REVIEWメタルウルフカオス
Xbox
2004年12月22日発売発売:フロムソフトウェア  

  「日本のデベロッパがXboxに残した財産で一番大きいものは?」と聞かれれば、 テクモのTeam NINJAのタイトルの他では、『O・TO・GI 〜御伽〜』『O・TO・GI 〜百鬼討伐絵巻〜』という 「O・TO・GI」シリーズを挙げるXboxユーザーが多いじゃないだろうか。 個人的には、Xboxのみならず、どうにもピリっとしないここ何年かのフロムの中で、孤軍奮闘してるシリーズにも思える。 で、その「O・TO・GI」シリーズのプロデューサー竹内将典氏が送る新作ロボットアクションゲームがこの『メタルウルフカオス』だ。 元々、“「O・TO・GI」で得たノウハウを活かして何か新しいものが作れないだろうか”という模索の中から生まれたゲームらしく、3Dエンジンも「O・TO・GI」のものを流用しているそうな。 ということで、もうちょっとロコツに“ロボ版「O・TO・GI」”になるのかと思いきや、これがなかなか・・・。


  まず、ゲームの形式としては、 「O・TO・GI」のようなスティックを入れた方向にキャラが動いてカメラリセット操作を行いながら進めるタイプではなく、 FPSと同じ操作系を採用した客観視点シューティング、 つまり、主人公ロボ「メタルウルフカオス」の真後ろに視点が固定され、 左スティックによる移動と、右スティックによる旋回を含めた視点操作を基本とし、近接攻撃ではなく、射撃がメインのゲームということになる。 『MDK2』や『Metal Arms』などと同系で、日本では意外と少ないジャンルだ(パッと思いつくのはPS2『THE 地球防衛軍』くらい)。 射撃をメインとした時点でこういう操作にするのは、まぁ当然っちゃ当然なんだけど、そういう考えがちゃんとできること自体、評価に値する (フロムということで、「アーマードコア」のノウハウが生きたのかもしれない)。
  基本的な操作感で気になるのは、旋回のスピードがコンフィグで調整不可で、しかもやや遅めなこと。 まぁ、これは難しいところで、一方ではロボットらしい重量感の表現ととれなくもないし、 最終的にはそれほど気にならなくなってしまったけど、もうちょっと速く旋回できてもバチは当たらなかったかも。 結構メタルウルフが大きく表示されるにも関わらず、それがあまり邪魔に感じられないのは良かった。 前方に移動するときはややカメラを引くといった、細かい配慮も効いていたのだろう。 こういう形式のゲームは、地面を滑るような感覚の操作性になってしまいがちなんだけども、 決してそうはならず、ちゃんとロボっぽさが感じられるのも良かった。
  各ステージは、基本的に一本道というよりは箱庭的な作りになっている。 そこで、ステージ内に散らばった「ターゲットエリア」というミニ基地みたいな建物を破壊していくのを基本に、 ボスっぽい敵を倒すのが目標となるステージも多く、ステージ数がさほど多くない(全14ステージ)反面、あまり単調さは感じられない。 実質的に時間制限のあるステージも極々一部にあるし、極々一部に敵が湧いてくる部分があるようだが、 「O・TO・GI」みたいなシステムとしての時間制限はないし、割とマッタリと自分なりのテンポで進められるのも良い。
  攻撃関係の前に、まずそれ以外の要素をチェックしておこう。 シールド(体力)の仕様は若干変わってるというか、「O・TO・GI」なんかとほぼ同じ仕様で、 攻撃を受けるとシールドゲージが減少し、シールドゲージがゼロになると、 シールドの数が1つ減る、そしてシールドゲージ自体は時間と共に回復していくというもの。 細かいダメージを無視して突き進めるというのは、このゲームの方向性にマッチしてるのだけど、ややシールドゲージが短い印象も残る。 有無を言わさずシールドの数を減らされる場面が、ちょっと目立つ。
  また、Xで「ブースト」というダッシュ。 そこまで素早い動きではないのだが、基本的な動きが若干重いメタルウルフには重宝するし、歩兵やコンテナなどを吹き飛ばせるのもナイス。 さらに嬉しいのが空中でも使用可なことで、ブーストし続ければずっと同じ高さに留まることができるし、空中で向きを変えて射撃なんてことも可。 …って、Xボタンを押しながら右スティックで視点を動かしつつRで射撃?と思うかもしれないが、 実は、このブーストは左スティッククリックでも行えるようになっている。よって、ややXB『ガンヴァルキリー』チックな動きができたりも。
  で、面白いのが、このブーストとシールドのシステムが関係していること。 ブースト中には「ブーストゲージ」が減少していくのだけど、ブーストゲージがゼロになると、今度はシールドゲージが減少していくようになる。 もちろんシールドゲージが低いってのはリスクになるし、回復時間もブーストゲージ>>シールドゲージなので、ブーストゲージの範囲内でのブーストが基本となるけども、 多少無理をすれば、かなり長い時間高速(ってほど高速でもないが)移動ができるということになるわけだ。 なかなか面白いシステムだったんじゃないだろうか。
  ただし、“Xでブースト、ただし左スティッククリックで代用可”というスタンスが暗示するように、 ブーストありきのゲームデザインにはなっておらず、意外と立体的に戦えないのが、個人的にはもっとも不満なポイントだった。 基本的に、あまり高さが稼げない。 例えば左スティック中立でブーストすると垂直に上昇するのだが、 なぜかこの状態でのブーストはシールドゲージを消費して行うことができず、あまり高く上昇することはできない。 さらに、ジャンプ(Aボタン)中の垂直ブーストは、落下速度を落とすだけで上昇することはできない。 まぁ、そうした理由はおそらく、移動の自由度を制限することで、プレイヤーの進行ルートをある程度コントロールするためであろう。 それはある程度仕方のないことなのだが、もうちょっとは頑張ってほしかったし、 そうならそうで、せめて天井の透明な壁に引っかかるなんてことがないようにしてほしかったぞ、と。

  んでは、肝心の攻撃関係を見ていこう。
  メタルウルフカオスは常に左右2つの武器を構えており、Rトリガ、Lトリガがそれぞれの射撃に割り当てられている。 通常は左右4種類ずつ計8種類の武器を持ってステージに赴くことになり、ゲーム中にはまずBで武器ウィンドウを開き、 LRトリガで左右それぞれの武器を選択し、もう一度Bを押して武器ウィンドウを閉じるという方法で装備を変えることになる。 これをリアルタイムで行っていくため、最初のうちは結構戸惑うかもしれないが、上達する余地&楽しさということにもなるだろう。
  武器によってロックサイトの大きさがかなり違って、それによって攻撃性能も大きく変わるというのは、 同社の「アーマードコア」から影響を受けた要素か。 武器の使い分けのわかり易い基準として(例えばマシンガン系にはミサイル迎撃という価値があるとか)、面白かったと思う。
  100種以上の武器が登場するというのをウリの1つとしているけど、 系統に分ければ「ハンドガン」「ショットガン」「マシンガン」「アサルトライフル」 「バズーカ」「ミサイル」「グレネード」(ここまでが片手武器で以下は両手武器) 「スナイパーキャノン」「レールガン」「マルチミサイル」「フレイムランチャー」という11種類からなる。 また、武器にはエネルギー系と実弾系の2種があって、別々の弾薬アイテムで補給する (さらに、それぞれが重火器、軽火器に分かれるので計4種の弾薬アイテムが存在することになる)。
  で、この武器はムダに多い印象。 ハンドガン、マルチミサイル、フレイムランチャー、スナイパーキャノンにはまったく存在価値を見出せなかったし、 ショットガン、ミサイルも使えない武器ではないようだが、自分の場合は、結局使う機会はほとんどなかった。 特に、両手武器がスペースを食う割に使えなかったのが残念。 さらに、例えば、ハンドガン、マシンガン、アサルトライフルは、ほぼ同性能で実弾版とエネルギー版の武器があるのだけど、 この実弾とエネルギーの使い分けも上手く機能してないように思う。 敵の耐性だけじゃなく、もうちょっと性能的な住み分けをさせるべきだったんじゃないかな。 例えば、エネルギー系の武器は完全にブーストゲージに依存して弾薬を排除するとかすれば、弾薬アイテムの数も半分に減らせるわけで。
  武器選択のときにバックパックがバッと開き武器がズラッと出る絵は確かに豪快でカッコいいんだけど、 ゲームプレイ的には左右それぞれ3つずつくらいの方が良かったと思うし、ムダを省けば、武器の使い分け的にもそれで十分だったろう。
  新しい武器をゲットするためには、ステージをクリアすると「資金」と「レアメタル」を得ることができ、 まず「出資」で資金を使って、各武器系統それぞれの「開発度」を上げ、より性能の高い武器を生産できるようにし、 資金とレアメタルを消費し、それを生産するというのが基本(ステージ内で武器を得られることも無くはない)。 常にクリア済みのステージは再挑戦することができ、お金&レアメタルを稼げるが、 あまり的外れなものに資金を浪費しない限り、ステージを順々にクリアしていく分にはそれほど問題はないはず。 ただまぁ、“詰まったらお金を貯めて武器を開発して再挑戦してね”という形で、救済策にはなっているか。
  また、ステージ内にあるステージクリアに直接繋がらない要素として、「救出」と「エネルギーポット」がある。 救出の方は、各ステージには人質が捕らわれていて、 その人質を救出するとそのステージの「経済力」と「技術力」というステータスが上昇し、 ステージクリア時に得られるお金とレアメタルが増えるというもので、後者は、各ステージには5つくらいの「エネルギーポット」が隠されていて、 これを一定数取得するごとにメタルウルフカオスの基本的な能力が強化されていくというもの。 共に一度助けたりゲットしたりすれば、以降は出現しなくなる(そのステージに捕らわれている人質、隠されたエネルギーポットの数は明示される)ので、 一番わかり易い形でのやり込み要素と言えるだろう(面白いかどうかは別にして)。

  全14ミッションで、それほど長いミッションあるわけでもないし、 かなり短いミッションも結構あるので、クリアするだけであれば、やや物足りないボリュームかもしれない。
  2周目以降の追加要素としては、弾数無制限の(ただし、エネルギーポッドや救出以外の記録は残らない)「FEVER MODE」と、敵が強化される「HELL MODE」の追加がまず第一。 各ステージをHELL MODEでクリアするごとに、 メタルウルフカオスのカラーバリエーションが1つずつ増えていくという嬉しいオマケがあるんだけど、 非常に残念だったのは、HELL MODEがHELLって程には難しくなかったことだ。 (強力な武器を使うということを除けば)特別HELL MODE用に攻略が必要になってくる場面なんて、ほとんどないんじゃないかな。
  また、クリア後にある条件をクリアすると、各ステージ順々に「UFO」が出現するようになって、 記録としてそれを破壊するまでの「グレイ撃破時間」という項目が追加されるのだが、 これには特別面白みがあるもんじゃないし、非常に取ってつけた感は拭えず。
  あと、記録として10個以上の項目があって、各項目の総合ランクがSランクになるとそれぞれ隠し武器をゲットできるらしい。 「破壊数」「踏みつけ撃破数」「迎撃数」といった、時間をかけるだけでSランクが取れちゃうのは面倒臭いだけだけど、 「ダメージポイント」「クリア時間」といったわかり易い要素もあり、スコアアタック的なリプレイバリューは意外と高いと思う。
  参考までに自分のプレイ時間は、ゲームクリアまで8時間弱、HELL MODEオールクリアまで12時間強、 その後、グレイ捕獲やスコアアタック的に各ステージをリプレイし、現在のプレイ時間は約20時間となっている。 それなりに工夫はされているし、総合的なボリュームという意味では合格点だろう。

  グラフィックは、「O・TO・GI」ほど印象的ではないものの、Xboxオンリータイトルとして恥ずかしくないレベルじゃないかな。 それなりに広い範囲が描かれ、それなりの数の敵が描かれ、背景&キャラクター共に上々の描き込み具合。 さすがに「O・TO・GI」のように地形がガンガン壊れていくようなことはないものの、 それでも壊れるオブジェクトの数は相当多く、その壊れっぷりもナイス。 「アーマードコア」という実績のあるフロムらしく、メカ関係のデザインは洗練されてるし、細かい動きも実に凝ってる
  一方で、音関係はやや弱いか。 BGMもパンチに欠けるのだが、特に最初のうちはSEの弱さが気になるところだった。 中盤以降は強力な武器が増えることもあり、それほど気にならなくなったが(もちろんボリュームバランスを調整しての話)。

  最後にゲームの舞台&ストーリーなど。
  主人公は第47代アメリカ合衆国大統領「マイケル」。 副大統領「リチャード」率いるクーデター軍によって掌握されてしまったアメリカに自由と正義を取り戻すため、 極秘裏に開発されたパワードスーツに身を包み、単身、クーデター軍に立ち向かうことになる。 確かに状況は絶望的だが、マイケルに負けは許されないし、負けるとも思っていない。 なぜなら、彼はアメリカ合衆国大統領なのだからっ!
  …最初にこの話を聞いたときは、 アメリカの“ビリーヴ・ユア・ジャスティス”的なものをアイロニックに描くのかな?と思ったのだけど、 意外にも皮肉めいたところはなく、その設定のまま最後まで爆進だった。逆にスゲェ。 ちなみに、英語音声のセリフ中で最頻出の単語は間違いなく「president」。 基本的に、マイケルとその秘書「ジョディ」のやり取りがゲームの大部分を占め、 ほぼダブルボケみたいな形(ツッコミ役不在)なもんで、疲れることがなかったわけではないが、 ヘンに皮肉っぽく(そしてギャグっぽく)描かなかった分、良質なバカゲーとしてこの側面も十分に楽しめたな。 リアルタイムポリゴンのイベントシーンの質も高いし(ただし、ゲームプレイ中のものはややゲームのテンポを崩す傾向はあったが)、 ニュースのパロディ的なプリレンダムービーパートも笑えた。


  ややツメの甘さと物足りなさはあるものの、「O・TO・GI」の資産と「アーマードコア」のノウハウが上手くミックスされた、 個性的でなかなか質の高いアクションシューティングに仕上がっていると思う。 ほぼ期待通りに楽しめた。 “撃つ”アクションゲームに関しては、意外と国内デベロッパがニガテにしているというか、 海外デベロッパに先を行かれている感があるんだけど、頑張れるとこは頑張れるんだな、と。

2005年1月31日記載