REVIEWスターウォーズ ジャンゴ・フェット
PlayStation2
2003年6月19日発売発売:EA  開発:Lucas Arts  

  スターウォーズの人気キャラ「ジャンゴ・フェット」をフィーチャーしたタイトルで、 北米で2002年11月にリリースされたPS2『Star Wars Bounty Hunter』のローカライズ版(北米ではGC版もホンのちょい遅れでリリースされているようだ)。 開発はLucas Arts内部なのか、開発会社は特に表になっていない。
  実はリリース当初からちょっと気になってたタイトルで、 XB『Jedi Knight: Jedi Academy』で若干マイ・スターウォーズ熱が高まったところに、 タイミング良く廉価版のリリースとなったので、サクッとプレイしてみることにした。


  その内容は比較的オーソドックスなアクションシューティングと言えるだろう。
  基本操作は、左スティックを入れた方向にキャラが進み、 右スティックによる視点操作とカメラリセット(R1orR2ボタン)でそれをフォローするという形式。 キャラクターの操作感の方は概ね問題無いのだが、右スティックによる視点操作の操作感にはやや難アリ。 まず、オプションで上下反転はできるのだけど、左右反転は不可で自分の感覚と逆 (つまり、FPSのように視点を動かすというのとは逆の、カメラを操作する感覚のもの)。いきなり痛恨だな、オイ・・・。 また、ある程度視点を操作しなくてもプレイできるようにという配慮からか、 キャラクターが移動する時に勝手にカメラが動かされる傾向はかなり強い部類で、 逆に自分で視点を操作しつつキャラを動かそうとすると、かなり視点が落ち着かない印象になってしまう。 さらに、キャラを動かしていなくても、視点を動かすのを止めたのに微妙に動くことも。 こういった視点の落ち着きのなさは、これはゲームプレイにもマイナスだし、3D酔いの一因にもなるだろう。 ただ、その操作感は結構クイックな上に、障害物に引っかかる時にもスムースにズームインしてくれるので操作感に違和感が出ないという長所もある。

  攻撃は□ボタンで、その8割方は、両手に構えた弾数無制限の「ブラスター・ピストル」で行うことになるはず。
  向いている方向に敵がいればある程度勝手に狙いを付けてくれる仕様なんだけど、 ゲームに慣れていくにつれ、R1による「ロックオン」を使いつつ攻撃していくことになると思う。 このロックオンに関する操作はR1キーのみで、ターゲットを切り替えるには一度R1を離してからもう一度R1を押すことになる。 自由にターゲットを切り替えつつ攻撃するのは難しいが、 道中にしてもボス戦にしても、それで何とかなるような大味な作りにもなっているので、ゲームプレイ上は特に問題には感じなかった。
  では、ブラスター・ピストル以外の武器(十字キー左右で切り替える)をチェックしていこう。
  まず、「格闘」は使い道なし。アイテムスペースのムダでしかないと思う。
  「ダートキャスター」はヒットした敵を一撃で倒す武器。発射音がしないとはいえ、 いかんせんステルスで行動できるようなゲーム内容ではないので、説明書にあるような“隠密武器”としての価値は極めて薄いものの、 かなり遠くの敵にも狙ってヒットさせることができるので、スナイパー・ライフルをゲットする前には狙撃的な武器として利用価値がある。
  中盤以降に登場する「火炎放射器」はジェットパック(後述)燃料を消費して放射するもので、確かに威力は高いようなんだけど、 射程が短めな上に、移動しながら放射することができないので、出番ナシ。
  いわゆる手榴弾である「サーマル・グレネード」も、かなりクセが強く、思ったところに投げられないので、やはり出番ナシ。
  爆風で敵を吹き飛ばす武器としては、「ジェットパックミサイル」の方がまだ使える。少なくとも出番が皆無ということはない。 弾数が少なくバンバン使えるわけではないが、ちゃんと狙ったところに飛んでいってくれるし、威力も高い。
  ゲーム中盤以降には「スナイパー・ライフル」が出現。 ま、狙撃の頻度は普通かな。狙撃しまくりという程ではないけど、先の敵を排除するためにはちょいちょいとお世話になる。
  これらの武器の位置付けを一言で言えば、効果的にゲームに絡めてないということになる。 ゲームプレイ上のアクセントになっていたのは、それこそスナイパーライフルだけといっていい。 そのせいもあってか、このゲームは意外にも、敵がワラワラと必要以上に湧いてくる傾向があって (本当に延々と湧いてくる場面はほとんどなく、単に出てくる頻度と数が多いだけっぽいが)、 そんな敵をブラスターでバタバタと倒していくだけという場面が非常に多い。 敵はある程度耐久力があって、ブラスター1発では死なないので、このゲーム通して、ダラダラと攻撃ボタンを連打している印象が強いんだよなぁ。 ボス戦も極めて大味で、これはロック対象を自由に変えられないことがマイナスになってるだろう。

  目の前に敵がいない状態でR1(ロックオン)ボタンを押しっ放しにすると、 見る方向を固定したまま動き回ることができる(いわゆる平行移動モードになる)のだけど、このときはなぜか左右の視点操作はできなくなってしまう。 そこまでしてFPS的な操作をさせたくないんだろうか・・・。 また、この平行移動中にジャンプをすると宙返りジャンプになるのだけど、 特にクイックなアクションというわけでもなく、通常ジャンプほど自由に空中で動けないのはまだしも、 通常ジャンプとは違って空中でブラスターが撃てないのが辛いところ。意味が無い。
  R2を押しっぱなしにすると「ルックモード」という、 カメラがジャンゴの真後ろに固定された主観視点に近いモードになり、左スティックで周囲を見回すようになる (照準が表示され、銃を狙ったところに撃つことも可だし、一部の装備では完全に主観視点に)。 このルックモード時に、さらにR1ボタンを押すとそのまま移動することができるようになり、 この際は左スティックで移動、右スティックで視点操作というFPS的な操作になるんだけども、 いかんせん動きが遅い上に、ただでさえRボタン2つを押さなくちゃならないという煩雑さに加え、 普通のルックモードでは左スティックを使っていた視点操作が右スティックに移るという、操作系のねじれが頂けない。 こういう形にするよりは、ルックモード時には右スティックで視点を操作するようにして、左スティックで移動させるようにしてしまった方がよかったんじゃないかね。
  ここらへんのロックオンとルックモードのまとまりの悪さが、このゲーム自体の操作性の印象を悪くしてしまっていると思う。 操作性以前に、操作系、あるいはゲームシステム(ゲームの方向性)からもうちょっと練る必要があったはずだ。

  とはいえ、アクションの操作感は自体は悪くない。 不自然じゃない程度に速く移動してくれるし、地形に引っかかったりというところもなく、ジャンプ(×ボタン)関係にもクセがない。 特にボタン入力がなくても、足場の淵に手をかけて掴まってくれるし、ゆっくりと歩いていれば足場から落ちたときにも勝手に淵に掴まってくれる。 そこから足場に上ったり、そこから下に降りたりという操作感にも問題はない。
  そして、プレイヤーが操作するのはあのジャンゴ・フェットなわけで、 当然のようにこのゲーム最大の特徴は、例のジェットパックを使ったホバー移動となるわけだ。 L1を押すとジェットパックを噴射し、噴射中にスティックを入れると高度を維持したまま移動、スティックをニュートラルにすると垂直に上昇するようになっている。 飛べる高さには制限があるものの、それでもかなり高く(身長の5倍くらいか)飛べるし、 ジャンプの移動距離なら相当な距離のグラインドになる。 ジェットパック燃料は一度地面に降りれば勝手に急速に補充されるので、使うタイミングの制限はほとんどないと思っていい。 また、着地前にジェットパックを使えば、相当高いところから落ちても大丈夫。 このジェットパックを使ったダイナミックで立体的なステージ散策は、十分に、他のゲームにない魅力と言えるだろう。 戦闘が大味であるにも関わらず、ステージの流れにはメリハリが付いていて、その展開にも結構意外性があり、なかなか楽しませてもらった。
  ステージ内のグラフィックも、PS2にしてはかなり優秀な部類だと思う。 緻密さには欠け、一見大したことないんだけど、そのダイナミックな移動に見合う、 かなり広い空間の描画が目立つし、背景のバリエーションも多彩だ。 ちゃんと、ジャンゴのアーマーが(微妙にだが)てかってたりと、細かい描写も意外と優秀。 その代わりというか、フレームレートの不安定さはかなりのもんだけどね。
  民間人の存在やザコ敵のセリフといった、洋ゲーらしい自律性のアピールもそれなりに効果的だった。
  また、主人公のジャンゴ・フェットは賞金稼ぎということで、 このゲームでは、各ステージにステージそのもののクリアとは関係ない「賞金首」が潜んでいる。 それは一般人のフリをしていることもあれば、敵の中にまぎれこんでいたりするのだけど、これに関わってくる装備が「IDスキャナー」と「ウィップコード」。 IDスキャナーを選択中にルックモードに移行すると緑色がかった主観視点になって、 画面中の人物にカーソルを合わせて、もし対象が賞金首だった場合はその情報が表示される。 その状態で□ボタンを押すと、賞金首にマーキングされ、IDスキャナーを解除してもその人物にマーカーが表示されるようになる。 面白いのは、賞金首によって、生け捕りの場合と殺してから捕獲した場合とで、 支払われる賞金が変わってくること(IDスキャナーでチェックした時点でその情報がわかる)。 大概はいけどりの場合の方が賞金が高いので、その人物に近づいてウィップコードで動けなくしてから捕獲ということになるが。
  面白い要素ではあったし、アクセントにはなっているのだけど、それがイマイチ生かしきれていないというのもまた事実。 まず、ブラスターで撃ちまくりというゲーム本編との相性の悪さ。 標準装備の2丁拳銃は、基本的に自分が向いている方向の敵を勝手に狙ってくれる上に、 ロックオン時にはロックしている対象以外の敵をもう片方の拳銃で撃ってくれるというフォロー付き。 バンバンと敵を撃ち殺していく分にはそれでかまわないんだけど、その中に殺しちゃいけない敵が混じっていると、そういう親切仕様が逆に仇となる。 いちいちIDスキャナーを選択しなければならない上に、 前述の通り、ルックモード自体の操作性のマズさ(通常操作とルックモードとの操作のギャップ)もあって、 敵がワラワラと攻撃してくる場面では賞金首を探す余裕すらないことがしばしば。 そして、賞金を得ることによるメリットのなさも致命的か。 この賞金が何になるのかというと、累計賞金額によって、オマケのコンセプトアートが順次オープンしていく、だけ。 自分のクリア時間は11時間弱と、プレイ時間的にはやや物足りないものだったので、 もうちょっとこの賞金首という要素を上手く使って、リプレイ性を高めてほしかったところだ。 まぁコンセプトアードはまだしも、ジャンゴ・フェットのマンダロア戦士団時代のストーリーを描いたアメコミや、 NGムービー集といったオマケ(隠し要素)は結構楽しかったし、何も無いよりはマシだったけが。
  あと、敵がワラワラ湧いてくるゲーム性が先にあったから敵AIをショボいままにしたのか、 AIがショボいからそういうゲームにした(なった)のかはわからんけど、足場から足を滑らして奈落死する敵がちょっと目立ちすぎ。 ま、それが普通のザコだったら笑えるだけなんだけど、中に賞金首が混じってたりするんだよなぁ・・・。

  ストーリーは、当然、スターウォーズ本編からすれば外伝的な位置付けになるわけだけども、 映画「スターウォーズ エピソードII クローンの攻撃」でドゥークーに雇われていたジャンゴ・フェットの、 その状況に至るいきさつを描いており、 彼のキャラクターと共に、ジャンゴ・フェットの過去、映画に登場したザム・ウェセルや愛機スレーヴIとの出会いなどなど、 ジャンゴ・フェット自体にフィーチャーすれば、結構重要なストーリーが描かれている (ついでに、オマケとしてジャンゴ・フェットのマンダロア戦士団時代のストーリーを描いたアメコミも読める)。 ファンならニヤリだろう。 ストーリーテリングの主な手段となるプリレンダムービーの質は高く、位置付け的に“ステージ間デモ”って感じだったので、あまり違和感もなかった。 当然のように、ローカライズも非常に丁寧に行われており、音声も全て日本語化されている。 英語版ではちゃんと映画と同じ俳優さんが声で出演しているだけに、 ちょっと残念な気持ちがないわけじゃないけど、ジャンゴの声はシブくてカッコよかったので、これはこれで良しとしたい。
  ただ、スターウォーズの雰囲気という点では、先日プレイしたXB『Jedi Academy』などに比べると随分と劣る。 主人公がジャンゴだからというだけでなく、最終章なんて(規模こそ大きいものの)中世ヨーロッパ風の風景になっちゃってるし。


  決して優等生的な質の高さを持ったゲームではないし、 人には薦めづらいものがあるんだけど、ジェットパックを使ったステージ散策は確かに面白く、結構楽しめてしまった。 ダメなとこはダメと割り切れれば、意外とイケる。

2004年11月30日記載