REVIEWアナザーコード 2つの記憶
NintendoDS
2005年2月24日発売発売:任天堂  開発:シング  

  2D部分も3Dプリレンダ部分も、なかなか良い雰囲気を持ってたので、発表直後から結構気にしていたNintendoDS専用のADV。 開発を担当したシングは、ゲームデベロッパとしての表立った開発実績はPS2『玻璃ノ薔薇』(発売:カプコン)くらいなんだけども、 旧リバーヒル組の会社(だから、本社は福岡にある)らしく、特に、本作でシナリオを担当しているシングの副社長でもある鈴木理香氏は、 過去に「J・B・ハロルド」シリーズでもシナリオを書いていた人なんだそうな。


  ということで、戦闘的な要素は全くなく、一応、DSの機能を生かした謎解きをウリとしているADVなのだが・・・。

  ゲームの主人公は、14歳になる直前の少女「アシュレイ」。 両親は彼女が3歳のときに事故でなくなったと、育ての親である叔母の「ジェシカ」から聞かされていたのだけど、 ある日、アシュレイの元に差出人不明の小包が届き、そこには「DAS」と記された小さな機械と一緒に、 「愛するアシュレイ、14歳の誕生日を一緒に過ごそう。ブラッド・エドワード島で君を待っている」という父からのメッセージカードが添えられていた。 そこで、ジェシカに「会えば全てがわかる」と言われたアシュレイは、 ジェシカと共に、ブラッド・エドワード島に向かうのだった・・・というが、物語の導入。 プレイヤーはアシュレイを操作し、ブラッド・エドワード島を探索して (といっても、実際にはエドワード家の屋敷の中が主な舞台となるのだが)、父を探し出すことになる。
  ちなみに、ゲーム開始直後、アシュレイは「ディー」という幽霊に遭遇し、一緒に行動することになって、このディーの記憶を取り戻し、 かつてブラッド・エドワード島に住んでいたエドワード一族の物語を知ることが、このゲームのもうひとつの目的になってくる。

  下画面には、真上から見下ろした画面(3Dグラフィック)が表示され、タッチペン、あるいは十字キーで主人公アシュレイを操作し、 上画面にはアシュレイがいる場所の風景が一枚絵で表示されているというスタイルが、基本的な形。 2画面の意味が感じられる面白い試みだ。 そして、特定の場所に行くと、下画面右上の「調べる」アイコンが明るくなるので、 その状態でアイコンをタッチするか、Aボタンを押すと、上画面に移されている風景が下画面にも表示され、 タッチペンで直接対象を指示して調べる「探索画面」に移る。
  ゲームの流れは、こみいったスイッチ系の仕掛けがある『MYST』のようなものではなく、 むしろ、アイテムを探しては使ってという「バイオハザード」みたいな流れに近い。 で、そのアイテムを実際に使う場面に、タッチペンを使わせるアイデアを盛り込んでいるという。 パズル自体は仕掛けが小ぶりな上に、全体的に平易。物足りない。 これは、個人的に非常に残念なところだったんだけども、まぁ、大して期待してもいなかったので、良しとするか (パズル色が強いゲームが受け入れられるとも思えんし)。 タッチペンに代表されるDSなりの謎解きっていう部分では、かなり面白い試みもあったし、 意外とプレイヤーを突き放した部分もないわけではなかったので、これでも頑張った方と言えるんじゃないかな。

  問題はもうちょっと基本的な操作性の部分。
  タッチペンを使って操作させるのか、十字キーなどのボタンを使って操作させるのか、 あるいはタッチペンとボタン操作を併用させるのか、そこらへんの意識がハッキリと感じられず、どれも中途半端になってしまっている。
  例えば、移動シーンの場合、確かにタッチペンによる移動は滑らかな動きで(ただし、移動速度は一定だが)気持ちイイんだけど、 ゲーム的にはかなり大雑把な動きしか求められないので、その恩恵を受ける場面はない。 いちいち「調べる」とか「戻る」というアイコンをペンで指すのも煩わしく、結局、十字キーとボタンで操作する方がラクに感じられるはず。 一方の探索画面では、十字キーによるカーソル操作は意外と動きが速く使いにくい (実はLボタンを押すとカーソルの動きが遅くなるのだが、なぜか説明書に書かれていない)し、 かといって、タッチペンによる指示も、実際はカーソルを動かす形になっており、ダブルクリックで調べるという形なので、 “ペンで直接指示をする”という旨みが十分に生かせていない。 例えば、カーソルから離れた場所を調べる場合などは、一回クリックして、 (短い時間ではあるものの)カーソルが移動するのを待ってさらにダブルクリックしなければならない。 メッセージスキップも、ペンで画面を突き続けるってのは煩わしく、結局、Aボタンのお世話になってしまうはず。
  せっかくタッチパネルが標準装備のDSなのだから、“十字キーでも操作できます”とか“タッチペンでも操作できます”ではなく、 タッチペンと十字キーを併用して操作させるということをキチンと意識してゲームをデザインするべきだったと思う。
  そう考えた場合、むしろ、アシュレイの移動は上画面で行い、 随時、下画面の風景をペンで調べられるような形がベターだったんじゃないだろうか。 こういう形にした上で、立っている場所の状況に応じた風景をもっともっと細かく増やせば (例えば、石碑の裏に回れば石碑の裏が見えるとか)、かなり化けてたと思うんだけどなぁ。

  ゲームの流れで気になったのが、アイテムの使い方がわかってからじゃないと、そのアイテムを手に入れることができないという点。 つまり、まず、そのアイテムを使う場所を調べるというフラグを立てる必要がある。 確かに、使うかどうかもわからんアイテムをゴッソリと持ち運ぶのは不自然っちゃ不自然なんだけど、やはり煩わしいという印象が強かったな。
  面白い要素だったのがカメラの存在。 下画面に一枚絵の背景が表示されているときは、常にそれを写真に撮ることができるというもので、最大36枚まで保存できる。 メモ代わりに使えるし(もっとも、それが生かせそうな場面は極めて少なかったが・・・)、 2枚の写真を重ねて表示するという機能があって、これを使った謎解きも面白かった。

  グラフィックは及第点だろう。 2D部分は、キャラクターの頭身のバランスにややバラつきが見られたものの、 強く陰影を付けつつ、そんなに劇画っぽくなってない画風は好みだったし、2画面を使ったカットシーンも全体に上手かったと思う。 3D部分もハードの性能を考えればまずまず。 トップビューということで、描写される範囲が限られるのだから、 もうちょっと頑張ってほしかった気もするけど、まぁこんなもんかな、と。カーテンが揺れていたりという細かい芸もあったし。
  ストーリー関係は、特に、主人公アシュレイの微妙な年頃の雰囲気を上手く出せてたのが大きく、 人間関係のドラマっていう部分はそう悪くなかったと思う。 段階的に明らかになっていくエドワード一族の話も時代の趣があってよかった。 ただ、記憶操作という、かなりいろんなことができそうなネタをメインに据えた割には、 その使い方がかなり単純なものになってしまったのが残念なところ。 んまぁ、これもゲーム性同様、あまり記憶操作ってとこに凝りすぎると収集が付かなくなる上に、 一般的にはウケなさそうだし、だからこそ、人間関係のドラマに比重を置いたのだろうけど、 ゲームのパズルっぽい部分が淡白だっただけに、 もうちょっとゲーム的に面白みが出るようなシナリオにする工夫が求められたんじゃないだろうか。
  んで、かなり致命的と思われる難点はボリュームだ。 自分のクリア時間は5時間ほどで、話は問題なく解決。いくらADVとはいえ、さすがにこれは物足りない。 2周目には、エドワード家の状況をもうちょっと詳しく解説したメモが時折手に入るという仕掛けが追加されるものの、 ゲーム自体の流れは(おそらく)全く変わらないわけで、面白みより面倒臭さの方が遥かに上回ってしまう。 分岐を設けにくい題材のADVということで、やむを得ないところもあるんだけど、 だったらだったで、もうちょっとパズルに凝って、やり甲斐みたいなところで勝負してほしかった。


  難易度的にもボリューム的にも、プレイし甲斐に欠け、期待していたほどの面白さはなかった。 駄作ってほどではないにしろ、凡作の域は出ていないと思う。 ただし、ドラマ部分はそう悪くはなかったし、ゲーム部分にも面白い試みが幾つか見られたので、 もう一度くらいチャンスを与えてみたいと思わせる内容ではあった。

2005年3月15日記載