REVIEWX-Men: Legends
Xbox
2005年1月27日発売発売:マイクロソフト  海外販売:Activision  開発:Raven Software  

  アメコミヒーロー「X-Men」のゲームと言えば、 カプコンの対戦格闘ゲームの影響なのか、それ以降、PlayStation時代の「Mutant Academy」シリーズに、 その流れを引き継いだXB/GC/PS2『Next Dimention』と、なぜか対戦格闘ゲームが続いていたのだけど、 ここにきて、やっとストーリー性のあるX-Menゲームが生まれることになった。それがこのアクションRPG『X-Men: Legends』。
  開発したのは、PCで「Star Wars Jedi Knight」シリーズなどを開発し、目立ったところはないものの、安定した実績を残してるRaven Software。 日本ではマイクロソフトが販売する説明書のみのローカライズ企画、ワーコレとしてリリースされた。 北米でのリリースは昨年9月ということで、他のタイトルにしても、ワーコレで出すなら最低限このくらいの間隔でリリースしてほしいところだ。


  そのX-Menは自分が実際に読んだことのあるアメコミとしては、最も“知っている”タイトルなんだけど、 そんな自分が辛うじて抑えてるのはオンスロート編まで (カプコンの『マーヴルvsカプコン』のストーリー的なベースというか、あのラスボスがオンスロートね)。 んで、一部に自分が知ってるのとは微妙に外見(コスチューム)が違うキャラがいたので「ん?」と思い、 ちょっと調べてみたところ、どうもX-Men自体が収集つかなくなったのか、 2000年に、全てをリセットしていちから描き直すというリメイク的な「Ultimate X-Men」というシリーズが立ちあがったそうで (ちなみに、「X-Men」「Uncanny X-Men」といった本編の方も継続中らしい)、本作はそのコスチュームを踏襲しているとのこと。
  ストーリー的にも踏襲してるかは謎なんだけど、自分が見たところ、本編の過去と、Ultimateの今を混ぜた、これまたパラレルっぽいものになってる気がする。
  物語は、ニューヨークの街中で突然ミュータント能力を発現し、街を火の海にしてしまった「Magma」を保護するところから始まり、 実写映画でもお馴染み「Mistique」ら「Brotherhood of Mutants」の計画を阻止するミッションなどをこなしていくうちに、 X-Menの宿敵でBrotherhood of Mutantsのボス「Magneto」が復活、 ついでに、天敵の対ミュータントロボ「Sentinel」に追いかけられたりと、まぁ、そんな感じ。 物語としては、1本筋が通ったものになっているのだけど、ステージ間には新人X-MenとなるMagmaを操作してX-Mansionを散策し、 他のX-Menと会話しながら、X-Menの世界を知るという趣向で、(数は多くないものの)過去のエピソードをミッションとしてプレイできたりもする。
  キャラクター的には、網羅的という感じではなく、比較的有名どころを集めた感じか。 最終的に操作可能になるキャラクターは、そのMagmaの他に、 「Cyclops」「Wolverine」「Jean Grey」「Storm」「Iceman」「Nightcrawler」「Gambit」「Rogue」「Beast」「Colossus」 「Psylocke」「Jubilee」「Emma Frost(White Queen)」という計14キャラ(一部には「Professor X」を操作する場面もある)。 カプコンのゲームと実写映画のどちらにも登場していないのは、 かつてはプロフェッサーXの敵だったのだが、今は彼の良き理解者としてX-Menたちを手助けするEmma Frost (以前のコミックではヤングチーム「Generation-X」の司令官でもあった)くらいだろう。 ・・・何気にBeastもそうかもしれないが。 物語のキーとなるMagmaも、自分はよく知らないんだけどゲームのオリジナルキャラクターではないはず。 一方、悪者の大物としてはMagnetoの他に「Shadow King」が登場。 それ以外で、本作で比較的重要な役割を持ってるのは、サイクロップスの弟で優等生な兄にコンプレックスを抱いている「Havok」くらいかな。

  ゲームの形としては、『Diablo』派生というか、PS2『バルダーズゲート ダークアラインス』なんかに近い、 かなりオーソドックスな俯瞰視点のアクションRPGと言えるだろう。 例えば、実質的にはほぼステージクリア形式になっており、敵を倒すごとに経験値を得ていき、 レベルアップしたら、それに応じてステータスとスキルを上げていき、魔力の代わりが「Energy」で、 回復アイテムは、体力を回復する「Health Pack」とEnergyを回復する「Energy Pack」の2種だったり。 装備は、攻撃内容を変えるわけじゃないので武器とは違うけども攻撃面を強化する「バックパック」と、 防御力を上げる「防具」、一般的なRPGではアクセサリーに相当するであろう、 ステータスアップなどの特殊効果をもたらす「ベルト」の3種で、ちゃんとユニークアイテムも存在したりする。
  そんな中、このゲームなりの特色は、クイックレスポンスでサクサク動く基本的な操作性の軽さと、 4人のチームを引きいてゲームを進めていく点にある。
  まず、基本的な操作性は、PS2『ダークアライアンス』などに比べると、 かなりアクションゲーム風なレスポンスになってて、 攻撃時のコンボもサクサクと繰り出すし、ジャンプアタックなども普通に行える。 Aボタンの「クイックアタック」、Bボタンの「スマッシュアタック」(要するに小攻撃と大攻撃)を組み合わせたコンボもなかなか多彩だし、 Rトリガを引きながらABXYで出せる「Mutant Power」(いわゆる必殺技、アクションRPGとしては魔法的な位置付け)も、なかなか気持ちがイイ。
  ただし、右スティックによる視点操作は、致命的ではないにしろ、気になるところがチラホラ。 自キャラが壁などに隠れると自動的にカメラが真上から見下ろすように動いていくんだけど、時折、これがなかなか元に戻ってくれないことがあった。 真上からの視点だと当然、視界は狭くなるので、これは結構困りもの。 スティック前後はズームイン・アウトに割り当てられているんだけど、 ズームする必要性はゼロなので、完全に俯瞰の角度調整に割り当てちゃってよかったんじゃないかと思う。 カメラが地形に引っかかるような場面も、多くはないけど、ある。我慢できないレベルではないけど、気にはなるレベル。 あと、ゲーム的にはもう一段階くらい引いた絵の方が遊びやすかったように思うけど、ここらへんは迫力との兼ね合いもあるので、難しいところか。 とりあえず、ギリギリで不便と感じない程度の視界は確保されている。
  んで、十字キーで随時、操作するキャラを切り替えることができ、自分が操作する以外のキャラは、 Lトリガで自分の攻撃している相手を集中攻撃させること除けば、 「Aggressive」「Normal」「Defensive」という3段階のAIを設定するのみ。 最大14人の中から4人を選んでチームを組むんだけど、 実際に使ってるキャラ以外にもある程度(結構?)経験値がプラスされていくので、 使用キャラによってもそれほどレベル差が出ないようになってる。 確かに、ゲームとしてはユルい作りではあるんだけど、 やはり、多彩な能力を持つ様々なX-Menを操作するというところに、根本的な楽しさがある。
  似たような動きをするコンボを繰り出すキャラもいるけど、 攻撃に特色のあるキャラはちゃんとそれっぽいコンボを繰り出すようになってるし、それぞれのMutant Powerにも特色があって楽しい。
  スキルの方もキャラごとに特色があって、キャラ育成の方も結構楽しげ。 ただ、スキルに関しては、使える使えないの差が結構激しい印象はある(使えないスキルより、使えすぎるスキルが目立つ)。 例えば、通常使う2つの攻撃系Mutant Power(残りは、パワーアップ系能力と、「エクストリームメーター」という専用メーターを消費する超必殺技)にしても、 両方とも使えて、使い分ける必要があるキャラなんて、ほとんどいないんじゃないかな。 まぁ、敵を倒す以外にこれといった要素がないとなると、限界があるのは仕方がないところではあるが。
  ステージの方は、“各キャラクターの特殊能力を生かして進む”っていう部分はかなり消化不足だったものの、 舞台そのものは結構多彩で、その流れも、例えば壁を破壊して先に進んだりと、それなりの工夫が感じられる。 戦闘の方も、特にSentinelが原作を思わせる厄介で存在感のあるものになってるのがナイス。 物理攻撃、精神攻撃、エネルギー攻撃など、いろいろな耐性を持ってるんだけど、 チーム戦ということで、こちら側の選択肢も多いので、それが単に面倒なだけになってないのも良かった。 ゲーム的には、一度に出てくる敵の量は限られている感じで、あまりワラワラ感はなかったし、 アイテムの出方に、強い敵を倒したらいいアイテムが出るといったメリハリが感じられなかったのが残念なところだった。

  プロフェサーXの声は映画同様、パトリック・スチュワートが演じてる。 なんか、声だけ聞いてもいまだにピカード艦長というイメージなんだけども、これはこれでハマり役に違いなく、ゲームを盛り上げる。 このプロフェッサーXに限らず、ボイスアクトはかなり頑張ってるんじゃないかな。 多国籍なX-Menのメンツなだけに、それぞれのお国の訛りも楽しいし、それ以外でもキャラクターに応じた特色が感じられるようになってる。
  ただ、ストーリーというか、キャラクターの掛け合いっていう部分では、もうちょっと頑張ってほしかった。 特に物足りなかったのはステージ内の会話。 いかんせん自由にチームを選べちゃうもんで、 (キャラクター固定の一部例外を除いて)要するに誰でも同じ内容を喋る形になっており、かなり味気ない印象だった。 また、Magmaを操作してX-Mansionを探索する場面でも、もうちょっと生徒たちと他愛のない会話をできるようにしてほしかったな。
  グラフィックは(好意的に)小奇麗の一言。 キャラクターの方には、トゥーンシェード処理こそされてないものの、コミックということを意識してか、枠線が付いている。 さすがにアップのイベントシーンに耐えられるレベルではないものの、通常時のような離れた視点であれば全く問題がない。 背景にしても驚くようなポイントこそないけど、単調な繰り返しになる部分もなく、遠めで見る分にはかなり隙なく描けていると思う。

  アクションRPGということもあって、全体的に見ればさほど難しいゲームではないけど、 特にボス戦では意外とキツく感じられる場面もあったし、そこらへんのバランスも悪くない。 ゲーム本編の方にはリプレイ性が感じられない反面、自分のクリア時間は25時間弱ということで、 シングルプレイだけでも十分な分量があると言っていいだろう。
  マルチプレイの方は、一応、対戦モード(Live非対応)も用意されているが、 まぁ、それはオマケみたいなもんで、ウリは協力プレイの方だろう。 協力プレイ用に特別なモードが用意されているわけではなく、いつでも4人まで参加できるという形。 PS2『ダークアライアンス』などと同じ仕様なんだけど、 そもそもチームで戦うゲームなだけに、違和感はなさそうだし、この協力プレイはなかなか面白そうだ。 一人でプレイする時より敵が強くなるというのも嬉しい。

  最後に英語について。 ワーコレということで、説明書だけのローカライズなんだけども、 そもそもゲームプレイに特別なものがあるわけじゃないんで、その恩恵は大きくないか。 問題は、むしろX-Menそのものについての説明がゼロに近いところだろう。 せめて、ゲーム中のX-Mansion内で読める簡単なキャラクター解説くらいは、 訳して説明書に載せるべきだったと思うんだけどな。 まぁ、イベントシーンでも字幕が付いてるし、会話シーンの大部分はボタンを押すまでセリフが流れないようになってるので、英語の理解はラクな部類だと思う。


  なるほど、傑出したゲームではないにしても、上手くまとまった佳作なのは間違いなく、X-Menに興味がある自分としては十二分に楽しむことができた。 本作の中で話はまとまってるんだけど、最後の最後で思いっきり続編を匂わせてるし、実際に既に開発中らしいので楽しみに待つことにする。 逆に言うと、基本的にX-Menを知っている人向けなのは否めないのだけど、多少なりとも興味があって、英語をそれほど苦にしないのであれば、 お手軽なワーコレということもあって、試す価値は大いにあるソフトだと思う。

2005年3月27日記載