REVIEWGEAR戦士 電童
PlayStation
2001年4月26日発売発売:バンダイ  

  2000年10月から放映されたサンライズ制作のTVアニメ「GEAR戦士 電童」のゲーム版。 最近のスパロボには結構参戦してるこの「GEAR戦士 電童」なんだけど、 自分はそのアニメの方は、それこそ名前を聞いたことがある程度 (といっても、このゲームをプレイするまでずっと「雷童」だと勘違いしていたのだけど・・・)。 ただ、ゲームリリース当時、既にかなり少なくなっていた据置機の2Dゲームとして結構評価されたことから、 記憶に残ってたタイトルだったりする。
  当時、一部で話題になったのが、実力派の受注デベロッパとして知られるナツメが開発したという点。 ナツメといえばSFC末期の『ザ・ニンジャウォリアーズ アゲイン』(94年1月)、 『ワイルドガンズ』(94年8月)、『新機動戦士ガンダムW ENDLESS DUEL』(96年3月)といった名作群が(一部で)有名だけども、 その後もPSでガンダムの2D対戦格闘ゲーム「ガンダム・ザ・バトルマスター」シリーズを開発したり、 また、ナツメの公式サイトによるとGBAのタイトルを約20タイトル開発した実績があるというから、 今でも2Dゲームを開発する力を持ったデベロッパなんだろう。 ただ、この『GEAR戦士 電童』にはデベロッパとしての表記はなく、 スタッフロールでもナツメはスペシャルサンクスという形になってるので、どういう形でどの程度関与したのかはよくわからない。


  ゲームは全9ステージからなっており、各ステージは基本的に、道中パートの「2Dステージ」とボス戦の「3Dステージ」からなっている。

  2Dステージは、いわゆるベルトフロア形式ではなく、1ラインのサイドビューアクション。 ただ、凝ったジャンプアクションがあるわけではなく、格闘による戦闘がメインとなるので、 プレイ感覚としてはベルトフロア格闘アクションのフィールドの幅をなくした感じ。 これは丁度、上に挙げたSFC『ザ・ニンジャウォリアーズ アゲイン』に近いもので、 ありそうで、あまり他には見当たらないゲーム形式と言えるだろう。 ちなみに、2Dステージ後に3Dステージのボス戦となるのだけど、その前にこの2Dステージにもボスが存在する。
  基本的な操作は十字キー左右で移動で、十字キー下でしゃがむ。 ×によるジャンプは、その代わり、 一度ジャンプしてしまうとその後では十字キーやジャンプボタンを押す長さなどで動きの調整をすることはできないタイプ。 その割にはジャンプの距離が大きめで、不自由な感じはあるけども、自由なタイミングで2段ジャンプ可能なことでフォローか。
  攻撃は○ボタンで行い、連続押しで最大4段階のコンボ攻撃になる。
  特殊攻撃としては、格闘ゲームのようなコマンド技も存在。 いわゆる波動拳コマンドによる「飛翔烈風波」は、弾を飛ばすわけではなく、目の前に衝撃波みたいなのを作る技。 出が遅いので連続技みたいには使えないものの、空中でも出せる上に単発の攻撃力は高いので、極々一部では利用価値がある。 いわゆる昇竜拳コマンドの「閃光雷刃撃」は、敵を打ち上げる竜巻を発生させる技。 ただ、とにかく出が遅く、ザコ敵ですらガードされまくりなので、使う場面はまったく見当たらず。
  ただし、このゲームで打撃以上に重要なのは「投げ」だ。 敵に近づいて方向キー横+○でまず敵を掴み、その後にさらに○でその敵を投げ飛ばす。 また、空中で(掴んでからジャンプしてもいいし、もちろん空中で掴んだ直後でもいい) 方向キー下+○でパイルドライバーみたいな形で下に叩きつけることも可。 敵はこちらの打撃を結構ガードをするし、投げの巻き込みでも結構ダメージを与えられるので、この投げを重宝することになる。
  投げ関係でさらに重要になってくるのが、 方向キー上と○で行う「斬空幻影撃」という前方斜め上にショートダッシュして敵を掴むという特殊攻撃。 空中の敵を掴むだけじゃなく、ちょっと離れた敵を素早く掴むことができるし、 技の発動中はいわゆるスーパーアーマー状態で、ダメージは受けるけどものけぞらないので、非常に重宝するというか、 ザコ戦、ボス戦に限らず、もっとも基本的な攻撃になってくるといっても、過言ではないだろう。
  また、このゲームには「バックアップ電池」というゲージがある。 敵を倒したときに出現する「エレパック」というアイテムをゲットすると増え、 最大で2本のストックとなるこのゲージを消費するアクションは「タービン」と「ファイルロード」の2種類。
  ○ボタンを押しっ放しにしたときにとる防御体制が「タービンガード」で、 この状態で方向キーを押すと「タービンダッシュ」というダッシュ、さらにこの時に○ボタンを押すと「タービンダッシュ攻撃」となる。 このタービン時には徐々にバックアップ電池を消費していく。 攻撃とガードを同じボタンで行うことからも分かる通り、咄嗟に防御できる性能ではなく、非常に使いづらいのだけど、 そもそもガードが必須な場面は意外と少ないもんで、この2Dパートに限ればそこまで大きな問題はない。 しかし、ゲージがなくなっちゃってもガード自体はできるし、方向キー2回入れでショートダッシュはできるわけで、 かといってタービンダッシュならではのメリットもよくわからず。 あえて、ゲージを消費して行わせる理由が、よくわからない。
  ファイルロードは、バックアップ電池を1本消費するボム的な存在。 「データウェポン」(後述)の種類によって多少性能が変化するものの、 概ね、画面全体の敵を一掃する攻撃だと思ってもらって間違いない。
  この2Dステージは、概ね面白かったと思う。 投げがメインというのは意外だったけども、投げで敵を巻き込む爽快感みたいなのは上々で、 ロボットっぽい動きの重さも上手く表現されているし、操作性も悪くない。 ボス戦も意外と攻略性が高くなっており、結構楽しい(さすがに最後がアッサリすぎたのだけは頂けなかったが)。
  投げ飛ばすのが重要なゲームにしては、ちと画面が狭いような感じも受けるけど、 画面外の敵に攻撃できないもどかしさを感じる場面こそあったものの、 画面外から攻撃されることが無いようにという配慮はされているらしく、過度にストレスに感じることもなかった。
  グラフィックもそれなりに丁寧に描けてる。 ただ、背景に関しては、多重スクロールの使い方も含め、全体的に動きのある仕掛けが少なく、やや寂しい印象。 キャラクターの方では、自キャラの電童だけがなぜか非常にプリレンダCGっぽい絵柄になっており、やや浮いているのがマイナス。 キャラクターパターンが多い電童だけプリレンダCGを元に描いて、労力を削減したものと思われるが。

  各ステージの最後を飾る3Dステージは、1vs1の対戦格闘形式。 グラフィックやロボットの動き、SEの雰囲気などは、カプコンの『超鋼戦紀キカイオー』にちょっと通ずるものがある。
  相手は全ステージ共に、電童と同じタイプのロボット「凰牙」になるんだけど、 ステージに応じた「データウェポン」を装備しており、それによって技の内容が変化している。 で、凰牙を倒すとそのデータウェポンをゲットすることができ、次の3Dステージから、それを装備できるようになる、と。 前述の通り、2Dステージではファイルロードという形でボムのように使い、 3Dステージでは、ステージ開始前にデータウェポンを選択するようになっており、 それによって、電童の通常攻撃、必殺技、超必殺技に相当する「ファイナルアタック」の内容が変化する。 データウェポンは最終的に8種類になるので、なかなか多彩な内容ということになるんだけども、 いかんせん3Dのボス戦自体も8回しかないわけで(しかも、難易度的にユルく、試行錯誤するような内容ではないので)、 その多彩さを楽しむ場がないというのが正直なところ。
  とりあえず、操作感は別物だけど、基本的な操作法自体は2Dステージを踏襲している。
  操作関係での最大の変化は、タービンダッシュで軸移動ができるという点だろう。 タービンガード中に上下に方向キーを入れれば、敵を中心に据える形で、そちらの方向にタービンダッシュを行う。 ただ、これこそが戦いを噛み合わないものにしてしまった最大の要因に思える。 いくらゲージを消費するとはいえ微々たる量だし、 その軸移動タービンダッシュを潰せる効果的な手段がない(通常技、必殺技は基本的にヒットしない)ので、 相手にタービンダッシュをされたらそれを見守るしかない。 それを知ってか知らずか、凰牙はこのタービンダッシュをやたらに乱用してくる。 また、操作する側としても、攻撃→ガード→タービンダッシュということになるので、 咄嗟にタービンダッシュ(軸移動)ができず、効果的に戦いの中に組み込むことができない。
  さらに、対戦格闘ゲーム形式ということで、直にガードできないのは、2Dシーン以上に問題ありだし、 ゲージを回復する手段がない3Dシーンでは、ちょっとガードしただけでファイナルアタック (とにかくダメージが大きくヒット率も高いので実際はこれにゲージを回すのが一番効果的) の機会が1回減ってしまうというのも、2Dシーン以上に腹立たしい話だ。
  まぁ、そういう形でファイナルアタックの機会を減ることを踏まえてか、 3Dシーンには「プログラミング・アタック」という要素があるにはある。 データウェポンごとに決まった特定の技をヒットさせると、画面に「○○%」という表示が出て、 その後、特定の技を順番にヒットさせると、敵に大ダメージを与える、らしい。 なんせ、(特定以外の技をヒットさせたり、反撃を食らったときはもちろん、) 攻撃をガードさせたときにもリセットされてしまうため、これがなかなか繋がらず、 試行錯誤してる間に、敵の体力はどんどん減っていってしまう(あるいは、こちらの体力が減っていってしまう)。 よって、存在価値はゼロに等しい。なんじゃこりゃ。
  3Dパートの方は、正直言って、あまりゲームにはなってない。 つまり、デキ自体は2Dパートよりも芳しくないのだけど、ゲームにおけるウェイトが大きくないのが救い。 理不尽に難しいところはないし、動きなどの雰囲気はそれなりに出てるので、オマケみたいなもんだと割り切れば、まぁ許せないレベルでもない。

  となると、このゲームの最大の難点は、難易度が低いことと、 リプレイ性を高める仕掛けが皆無なことになってくる。 これは相当に致命的な問題だ。
  実は、テキトーにプレイしてるだけでいつでもクリアできるほど難易度が低いわけでもないのだけど、 かといって、お世辞にも歯応えがある難易度とは言えないし、何より、残機がなく、フリーコンテニューなのが頂けない。 各ステージはいくつかのパートに分かれており、 コンテニュー時にはそのパートを体力満タン、バックアップ電池1本という状態で再開できてしまうので、 いわゆるゴリ押しプレイでもクリアできてしまう。 もちろん、子供を意識して難易度を下げているであろうことは想像つくんだけども、 例えば、年齢層が低いと思われるGBAのゲームなんかを見てみても、 たとえ子供向きだろうと難易度のヌルいアクションゲームがウケてるとは思えないのだが。
  んでもって、難易度設定も存在しないのが、更に輪をかけて頂けない。 更に、スコア要素もないし、クリアの履歴が残るわけでもないので、いよいよ繰り返しプレイする価値が見出せない。 ゲームそのものは結構よくできていただけに、これは非常に残念だった。

  最後にストーリーの話をちょっとだけ。 おそらくTV版に沿ったもので、元のアニメを知ってる人向けのダイジェストっぽいものになっているんだろう。 確かに、少年向けロボアニメっぽいノリについていけないところもあるんだけど、 それ以上に、言葉足らずさについていけないところの方が大きいような気がする。 まぁ、バストアップキャラによるイベントシーンは一括でキャンセルできるので、どっちにしろ大した問題ではないが。


  特に2Dステージに関しては結構よくできたゲームだと思うんだけど、 だからこそ、難易度設定といった部分で繰り返し遊べるような仕掛けが皆無なことが、非常に勿体無いゲームだった。 子供向けという範疇を超えるいいモノを持ってるにも関わらず、大枠の部分で子供騙しな作りになってしまった、と。 古いゲームだし、かなり手頃な値段で入手できるけども、 それでもプレイの価値があるかっていうと、かなり微妙なところだと思う。

2005年4月30日記載