REVIEWTron2.0 Killer App
Xbox [海外]
2004年11月2日発売発売:Buena Vista  開発:Climax  

  1982年に公開されて、自分も含めてカルト的な人気を得たSF映画「トロン」の、ゲームオリジナルの続編で、 2003年8月にPCでリリースされた『Tron 2.0』の移植版ということになる。 元のPC版を開発したのはFPS「No One Lives Forever」シリーズなどで有名なMonolith社。 それを、XB『Sudeki』やTHQから販売されている(要するにナムコのではない)「Moto GP」シリーズなを開発したClimax社(日本のクライマックスとは別会社)が移植した。 元々の映画が好きだったし、PCで出たときから注目はしてたんだけど、いかんせんDirectX9世代のゲームは自分のPCではマトモに動かないので断念。 そんな中、今回のリリースされた北米版がリージョンフリー仕様だったもんで、即買い&プレイということになった。


  舞台は映画の20年後の世界。 Tronプログラムを作った映画の主人公(というか、実際に活躍するのは同じ人が演ずるTronなのだが)Alanの息子「Jet」が主人公。 優秀なコンピュータ技師であるAlanは、ゲームプログラマー志望の息子を落ちこぼれと見なし、 二人の間では口論が絶えなかったのだが、電話で会話しているときに不審な形でAlanの方から電話が切れてしまう。 心配になったJetは父の職場に向かい、父のコンピュータにアクセスするが、突如Jetはデジタライズされ、電脳世界に引き込まれてしまうのだった・・・。 Jetは電脳世界から脱出できるのか、そして、Alanが務めるEncom社を乗っ取ろうとするfCon社の邪悪な企みとは!ってな感じ。

  いきなりだけど、まずグラフィックについて書いちゃおう。 元の映画が根強い人気を保っている理由は、独特のビジュアルイメージにあると言い切ってしまってよいだろう。 よって、このゲームの最大の目標は、そのビジュアルイメージの再現&活用にあるということになるわけだ。 で、結論から言って、その目標は間違いなく達成されている。 グローエフェクト(ボヤーと光らせる特殊効果)をバリバリきかせたグラフィックによって、 擬人化されたプログラムが生きる幾何学的でサイケデリックな電脳世界が上手く表現されている。 キャラクターがやや直線的でゴツいことや(華奢な感じの人間とCGとの対比が映画の良さの1つでもあった)、 キャラクターにあまりバリエーションがない(人型すぎる)こと、 風景というレベルの広い空間が描けていないといった不満がないわけではないものの、基本的には素晴らしいの一言。 この世界を主観視点で冒険できるという点だけでも、ある一定の満足度があったりのは事実だ。

  というわけで、ゲームの形式はFPS。 左スティックで前進後退&左右平行移動、右スティックで旋回込みの視点操作、Rトリガで武器の使用となる。 また、Yがスイッチなどを操作するアクションボタン、Aでジャンプ、左スティッククリックでしゃがむ、 右スティッククリックで(可能な状態なら)ズームといったところにしても、まぁFPSではアリガチな操作系といってよいだろう。 武器選択は、Xボタンを押して「Weapon Grid」を開いてから十字キーで選ぶというのが基本で、 Bボタンを押すとショートカットで設定した武器のローテーションで切り替えとなる。 武器は共通のエネルギーを消費して発射するので、リロード操作は用意されていない。
  ゲーム全体の流れは一本道で、大まかには10個のステージ+ラスボス戦という作り。 各ステージは幾つかのレベルを次々と進んでいくようになっている。 レベルは割と細切れになっており、次のレベルに入ったときには結構長めのローディングが挿入され、前には戻れないような処理がされてしまう。 レベル内での進行も、「Permission Ring」という鍵的な存在がやや変わってはいるものの、 その使われ方にはさほど工夫があるわけでもなく、かなり一本道な傾向が強いと言えるだろう。

  結論からいくと、ゲーム内容はイマイチと言わざるを得ない。 その原因は、特徴となるはずだった成長要素&カスタマイズ要素の消化不良さと、特殊な戦闘バランスにある。
  成長要素である「Performance Ratings」と、カスタマイズ要素である「Subroutine」は、おそらくこのゲームの特徴になるはずだったものだろう。
  主人公にはレベルというパラメーターがあるんだけど、他のゲームとはちょっと変わってて、ゲーム内で目的を達成したときや、 隠し(ってほど隠れてはないが)アイテムである「Build Notes」をゲットしたときに 「Build Point」を得、これがレベルに加算されていき、そのレベルは、まるでPCのアプリケーションのようv0.0.0から徐々にバージョンアップしていく。 で、メジャーバージョンアップ時(要するに先頭の数字が繰りあがった時)に「Performance Ratings」という主人公のステータス5つが、 単に増えるだけじゃなく、与えられた数値を自由に振り分けることができるようになるというもの。 まず問題なのが、レベルアップの頻度が少ない(ちなみに、自分がクリアしたときのLvは9)上に、 Build Notesの存在によって、必ずしもゲームの流れに沿ってレベルアップするわけじゃなくなってしまっているので、 この要素がいまいちゲームに絡んでこなかったという点。 レベルアップ時にステータスを自由に割り振れるというからには、 状況に応じてステータスを変えてプレイさせたかったんだろうけど、残念ながらそういうゲームにはなっていない。 より根本的な問題点は、5つのステータスの重要度に差がありすぎるということ。 戦闘が意外とキビしいゲームということもあって、いわゆる体力に相当する「Health」は最重要ステータスになる。 問題はそれ以外の4つ。 武器を撃ったり、アイテムをゲットするときに消費する「Energy」は、 ゲームプレイに絡めてしまった(例えば先に進むためのPermission Ringを得るときにEnergyを消費したりする)ゆえにか、 大抵の場所で無尽蔵に回復できるポイントが設定されているので、その上限を上げるメリットはそこまで大きくない。 極々一部で、ゲットするために大量のEnergyが必要なアイテムがあったりするんだけど、それに見合ったアイテムにはなっていない。 武器の消費エネルギーを減らす「Weapon Efficiency」は、終盤を除けばエネルギーを消費しない基本装備で戦闘をこなせるというか、 諸事情によってこなさなくちゃならないので、やはりそれほどのメリットはない。 残りの、アイテム等をゲットするときの時間を減らせる「Transfer Rate」と、 ウィルスに感染したSubroutine(後述)を直したり、内容不明のSubroutineを鑑定する時間を減らす「Processor」は、 いかんせん、そのそれぞれを急いで行う必要性がほとんどないので、ほとんど飾りみたいなもん。
  一方の「Subroutine」は、装備することで能力を得ることができるスキルのような存在。 大まかに、武器(Combat)、防具(Defense)、その他(Utility)の3種があって、それぞれをMemoryにセットすると効果を発揮する。 また、Subroutineには「Alpha」「Beta」「Gold」という3段階のレベルがあって、レベルが上がるにつれ、効果が高くなり、消費Memoryが少なくなっていく。 面白かったのが、このMemoryの構造がステージによって変わっていること。 Subroutineの消費Memoryは各レベルごとに、3、2、1となっているんだけど、 Memoryの空欄はステージによって、例えば、4、4、5となっていたり、6、6、2、とかなってたりする。 つまり、同じ3ブロックの空欄でも、3ブロックが連続して空いている場合と、2ブロック+1ブロックの場合、 1ブロックが3箇所に分かれている場合とでは、Subroutineの選択を変えていかなくちゃならないということになるわけ。 しかし、これもアイデアとしては悪くなかったんだけど、ゲームとして生かせてたかっていうと非常に疑問。 問題は、レベルを上げることにほとんどメリットしかないことか。 確かに武器の場合は消費Energyが増えるんだけど、そもそもEnergyは比較的回復しやすいし、Energyを消費する武器の出番はそう多くない。 んで、SubroutineがGoldになっちゃえば、空欄がどうなっていようが関係ないわけで・・・ もちろん、Subroutineをレベルアップさせる機会は非常に限られているのだが、必須となるSubroutineもそれと同じくらい限られている。 他の要素は現状の通りでも、レベルという概念はなくして、単純に効果が大きいSubroutineは消費Memoryが大きいというようにすれば、また違ってきたんじゃないかな。
  まぁ、最初の意図としては、『Deus Ex』のようなゲームを作ろうとしたのかもしれない。 しかし、いくらこういった要素を設けてみても、一本道で実際には戦闘しかゲーム的な要素がないようなゲームには無用の長物だろう。 あるいは、もうちょっと戦闘に自由度があれば、また変わってきたのかもしれないが・・・。

  というわけで、戦闘について。
  このゲーム内では「Primitives」と呼ばれる武器のシステムはちょっと変わっており、 まず「Disc」「Rod」「Ball」「Mesh」という4種の基本武器があって(といっても、これらもゲームの進行に合わせて順次手に入れていくのだが)、 それぞれ、特定のCombat Subroutineを装備することによって、様々な派生武器が使えるようになるという形。 派生武器といっても、元の武器とはかなり性格が変わることが多く、例えば、近接武器であるRodの派生武器として、 いわゆるショットガンに相当する「Suffusion」があったり、スナイパーライフルに相当する「LOL」があったりする。
  とりあえず、まずは4種の基本武器をチェックしていこう。
  光る円盤の形をした「Disc」は、映画「トロン」を見れば分かるように、この電脳世界では最も基本的な、そしてこの世界の象徴となる武器だ。 エネルギーを消費しない唯一の武器で、単発でしか使えず、的に当たれば直に手元に戻ってきてくるんだけど、 的から外れてしまうと、(特にオープンスペースでは)なかなか手元に戻ってきてくれないというのが難点(その間は防御や武器変更もできない)。 ただ、攻撃力は低いわけではなく、敵の頭にヒットさせれば一般的な相手なら一撃で倒せてしまったりする。 そして、最大のポイントは、Disc系の武器を装備しているときは、Lトリガで防御できるという点。 このゲームで最も多く出てくる敵キャラ「Intrusion Countermeasure Programs(ICP)」は 武器としてDiscを使ってくるのだけど、自分との距離に関わらず、その命中率は極めて高い (狙いが正確な上に、その弾速も意外と速く、ホーミング性能もあるようで、移動して避けるのはほぼムリ)。 Discの防御はこの相手のDiscを防御するためにある。 ここらへんの戦闘バランスに関しては後述しよう。 Discの派生武器2種は共にはDiscの強化版で、防御も可能となっている。
  「Rod」は近接攻撃武器。攻撃をヒットさせれば、(他の敵から攻撃を受けない限り)ダメージを与え続けることができるので、 一応、敵を一撃で倒せるということになる。また、攻撃時には音がしないようだ。 よって、ステルスシチュエーションで使う武器として、足音を消すSubroutine「Fuzzy Signature」と併用せよと説明書には書いてあるけど、 敵の察知能力が高めなこのゲームの中に、そんなシチュエーションは見つからないな・・・。 派生武器はRodとはまったく違う性能で、ショットガンに近い「Suffusion」といわゆるスナイパーライフルに相当する「LOL」の2種。 Suffusionは射的距離が短い上に、溜め撃ちが基本となるので、(溜めきればダメージは大きいものの)やはり使う場所が見当たらず。 LOLは比較的重要な武器で、ズーム機能が付加されるSubroutine「Triangulate」と併用して使うことになる。 例のごとく、ヘッドショットを決めれば相手は即死。 ただし、一般的なFPSに比べると、狙撃シチュエーションは少なめだろう。
  「Ball」は一種のグレネード。使いづらい。 派生武器の「Ball Launcher」は、中距離の射撃武器として、ちょっとだけ重宝する期間もあるか。 ただ、うねるように飛んでいくその弾は意外と当てづらいし、ICP相手には防御に難アリなもんで、やっぱりあまり使えない。 もうひとつの派生武器「Drunken Dimes」は、複数の弾を一度に撃つBall Launcherのような武器。 Subroutineの出てくるタイミングが遅めなことに加え、そもそも、たくさんの敵と一度に相対するゲームではないんで、結局使わず。
  「Mesh」は中距離で狙いがややバラけるブラスター。 威力は結構あるようなのだが、狙いが定まらないのは、このゲームでは致命的。使う場面は見当たらない。 派生武器のはエナジーを回復する近接攻撃「Energy Claw」と、 よくわからんがとにかく消費Energyが大きくすぎて使いにくい遠距離攻撃武器「Prankster Bit」は、 共に登場が遅すぎて、これまた使う機会ナシ。
  とりあえず、使えるというか、使う機会がある武器がかなり限られているのがわかると思う。 その難点は複合的なものだ。 まず、敵のDisc攻撃の狙いが正確すぎるので、 (そして武器の持ち替えに割と時間がかかるので)防御を行えないDisc以外の武器は装備しにくい。 で、そのDiscは十分に使いやすく、ダメージも大きい。 Disc以外の武器は撃ちまくると速攻でEnergyが尽きてしまうのに、それに見合った効果があるとは思えない。 基本武器はほとんど使い物にならず、派生武器はわざわざSubroutineを装備しなくちゃならないので面倒臭い。

  このゲームの戦闘は意外とキビしいんだけど、 その原因は武器を使い分けてないからでは(多分)なくて、主に敵側にその要因がある。 何度も言うけど、何より敵の攻撃が正確すぎる。 そして、敵の察知能力が高すぎ(よって、ステルスなシチュエーションはほぼ皆無だし、狙撃なシチュエーションも少ない)。 さらに、敵の場所がわかりにくい(背景に馴染んでしまうことがあるし、その存在を知らせるSEがないor弱い)、 敵からの攻撃がわかりにくい(敵からの攻撃を知らせるSEが弱い)、 ダメージを受けたこともわかりにくい(破裂系の攻撃範囲が分かりにくい)、と。 さらに言えば、体力を回復できる機会が少ないというのもある。 とにかく、敵のDiscをブロックできるようになるまでは、非常に苦労すると思うし、 その後も、複数の敵に囲まれてしまうとそれだけでNGな感じだ。 元PCゲームらしく、いつでもセーブできる仕様なんだけども、どうもそれをアテにしたとしか思えないゲームバランスに感じられるなぁ (PC版とどこまで同じ内容なのかは知らんが)。
  まぁ、“だったらだったで”という話にすると、もっとDiscにこだわればよかったじゃん、と。 他の攻撃もDiscで防げるようにしたりするとか、もうちょっと防御の攻防を加えるなりして。 で、戦闘の比重を下げた上で、もっと探索重視の内容にすべきだったんじゃないかな。それこそ、GC『メトロイドプライム』みたいな路線で。 大体、架空の世界での冒険の割に、移動にダイナミズムがないんだよね。 意外と低い場所から落ちただけでダメージを受けちゃうし、ジャンプは高くないし、他にこれといった移動要素もないしで。 途中に、映画でお馴染みのライトサイクルのゲームが何回か挿入されるけど、 (トロン的なアピールは別にしても)ゲーム的にはフリー走行っぽい場面を入れたほうが面白かったと思う。
  現状でのその他の不満点としては、Subroutine関係のメニューの操作性が芳しくない (基本的な操作性のマズさもあるし、Subroutineのソートができないという難点も)のと、 いつでもセーブできる反面、オートセーブみたいなものがないことが気になった。 あと、戦闘でアピールできるゲームじゃないとはいえ、ラスボス戦は淡白すぎ。 レベル間のローディングも気になる長さだが、まぁこれはXB『Halo2』の直後にプレイしたからってのもあるんだろう。
  プレイ時間はデータとして残らないんで、断言はできないけど、10時間は超えてるかもしれないけど、15時間は超えてないだろう。 アッサリ終わるってほどでもなければ、ボリューム満点っていうほどでもなく、シングルプレイに限ればボリューム的には普通な部類か。

  最後に英語に関して。 その場その場での目標や、ゲームシステムなどの説明については、いつでも参照できる絵付きのHelpで随時フォローされるので、 そのHelp内の文字が小さくて読み難いのが難点だけど、多少の読解力があれば、ゲームに詰まるってことはないと思う。 ただし、システム的にちょっと変わってるゲームではあるので、さすがに読解力ゼロだとキビしいだろう。 問題はストーリーの把握の方。 イベントシーンには字幕が付いているし、 それ以外はE-mailという形の文章でストーリーを補完するという形なので、ラクな部類かと見せかけて、 例えば武器がPrimitivesだったりという単語の特殊な使い方が多く、 しかも、プログラムはヘンなボイスエフェクトがかかった声をしてるので聞き取りにくいかったりと、意外と苦労させられたなぁ。 あ、リアルタイムポリゴンによるイベントシーンは、比較的よくできてると思う。 グラフィックは良し悪しというより独特なんだけども、一応リップシンクしてるようだし、顔の表情なども悪くない。ボイスアクトも良好。 前後に結構なローディングが入るのは頂けなかったが。


  独特の世界観は、おそらく映画を観てなくても魅力的に映ると思うし、自分としても、トロンな世界を冒険という点に限れば楽しめた。 ただ、一見、ゲームシステム的にも凝ってそうだったから、ちょっと期待したゲーム部分に関しては、 かなり期待ハズレだったなぁ。残念。

2004年12月12日記載