REVIEWPrince of Persia: Warrior Within
Xbox[海外]
2004年11月30日発売発売:Ubi Soft  開発:Ubi Soft Montreal  

  前作『Prince of Persia: The Sands of Time』の丁度一年後にリリースされた続編。 前作PS2『プリンス・オブ・ペルシャ 〜時間の砂〜』がかなり面白かったもんで、クリアして即、続編の購入&プレイとなった。
  どうでもいいことだが、個人的にはXB『Beyond Good & Evil』に続くアジア版タイトルで、 基本的に北米版と同じっぽかったそれと違って、説明書の半分は中国版で、パッケージにも中国語がチラホラと。 中国語タイトルは『波斯王子 武者之心』。


  前作のレビューに書いた通り、前作はメディアの評価及び注目度の高さの割には売れなかったそうで、今回はかなり前作とはイメージを変えてきている (余談だが、前作が4機種を微妙にズラしてリリースしたのに対し、今回はまったく同時に4機種でリリースしたというのも、前作を反省材料としたのだろうか?)。 ゲーム的にどうこう以前に、 パッケージの絵、タイトルロゴ、スクリーンショットなどを見れば、そのビジュアル的な路線の変更にビックリするだろう。 敵にトドメをさす時も、首がスパーン!で、血がブシュー!だし、 最初のボスは必要以上に露出度の高いボンデージ女だ(それが「ウガーッ!」とか唸り声を上げながら斬りつけてくる)。
  これでも主人公は前作と同じ「the Prince」で、物語は前作の数年後という設定。 前作の冒険の結果、彼は「Timeline(時の流れ)」を狂わせてしまうことになったわけで、 その流れを修正、つまり王子を亡き者とするために「the Dahaka」というモンスターが出現、王子の命を付け狙うようになっちゃった。 んで、王子はその不死身のクリーチャーDahakaに追われ続けた結果として、いつの間にかこんなワイルドな容貌になってしまったということらしい。 何とかDahakaから逃げつつ、賢人「the Old Man」に会った王子は、 彼の助言を元に、時の砂の生まれた地である「the Island of Time」へ向かい、 そこで過去へとさかのぼり、時の砂が生まれること自体を止めようとするのだった・・・というのが物語の導入。
  前作にあった独特のデザイン&雰囲気は丸っきり失われ、あらゆる面で、洋物としてはかなりアリガチな路線に落ち着いたと言えるだろう。 グラフィックも話のノリも、丁度「Legacy of Kain」シリーズを思わせる。

  ゲーム面でも、基本的には前作を踏襲しながらも、かなりイロイロと変更点がある。
  一番変化があったのは戦闘関係。
  まず戦闘そのものの位置付け。 前作のようにあからさまな戦闘シチュエーションで敵が延々と湧いてくるってことはなく、一応、普通にステージをうろついているような形になったし、 目の前の敵を倒したら次の敵が現れるということ自体は相変わらずあるものの、前作ほどダラダラとは湧いてくることはない。 その代わり、全編に満遍なく戦闘が散りばめられている感じで、戦闘の比重そのものは前作より大きくなったと言える。
  あと、ボス戦っぽいボス戦も幾つか追加された。 こちらが与えられるダメージにメリハリがなく、全体的に冗長ではあるけど、まぁゲームとしてはアクセントになってるだろう。
  そして、戦闘そのものの質もやや変化。
  一番の変化は、今回も右手の武器は剣で固定されているのだが、前作にあったダガー関係の要素は削除され、 左手で落ちている武器を「secondary weapon」として拾うことができ、二刀流で戦えるようになったこと。 secondary weaponは大まかに分けて「Swords(剣)」「Axes(斧)」「Maces(棍棒)」「Daggers(短剣)」という4種類があり、 例えば、Axesはやや振りが遅い代わりにダメージが大きいとか、 Daggersはリーチが短い代わりに振りが速いとかあるものの、基本的には同じような使い勝手と思ってもらって間違いない。 2刀流の強みは、右手(Xボタン)と左手(Yボタン)の組み合わせで様々なコンボがあって、 そのバリエーションの数ほどには使い勝手の差はないものの、 敵にトドメをさせる強い攻撃と、攻撃判定が大きく複数の敵に一度にダメージを与える攻撃があること。 基本的に、攻撃力は片手状態より高いと思って間違いない。 あと、Bボタンで敵に武器を投げつけることができる。 自動的に敵を狙ってくれるので、自由度は低いものの、 貴重な遠距離攻撃として、特に地面に武器がたくさん落ちているような状況では、ローリスクな攻撃として気軽に使える。 このsecondary weaponは一定回数使うと壊れてしまうんだけど、 敵を倒せば残るし、武器棚もチラホラと置いてあるし、不自由することはほとんどないだろう。
  一方、左手が空いている状態では、Yボタンは掴みアクションになる。 ジャンプボタン(Aボタン)による跳び越しと同じような動きから、Xを押せば敵にトドメをさせる攻撃、Yなら足払い(防御不可?)からの攻撃、 左スティックを入れながらBを押せばその方向に投げ、左スティック中立なままBを押しっ放しにすれば、敵を背後から掴む「Human Shield」状態になる。 例えば、敵を投げて高いところから落とせば一撃で倒せるし、 Human Shield状態でさらにBボタンを連打すれば、(時間はかかるが)敵をそのまま間違いなく倒すことができる。 この掴みアクションは、跳び越し攻撃が通じない敵にも間違いなく通用するのが強み。
  簡単に言えば、敵が複数いるときのための二刀流敵が単体ならより確実に倒せる一刀流、そんな使い分けになってくるだろう。
  あと、カウンター攻撃の出し方が、“ガードする直後に攻撃ボタンを押す”から、 “ガードした直後に攻撃ボタンを押す”に変化し、非常に出しやすくなったのも、地味ながら大きな変更点。 前作のように一撃で敵を倒す攻撃ではないものの、トドメになる強い攻撃にはなっているので、今回は結構これを重宝することになるはず。
  自分が攻撃しているときに敵から攻撃を食らうと、仰け反らないでダメージを受けてしまったり (だから、運悪く敵の攻撃が重なると一度に大ダメージを食らってしまうことが)、 ガードできない攻撃の基準がわかりにくかったり、勝手に敵をロックオンし、その敵を中心に動くので、立ち回りがスムーズに行えなかったり (ただ、思ってもない敵を攻撃することはあまりないのが救い)、相変わらず面白いとは言えない戦闘ではあるけども、 上記のような変更点を理解すれば、とにかく鬱陶しかった前作の戦闘よりかはマシに感じられると思う。
  気になったのは、むしろ、今回は武器の出し入れは自動化されちゃってて、 近くに敵がいると自動的に武器を取り出して戦闘モードになってしまう(つまり、通常時とは操作性が変わってしまう)こと。 極々一部に設けられた、戦闘とアクションを絡めたようなとこでは必要以上に難儀なことになるし、面倒臭い戦闘をスルーするのが結構難しかったりもする。 まぁ、こういう仕様だからこそ、アホ臭いというかゲーム臭い敵のAIがそれほど気にならなかったのかもしれないが。

  アクション関係では、壁に垂れ下がった布に剣を立て、そのまま下に降りていくというアクションが追加された。 壁走りから布に触れたり、足場から跳び降りた際に布に触れると、その布が続く限り、安全に下に降りることができる (そこからジャンプすれば反対側に跳ぶこともできる)。 こういう縦方向にダイナミックに動けるアクションってのは、大抵はゲームを楽しくしてくれるもんだし、これもその例外ではない。
  あと、今回は普通に垂れ下がったロープはなくなり、壁に沿って垂れ下がってるものだけになったというのも、地味ながらも一応変更点だろう。 ロープに掴まってるときにRを押すと壁に沿ってスイングするわけだけども、 今回はそこからジャンプするのではなく、壁走りをすることになる(当然、ロープに掴まるのも大抵は壁走りからになる)。 普通に垂れ下がったロープがなくなっちゃったのは残念だけど、 壁走りとも絡めた、より複合的な存在になっているわけで、ゲーム的にはプラスだった。
  アクションそのものに大きな緊張感があるゲームではないものの、 その使わせ方、立体的な地形を踏破していく感覚は、当然のように前作を継承しており、非常に面白いものに仕上がっている。

  時間操作関係では、パワーの器が排除され、 特殊能力で消費するステータスは「Sand Slots(砂の器)」に一元化された。
  そして、前作では自分の動きもそのまま遅くなってたもんでほとんど使う場所が見当たらなかったスローモーションも、 今回はちゃんとその効果が実感できるように、自分だけは通常と変わらないスピードで動けるようになった。 戦闘時にも使い易くなっただけでなく、スローモーションを絡めた仕掛けも大幅増。

  視点関係では、ズームイン・アウトという感じだった右スティック上下が、 より視点の上下移動という感覚に近いものになり、普通に上を見れるようになった。 基本的には好ましい変化なのだが、スティックから指を離すとすぐに水平に戻ってしまう操作性に違和感が残る。 スティックを下に入れて見下ろすような視点にしたときはそれが継続されるのに・・・。 常にキャラの足元も見える状態にという配慮なんだろうけど、個人的にはいらんお節介に思えた。
  ちなみに、前作をPS2で、本作をXboxでという意味では、LRにボタンがひとつずつしかないXboxということで、 主観視点は白ボタンに、遠景視点(landscape camera)は黒ボタンで操作する。 リアルタイム性が要求される操作ではないので、特に問題はなかった。 前作ではその場の遠景視点から外れると、自動的に通常の視点に戻っていたんだけど、 今回は次の場所の遠景視点に切り替えられる(つまり、遠景視点が継続する)ようになった。 もちろん、遠景視点のままプレイするゲームではないが、より自然な形と言えるだろう。

  で、ゲームの流れの方にも、ちょっとした変更が。
  今回は過去と現在を行き来しながら「the Castle of Time」を冒険することになるんだけど、 足取りがほぼ一本道で一方通行だった前作とは違い、展開上、同じ場所を行ったり来たりするような流れになった。 ・・・でも、ゲームの流れ自体は相変わらず一本道で、 過去と未来の行き来も、自分で意識して行うわけではなく、ゲームの展開上そうなっているというだけの話。 ちなみに、今回は現在と過去を行き来する度に、新たな能力を得たり、砂の器が増えるようになっている。 ここらへんの流れも一本道。 ちなみに、隠れた通路を見つけて体力の最大値を増やしてくってのは前作と変わらないんだけど、 今回は、その隠し通路の中は罠だらけのスペシャルステージになってて、そのゴールにたどり着くと体力が増えるという形になった。
  個人的には、こういう形にするのであれば、もうちょっと自分で行く先を探索するような部分や、 新たに得たアクションで行ける範囲が広がるような仕掛けにしてほしかったというのが正直なところではある。
  でもまぁ、これはこれで意味がなかったわけではない。 基本的に作り手側にとっての話なのだけど、何より、レベルデザインの労力の割にプレイ時間が稼げるのだろう。 今回はセーブデータにプレイ時間が表示されないから正確なところはわからないが、 ボリュームは前作の1.5〜2倍くらいあるんじゃないだろうか (ただし、いかんせん前作が短かっただけで、本作単独では及第点というレベル)。 そして、それが手抜きかっていうと、決してそうではない。 過去と現在ではかなり地形を変えてはいるし、過去と現在の行き来を絡めた結構複雑な流れを、 ひとつの大きなステージデザインとして非常に上手くまとめてあると思う。 時間を行き来するということで、 (シナリオの根本的なところに)タイムパラドックス的な難点・疑問点がなくはないものの、終盤にはその作り生かした面白い展開も用意されている。
  さらに、現在から過去に行く場面では、毎回、魔物Dahakaに追いかけられるシーンが用意されている。 ここは一気に逃げ切らなくちゃいかない場面で、視点は完全にCPU任せ。 ゲームとしてよいアクセントになってるのは確かだし、追いかけてくるDahakaを画面内に捉える視点に移ったりと、 演出的には面白い工夫がある反面、プレイヤーの誘導という意味では上手く機能していない場面も。 そもそも、ちょっと余裕がなさすぎ。 「どこにいくんだ?」と迷ってるとすぐにDahakaにやられてしまう。それならそれで、もうちょっと視点に気を配ってほしかったな。

  基本的には面白いゲームなのだけど、気になるのは難易度の高さだ。 別に、トラップがシビアとか、パズルが凝ってるとかなら結構なんだけど、 ちょっと強引に難しくしちゃってる(なっちゃってる)ような・・・。
  とにかくまず、Sand Slotsの数が少ない。 なんせ今回は3つでスタートし、最終的にも6つまでしか増えない(前作は4つでスタートし、全体のボリュームが少ないのに、最終的には9つまで増える)。 前作では“砂の器が尽き、時間を巻き戻せずにゲームオーバー”なんてことはほとんどなかったはずなんだけど、今回はそれが十分に起こりうる状況になっちゃってる。 で、意外とリトライ地点がたくさん用意されてた前作とは違って、 リトライ地点はほぼセーブポイントだけになっちゃったようで、リトライが面倒なこともしばしば。 水を飲める場所(体力回復地点)がほぼ、セーブポイントも兼ねる泉だけになっちゃったのもキツいところだ。 特に体力も少ない序盤は、かなりキツかったな。 ・・・というか、中盤以降は実はそんなにキツくなかったりするので、 やはりSand Slotsによるところが大きいような気がする。
  あと、シビアなトラップが増えたのは結構なんだけども、とにかくトラップがテンコ盛りすぎ。 部屋と部屋を繋ぐ細い通路には必ず、これでもかってくらいに刃の付いたトラップが多数配置されていて、 どうもトラップの緩急ってもんが欠けてるように思う。もうちょっとダラダラと風景を楽しみながら進むような場面を設けてもよかったんじゃないだろうか。
  それもあって、視点が前作以上にストレスになっちゃってるのもイタい。 前作にしても視点に関しては文句なし!っていうレベルではなかったのだけど、前作の場合は広い場所が多かったのでそれがさほど気にならなかった。 しかし、今回は割と狭い場所が多いので、基本的な視点操作感がストレスに繋がってしまう場面がチラホラと。 Dahakaに追いかけられる場面といい、全体的にやや微調整が足りないかなという印象を受ける。

  グラフィックは、前作ほど印象的ではないにしろ、やはりよく描けてる部類。 相変わらず背景は素晴らしいと思う。 ただ、「PS2ここまで!?」という驚きがあった前作に比べて「Xboxでこの程度?」と思ってしまう部分があるのは仕方がないか。 相変わらず(前作ほどではないにしても)キャラクターは微妙な感じ。 モーションも、ゲーム中の王子の動き自体は悪くないんだけど、それ以外は全体的に雑に感じられる。
  前作同様にピンポイントで流れ出すBGMは、 ギターがギンギンのハードロック調に。 そのこと自体の良し悪し以前に、使われ方が何ともビミョーで、効果的に盛り上げられてないところがちょっと目立つような。

  ボリューム的には、前述の通り、普通にプレイしてクリアするだけでも及第点というレベルには達していると思う。 さらに、今回は全ての隠し通路を発見すると、ラスボス戦&エンディングに変化がある、らしい。 明らかに攻略記事をアテにしたような要素で、とても自前でトライする気にはなれないけど、無いよりはマシ。 3段階の難易度変化(おそらく敵が強くなるだけ)、 Xbox Live対応の「Time Attack Mode」「Arena Combat Mode」なども、“無いよりはマシ、かも”っていう程度のものだろう。

  最後に英語に関して。 日本語版前作に字幕がなかったもんで、ちょっと心配してたのだけど、ちゃんと字幕があってひと安心。 ただ、音声と字幕の同期はイマイチ。 まぁ、そのゲームの性質上、英語が原因で詰まることは考えにくいし、 多少理解できれば、(細かい部分はどうあれ)ストーリーの把握そのものも難しくはないはず。


  最初はイメージの変化と高難易度に戸惑ったものの、 そもそもこういう路線の雰囲気自体は好みなもんで、 ボリューム的な満足度、やり応えも含め、個人的には前作より楽しめた。満足。 が、前作より洋ゲー耐性が必要な内容になってるのは間違いないだろう。

2005年1月31日記載