦はオマケみたいなもんだと思ってもらっていい。 こちらの射撃の信頼性の低さの割に、敵の射撃のヒット率が高く感じられ、なんだかアンバランスな印象を受けるが、それも致命傷にはなっていない。 武器の種類自体も少なければ、使い分けという意味でもサブマシンガンかロケットランチャーかくらいのもんだし。 まぁゲームの方向性を考えればやむを得ないとはいえ、格闘部分の不甲斐なさを考えれば、もうちょっとなんとかしてもらいたかったところではある。
  ということで、肝心なはずの格闘戦。 LとRの組み合わせでコンボができたりするものの、これがとにかく大味。 かなり万能気味なガード(左スティッククリック)で敵の攻撃を防ぎ、その後にコンボで反撃する、だけ。 敵の防御を崩す手段はない(終盤には敵を投げられるようになるが時既に遅し)し、コンボの使い分けの必要性もあまり感じられない。 ガード以外で敵の格闘攻撃を避けるのも、狙って行うのはムリっぽい(そのメリットもない)。 これが1vs1の状況であれば、まだ「大味だけど雰囲気があって楽しかったよ」となるんだろうけども、 多くの場合、敵は複数で、そうなると大味なだけじゃなく理不尽になってしまうから始末が悪い。 ロックオンして攻撃することからも分かる通り、こちらの攻撃は複数の敵を想定したものではなく、とにかく複数の敵は捌きようがない。 敵の近づいてくるスピードが意外と速いもんで、片割れを遠くへ吹っ飛ばした隙に残りの敵を・・・という戦法も、ほとんど意味をなさず。 敵に囲まれ、亀のようにガードをして隙をうかがうものの、殴られ続けているうちに痺れを切らせ、 片割れにコンボ攻撃を仕掛けたら、その最中に残りの敵から殴られる、と。
  これは、中盤以降にできるようになる「ジャンプキック」によって結構状況を打破できる・・・というより、ほぼそれ一辺倒になってしまったというのが実情。 このジャンプキックは、「トランジェン」というゲージを消費して出す「特殊技」の1つで、 ジャンプキックとは言うものの、その動きは“ライダーキック”のようなイメージ。 ダメージが大きい上に、ゲージの消費量はそれほど大きくなく、 突進力があるので状況打破にもなるし、直線上にいる敵を結構巻き込んでくれるというスグレモノなんだが。 で、このトランジェンというゲージは、回復アイテム(持ち運ぶことはできない)を取ったときだけでなく、 敵にこちらの攻撃をガードさせても回復するので、近接攻撃をしている分には、さほどゲージの量を気にする必要はなかったりする。
  特殊技はこのジャンプキック以外にも、銃弾に対するガード(というか、銃撃をガードするとゲージを消費する)、 周囲の敵をなぎ倒す攻撃(一見使えるっぽいんだけど、ガードされることもある上に、ゲージ消費量が多すぎて使いにくい)、 いわゆる“バレットタイム”的な時間の流れを遅くする能力(ゲージ消費量が非常に多い割に、継続時間が短いので、これまた全然使えない)などがあるんだけど、 この程度の内容であれば、トランジェンは時間と共に回復するような仕様にした方がよかったろう。 逆に言えば、アイテム等で回復させるのであれば、例えば体力回復であるとか、もうちょっと使える特殊能力にしてほしかったな。 手っ取り早いところから言えば、ゲージを使った能力によるメリハリ付けの失敗が、そのまま戦闘のメリハリ付けの失敗に繋がった、と。
  ただ、根本的なところでこの戦闘をどうにかするには、1vs多を前提としたシステム(技の性能なども含む)を考えるか、 もっと1vs1を基本にして、その中身を充実させた上で、ピンポイントで例外的に1vs多という状況を設けるかしかなかったろう。
  また、AIと呼ぶのがためらわれるような敵の単純な行動パターンは和ゲー全般に言える欠点なんだけども、 このゲームは下手げに主観視点で、敵が人間(型)なだけに、それがより目立つ。

  で、ゲームの展開は、いろんな外的要因によって行動が限られ、 結局一本道な流れになってしまうという形なんだけども、これがあまりにも単調すぎた。 特に前半の展開は、無機質かつ変わり映えのしない建物の中を、これといったイベントも少なく、ダラダラと進まされる。 ポイントポイントでは工夫しようという意図が感じられたのだが、その繋ぎが非常に間延びしている。 こうなっちゃった大きな原因も、戦闘にあると言っていいだろう。 こういうゲームの基本は、色んなシチュエーションに応じた戦闘によってゲームにメリハリをつけていくことだと思うんだけど、 このゲームの戦闘では、シチェーションに応じた変化をつけようがない(例えば、近接戦闘が主となると、敵との位置によってはバリエーションが付けられない)。
  あと、せっかく一人称視点でシームレスに進行させていったにも関わらず、 割と短いタイミングで(かなり短めながらも)ローディングが挿入され、ゲームの流れがブツ切れに感じられてしまったのも×。 ゲームオーバーになってチェックポイント(頻度は結構高い)から復活するときに、 チェックポイント通過時の状態に関係なく、体力などが全回復してしまうのも頂けない。 助かるのは確かなんだけど、戦闘などのゲームバランスを流れの中で調整できてないことを自白してるようなもんで、 結果として、ゲームのブツ切れ感を増長している。
  勿体無かったのが、主人公と同行することが多くなる「アレックス」の存在。 彼女をもっと状況に応じて喋らせたり、自律的に動かしたりすることによって、もうちょっとはメリハリが付けられたように思う。 彼女の魅力の無さは、ストーリーの足を引っ張っちゃってもいるので、そういうことを通して彼女の魅力を表現してほしかったというのもある (単純に、絵的に魅力がないってのもあるんだろうけどさ)。
  そして、このゲームのひとつの可能性として考えられたのは、もっとアクション性を高めるという方向性だろう。 例えば、上方にある足場に向かってジャンプすると、その淵に手をかけて「うんしょ」ってな感じでその上に登ったりするし、 主観視点でのスライディング、側転、バック転などには新鮮さがあった。 もうちょっとこういったものを生かすべきだったんじゃないだろうかと。 実際、このゲームの後半では途端にジャンプアクションが増え、 その単調さには辟易させられたものの、楽しい部分も(少なくとも前半よりかは)感じられたので。 さらに、終盤にできるようになったハイジャンプ(ジャンプの高さがそれまでの3倍くらいになる)も楽しかったのだけど、 落下ダメージを受ける高さの基準は変わらないらしく、ホンのちょっと低いところ(例えば下り坂)にジャンプしただけでダメージを受けちゃうのは頂けなかった。 要は、そういうことを踏まえて考えようや、と。
  あと細かいところなんだけども、ヘンにリアルさを求めたために、ムダに不便になってしまっているところもある。 例えば、装備中の銃のインフォメーション(銃の種類、残弾数など)が画面に表示されない。 上を向いているときには画面上に銃が入ってこないので、何を装備しているのか瞬時にわからないし、 残弾数がわからないので、リロードを行うべきタイミングがわかりづらかったり、 画面中のマガジンを取ってしまうべきかわからなかったり(このゲームではこれ以上弾数が持てない状態でも、マガジンは取得できて消えてしまう)。 リアルっちゃリアルなんだけど、まぁ普通に不便だわな。 照準が表示されないのも、いくらロックして攻撃するのが基本となるゲームとはいえ、やっぱり不便だ。 それどころか、後半のあるイベント以降は、照準、残弾どころか、体力、ロックオンマーカー、ACCESSマーカーといった補助的な表示が全てなくなってしまう。 特に、特殊技を出すために一定量以上が必要になってくるトランジェンの量が、いちいちポーズをかけないとわからないってのは、極めて厄介。 こういったステータス表示というのはそもそも、 キャラクター自身は理解しているであろう(そしてプレイヤーには伝わってない、あるいは伝わりにくい)情報を、プレイヤーに教えてくれるもの。 そういうものを排除することがリアルさに繋がると思ったら、大きな間違いだ。

  グラフィックは、なんとも微妙。 場面によっては見栄えがするシーンもあったりするし、特に幻想的な部分は結構よくできてる。 実は、炎や煙といったところは上手く描けているし、白衣の裾が揺れたりといった細かい芸も見られるのだが、総合的な印象は“微妙”の一言。 根本的な背景の単調さ、バリエーション不足(物量的な描き込みというか)もあるけど、光源の設定がヘタなのか、全体的にノペッとしていて、妙に存在感が感じられない。 オブジェクトの数的な描き込みも力不足な印象だし、特に背景のテクスチャの粗さは気になるところ。 モデリングの粗さとテクスチャの雑さ、陰影の存在感のなさといった、 グラフィックの質によって、距離感が掴み難く感じられることがしばしば。 主観視点で目立っちゃってるという点を踏まえても、Xboxオンリーのタイトルとしては、ちと不甲斐ない。
  ストーリーは・・・どうなんかねぇ・・・。 主観視点にこだわった見せ方にも一見の価値があるし、 SFらしいストーリーではあって、後半に大きな展開があり、普通に盛り上がる。 ただ、どうにも話の筋に説得力が感じられない。 研究所を脱出していく過程で、不思議な幻を見たり、 「目の前のものが現実とは限らないのよ」みたいな忠告を受けたりするもんで、 現実と仮想現実のブレみたいなのがメインテーマなのかと思わせておいて、 そこにタイムスリップ的な要素が加わってきて、結局、何がしたかったのかよくわからんという結果に。 つーか、あらゆるシナリオにとってタイムスリップは鬼門だと思うんで、よっぽど自信がないは限り止めてほしいんだが。 このゲームにしても、幻視っぽいところはビジュアル的にもよかったんだから、そこ一本で押したシナリオを作るべきだったんじゃないかと思う。 そうすれば、現状では邪魔くさいだけのヒロインも、必要なくなったろう (というか、このヒロインありきで考えたからタイムスリップネタになったのかもしれないが)。
  自分のクリア時間は8時間半ほど(難易度はノーマル)。 分岐もなければ、熟練すれば戦い方が変わるようなゲームでもないし、 4段階用意された難易度にしても、単に敵(特にトラン兵)の体力と攻撃力が上がるだけっぽく、 そもそも戦闘自体には理不尽なとこがあるので、難易度を上げても面白くない。 つまり、リプレイ性がかなり弱いゲームなので、ちょっとこれでは物足りないか。

  確かに従来のFPS的ではない一人称視点へのコダワリは楽しかったし、FPSっていうジャンルが確立しちゃってる海外では、逆に出てこない発想だろう。 安く手に入るのであれば、試してみる価値はあると思う。 ・・・が、それだけだわな。 せめて“格闘”ではなく“アクション”に力を入れれば、また違ったゲームになっていたかもしれない。 そして、“敵AI”と“レベルデザイン”という基本的な2点が、日本のメーカーにとっては大きな課題になってると、改めて思わせられた一本だった。

2004年10月31日記載