REVIEWヒットマン:コントラクト
Xbox
2004年10月14日発売発売:アイドス  開発:Io Interactive  

  今やEidosの稼ぎ頭という話もある「ヒットマン」シリーズの第3弾『Hitman: Contracts』のローカライズ版。 初代『Hitmal: Codename 47』はPCオンリーだったので、家庭用機としては2作目となる。 前作は(GC版が随分と遅れたものの)北米では結局3機種マルチ(当然PC版もアリ)だったが、今回GC版の予定はないようだ。 日本国内ではPS2とXboxでの同時リリースとなっている(前作はXbox版のリリース後にPS2版が発表&リリースされた)。


  基本的なゲーム内容は、前作『ヒットマン:サイレントアサシン』と全く変わらないと思ってもらっていいと思う。 まずは、前作のレビューを参照のこと。
  操作面での変化は、前作ではLトリガを軽く引いて離すことで忍び足モードに移行していたのが、 本作では単純にLトリガを引きながら移動するだけ忍び足になるようになったことくらい(しゃがみ移動と忍び足モードが一体化したとも言える)。 逆に言えば、基本移動が8方向&歩き・走り2段階切り替えという完全なるデジタル仕様で、 プレイしていて違和感を感じることがしばしばだったというのも相変わらず。
  本作の一番の特徴は、そのオムニバスっぽい作りだろう。 とあるミッションに失敗し、重傷を負って逃げてきた47が、朦朧とする意識の中、過去に行ったミッションを次々と思い出すという形で、 あまり脈絡がなく、単発なミッションを次々とクリアしていくことになる。 そんな中で、初代がPCオンリーだったということもあってか、初代のをリメイクしたミッションが幾つか用意されているというのも、見所といえば見所か。 初代の中盤あたりにあったブダペストのホテルに潜入するミッションと、初代の前半部を占めていた一連の香港ステージ4つがリメイクされている (ただし、香港の最後は相当に別物になっているが)。
  細かいところでは、初代ステージの復活に合わせたのか、 アタッシュケースに収納するスナイパーライフルが復活し、スナイパーライフルを持ち運べるようになった。 しかも、今回は開封したスナイパーライフルをまたアタッシュケースに戻せるようにパワーアップ。 ・・・が、肝心の狙撃シチュ自体が激減。一度狙撃した後に、場所を変えて狙撃するなんていう状況は無いじゃないか・・・。 まぁ前作から、“できれば必要以上に人を殺さないよう”にという路線になっちゃったから、仕方ないのかもしれないが・・・。 さらに言えば、今回はその作りゆえに、ステージ開始前に装備を選択することはできなくなってしまった(クリア後の再挑戦時には可)ので、 より狙撃銃の出番が少なくなってしまったというのもあるんだろう。
  そして、もう1つの本作の特徴というかウリが、グラフィックエンジンの一新だ。 確かに、背景の描き込み具合に代表されるように、グラフィックは間違いなく向上している。 場所ごとの明暗によりメリハリが付けられ、リアル感が増したし、 気候の描写なんかもグレードが上がった感じで、血の海にちゃんと風景が反射して映ってたりもする。 全体的にエフェクト系がより強くなった印象を受けた。 ただし、別次元に進化したとか、新たな面白みが加わったという程ではないので、期待のしすぎは禁物。 明暗のメリハリにしても、それは画面全体での話であって、『スプリンターセル』のように影が効果的に使われているわけではない。

  本作の分かりやすい難点は、ボリューム面での物足りなさにある。 まず、前作が全20ステージだったのに対し、本作は全12ステージと、単純にステージ数が大幅に減ったこと。 実は、ほぼ初代と同等の規模になったのだけど、その初代もそういうボリューム面では結構批判を受けていたはずだ。 じゃあステージ数が減った代わりに各ステージの内容が膨らんだのかというと、これが、そーでもない。 というか、初代のミッションはむしろ小ぶりな印象を受けるだろう(速攻で終わってしまうステージもある)。 香港ステージでは、必要以上に狙ってはいないのにサイレントアサシンを2つも取ってしまったし。
  結局、グラフィックがやや向上して、ボリュームが減ったことを除けば、前作のまんまと言ってよく、 そこに安定感がある反面で物足りなさもあるわけだ。
  例えば、相変わらず、殺戮路線でのクリアが簡単すぎる印象を受けることがしばしば。 というか、そもそも、前作から採用された「サイレントアサシン」狙いの位置付けがどうなのかという。 クリアすることだけに限れば、確かに自由度が高いんだけども、殺戮系がラクすぎることによってそのバランスが崩れてしまっているし、 一方のサイレントアサシン狙いの場合は、それこそ、予め用意された解法を発見するという色が強くなりすぎ。 結局のところ、ウリであるはずの自由度の高さが、十分に機能してるとは思えないんだよなぁ。 確かにリプレイ性を高める手段として機能してはいるんだけど、逆に、それが逃げ道になっちゃっているようにも思う。 あくまでもサイレントアサシンはオマケであって、通常のプレイにどれだけ緊張感と自由度を盛り込むかっていう点に、もっともっとこだわってほしいな。
  で、これは難易度変化にも関わってくる話。 前作同様、「ノーマル」「エキスパート」「プロフェッショナル」という3段階の難易度が設定されていて、 多少は敵が強くなるであろう(から、スニーキングによりこだわらなければならないだろう)と期待して、 最初はエキスパートで始めたんだけど、自分の体力が少なくなる、敵の射撃の精度が増すといった要素とかがどうでもよくなるほど、 とにかく、セーブ回数が減ることの影響が大きすぎ。 ノーマルは7回なのに、エキスパートは2回、プロフェッショナルにいたってはステージ内ではセーブ不可。 ステージの概要を知らん状況で、いきなりエキスパート以上でプレイするのはキビしすぎる。 これは、逆に言えば、一回プレイしてみないと分からないような要素が多すぎるということでもあるのだが。
  不自然すぎるMAP表示での人間の表示も相変わらず。 確かに便利なんだけど、題材からしても、(こういうのを使わずに)いかにして行動パターンを把握するかっていう点を、もっとゲームに組み込んでほしい。
  また、「警戒度メーター」が、あまりゲーム的な情報になり得てないのも問題。 確かに、誰かに見られてる程度の判断にはなるんだけども、どういう状況で変装が見破られるかということに関しては、全くアテにならない。 というか、実際は歩いていれば絶対に見破られないことが多いのに、それが情報としてユーザーに知らされないのは非常に不親切だと思う。
  そもそも、変装を自然にというか、弱体化させる方向性でゲームをまとめようとしたことに、問題があるんじゃないかねぇ。 だからステージ内で情報を集めるのに苦労する、だからMAP表示のレーダーでフォローしなくちゃならなくなった、と。


  個人的には、前作にしてもまだまだ変化&成長の過程にある素材だと思ってたのに、 メーカー側はあれがひとつの完成形だと考えているようで、そこにもっとも落胆させられた。 既に続編『Hitman: Blood Money』の製作が発表されているけど、 またもやステージを作り変えただけの内容であれば、スルーすることになると思う。 つーか、予想以上に早くリリースされる予定(来年春の予定)になってるし、非常に心配。

2004年11月8日記載