REVIEWドラゴンヴァラー
PlayStation
1999年12月2日発売発売:ナムコ  

  アーケードゲームの古典的名作『ドラゴンバスター』の流れを引き継ぐというフレコミで登場した3Dアクションゲーム。 諸々の理由によって、ユーザーにはあまり受け入れられず、当時もかなり早い段階で値崩れを起こしていた記憶があるし、 現在でも、中古品はかなり安価になっており、物量的にも豊富に存在するようで、かなり手に入れやすいタイトルとなっている。


  パッと見はアクションRPGっぽいんだけど、敵を倒して経験値を得ていくというゲームではなく、 結構レアなアイテムで微妙にステータスが上昇していくだけなので、育成するという要素もほぼ皆無に近い。 自称ジャンルもアクションだし、実はRPG要素は相当に薄いゲームだったりする。
  実際のゲームプレイ部分のイメージとしては、一応、ベルトフロアタイプに近いかな。 プレイヤーは左スティック(及び方向キー)で自由な方向に移動できるものの、視点は完全にCPU任せ。 結構引いた視点で、目線は低めになってるので(そして、ステージの構造も、あまり奥行きは大きくなく、左右に広がってる形なので)、 感覚的にはサイドビューという感覚となっている。
  各ステージは結構小さめのフィールドに区切られており、 そのフィールドの間を移行する際にはローディングが発生(ただし、その時間は極めて短いので、あまりローディングを意識させない作りにはなっている)。 基本的には、そのフィールドにいる敵を全て倒すとそのフィールドの出口の扉が開くっていうパターンが多いんだけど、 敵を倒すことが必須じゃない場所も多く、流れ的にも必ずしも一本道ではなく、やや行ったり来たりするような作りになってたりもする。

  ゲームのより大まかな構造は後回しにするとして、 とりあえずはキャラクターのアクションの方をチェックしていこう。

  キャラクターの移動に関しては、 方向的にはアナログ操作に対応しているものの、キャラクターの移動スピードは一定。 視点を手動で調整できないこともあって、正確に真横の向かってジャンプしたいときなどには方向キーを使うこともある。 で、L1orL2を押しながら操作すると移動スピードが大きいダッシュ状態になる。 というか、停止時にやや隙が生まれてしまうものの、 その操作感自体はさほど特殊ではなく、普通に速く動けるだけだし、 通常時の移動速度はかなり遅いため、このダッシュでの移動が基本になってくるだろう。 アナログスティックをメインに考えると、ダッシュにボタンを使わせる意味がよくわからないが、 まぁ、アナログスティックが標準ではないPS1では仕方のないことなのかもしれない。
  ×によるジャンプは、『ドラゴンバスター』のイメージとはまったく違って、かなり高い。 その代わり、ジャンプ中の移動の自由度は結構高くなっており、 スティックでの調整は利くし、自由なタイミングで2段ジャンプが可能となっている。 ただ、ジャンプボタンちょい押しで出る小ジャンプは、 別に特殊な技が出せるわけではなく、逆に特殊なジャンプ攻撃(後述)は出せないので、その役割は皆無だろう。
  R1orR2でしゃがみ。これはしゃがみそのものよりも、特殊攻撃に絡んだ操作で重要になってくる。

  攻撃の基本となるのは□で行う剣撃で、ボタンを連打すると最大3回の連続斬りとなる。 また、ボタンを押しっ放しで溜め攻撃も可。
  このゲームの攻撃は、ある程度敵のいる方向に対して自動補正が付いており、 時折、思ったのと違う方向を攻撃して違和感を感じることがある。 ただ、そもそも一度にそれほど多くの敵と戦うゲームではないので(3体以上の敵と一度に相対するようなシチュエーションはかなり稀)、 気になってしかたがないというほどではない。 まぁ、これもデジタル操作を前提とすれば、まぁやむを得ないところか。
  通常ジャンプ時にしゃがみボタンで「カブト割り」、 2段ジャンプ中にしゃがみボタンで「垂直斬り」となるのは、このゲームでもっとも『ドラゴンバスター』を感じさせる部分だろう。 共にダメージが大きめで、自分の向いている方向に攻撃判定が長いカブト割り、 着地時に衝撃波を出して全方向に攻撃できる垂直斬りと使い分けつつ、かなり頻繁に使っていくことになる。 例えば、一部の小型の敵はしゃがみながら攻撃をしないと攻撃がヒットしないのだけど、 しゃがみ攻撃はダメージが非常に小さいので、実際にはカブト割りや垂直斬りを使って対処していくことになる。 しゃがみボタンで攻撃するというところにやや違和感があるけど、まぁ慣れるでしょ。
  攻撃のもう1つの軸となるのが、攻撃→しゃがみ→攻撃とタイミングよく押すことで出す「かちあげ」。 通常攻撃は意外と防御されてしまう(そして即反撃されてしまう)ゲームなこともあって、 この攻撃で敵を上にかちあげ、無防備な敵を溜め斬りで攻撃してフィニッシュするというのが、通常の立ちまわりでは基本となってくるはず。

  んで、これ以外の様々な攻撃は、ほとんど出番がない。
  しゃがみ中にジャンプボタンで行う、ほぼ真上に斬り上げる「上方斬り」は、 ダメージ自体は結構大きいので、空中にいる敵にはそれなりに有効。 空中にいる敵自体があまり多くはないのだが。
  攻撃ボタンとジャンプボタンの同時押しの「危険回避技」は、 体力を少し消費して全方向に攻撃するという『ファイナルファイト』などの緊急回避技みたいな性能なんだけど、 前述の通り、いかんせんたくさんの敵に囲まれるようなゲームではないので、出番は皆無。
  ダッシュ中に攻撃ボタンを押すと出せる「ダッシュ攻撃」は、 単発な上にダメージが小さく、ヒットさせると敵がダウン状態(=無敵)になってしまうので、 むしろ、罠っぽい存在になっている。
  コンボ関係では、攻撃した後にジャンプボタンを押すと全身無敵の「バック転」になるんだけど、 動きが大きく次に繋がらない上に、いかんせん咄嗟に出せる操作じゃないもんで、有効と思われる場面はほとんど見当たらず (というか、戦闘では皆無。地形的な罠を避けるときに有効な場面がちょっとだけあるだけ)。

  このゲームの防御はやや変わっていて、 ボタンを押さないで敵の方向を向いていると、敵の攻撃をガードすることができるというもの。 ザコ戦では、敵の攻撃を防御した後にかちあげ攻撃に繋げるのが基本。
  ただ、意外とガードできない攻撃が多く、それが分かりにくいのが困りもの。 例えば、魔法攻撃は全て防御不可。 横方向に素早い動きができないこのゲームでは、 これが(特にボス戦の)大味さに繋がっちゃってるけど、許容範囲内といえば許容範囲内。 どちらかといえば、近接攻撃にも関わらずガードできない攻撃があることの方が気になった。

  『ドラゴンバスター』と言えばファイヤーボールの魔法だったけども、 このゲームではファイヤーボールのみならず、氷で敵を凍らせたり、体力を回復したり、全8種の魔法が存在。 △ボタンで移行する「ステータスメニュー」で選択し、ゲーム中に○で使用する。
  ただ、戦闘で有効な魔法がないわけではないのだけど、 そもそも、MPの回復は出現するアイテムに依存しているので、やや気軽には使いにくいところがある。 さらに、時折出現するアイテムを除けば体力の回復を行うためにはヒールの魔法を使うしかないので (そして、そのヒールのMP消費量が多きめに設定されているので)どうしてもそれ以外の魔法の出番は少なくなってしまう。 極々一部で、魔法を使わせる仕掛けがあったりするものの、 それも唐突かつ数が少ないし、基本的に魔法の存在感は薄いゲームとなっている。

  これらのアクション及び攻撃に関しては、操作のレスポンス自体は悪くないし、 その作りゆえに視点がネックになることも少ないので、(今プレイしてもそこそこ面白いものになってる。 ボス戦も、攻撃のバリエーションがやや単調で間延びする傾向があって、 ムラっ気がある(ゲーム後半なのにエラく弱いボスがいたりする)ものの、割と攻略性はあって、それなりに楽しめる。 ザコ敵にしても、一度に相対する敵が多くない代わりに、 主人公の何倍も大きいザコ敵が登場したりと、適度にメリハリも付いてる。 無敵状態の敵は点滅表示されて、それがプレイヤーに明示されているのも良い。 ・・・が、“明示してるんだからいいだろう”的な、無敵状態の無配慮な使い方がやや目立ってたりもする。 全体的に無敵状態であることに説得力がなく、特にボス戦では、自分の攻撃ターン、相手の攻撃ターンがハッキリ分かれすぎている傾向が。 また、前述の通り横方向に素早いアクションがないことが、攻防の大味さに繋がっているところもあるし、 ヒール魔法による回復が大きすぎて、ややバランスが崩れてる感も(例えば、ゲーム後半は難しいというより、単に面倒なだけになってる)。
  ただ、何よりも問題なのは、全体的にバリエーション不足なこと。 1周目はまさにそれなりには楽しめるのだけど、2周目以降がとにかくカッタルイ。 で、ここらへんはゲームの大まかな作りに関わってくる話だったりする。

  このゲームでは、幾つかのステージからなる章がひとつの単位となっており、 次々とステージをクリアしていき、最後のドラゴンを倒すとその章が終了。 (基本的には)主人公の子供が主役となる次の章へと移る。 最後の2章はやや変則的な作りとなっているので、4世代に渡る全5章という構成。 この“世代を重ねていく”という部分が、一応、このゲームのひとつのウリだったようなのだが・・・。
  例えば、選んだヒロインによって家系が変化していき、 物語が変化していく・・・とはいうものの、ここらへんはかなり消化不良というか、かなり中身がない。 何より、分岐が単純すぎる。 まず、第1章の最後でラクシス王国の王女「セリア」か、とある発明家の娘「カロリナ」を選ぶ。 カロリナを選んだ後の第2章では、また簡単な選択で第3章以降が2つのルートに分かれる。 これが全て、らしい。つまり、3つのルートしか存在しないわけ。 さらに頂けないのは、どのルートを辿っても、 ゲームの終盤(4章&5章)の展開が同じようなものになってしまうところ。 なんせ、キャラを置き換えただけで、展開そのものはまったく同じなので、非常にカッタルイ。 さらに、ゲーム的にも同じことの繰り返しになっちゃうのがマズい。 一応、申し訳程度に敵の配置を変えたりしてはあるものの、 全体的に戦闘のメリハリが欠けたゲームということもあって、 2周目、3周目で、それが新鮮なプレイ感に繋がるってくることはない。 せめてボス戦くらいは変化をつけてくれよ・・・。 で、そうであるなら、キャラクターによって操作感を変えるといった工夫が欲しいのに、 ちょっとしたモーションの変化こそあれ、その操作感はまったく変わらず。
  結局のところ、このゲームにおけるストーリーの分岐は、 安易な水増しという印象しか残らない要素だった。

  もっとも、分岐云々以前に、このゲームのストーリー関係には問題が多いのだが。
  そもそも、ボス前やステージ間のイベントシーンだけでしか物語を表現できない作りにしては、 このゲームのイベントシーンは表現力に欠ける。 基本的にはポリゴン人形劇で、それなりにカメラを切り替えつつ見せようとはしてるものの、 ポリゴンキャラの質はお世辞にも高いとは言えない。 じゃあ、それをどうフォローするかってことになってくるのだが・・・。 例えば、ポリゴンキャラが雑な分、 フェイスウィンドウなどでキャラの表情などをフォローすればいいものを、フェイスウィンドウはキャラごとに1パターン固定。 また、音声も無い。 まぁ、声優の音声でフォローってのも安易な考え方なんだけども、一応、キャラは演技をし、カメラワークも考えている (それゆえにか、セリフごとのスキップはできず、イベントシーンまるごとのスキップしかできなくなっている)のだから、 音声とのマッチングは悪くないはず。 ついでに言えば、(セリフごとにスキップできないにも関わらず)会話テキストの表示されるテンポが悪いということもあって、 結局、イベントシーンは全体的に非常に間延びした感じになっちゃってるのも困りもの。

  そんなわけで、特に人物描写は、どうしても薄っぺらなものになってしまい、 それがシナリオそのもののダメさに繋がっていくのだろう。
  このゲームでのストーリーは、邪悪なドラゴンを滅ぼす「滅竜士」という役目が代々受け継がれていく様を描いていく。 となると、その“世代の積み重ね”が最も重要な要素になってくるはずなのだが、 肝心のこの部分が上手くシナリオに反映されていない。 ステージクリア後の主人公の動向はあらすじのような形で軽く触れられるだけだし、 各章での以前の主人公(父親とか)の存在にしても、それが無意味になっちゃってるシナリオが多すぎ。 世代を超えた伏線ってもんが、ほぼ存在しない。 ラストにしても、滅竜士としての運命とか、世界の危機とかじゃなく、 割と唐突に「私の大切な姉さんをよくも!」 (他の分岐ではそれぞれ「私の大切な弟をよくも!」「私の大切な父さんをよくも!」)となってしまい、その勢いのまま終了。 とてもついていけない。

  各ルート共にクリアまでにかかる時間は大体8時間前後。 セーブデータを活用して2章での分岐で重複しないようにすれば、オールクリアまでの時間は20時間強ってところ。 これだけを見ればそれなりのボリュームなのだけど、 前述の通り、2周目、3周目はただ退屈なだけなので、そういう評価には値しないだろう。

  最後にグラフィックに関してちょっとだけ。 各ステージの作りは極めてゲームっぽいもので、リアルなスケール感とかとは無縁のもの。 あくまでもゲーム的な構造が重視で、見栄えは二の次。 メリハリに欠ける感は否めず、とにかく地形の作りが大雑把なもんで、 テクスチャの粗さがかなり目に付くようになってしまっている (よって、PS2のテクスチャ補完オプションが結構効果的な部類のゲームになってたりする)。 ステージは(かなり短いとはいえ)ローディングで結構細かく区切ってあるのだから、 もうちょっと見栄えがするものにできたんじゃないだろうかと思う反面、 あるいは、ローディング時間とのトレードオフの結果なのかなとも思う。 ナムコらしく、ローディングのストレスが極めて少ない作りになってるのは、評価できるポイントだ。
  キャラクターのグラフィックに関してあまりいい印象が残らないのは、 ゲームそのもののチマチマ感によるところが大きいんじゃないだろうか (加えて、特に一部のプレイヤーキャラなどで、ケバい色使いが目立つのも×だが)。 実際はそう悪くもないと思う。 特に、ウリのひとつなんだろう、各章最後のボスドラゴンは、上手く描かれていた。


  中途半端な3D具合が今となっては功を奏し、 視点や操作性でのヘンにストレスが溜まることはないので、 この時代のアクションゲームにしては、今プレイしてもあまり違和感なく遊べるゲームだと思う。
  ただし、それも1周目に限ればの話。 ボリューム感を出そうとするのであれば、それに見合った、ゲーム的な仕掛けかストーリー的な仕掛けがほしかったところだ。 分岐を設けること自体は工夫でもなんでもない。問題は、その分岐をどう生かすかなんであって。

2005年5月29日記載