REVIEWXIII サーティーン
Xbox
2004年8月5日発売発売:マーベラステンターテイメント  開発:Ubi Soft  

  フランスの同名コミック(ひと昔前のもので、本国では結構人気があったらしい)を原作にしたFPSで、 北米で2003年11月にXB/PS2/GC/PCの4機種ほぼ同時期にリリースされたもののローカライズ版となる。 トゥーンシェイダーを本格的に使ったFPSということもあって、 割と注目されていたのだが、リリースが延びてしまって、しかもデキが(良くも悪くも)フツーだったため、 いざリリースされたらあまり話題にならなかった、自分はそんなイメージを持ってるタイトルだったりする。 ただ、ヨーロッパでは結構評価されたらしい。


  主人公は、とあるアメリカの東海岸に打ち上げられた記憶喪失の男。 早々に何者かに襲撃を受けるも何とか逃げ出し、胸元に刻まれた「XIII」というイレズミと、 手元にあった貸し金庫の鍵を手がかりに、まずは自分が何者かを知ろうとするのだが、 大統領狙撃犯として逮捕されてしまったり、そこから脱出したりしていく中で、 社会の裏に潜む謎の組織の巨大な陰謀との関わりが分かってくるのだった・・・。 自分は誰? 謎の組織の実態とは? そして、組織の陰謀を阻止しなければ!そんな内容。 つまり、現代を舞台にした、ヘンな怪物とかが全く現れないFPSとなっているわけだ。

  せっかくなので、まずその最大の特徴だったはずの、トゥーンシェーダーを使ったグラフィックからチェックしていこう。 もう随分と目にするようになってきたトゥーンシェーダー(トゥーンレンダリング)技術なんだけど、FPSで採用されるのはこれが初なんじゃないだろうか。 とはいえ、それによってビジュアルが印象的なものになったかっていうと、かなり疑問。 いかんせんモデリングがかなり大雑把なもんで、コミックそのものというレベルには達してない。 それがDC『ジェットセットラジオ』みたいに独自の世界を形成していればいいんだけど、 このゲームは元がコミックなわけで(イベントシーンでコミックタッチの絵が挿入されたりもする)、となるとちょっと力不足かな、と。 ただし、大雑把なキャラクターが必要とされるリアルさを引き下げたお陰もあって、 割と大雑把に描かれた背景ながらも、ステージにその描き込み具合以上の存在感が感じられたのも事実。 ゲームのウリになるかどうかは別にしても、それなりに価値のある選択だったと思う。
  また、足音に「TAP-TAP」、手榴弾の爆発に「BAOOMMM」、敵の断末魔の叫びに「ARRRR」などなど、 一部の効果音にコミック風の擬音文字が表示されるという演出もあるのだが、これらも予想以上に躍動感がなく、表現として効果的ってほどではない。
  グラフィック面を総合的に言えば、ウリになるほどではないにしろ、 それなりにバリエーション豊かに描かれているし、その質も悪くない。 ちょっと変わった方向性ではあるにしろ、まぁ及第点といったところだろう。

  FPSということで、操作系にこれといって目立つ点はない。 左スティックの前身後退左右移動、右スティックの旋回を含めた視線操作を基本に、 Rトリガで通常攻撃、Aでジャンプ、Xでリロード&アクション(アイテムの使用)、 B&Yボタンで武器の選択、方向パッド左右で武器以外のアイテム選択、左スティッククリックで立ちとしゃがみの切り替えなど。 Lトリガは武器ごとに設定された特殊攻撃・・・とは言うものの、 実際に使うのは、アサルトライフルのグレネード弾と、狙撃系武器でスコープを覗くことくらいで、あまり出番が多い操作ではない。
  次々と「ミッション」と呼ばれるレベルをクリアしていく形になっているんだけど、 いくつかのミッションが章仕立ての大きな塊となっており、章から章の間には体力や所持武器などがリセットされる。 データセーブで残るデータはチェックポイントを通過した時のものだけで、 コンシューマ機だけがこの仕様で、PC版はいつでもセーブできるのかと思いきや、PC版も同じ仕様らしい。 いつでもセーブに慣れてると不満に感じるかもしれないが、チェックポイントの間隔はかなり短めなので、それほどキツくはないはず。 というか、全37ミッション(ちなみにそれが8つの章に分かれている)ってことから逆に分かるように、そもそも1つのレベルが結構短いのだが。
  難易度は「アーケード」「ノーマル」「リアリスティック」の3段階で、ゲーム開始時に選択するのではなく、オプション画面で随時変更できる仕様 (ちなみに、自分は終始ノーマルでプレイ)。 つまり、難易度とリプレイ性を絡めるような工夫は見当たらないわけだ。 シングルプレイのボリューム自体に不満があるわけではないものの、 そもそもリプレイ性の高いゲーム性ではないし、ゲームをクリアしてもオマケ要素が出ることもなく。
  各ミッションはこれといった特色のない作りで、 一応、特定の箇所に爆弾を仕掛ける程度の特殊な任務が用意されていることもあるものの、基本的には、道なりに進んでいってゴールを目指すだけ。 自分で操作できる乗り物要素はないし、強制スクロール的な場面もほとんどなく、地道に自分の足で踏破していくことになる。 ただし、それなりに立体的な作りになってるし、その限りに置いては、悪くないレベルデザインだと思う。 舞台も結構多彩に変化していき、プレイヤーを飽きさせない。
  アクション面で唯一変わってるのが「フック」というアイテムの存在で、 特定の場所にフックを引っ掛け、Rトリガでロープを巻き取り、Lトリガでロープを伸ばすという操作が行える。 単なる上下移動のみならず、左スティックで体を揺らしてその勢いで前に飛んでいくなんていうことも可能。 いかんせん出番はさほど多くなく、ゲームを特徴付ける存在ってほどではないのだけど、まぁアクセントくらいには十分なっていたと思う。

  一方で、戦闘のバランスはちょっと特殊というか、想像していたのとは随分違っていた。
  見た目に反して(?)、これが想像以上にキビしいのよ。 単身突撃して撃ちまくるというランボータイプではなく、フとしたことで大ダメージを受けてしまうという、若干リアル寄りなバランスになっている。 自分に対してもヘッドショットの判定があるらしく (そのために「アーマー」だけじゃなくて「ヘルメット」という防具が存在する)、唐突に大ダメージを受けることがあるし、 特にアーマーもヘルメットもない状況では、真っ向から撃ち合うのはあまり得策ではないようなバランス。 でも、アーマーやヘルメットは(特に章の頭では)そんなに潤沢でないし、 そういった防具アイテムにしても攻撃を受ければガンガンと削られてしまう。 グレネード系もダメージが大きく、ダメージ範囲も(見た目以上に)広いので非常に厄介だ。 ちなみに、攻撃の感覚もちょっと変わってて、通常の射撃はかなりバラけてしまうので、 狙って撃つというより、弾をばら撒くっていう感じが強い (例えば、近距離でもハンドガンの通常射撃でヘッドショットを狙っていくゲーム性ではない)。 精密射撃にはスコープ付きを武器を使うのが常套手段で、こちらは逆に判定が甘い目になってるようだ。
  そして、自分が受けるダメージが大きい代わりに、 (特にアーマーを着てない)敵もかなりヤワで、サクッと倒せるようにはなっているのだけど、 ゲーム全編を通して、サクッと倒せる可能性もあるが、大ダメージを受ける可能性もある(可能性を減らす機会が少ない)という、 なんだか行き当たりバッタリな感じになってしまっている。
  それに伴ってか、ややステルス色が強いゲームになっていたりする。 敵に見つかってアラームを鳴らされた時点で終わってしまうステージも結構存在するし、 なるたけ戦闘を避けた方がラクに進める場面もチラホラ。
  そもそも、FPSってのは何かしらシステム的なフォローがないと、 ステルスってのは難しいわけで、このゲームでは「第六感」がそれに相当するんだろう。 まず、敵が近くにいるとアイコンが表示される。 一応、敵が近ければ近いほど点滅が速くなるとはいうものの、あまりそれを意識するような作りではない。 どちらかっていうと、敵がいるところに無謀に突っ込まないための補助的な要素に思える。 で、より重要なのは、壁などに隠れて見えない場所の敵の足音も「TAP-TAP」などと文字で表示されること。 これで見えない場所の敵の動きを察知しつつ、行動することになるわけだ。 ちなみに、動かない敵は察知できないということになるけど、それを使った嫌らしいトラップはほとんどなかったな。 しかし、これらだけで十分にフォローできていたかっていうと、非常に疑問。 この足音の表示がたまにアテにならんのも困るんだけど、敵の配置が、明らかに主人公を意識した不自然なもので (ゲーム進行のフラグで不自然に敵が湧いてくる場面もチョイチョイと目に付く)、 なおかつ、敵の目と耳が結構良いのが辛いところ。 もちろん、ステルスがメインってほどにはステルスで進める場面ばかりという内容にはなっていない。
  その反面、派手に撃っても意外と他所の敵に気付かれなかったりすることもあったりと、どうにも全体的に不自然さも残る。 倒した敵を運べるという要素も、非常に消化不良でほとんど出番ナシだったし、ステルス要素に関しては、かなり煮詰め不足という印象が残るな。 もうひと工夫、もうひとフォローほしかったところだ。
  また、一応「スキル」という要素もあって、主人公が記憶喪失の状態でゲーム開始となり、 物語が進むにつれ、自分の能力を思い出していくという形なんだけども、足音が小さくなる、回復薬の回復量が増えるといった、 特殊能力というより基本能力の向上って感じのものがほとんどなので、それによって劇的にゲームが変化していくことはなかった。

  ストーリーに関しては、確かにFPSの中では凝っている方だろう。 プレイヤー=主人公という点にこだわった見せ方(ゲームの導入やフラッシュバックで過去を思い出したりする場面)に工夫があって、 確かに、自分は誰なんだ?っていう部分の展開は面白かった。 それでも、最後の最後を除けば、驚くようなポイントもないはず(最後の最後もバレバレに近いが)。 そして、その最後に最大の謎が明らかになった時点で、(それを解決することなく)“to be continued”で終了。 セールス的には成功したとは言いがたいらしいこのゲームに、果たして続きはあるんだろうか・・・。
  ローカライズは丁寧に行われているが、気になったのが(一応)ヒロイン的な位置付けとなる「ジョーンズ少佐」の声。 どうにも素人っぽく「ん?」と思ったらR&Bシンガー「DOUBLE」が声を当てていた。 こういう話題性だけを重視したような起用って、まだまだ残ってたんだな・・・。

  最後に、一応マルチプレイに関して。 Xbox Live(ただし、現状では国内外ともに全く人がいないので除外して考えてよいだろう)、システムリンク、最大4人までの画面分割対戦に対応しており、 モードは、お馴染みの「デスマッチ」「チームデスマッチ」「キャプチャーフラッグ」と、ちょっと変わった「サボタージュ」の4種(参加可能キャラ数はどれも最大8人)。 このサボタージュは、2チームに分かれて、片方は指定された3つの地点に爆弾を設置することを試み、 片方はそれを阻止するというもので、大抵、その爆弾設置ポイントを巡る攻防となるようだ。 全てのモードでBOTを設定することができ、一人でも全てのモードのBOT戦を楽しむことができるし、 画面分割対戦で、味方4人vsCPU4人なんてのもできる。 いかんせん、チーム戦の3つのモードはゲームの大まかな流れを知ることと、 マップを把握することくらいにしか使えないものの、それでもできないよりはマシ。 しかし、ゲーム本編同様、真っ向から撃ち合うにしては、 根本的な戦闘のバランスに難がある(特にアーマー有無でのダメージの差が大きすぎる)としか思えず、 とてもマルチプレイが面白いゲームだとは思えない。


  ややパンチ不足で、ゲームバランスが雑なところがあるけども、 普通に楽しめる内容ではあると思うし、まあまあの佳作程度には評価できるだろう。 現代を舞台にしたチーム制ではないFPSとしては、国内Xboxにおいて今のところ唯一の選択肢だろうし、そういう意味でも価値がないわけじゃない。

2005年1月5日記載