REVIEWメテオス
Nintendo DS
2005年3月10日発売発売:バンダイ  開発:Q Entertainment  

  かつてセガで「スペースチャンネル5」シリーズや『Rez』などを世に送り出した水口哲也氏が セガを退社して設立したQ Entertainmentが送るアクションパズルゲーム。 お手軽に楽しめるゲームを供給することを目的としてバンダイがQ Entertainmentと立ち上げた 「qb」ブランドの、PSP『ルミネス』(2004年12月リリース)に続く第2弾タイトルでもある。 このゲームのもうひとつの注目点は、かつて「星のカービィ」シリーズや「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズのディレクターを務め、 2003年にHAL研究所を退社してフリーになっていた桜井政博氏がゲームデザインを担当したことだろう。 個人的には、「音と光の電飾パズル」をうたった『ルミネス』には極めて強い水口色を感じたこともあり、 水口氏の『ルミネス』、桜井氏の『メテオス』そんなイメージを持ってたりする (もちろん、そんな単純な話ではないとは思うが)。
  例のごとくというか、一人用でひと通りプレイしてのレビューで、ゲームデータ上のプレイ時間は22時間オーバーとなっている。


  基本的なルールは決して複雑ではないものの、言葉として説明するのはなかなか難しいところがあるので、 そこらへんは公式サイトでチェックして欲しい。 連鎖を仕込むというよりも、その場その場で素早く最善手を見つけ、正確にブロックを操作することが重要になってくるゲームと言っていいだろう。
  最も基本的なルールは、ブロックを縦にズラし、同じ色のブロックを縦か横に3つ以上並べること。 これが、ブロックを“打ち上げる”キッカケになる。上手いと思ったのは、ブロックをズラす方向を縦に限定したところ。 タッチペンを用いれば横方向にズラすこともそう難しくはなさそうなのだけど、 この制限が、上手いこと働いて、シンプルな(そして奥が深い)ゲーム性を生んだんじゃないだろうか。 もっとも、打ち上げ中のブロックを横にズラすという操作はタッチペンでもムリがあるし、打ち上げる形を取った以上、必然的な選択なのかもしれないが。
  “落ちものパズル”ならぬ“撃ちものパズル”というのは過去に色々あった (『クォース』や「マジカルドロップ」シリーズなど)けど、このゲームの“  ”という発想は全く別物。 また、落下してくるブロックを直接操作するのではなく、フィールドにあるブロックを操作するタイプということで、 一応、雰囲気的に近いのはSFC『パネルでポン』やMD『メガパネル』などだけども、 タッチペンで操作するということもあって、そのプレイ感覚はかなり独特。 パッと見以上にオリジナリティがあり、タッチペンの操作性、軽快なサウンドなどと相まって、非常に楽しいプレイ感に仕上がっている。 のだが・・・。
  ちなみに、一応、方向キーで縦2ブロック分の大きさのカーソルを動かし、 ボタンを押すとカーソルで囲まれたブロックを入れ替えるという操作も用意されている。 しかし、タッチペンを使った素早いブロック操作を前提としたゲームバランスになっているし、 例えば、打ち上げている塊の中のブロックを操作するなんてのは、タッチペンを使わないとムリなはず。 実質的にはタッチペン専用のゲームとみてよいだろう。

  一人用のメインとなるのが「スタートリップ」モード。 対戦型のCPU戦を戦っていき、規定のステージをクリアするとエンディングになるというもので、 ステージがランダムで決められる「ストレート」、 分岐図のようにステージクリア後にどちらのルートに進むかを選択できる(そして、最終ステージごとに違ったエンディングが用意されている)「ブランチ」、 分岐はブランチより単純なんだけど各ステージごとに「1分30秒以内でクリアせよ」といった目標が設定されている「マルチ」という3種類が用意されている。 合計で10種類を超えるエンディングが用意されているし(見ることのできたエンディングの数はカウントされていく)、 5段階の難易度の設定が可能なので、これだけでも結構遊べる。
  「タイムアタック」もシングルプレイ専用のモードで、決められた時間内でのスコアを競う「2分タイムアタック」「5分タイムアタック」、 決められた数のメテオを打ち上げる時間を競う「100メテオアタック」「1000メテオアタック」と用意されている。
  さらに長く遊ばせるための仕掛けとして存在するのが「合成」だ。 各ブロックにはその色によって「空気」「火炎」「水」「大地」「鋼鉄」「電気」「植物」「生物」「光」「闇」といった属性があって、 モードに関わらず、打ち上げたブロックは累計で加算されていく。 そして、そのブロックを消費して、「惑星」「アイテム」「サウンド」などを合成していくことになる。 惑星を合成すれば、対戦でその惑星を母星として設定できるようになるだけでなく、「チャレンジモード」にて、その惑星でスコアアタックができるようになる。 惑星は全部で32種もあるので、これだけでもかなり遊べる要素ということになるわけだ。
  つまり、シングルプレイでも長く遊べるように、色々と工夫されているのは確かで、一定の評価はできる。

  ただし、その工夫が十分だったかというと、かなり疑問が残るのも事実だったりする。
  スタートリップに関しては、まず、マルチが期待ハズレ。 ゴールが3種類しかない上に分岐も単純なので、設定された目標を達成できたかできないかで分岐していくという仕掛けが、上手く機能していない。
  そして、スタートリップ全般に言えることは、5段階の難易度変化が用意されているのだけど、 難易度を上げてプレイすることにプレイヤー側のメリットが見出せず、自分で目標を設定するしかないという点に不満がある。
  これは、スコアアタック的な要素が上手くリプレイ性に関与できていないという事にも関わってくる話だろう。 そもそも、沢山のブロックを打ち上げるという以外の部分でハイスコアを狙う要素が、どうにも分かりにくい(というか、ワカラン)し、 ブロックを打ち上げる量に関して、そこまで工夫の余地があるゲームでもないように思う。 そして、上達すればするだけ長くプレイできるゲームでもない(これは非常に重要なポイントだと思うので、また後で述べる)。
  これにより、タイムアタック系は全く面白みに欠けるし、一方のメテオアタックにしても、「1000メテオアタック」の方では このゲームのキモである(と思う)二次点火が意味をなさない「ヘブンズドア」という特殊な惑星が舞台となっており、これまたイマイチ面白くない。
  一方、合成でマズかったと思うのが、(その大部分において)合成に必要となるブロックが集まった時点で生成できる要素が明らかになるという点だ。 より多くの素材が必要となる要素が隠れてるとなれば、素材を消費し難いだろう。 つまり、気軽に合成ができない。 やはり、合成できる要素の大部分は既に明示しておいて、 一部を(“○○をクリア”といった)条件によってオープンさせていくような形にするべきだったんじゃないだろうか。

  ただ、そういったゲームモード的な工夫云々以前に、根本的なゲームバランスに自分は疑問がある。
  個人的に一番面を食らったのは、対戦形式を基本にゲームバランスを考えているというところだ。 これは、ゲームデザインを担当した桜井氏が公言していることで、まず対戦の3分間という区切りを前提に考え、シングルプレイもそれに合わせたということらしい。
  実際、試合開始から3分近く経つとブロックが降ってくる頻度が急激に尋常じゃなくなり、一気に死んでしまうのが常となっている。 そのこと自体もどうかと思うのだが、さらに、そういうバランスであるにも関わらず、オマケに時間切れ引き分けまで用意されているのもよくわからない。 ただまぁ、それはそれとして、なぜそれをそのままシングルプレイにも適用したのかという点が、一番理解に苦しむところだ。
  ルール的には、もうちょっとシングルプレイ向きの調整をしても、十分に面白いものになったと思うのだが。 ・・・というか、そもそも「そこまで対戦向きか?」とも思う。 というのも、このゲームの場合、例えば「テトリス」や「ぷよぷよ」のようにブロックがこれ以上落とせなくなったら負け(終了)というのではなく、 画面外にもやや余裕があるようで、画面全体がブロックに覆われても即ゲームオーバーとはならない。 打ち上げという形式上やむを得ないことだろうし、別にそのこと自体が悪いとは言わないけど、 “負け”にやや説得力が欠けるところがあるのは事実だろう。 であるなら、勝ち負けが最重要視される対戦ではどうなんだろうかという。
  より細かいところながら、大元を辿れば同じような発想がありそうなところは、 惑星によってプレイ感が変わりすぎるところで、ここの良し悪しの判断は難しいところだ。 惑星の種類は全32種。 ブロックのグラフィック&SEのパターンが32種用意されているわけではないものの、 それぞれにBGM、プレイ中画面端に表示されている各惑星の住人のパターンは個別に用意されている。これは良い。 ただし、各惑星ごとにゲームバランスが変わってるのは、それがバラエティ感を生んでいる部分があるのも確かなんだけど、 あまりに変わりすぎなところ(例えば、横方向の起爆では打ち上げられない惑星であるとか)もあって、根本的な上達感を阻害してる感じも受ける (つまり、上達云々以前に、惑星の性質を考えた戦法が必要になってくる)。 だからダメとは言い切れない部分なのだけど、個人的には好きになれないところだった。


  そのアイデアはなるほど新しく、実際に遊んでて楽しいゲームではあるんだけど、 結局最後までそれが“面白い”に繋がってくることがなかった。 発想として、対戦を重視するのは結構だが、それに引きずられる形でシングルプレイを軽視するのは頂けない。 桜井氏はとあるインタビューで 「1人プレイももちろん重要ですが、1人で遊べるゲームはいっぱいありますからね(笑)」と語っている。 しかし、アクションパズルの場合、(よっぽど酷いものでない限り)対戦形式になってさえいればそれなりに楽しかったりする反面、 逆に、一人プレイが面白いゲームは極めて希少に思えるのだが。 一人プレイでももっと面白いものになる可能性を秘めた素材だったと思うだけに、非常に残念だった。

2005年6月23日記載