REVIEWローグ オプス
Xbox
2004年2月26日発売発売:ケムコ  開発:Bits Studios  

  北米(2003年10月リリース)はもちろん、国内でも珍しくXB/GC/PS2の3機種マルチ展開したスニーキング系アクションゲーム。 開発のBits Studiosは、1990年設立というから結構古いとこなんだけど、これといった実績は見当たらない小規模デベロッパ。 過去にはXB/GC/PS2『Die Hard: Vendetta』、珍しいところではGBA『Sega Arcade Gallery』などを開発しており、 現在は、キアヌ・リーヴス主演のアメコミ映画「Constantine」のゲーム版を開発してるようだ。


  ゲームの形式はステージクリア形式で、全8ミッションを次々とクリアしていくことになる。 個々のステージは幾つかのパートからなってて、それなりのボリューム感があり、 取り立てて長いゲームというわけではないが、特に短いというわけでもなく、まぁ及第点ってところだろう。 セーブは各ステージ内でチェックポイントを通過したときの記録が残る仕様。
  基本となるキャラクターの操作は、主人公の背後にカメラが固定されているタイプで、 左スティックの上下左右で前進後退&左右平行移動、右スティックで視点操作も含めた旋回となっている。
  とはいえ、左スティックで平面(地面)を等方向に同じ感覚で自由に動き回れるというものではなく、 やや「トゥームレイダー」を引きずった感じの操作感覚 (デフォルト以外の2つの操作タイプだと、片方のスティックで旋回&前進後退、残りのスティックで左右平行移動となっている)。 左右平行移動は前進に比べるとかなり遅く、 例えば、真右に動きながらちょっとだけ前に動こうとすると、いきなりガッと走り出してしまったりと、 時計の1時の方向へはすんなりと進めるが、同じ感覚では2時の方向には進めない。 このギクギャクした感じが、操作感のマイナスイメージの最大の元だろう。 確かに、絵的な整合性っていう意味では、こういう仕様の方が間違いないのかもしれないが、ゲームをプレイする上ではストレスでしかないわな。
  一方、右スティックの視点操作は、旋回動作を兼ねるということもあってか、 カメラが地形にひっかかって操作感に違和感が出るようなことはなく、自然にズーム・主観視点に移行してくれるし、旋回速度も十分。 視点が固定される極々一部の場所を除けば、 何かにぶら下がっているときや、ハシゴを昇っているときでも、制限なく周囲を見渡せるのもナイス。こちらは悪くない
  移動系のアクション操作は、Xによるしゃがみのみ。 しゃがみ中は足音が最小レベルになるっぽいが、とにかく移動速度が遅すぎるので、結構使いづらい。 また、走りながらXを押すと前転となるが、これといった使い道は見つからず。
  そんな中、行動にバリエーションを与えてくれるのがAのアクションボタンで、 画面に表示される「アクティベーションアイコン」が緑のときにAを押すと、状況に応じたアクションを行う。 敵の落としたアイテムを調べる、机の引出を調べるとかだけではなく、 はしごに掴まる、特定のでっぱり部分に掴まるといったアクションもこれで行うことになる。 重要なのは対象を画面中央に捉えなくてはならないということ。 対象からちょっと離れて画面中央に捉えるとまずオレンジ色のアイコンが表示され、近づくとそれが緑になる。 これは探索っぽい雰囲気を出すということで好意的に評価したいのだけど、 基本的にアクションできる対象かどうか分かりづらいことに加え、 画面中央にカーソルがあるわけじゃないので、実際に何を見ているのか分かりづらいのが頂けない。 実際、このゲームに詰まる可能性として、このアクションの対象を見逃すというのは非常に大きいと思う。 近づいただけでアイコンが表示されるというのは興ざめなので、画面中央にカーソルを設置する代わりに画面中央という判定をキツくして、 かなり遠くでもオレンジ色のアイコンは表示されるようにするといったフォローがほしかったところだ。
  攻撃関係の操作は、十字キー上下で武器選択、Bで武器の構えのオン・オフ、構え状態でRトリガを押すと発砲など。
  使える武器はさほど多くなく、サイレンサー付きのピストル、スナイパーライフル、手裏剣の3種が主になってくるだろう。 ピストルでもそれなりの狙撃はできるし、スナイパーライフルもそこまで銃声が大きいわけじゃないし、 手裏剣も特に威力が低いわけではないしと、そこまで使い勝手に差はなかったりするのだけど、 それほど弾薬が豊富に手に入るゲームではないので、 使える場所では弾速が遅い手裏剣を使うなどして、弾薬をセーブしていくことになる。
  戦闘にも関わってくることでは、Lトリガの「ビューモード」はちょっと変わってるかもしれない。 Lトリガを引くとやや画面がズームされる(というより、カメラが主人公に寄る)ビューモードとなって、 この状態では左スティックの上下が(前進後退の代わりに)ズームイン・アウトに割り当てられる。 スナイパーライフルの最大倍率を×10だとすると、×5くらいまではこのビューモードでズーム可なので、 動いていない敵であれば結構離れている敵もピストルで狙撃できちゃったりする。 まぁ、楽しいっちゃ楽しいんだけど、これによって武器の使い分けの必要性がやや落ちてるのも事実なんで、 全面的に良いシステムかどうかっていうと、疑問が残るわな。
  「接近戦(ステルス攻撃)」の扱いもやや特殊。 敵の背後に立っているとゲージが表示されてそれが徐々に溜まっていき、 その状態でアクションボタンを押すと、ゲージの溜まり具合に応じてコマンドが表示され、 それを時間内に入力すると、敵を無音のうちに一撃で倒す攻撃を繰り出す。 ゲージが溜まれば溜まるほどコマンド数が減り、攻撃が成功しやすくなるのだが、 その為には長い間敵の背後に付かなければならず、それだけリスキーになる、っていうアイデアは悪くなかった。 ただ、パワーが溜まれば溜まるほど、コマンド数が減るのに加え、 なぜか入力時間までも減ってしまうという非常に理解に苦しむ仕様となっており、 実際に受けるその恩恵はかなり微妙だったりする。ワケワカラン。 入力時間は固定にし、パワーが溜まりきったらコマンド入力の必要なしにすれば、意味のあるシステムになったろうに・・・。
  戦闘のバランスとしては、とにかくヘッドショットがしやすい。 判定も甘いし、操作性にクセがないもんで、群がる敵をドンドンとヘッドショットで片付けることもできるけど、 そもそも、そういう敵に群がってこられるシチェーションになったらダメっていうゲーム。 敵からのダメージは決して小さくないので、敵が群がってくるモードになったら結局は敵に押し切られてしまう。 ここらへんは後述するスニーキングとの兼ね合いになるのだが。
  武器以外のアイテムは、左右で選択し、Yで選択中のアイテムの使用。 熱センサーのバイザーは、壁の向こうの敵の存在を察知したり、赤外線レーザーを表示したりと、結構使いでがあるものの、 「網膜スキャナー」「グラップルフック」「フライカム」等は、 ゲームの自由度を挙げているわけじゃなく、ステージ内の展開にバリエーションを与えるだけのものと言っていいだろう。 その役目は十分に果たしている。 それもあって、このゲーム、各ステージ内での展開自体はそう悪くない。 これといった独自性はないものの、バリエーション豊かで、結構立体的な展開が盛り込まれており、それなりに楽しいものになってる。

  ただし、肝心のスニーキング部分にかなり問題がある。
  システムの根幹は「メタルギアソリッド」。 画面右上には常にレーダーが表示されており、敵の(不自然な)視界もそのレーダー上に表示される。 また、敵に発見され、通報されるとアラート状態になり、敵の探索の間にどこかに身を隠してバレなければ、 警戒状態→通常状態と状況が変わっていくというのも同じ。
  が、これらの扱いが(ゲームの根幹であるにも関わらず)非常に中途半端なのよ。
  まず、レーダーで表示される範囲が狭いというのもかなり困りものなんだけど、 その地区に到達しないとその地区の地形データが表示されない上に、 そこの人も表示されないので、レーダーを材料には先の状況を知ることができないことが多すぎ。 下手げに立体的な構造が多いので、平面的なレーダーがアテにならんことも多い。 敵の視界がアテにならないのもかなり致命的。 特に、探索中は明らかにレーダー上の視界はウソっぽくなり、 実際の視界に近くなるっぽいんだけど、だったら、ちゃんとそう表示しろよ、って話だ。 通常時にも、なぜか血液&死体はレーダー上の視界外でも反応してしまうらしい。 このシステムを取り入れるなら、徹底してそのルールを守るべきだし、 守るつもりがないなら、こんなシステムは取り入れずにゲームを構築しないと。
  アラート状態だと敵が延々と湧いてくるという仕様も、 場所によってそうだったり、そうじゃなかったり(で、その基準がよくわからん)。 一度アラート状態になったらそれまでという状況も多すぎ。 倒しても倒しても敵が湧いてくるのは結構なんだけど、銃撃で倒すと血痕が残ってしまい、 例えば、次の敵が湧いてくる間に逃れようとしても、敵はその血痕に反応してアラート状態になっちゃう。 かといって、敵に存在を気付かれている状態では血を流さずに敵を倒すことはほぼムリ。 敵を倒しても状況が打破できないのに、隠れてることができる場面も極めて稀。
  この仕様に限らず、ステージ内での展開においても、作り手の意図通りに行動してる分にはかまわないのだが、 そこから外れると途端に破綻する傾向が強く感じられるなぁ。 非常に自分勝手というか、作りが雑というか・・・。
  一応、死体を隠すという要素もあって、死体を抱えて持ち運ぶことができ、 特定のロッカーなどに死体を隠すことができるのだが、 前述の通り、敵は血痕にも反応しちゃうので、あまり意味がないことが多い。 そもそも、警戒状態になると(おそらく)倒せば倒すだけ敵が湧いてくるという仕様で、 敵が湧いたらその分、前の死体が消えるっていうこのゲームでは、 ゲームを支えるシステムになり得るわけもなく、結局、ゲームのシステムというより、極々一部での固定イベントと化してる。
  影に隠れるという要素も似たようなもん。 (特定の)影の中に隠れると、タイマーが表示されて、そのタイマーが終了すると、敵やカメラからまったく見つからない状態になる。 で、ゆっくりと移動する分には、その状態が継続される。 逆に言うと、影の中にいても大きく動いてしまうと敵(カメラ)に見つかってしまうし、 一度影から出てしまうと、また影の中に戻ってもまたタイマーが表示されることになるので、非常に使いづらい。 つーか、何より、このルールが適用される影が少なすぎ。 この要素が必須なとこってあったっけ?っていうくらい、存在感がないシステムになってしまった。
  「メタルギアソリッド」「ヒットマン」「スプリンターセル」などから影響を受けてるのはわかるんだけど、そのどれもが上っ面すぎ。 先に“どういうゲームにするか”っていうことを考え、それに必要なら取り入れる、そういう姿勢が求められる。

  グラフィックは良し悪しか。 人物に関してはモデリングも相当微妙な上に、表情の変化に乏しく、ひと昔前って感じ。 特に、イベントシーンや無線での会話シーンなどは見るに堪えない。終盤にやや唐突に現れるSF的なロボのデザインも、かなりダサい。 一方で、背景の描き込みは悪くない。 印象に残る部分こそないものの、陰影は上手く付けてあり、構造的にもそれほどゲーム臭さを感じさせず、 それなりに丁寧かつバリエーション豊かに描かれている。 日本の中小デベロッパには難しいレベルだろう。 熱センサーバイザーから覗いた絵や、 レーザーセンサーみたいな特殊効果も上手く描けてると思うが、かといって、印象的に美しいというほどではない。
  ストーリーは・・・どうなんだろうなぁ・・・。 主人公は、夫と娘をテロで失った元グリーンベレーの「ニキ」。 彼女のテロリストに対する怒りと、 高い能力に目をつけた超極秘反テロリスト機関「フェニックス」は、彼女を工作員として迎え入れる。 夫もフェニックスの工作員だったことを知ったニキは、2年間の激しい訓練を経て、 旧ソ連系の国際テロ組織「オメガ19」が関連する実戦に投入されることになるのだった・・・というのが導入。 ドラマ的にメインになってくるのは対オメガ19より、むしろ、 テロを阻止するためなら工作員の犠牲もいとわない冷徹な司令官「ネイサン」、 かつてニキの夫と共に作戦に従事した過去を持ち、現在ではフェニックスで最も優秀な工作員と言われるニキの上官「ピーター」の二人と、ニキとの確執か。 テーマとしては悪くなかったけど、キャラクターを魅力的に描けなかったのが致命的。 特に主人公のニキは、絵的な魅力もさることながら、キャラクターとしても魅力に乏しく、単に自分勝手で反抗的な女、そんな印象しか残らない。 他のキャラクターの描写も(少なくともこのゲームのテーマとするには)物足りない。 で、そういう方向性のお陰で、敵側の存在がなんとも微妙になってしまった。 部分的に意外とハードな展開を見せるのは良いのだが、 いかんせんキャラクターに魅力がないもんで、それも映えなかったように思う。

  一応、3段階の難易度が用意されているけど、プレイの自由度は高くないし、リプレイ性は極めて低いとみてよいだろう。 ゲームクリア後のオマケみたいなのも皆無。


  ステージ内の展開自体は結構面白いので、歯応えがある点も含め、そこそこ楽しめたけど、なかなか人には薦めにくい一本だ。 まぁ、ある程度の洋ゲー耐性がある人なら、PS2『スパイフィクション』よりは楽しめると思うんだが。

2005年2月7日記載