REVIEW天星 ソードオブデスティニー
PlayStation2
2005年2月17日発売発売:マーベラス インタラクティブ  開発:アートゥーン  

  割と唐突めに出現した感のある格闘アクションゲーム。 スクリーンショットを見る限りではそれなりのクオリティだったので、 「なんでマーベラスからこんなのが?」と思ってちょっと情報を集めてみたものの、 リリース前にはデベロッパが全く表になっておらず、様子見していたタイトル。 宣伝もかなり控えめな上に得体の知れないタイトルということで、ヒッソリとリリースされ、消えていったのだけど、結局、開発を行ったのは、 パッと見は悪くないものの実際にプレイしてみると「???」というゲームを輩出してきた、セガからの独立組を中心に設立されたアートゥーンだということが判明。 マーベラスとアートゥーンのタッグとなると、あのGBA『ザ・キング・オブ・ファイターズEX NEOBLOOD』以来か・・・ (もっとも、当時はマーベラス インタラクティブ設立前だったので、マーベラス エンターテイメントだったけども)。


  ゲーム内容の方は、かなり分かりやすい形のステージクリア形式を取った格闘アクションゲーム。 ステージ内のグラフィック及び構造も、ストーリー性が希薄で非常にゲームちっくな作りだし、 ロックオンした空中の敵にダッシュして斬りつけるなんてことが多くなるので、一応、印象としてはPS2『Shinobi』なんかに近いかもしれない。

  基本的な操作は、左スティックを倒した方向に主人公「雷雲」が移動し、□で剣による攻撃、×でジャンプ(2段ジャンプ可)。
  武器による攻撃ということもあってか、全体的にモーションは冗長気味で、ヒットバックの調整も上手くないのか、ヒット感も微妙。 意味不明なスーパーアーマー設定(華奢な女性型の敵になぜかスーパーアーマーが)などもあり、とりあえず、敵を斬ってるだけで楽しい、というゲームにはなってない。
  視点操作は右スティックで行うのだけど、かなりカメラが背景に引っかかる印象で、根本的な操作感に難アリ。 しかも、カメラの回転方向が自分の感覚とは逆(スティックを右に倒すと左方向に視点が動くという、視点操作というよりカメラ操作という考え方によるもの)で、設定変更不可。 まだ(といっても今年の2月にリリースされたゲームだけども)こういうのって無くならないんだなぁ・・・。 そして、右スティックの上下は、視点を自由に上下に動かす操作ではなく、 3、4段階に切り替える形となっており、しかも雷雲の移動中にはその切り替えが不可というのも頂けない仕様だ。 それでも、R3ボタンによるカメラリセットのレスポンスが悪くないのが救いとなっている。
  △はダッシュ。 空中の敵をロックした状態でダッシュすると、その敵に向って空中にダッシュするので、ちょっと使うとPS2『Shinobi』のステルスダッシュなんかに近い印象を受ける。 空中攻撃はPS2『Shinobi』とは違ってコンボ攻撃となっており、そのフィニッシュ攻撃を当てると少しの間滞空し、その間にダッシュ攻撃が再び行える・・・とは言うものの、 通常の立ち回りにおいては、そんな余裕は皆無に近く、次々と空中の敵を切り裂いていくようなゲームにはなっていない。 これはまぁ、良し悪しというより、そういうゲームなんです、というところだろう。 加えて、壁貼り付きのような特殊アクションも存在しないので、要するに、攻撃以外にはこれといったアクション要素が存在しない、 戦闘重視のゲームデザインがなされたゲームということになるわけだ。
  そのダッシュが意外と大振りなアクションになってしまったからか、○ボタンで、もうちょっと隙の少ない「回避」行動が行えるようになっている。 ジャンプやダッシュとカブる部分が多いアクションなのだから、こういったフォローが必要ないようにバランス的にまとめられたようにも思う。

  ロック関係の操作は、L1ボタンを押すと主人公から一番近い敵をロックオンし、そのロックオン状態でL2を押すと、ロック対象の切り替える。
  後述するソードタイムとの関係もあり、ロックオンして攻撃するのが基本となるゲームなのだけど、その操作性は芳しくない。 PS2『Shinobi』と違って、画面以外の敵にもロックオン対象が切り替えられる事が、何気に大きな問題だったりする。 これにより視点の切り替わりが必要以上に激しく感じられ、状況把握の足を引っ張るし、 視点操作によってロックオン操作をフォローするということがないわけで、意図した対象にロックオンできないと感じられることがかなり多いように思う。 ロックオンしてる敵と自キャラの間に何らかの障害物が挟まった瞬間にロックが外れるのも、非常にプレイし辛い。
  また、同時に(あるいは連動させて)入力するような操作をL1とL2に設定すること自体どうかと思うし、 実際に操作し辛いことこの上ないのだけども、ここらへんも、キーコンフィグがないというのが何よりの問題だろう。

  そんな中、このゲームの最大の特徴となるのが「ソードタイム」だ。 敵をロックオンしていると、敵の行動の特定のタイミング(特定の攻撃を行った後の隙など)で ロックオンカーソルの色が赤くなるので、その時に攻撃をヒットさせると「ソードタイム」が発動。 「ソードタイム・タイマー」(後述)がゼロになるか、地面に着地するまで、 全ての敵が無防備な状態で空中に浮き、その敵を攻撃することで非常に大きなダメージを与えることができる。 ソードタイム中はフィニッシュ攻撃を出せば敵にヒットしてるしてないに関わらず、その次にダッシュを行うことができるので、 空中コンボ→フィニッシュ→他の敵をロックオンして空中ダッシュ→空中コンボ・・・と繰り返すことができ、 十分なソードタイム・タイマーがあれば周囲の敵を一掃できるし、 何より、基本的な攻撃力が大きいので、単発のソードタイムでも大きなダメージを与えることができる。
  狙った敵をロックオンするのはかなり難しいというか、ほぼ無理だと思うので、 複数の敵がいる場所で戦略的な使い方ができるような要素ではないものの、とりあえず、一定の爽快感があるのは確か。
  しかし、気になったのは「ソードタイム・タイマー」の位置付けだ。 ゲームプレイ中の画面内でソードタイム・タイマーは7つの玉で表示されているのだけど、 別にその個数に応じてどうこうというのではなく、時間と共に(かなり急速に)減少するようになっている。 むしろ、玉の数だけ空中ダッシュが行えるとかにした方が、わかり易かったろう。 ソードタイムを中断する際のレスポンスも悪く、予想以上にソードタイム・タイマーが減ってしまう印象だし、ゲーム全体のテンポを崩してる部分も目に付く。 また、そのソードタイム・タイマーをどう溜めるかという方法論が明確ではないのも頂けない。 敵に対して攻撃を当てれば溜まっていくようなのだけど、どういうゲームプレイをすれば効果的に溜まっていくのかが、よくわからず。 それもあり、ソードタイム・タイマーを溜めて行うべき行動なのか、単発で小出しに行った方が良いのか、状況に応じた使い分けも見えてこないということになる。 ゲームの根幹を支えるシステムになれなかった原因はここにあるように思う。
  ソードタイムの発動に関しては、敵の攻撃を避け、隙を攻撃するというゲームの基本的な流れが、 よく言えば(というか、おそらく目論みとしては)わかり易くなっているが、実際のところは、機械的で単純なものになってしまったというのが実情。 これは特にボス戦でその影響が大きく、攻略性があまり感じられなかった。

  サブの攻撃手段もちょっとチェックしておこう。
  R2で発動する「龍撃」は、「龍撃メーター」(敵を倒した際に時折出現する「精霊」というアイテムを得ると回復)を消費して行うボム的な存在。 装備している武器によってやや性能が変化するものの、複数の敵に大ダメージを与える攻撃になっている。
  R1で敵に投げつける「霊符」は、 当てた敵を一定時間金縛り状態にし、その敵に通常攻撃をヒットさせるとソードタイムが発動する「重霊符」、敵の攻撃を3回無効にする「盾霊符」、 ソードタイムタイマーをチャージし、攻撃力を一定時間上昇させる「殺霊符」の3種類のアイテムで、ポーズメニュー内で選択しておくようになっている。 で、この中で最も重要なのは重霊符、というより、唯一使うのが重霊符といってもいい。 単発の攻撃は全然怖くないゲームなだけに、盾霊符の必要性を感じることはなかったし、 殺霊符は数が少なすぎる(2周クリア時で一度も使わずに16個所持)割に効力が地味すぎる。 また、回復系アイテムについても言えることなのだけど、これだけステージクリア色が強いゲーム形式だと、 ゲームにポーズがかかるサブ画面でアイテムを使用(選択)させるという点にも、かなり疑問が残るな。

  ステージデザインは、前述の通り、極めてゲームちっくなもの。これといって面白い仕掛けも見当たらず。 別に、それが即ダメとは言わんけど、それが許される為にはもうちょっと“遊べる”ゲームである必要があるわな。

  一応システム的なウリとしては、「性能の異なる48種類の様々な武器を入手して行く」(by公式サイト)というものがある。 確かに、敵を倒した際には色々な武器が出る。 しかし、それを取ったとしても、使用するには「蒼龍」「烈牙」「焔凰」という3種類の「神獣剣」のいずれかをその武器に憑依させるという設定で、 武器のモーション的な性能はその神獣剣に依存、敵の残す武器はパラメータ的なものを左右するだけだったりするので、 (ダメージを受けると龍力が増えるなどの特殊効果もあるが)実際に攻撃のバラエティを増やしているというわけではない。
  また、通常は入手した武器を使用すると耐久力が減っていき、消費していくのだけど、 同じ剣を100本以上手に入れると耐久力は減少しなくなる、らしい。 しかし、自分のプレイデータでは、2周クリアした時点で最も多いもので34本、半分以上が1桁。 しかも、2周クリアした時点で耐久力無限大の最強の武器「神龍剣」が手に入っちゃってるとあっては、全く意味のないシステムとしか言いようがない。 というか、“100本以上手に入れる”ってことは、“なるたけ武器を減らさないようにすれば”ってことであって、 せっかくのウリであるはずの多彩な武器の使用を、むしろ控えろと言ってるようなもんだ。 つまり、必要ないというより、あるべきではない要素と言えるだろう。 オマケのつもりで、安易に追加した要素なんだろうが、(微妙な程度とはいえ)それがゲームにとってどういう影響を与えるのか、ちょっとは考えてみる必要があるはずだ。

  また、成長要素の導入にも失敗している。 敵を倒すと経験値が得られるので、ポーズメニュー内でその経験値を、3種類の「神獣剣」毎にある、 ロックオンカーソルの赤くなる時間が延びる「Sword Time」、空中コンボを当てた際に増加する「Air」、 攻撃力「Power」という3つのパラメータに振り分け、それぞれレベルアップさせるようになっている。 しかし、そもそもその効果が微妙というのもあるし、このお陰で、様々な武器を装備することでパラメータを変えるという要素がわかり難いものになってしまった。 また、ソードタイムのシステムの納まりが悪いのは、この成長要素に絡めてしまったことにも因るように思う。

  収集的な要素としては一応「赤塊」というアイテムがあり、 ステージ内の特定の壷などを破壊した際に出現するのに加え、ステージクリア時にそのステージでの最大コンボ数によってボーナスで獲得し、 最終ステージをクリアした時点で、その累計獲得数に応じて隠し要素がオープンになる、らしい。 ただ、一度取った赤魂も2周目プレイする際には変わらず出現するし、 何より、クリアボーナスの影響力が大きすぎるので、ステージ内の隠しアイテムとしては全く機能してない。 しかも、1周クリア時で294個、2周クリア時で590個と、プレイの仕方が多少変わってもその得られ方に変化がなく、結局、累計のプレイ量を測る為だけの要素に思える。
  隠し要素の条件が明らかじゃないのも×。 つーか、ホントに隠れてんのか? 2周クリアした時点で最強と思われる武器「神龍剣」が出現したのだけど、 それが赤魂によってオープンになったのならなんでそれを明示しないのか理解に苦しむし、2周クリアした上にまだ隠すような要素なんてあるのかとも思う。 ちなみに、1周目をクリアしたときはBGMテストが出現した。

  最後に、それ以前の問題として気になる点を幾つか。 まず、データをセーブした直後に、メモリカードのデータを再度読み込むという流れが理解できん。 いやいや、そのデータをセーブしたのはアンタ自身ですよ? もう忘れちまったんですかい?  微々たる時間とは言え、どう考えてもムダ以外の何物でもない。 また、雷雲の師匠の名前が、ゲーム内及び公式サイトでは「巌徳」なのに、説明書では「厳徳」になってるし、 その公式サイトでは「Weapons」であろうところが「Wepon」になってる(全体的に日本語の文章も怪しい)し、こりゃプロジェクト全体の品質管理の問題じゃないのかと。


  適度なビジュアル、悪くないアイデア、そして、焦点を絞りきれてない完成度の低いゲームデザインと、 自分のプレイ経験からすると、なるほどアートゥーンらしい一本だったように思う。 最低限の開発力はあると思うので、良い意味での“枷”があれば、化ける可能性はあると思うんだけどなぁ。

2005年10月31日記載