REVIEW007 ナイトファイア
PlayStation2
2003年1月30日発売発売:EA  開発:Eurocom  

  『James Bond 007 in Agent Under Fire』(国内未発売)に続くゲームオリジナルの007として、 北米では2002年11月に3機種マルチでリリースされたFPS。 オリジナルキャラが主人公ジェームズ・ボンドを務めた前作と違って、 映画同様、ピアーズ・ブロズナンがボンドに扮するってのがウリになってるらしい。 ちなみに、据置機3機種の他には、Gearbox Software(『Halo』をPCに移植したとこね)が開発して結構違ったものになってるというPC版がほぼ同時期に、 翌年3月には、当然のように別物だが一応FPSのGBA版もリリースされている。
  主に開発を担当したEurocomは、結構古くからあるのだけどこれといった実績はなく、 ゲーム版『ハリー・ポッターと秘密の部屋』や、PS2『ATHENS 2004』などを開発した、英国の下請け系デベロッパらしい。
  新作『007エブリシング・オア・ナッシング』をプレイする前にプレイしとこうと、 ベスト版を購入したものの、ずっと放置状態になってて、気が付いたらもうその後の『ゴールデンアイ ダーク・エージェント』がリリースされている始末。 思い出したように、一気にプレイすることにしてみた。


  ややスニーキング色のあるFPSであること、各種「ガジェット」の存在、 3段階の難易度、ステージクリア時のメダルの位置付けとそれによるオマケ要素の出現など、 概要としては前作を継承しているので、まずは前作のレビューを参照してほしい。
  ステージは一応全12ステージ。 ただし、最初のステージはデモに近いし、途中、移動は自動でシューティング専門になるステージが2つ、 乗り物を操作するステージが2つ、最終ステージはラスボス戦ということで、FPSステージは6ステージしかない。
  で、まずは一応メインとなるFPS部分をチェックしよう。
  FPSとなれば、普通、左スティックで前進後退&左右平行移動、 右スティックで左右旋回も含めた視点操作というのが基本となるわけだけど、 コイツはこの時点でもまだN64『007ゴールデンアイ』を引きずってるようで、 デフォルトでは、左スティックの左右は左右旋回に割り当てられており、右スティックの左右が左右平行移動に割り当てられている。 既に(というか、おそらく前作の時点で既に)N64『007ゴールデンアイ』の後継作とは思われてないんだから、 そういうトコを引きずる必要はゼロだと思うんだが・・・。 当然のように、ここはオプションで変更可なので、大きな問題ではないにしろ。
  で、そのキー配置は自由に設定を変えられるわけではなく、デフォルトに設定されている「クラシックボンド」の他に、 「ゴールドフィンガー」「オクトパシー」といった007の映画のタイトルが付けられた計8種類のキー配置から選択する。 まぁ、左スティックに前進後退&左右移動が割り当てられているのは3種しかないし、ほとんど選択の余地はないだろう。 一般的には×ボタンを使うことが多いであろうジャンプが全て△に固定なのは(致命的でほどではないにしろ)気になるところだった。
  視点を動かさずに照準を動かせる「マニュアル照準」(L1ボタン)も前作から(というより、やはりN64『007ゴールデンアイ』から)継承しており、 前作のようにこの時の視点操作が強制的に左スティックになるなんていうマヌケなことはないんだけど、操作感&当たり判定、共に問題があるのか非常に使いづらい。 出番となるのは相手に悟られてないシチュエーションでの精密射撃くらいで、似た操作を同じく継承したPS2『タイムスプリッター』のような、 通常戦闘中にマニュアル照準でヘッドショットを狙う、みたいな使い方はほぼムリだと思う。

  とりあえず、スパイっぽいシチェーション自体はそれなりに楽しい。 ガジェットの使い方にあまり工夫が感じられず、前作ほどの存在感はなかったことや、 ステージのブツ切れ感(各ステージは、不可逆の幾つかの場面からなっている)は気になるが、この点に限ればそこまで悪くはない。
  ただ、肝心の戦闘がどうにも面白くないんだよなぁ。
  まず、銃を撃つ感覚、敵に攻撃がヒットする感覚が共にイマイチってのは前作から変わらず。 銃弾がヒットしてからワンテンポ遅れて吹っ飛ぶような、微妙な感触だ。 敵AIもイマイチで、ほとんど自律性が感じられず、戦い方にも工夫がない。 こちらに対する気付き方も、気付きすぎるか(すぐにこちらの場所を特定すぎる)、気付かなすぎるかで、どうにも不自然。
  で、大味で淡白なだけならまだしも、(FPSに限らず)この戦闘関係の難易度が予想以上にキツいのがツラいところ。 最初から中間難易度の「エージェント」でずっとプレイしてたんだけど、 予想以上にキツいもんで、終盤は難易度を「オペレーティブ」に下げてプレイすることになってしまった。 その難易度も単純にダメージがデカいだけって感じで、上手い対処法はこれといって見つからず。 マニュアル照準に熟達する必要があるんだろうか・・・。 そして、オペレーティブでプレイするといよいよ淡白なだけのゲームになってしまう、と。
  前作のBond Moveにあたる「ボンドスタイル」が、前作のようなボンド気分盛り上げ要素としてはあまり機能してないのも気になるところで、 クリア後に全てのボンドスタイルがムービーで紹介されるっていう要素がなくなっちゃったのも残念。
  いくらスニーキングがメインのゲームではないとはいえ、基本的に敵AIがウソ臭いのと、ステルスぽいシステムが皆無なことにより、 そういう部分があまりそれっぽくなっておらず、ゲーム的なユルさがそれをフォローしてるっていう作りも、不満といえば不満なところ。
  総じて、FPS部分は前作以下だと思う。
  シューティングステージは、前作同様、そこまで面白みがあるわけではないものの、 シチュエーション的には工夫があるので、まぁアクセントとしては機能していると言えるだろう。 ここは前作より上(大した加点ではないが)。
  車ステージは、いかにも007っぽいカーチェイスの雰囲気があった前作に比べ、今回は妙に戦闘重視でかなりイマイチ。 特に後半のものは、意外と難易度が高くて参った。
  車以外の乗り物としては今回、愛車アストンマーチンが潜水艦になるという、 シチェーションとしてはいかにも007らしい水中ステージがある。 そのデキは凡庸ってとこだけど、即死っぽい場面があるのに、リトライがステージの頭からってのがやや鬱陶しいところではある。

  グラフィックの方は、特にFPS部分ではあまり空間的に広くなく、それほど凝った表現こそないものの、全体的に丁寧に描けてると思う。
  ストーリーはステージ間のプリレンダムービーで主に進行していく。 シナリオの方はまぁ007なのだが、複数用意されたボンドガールの扱いが中途半端だったのと、 Qのネタに工夫(笑い)が無かったところが不満っちゃ不満だ。 ブロズナンボンドが出てるってだけで満足しちゃったのか、全体的に、ウィットとスタイリッシュさが十分に発揮されていないようにも思う。 というか、下手げにブロズナンなだけに・・・ってとこかもしれないが。
  当然のように音声含めて完全日本語化。 これは映画に馴染みのある自分にとっては結構微妙なところで、お決まりの自己紹介のセリフ「Bond. James Bond.」を 「わたしはボンド。ジェームズ・ボンドだ」なんて言われちゃうと、妙に締まらないのだけども、まぁ仕方がないところか。 ただ、敵ボスのボディーガード「ハヤシ・マキコ」の声がどうにも素人クサイと思ったら、タレントの小池栄子を起用してやんのな・・・。 別に彼女がキライなわけじゃないけど、そういう起用はヤメレっての。 ハクを出さなきゃいけない役が台無しじゃないか・・・。

  最後に、マルチプレイは前作より充実してるようだ。 全部で12のルールが存在し(ただし、似たようなのも混在してるので、その数字ほどのバリエーションはないが)、 画面分割で最大4人までプレイ可能となっている。 また、BOTも4キャラまで参加でき、性格やハンデなど結構設定を細かく変えられるのも良い。 AIそのものがイマイチなことに加え、PS2『タイムスプリッター』のようには一人で遊ぶゲームとして作られているわけじゃないので、 あくまでもゲームのルールやステージの構造を覚えるくらいにしか使えないが、一応、1人でもプレイすることができる。


  前作も微妙な内容ではあったんだけど、少なくともシングルプレイに限れば、ほとんどの面で前作の方がマシだったように思う。 海外サイトではほぼ間違いなく前作より高く評価されていて、 佳作レベルの扱いになってるんだけど、その理由がまったく理解できんなぁ。

2005年2月14日記載