REPORT『ドンキーコング64』
Nintendo64
1999年12月10日発売発売:任天堂 開発:レア
SFC版『スーパードンキーコング』同様、製作は海外のレア社に委託されているジャンプアクションゲームで、 レア社のアクションゲームとしては、 丁度『バンジョー&カズーイ』と『バンジョー&カズーイ2』の中間に発売されたことになる。
というわけで、ゲームの形式的にも『バンジョー&カズーイ』と『バンジョー&カズーイ2』中間的な内容。 各ステージへの入り口があるワールドマップ的なマップがあり、 その各ステージ(この広さも丁度中間な感じ)でアクションやパズルをこなしながら「ゴールデンバナナ」をゲットしていく。
今作の特徴は、主人公キャラが5人いること。 そのメンツは、 お馴染みの「ドンキーコング」、チンパンジーの「ディディーコング」、 オランウータンの「ランキーコング」、女の子の「タイニーコング」、そしてデカくてパワーがある「チャンキーコング」。 ステージ内で集めるべきアイテムは、 まずは先に進むための扉をあける時に必要になる「ゴールデンバナナ」が5本、 そのステージのボスと戦うために一定数必要になる「バナナ」が100本、 ラストまでに揃える必要がある「設計図のパーツ」が1つ、 新しいアクションを覚えるのに必要な「コイン」が不確定数などで、これがそれぞれのキャラ毎に置いてある (つまり、一つのステージ内に、ゴールデンバナナは計25本、バナナなら計500本ある)。
となると、かなりのボリュームがあるように思うんだけど、実際はそうでもなかったりする。 ゴールデンバナナをゲットするまでの道程は、 キャラ毎の特性を考えて使うというよりも、 使えるキャラが決められている「コングパッド」「コング樽」「サウンドパッド」の場所まで、 指定されたコングを進めるだけという部分が多く、全体的にパズル性は控えめ。 で、そこまでのパズルを解くというよりも、 そのバナナが入った「バナナ樽」に触れたときに突入するミニゲームをクリアという色の方が強めで、 『バンジョー2』以上にミニゲーム色が強い印象。 また、先に進むために必要なゴールデンバナナの数もかなり低めに設定されており、 ゲームを通して計200本あるゴールデンバナナも、クリアに必要なのは100本に過ぎない。 とりあえず、「設計図のパーツ」さえ見逃さないようにすれば、それほど苦労せずにクリアできるはず。
キャラの仕草は二重丸。 特に、キャラを変更するときの各キャラの動きなどは非常に凝っているし、 その(敵も含めて)人間でないキャラ達の動きは、地味ながらも非常によくできている部分だと思う。 ただ、キャラの魅力という点では『バンジョー』には遠く及ばず (というか、このドンキーのキャラってどうにも親しみが湧かないんだけど・・・)。
アクションも大体似た感じで『マリオ64』をベースにしたもの。 Zボタン+Cボタン各種にそれぞれ別のアクションが設定されていて、 これはにさすがに煩雑でなかなか慣れなかった。 Zボタン+C右の爆弾投げなどは必要なアクションだったかどうか疑問だし、もうちょっと整理してほしかったところ。 また、いかにもドンキーコングなのは、 ぶら下がったツルやロープをプラーンプラーンと飛び渡りながら進んでいくアクションで、 全体的にややスピード感に欠けたゲームということもあって、なかなか貴重な存在だ。
視点はそれなり。 これといって誉めるところもないし、 空を飛んだり、水中を泳いだりなどでのラジコン風に操作する必要がでてくる部分にはかなり不満がある (もっとガッチリと背後にカメラを固定してほしかった)ものの、 概ね、まぁそれなり。
レトロゲームが2種(ひとつは元祖『ドンキーコング』)収録されていて、 なかなかナイスなオマケじゃないか、とか思ってるとイタい目にあう。 というのも、この攻略もゲームクリアの必須条件となっており、 特に、残機設定1の元祖『ドンキーコング』のクリアはこのゲームを通して一番苦労した部分だったりする。 別に必須条件ではないゴールデンバナナのゲットならまだしも、 最後に必要になる特定アイテムのゲットに関わってるというのは非常に疑問。
ゲーム的な遊び甲斐という点で不満があるし、キャラの魅力もイマイチということで、 個人的には64のレア社のアクションゲームの中ではワーストなんだけど、 そのキャラ的にもゲーム的にも薄味ってのが、逆に人には薦めやすくしている。 ワーストといっても、当然それなりのクオリティは保ってるわけだし。
2001年4月18日記載

REPORT『es』
Dreamcast
2001年4月5日発売発売:セガ 開発:フォーサム
おそらく、DC唯一になるであろう実写ADVで、 製作はPS『ユーラシアエクスプレス殺人事件』のフォーサム。 テレビ朝日も協力している。
マインドダイブで人の心に潜り込み・・・っていうのを聞くとDC『デスピリア』を思い出させるけど、 『デスピリア』が実際に動き回って各所でマインドダイブを行ったのに対して、 この『es』は意識を失った「日下部清竹」の中にマインドダイブし、そこで全ての話が展開していくというもの。 前者はまさにその人物の考え(思考)を知ることがメインで、 後者は過去の事象(記憶)を知ることが第一目的という点で、大きな違いがある。 ということで、主人公は三上博史演じる日下部ではなく、あくまでもプレイヤーの分身的な存在。
ゲームの基本的な流れは、 360度見渡せるシーン(『デスピリア』のスフィアシステムをコマ送りにしたような感じ)で人物、モノをチェックして、 一通りチェックすると次のシーンに移る、の繰り返しで、 過去の断片的な記憶をたどっていき、「日下部」が辿り着いたであろう事の真相に近づいていく。
人物(「人物AP」と呼ばれる)をチェックすると、いくつかのキーワードが表示され、 その事に関する過去のその人物と日下部との会話を見ることになり、 ここは主にパラパラ漫画的な絵と音声で進行。 一方で「物体AP」をチェックしたときや場面の転換時にはムービーが使われており、 ゲーム中の新聞記事などはあるけど、話の進行はテキストレス。
音声とムービーの量が多いので、GD-ROM3枚組とはいうもののボリューム感はない。 ただ、話的には必要十分でこれ以上膨らませる部分は見当たらないし、 最低2回のプレイは楽しめる(真相を知ってからプレイすると印象が変わる)作りになっているので、 その点は不満に感じなかったな。
演出を含めたストーリーはナイスで、特にDISK3の怒涛の展開にはかなりシビれた。 人の記憶の中を覗いているというシチュエーションはまさにゲームというメディア向けで、 全体に漂う静かな不安感が非常に楽しい。 実写映像も、TVドラマとは違った落ち着きのあるカメラワークが目立ち、その雰囲気を盛り上げるし、 ムービー以外の一枚絵を使った演出も良好。
ムービーの画質はそれなり(ビデオの3倍録画程度か)でそれほど劣化は目立たない。
惜しむらくは、基本的に一本筋を道なりに見ていくゲームなので、 ゲーム的にもうちょっと楽しませるような工夫がほしかったか。 例えば、人物APをチェックしたときに現れるキーワードの出現などでは、 もうちょっとゲーム的な仕掛けができたように思う。
キャスティングでは、 マインドダイブする対象である刑事「日下部」を演じる三上博史はまさにハマり役。 予想以上に良かったのが、日下部のパートナーである凡人な刑事「向井」のさまぁ〜ず三村、 日下部の上司である人格者の刑事「板倉」のモト冬木。 キーパーソンである「野上」の釈由美子にはちと問題アリで、 演技そのものはむしろOKなんだけど、 微妙にカツゼツが悪く、この野上のような静かな語り口には合わず、耳障りだった。 伊集院光、千葉繁あたりも、ストーリーを大きく左右する役柄ではないからまぁOKなんだろうけど、 元のキャラが強すぎでイマイチ馴染んでなかった。
ゲームというメディアを使っての物語の表現という事をちゃんと考えて作られており、 実写(しかも動画)であることが説得力を生んだ良作ADV。 最近流行のサイコサスペンス、しかも話的なカタルシスはかなりのモノと、 多くの人が楽しめる作品だと思う。 あとは値段とボリュームの兼ね合いなんだろうけど、 とりあえず、どんなゲームでも最低限のボリュームが欲しいと思ってる人や、 ストーリーを楽しむということに特化したゲームはNGという人以外なら、 試す価値は十分にあるんじゃないかな。
しかし、残虐表現云々ということでは、 同時期に発売された『イルブリード』の方が発売前にメディアなどで取り上げられていたけど、 むしろこの『es』の方がアブナイと思うなぁ・・・。
2001年4月11日記載

REPORTレスキューヘリ エアレンジャー』
PlayStation2
2001年3月15日発売発売:アスク 開発:ガーデン
飛行機シムに比べると圧倒的に数が少ないヘリ操作シムで、 しかも、レスキューヘリを題材としているというのが目新しく期待させる一本だった。
当然ながら、まずヘリを操作するというそのこと自体に慣れなくてはならない。。 上昇下降と推進後退が連動しているその操作は、このテのゲームが初めてだとかなり戸惑うに違いない。 操作系は、L1、L2で上昇下降、左レバーが機体を傾け(つまり、前進後退旋回)、右レバーが左右の回転、 十字キー、○×△□は視点操作に割り当てられている。
通常のメインローターが1つのヘリでは、低速ホバリング時にメインローターの回転の反動によって機体がその反対方向に回転してしまう。 で、右レバーを操作してそれを打ち消す操作を自前で行うことになり、これに慣れるまでに特に時間がかかる。 一応、コンフィグの操作難易度設定で、これは無しということにもできるんだけど、 イージー、ノーマル、リアルの3段階での変更で、 その他の要素も変化してしまう(大きく分けると4つの要素がこれによって左右される)のが難点。 できれば、その要素別に設定できるようにしてほしかったところだ。 ということで、自分は終始ノーマルでプレイ。
操作のキモはL1、L2でのコレクティブレバー操作。 これが、そのまま上昇下降するボタンではなく、上昇力を上げる下げるという感じ、 つまり、操作して直ぐにそれが反応してくれるわけじゃない。 加えて、これは推進力でもあり速度と昇降度が流動的に変化するので、 実際の昇降度と、コレクティブレバーの入力度が表示される昇降計を見ながらの操作が大前提となる。
視点は、例えばPS2『スカイオデッセイ』などと比べると自由度が高く、 充実してるように思えるけど、ゲーム内容からするとこれですら必要最低限。 ミッションではコックピット視点は使い物にならないので、機体を後方から見る視点がメインとなり、 左レバーで機体を操作しつつ、十字キーで視点を動かす、なんて操作が必要になってくるのがツラい。 また、製作者側にラジコンを操作するような感覚があるのか(ラジコンのプロポ風な操作系も用意されているし)、 機体の真後ろへの視点の固定が弱く、いつの間にかビミョーに傾いていたりするのも困りもの。 機体の回転をLRキーに割り当て、右レバーを視点操作の方がゲーム的にベターだと思う (で、R3キーを押せば機体の真後ろにカメラが移る、とか)し、 できれば、それをコンフィグで変更できるようにしてほしかった。
これらの苦労に輪をかけるのが、 ミッションの内容のほとんどが、自機からロープを垂らしてその先端のフックや救助員を操作するというものであること。 ヘリということで風の影響を強く受けながらフラフラとホバリングしつつ、 そのフラフラに増幅されるように動いてしまう垂らしたロープを何とか目的地に・・・って、 とにかく慣れるまでは究極のイライラゲーム
で、慣れたと思ったらスイスイと進んでいきミッションが終わってしまう。 ミッションは全8ステージと、非常にボリューム不足で物足りない。
ミッションそのものは、シチュエーション的にも多彩かつムリがなく良くできている。 で、クリアタイムなどの要素でミッションクリア後に採点され、 4段階のメダルが得られて、それによって次のミッションが現れたりする。 最高位のプラチナメダルはノーミス(自分はお手上げ)、 その次のゴールドメダルが一応のクリアラインということで、 全てのミッションでゴールドメダルを獲得するとスタッフロールが流れる。
ミッションをクリアする他の要素としては、各ステージ内に5枚ずつ隠された計40枚のスターコインがある。 このスターコインが予想以上に小さく結構近づかないと見えない上に、 マップが広く、ヘリのスピードが遅いと、 これを目視で見つけるのは非常に困難(9割方ムリだと思う)。 が、実は、エンディングのスタッフロールのバックでそのそれぞれの存在場所のスクリーンショットが流され、 それがヒントになるということで、実質的にはミッションクリア後のお楽しみ要素になっている。 その仕掛け自体は面白いんだけど、できれば説明書でそのことを明示してほしかったなぁ・・・。 この一枚絵をヒントにしてスターコインを探すというのは、 また本編とは違った面白さがあって意外に楽しめた。
ただ、スターコインを集めた後のオマケには期待しないほうがいい。
グラフィックはそれなり。 テクスチャの表現がヘタッピなのか、どうにもリアルとは言い難い質感なんだけど、 ポリゴン量はさすがで、ビル、樹木などの数は非常に多いし、 マップの広さもあるし、可視範囲も広く、起伏に富んだ地形もグッドと、PS2らしさが非常に生かされていると思う。 また、波のうねり、霧、雨などの表現も上々。
意外に良かったのがBGMで、ハリウッド映画のような雰囲気でゲームを盛り上げてくれる。
自分的には、ステージ数の少なさが物足りなかった(最低でもこの倍はほしかった)し、 おそらく一般的には、導入でヘリに慣れさせる工夫が不足しているはず。 一般的にもっとウケようと思うなら、 実際のミッションに入る前にシッカリとした訓練モードを用意するか、 シム色を薄めてアクション性を強くするか、 そのどちらか必要だったろう。 ただでさえ取っ付きが悪い題材なのだから、もうひと工夫欲しかった。 惜しい一本。
2001年4月9日記載

REPORT『NBA2K1』
Dreamcast
2001年3月29日発売発売:セガ 開発:VISUAL CONCEPTS
海外ではDCの牽引力のひとつとなり、国内でもこのジャンルにしてはソコソコ売れて好評だった 『NBA2K』の続編であり、2000-2001シーズンバージョン。 とりあえず、試合数を14試合に減らしてのシーズンモードを一度プレイしてからの感想。
パッと見はあまり変わらないように見えるけど、 細かい部分でかなりの変更がされていて、プレイ感覚も思っていた以上に変化。
まずグラフィックはビミョーに向上。 選手の似てる度が向上、というか、似てない度が激減し、 「誰だ、コレ?」ってなことがほとんどなくなり、 超似てるというまでは行かないものの、大抵は納得できるようになった。
視点はコートを見る角度などが変更できるように改良。 ただ、ボールを持っているプレイヤーが中心になってしまって、 フロア全体を見渡せる視点がないのは相変わらずなので、 フロア中心にカメラが固定された視点が欲しかったところ。
モードでは「フランチャイズ」と「ストリート」が追加。 「フランチャイズ」は、ゼネラルマネージャーとなり複数年にわたってチームを運営していくというモード。 ドラフト、選手との契約更新、トレード(ちゃんとドラフト指名権もドラフト可)などを繰り返して、 チャンピオンシップを目指していく。 必ずしも試合を実際にプレイする必要はないし、 今作の追加要素では一番の目玉と言えるんじゃないだろうか。
「ストリート」は、屋外で2on2など(5on5まで可)の試合を行うモード。 オマケ的な存在だけど、 ファウルがなくなるなどアーケードルールで行われるのでお手軽感があるし、 選手もちゃんとTシャツに短パンというラフな格好になるし、屋外コートの雰囲気も上々と、 なかなか楽しい。
過去の名選手が集まった年代別のオールスターチームが追加され、 それらの選手を自チームに組み込むことも可能 (ただし、版権(?)の関係とかでマイケル・ジョーダンは不在)。
と、ゲームとして楽しませる改良は良好。 問題なのは、肝心のバスケの試合での数々の変更。
プレイしていてまず最初に違和感を感じるのは、 ブロックとスティールの仕様変更。 前作ではまるでバレーボールのようだったブロックは、ちゃんとバスケっぽくなり、 ジャンプしてから叩く、というようになった。 例えば、ミドルジャンプシュートを横から出てきた選手が叩く、なんていう場面はリプレイを見るとかなりリアルになった一方で、 インサイドでのブロックがかなり使えなくなってしまった。 前作では絶好のダンクも軽くブロックされたりとこれはこれで問題があったんだけど、 今作は機能しなさ過ぎだし、ファウル覚悟でシュートを止める、というのができなくなったのがイタい。 人間が手動で操作するとほとんどブロックできなくなったのに、 CPUが真正面からのシュートをガスガスとブロックしまくるのは、ちと腹が立つし。
スティールは、前作ではちょっと手を出すと「ピーッ! ファウル!」だったのに対し、 今作ではその頻度が減ったので割かし安易に手を出せる。 その一方で、1on1の状態ではスティールできるできないの基準が曖昧に感じられるし、 インサイドプレイヤーのバックダウン時が的になりすぎ。
というわけで、 CPU戦のディフェンスのキモは、前作ではブロックだったのに対し、今作ではスティールになった感じを受ける。
ダンクしすぎというのは、前作同様の問題点。 前作ではダンクも比較的ブロックされたのでまだバランスが取れていたんだけど、 今作では前述の通りほぼ止められない。 よって、その帳尻を合わせるように(最終的なデータに極端な偏りが出ないように)、 とにかくミドル、ショートのジャンプシュートの成功率が異常に悪くなったように感じる。 そのお陰で、前作ほどフリーの体勢を作ってシュートをさせるという方向性が感じられないのが、 自分的には今作で一番イタいポイントとなってしまった。
ボールを持っていない状態でのガードが効くようになり、 前作ではイマイチ機能しなかったピックアンドロールが一応形になった。 その代償として、自分が意識しない場面でのディフェンスのスイッチが多発し、 ミスマッチな状況が多く生まれてしまう。 それを元に戻すアクションはないので、非常に納得がいかない。
クロスオーバーが使えるアクションとなったので1on1の意味合いが上昇したこと (レイアップがブロックされ辛くなったのも大きい)と、 アリウープが難しくなったこと、 シュート体勢になってからもパスができるようになったことなどは、良い改良点だった。
通信対応も大きな目玉だったんだけど、 ネット対戦に関しては、正直、この内容では対戦する気にならないのでパス(まぁ、元々あまり期待してなかったし)。 ただ、最新のロースターがダウンロードできるというのは、 トレードが多いNBAでは嬉しい機能。
解説書である「NBA2K1バイブル」が同梱になったのは嬉しいし、 セーブデータの大きさが前作比3/4ほどになったのも(それでもデカイけど)嬉しい。
モードや細かい部分の改良はグッドだったし、 依然として質の高いNBAゲームではあるものの、 肝心のバスケの試合内容での、前作の反省&ネット対戦への考慮からの改良が裏目に感じられ、 前作ほどの楽しさは感じられなかった。
次作では大掛かりな変更が行われるという話で、 自分としても期待したいんだけど、 それまでDCの生き長らえているかが問題か・・・。
2001年4月9日記載

REPORT『サクラ大戦3 〜巴里は燃えているか〜
Dreamcast
2001年3月22日発売発売:セガ 開発:オーバーワークス
SSで発売された前作から実に3年ぶりとなったシリーズ最新作は、 良くも悪くも安定志向な印象だった前作に比べ、 ハードが変わり舞台が変わりメンバーが変わりと、なかなかの意欲作となっている。
まず、オープニングムービーの質の高さにビビる。 ただ、ゲーム本編で挿入されるムービーはその質にムラっ気があるし、 また、画質はPS1のやや上といった程度で、PS1ほどではないにしろ圧縮の劣化がやや目立つ。
ゲームの流れは基本的のほとんど変わらずで、 1話の前半はADVパートで、後半は戦闘メカ「光武」を操る戦闘パートから成り立っている。
ADVパートは、時間&場所でイベントに遭遇するタイプで、 それを制限時間内に行動を選択する「LIPS」で味付けしたもの。 LIPSでは「アナログLIPS」というその行動の強さをアナログで入力するものが新登場し、 前作から引き続きの「タイミングLIPS」(ある程度の時間が経つと選択肢が変化するLIPS)も更に内容が練りこまれた感があり、 共に、良いアクセントになっている。 それらの選択肢では、話そのものは大きく分岐せずに、後半の戦闘パートで影響する隊員の信頼度の上下を左右するのみ。 信頼感が上昇したときのSEが単なるお知らせではなくて「信頼感が上がったぞ!」という演出でもあるというのは、 同じくオーバーワークス製作の『エターナルアルカディア』の男気システムに通ずるものがある(まぁ『サクラ』の方が先なんだけど)。
グラフィックがフルスクリーンになったのは、地味ながらもやはり嬉しいポイント。
ただ、思っていたほどムービー量がなく、全体的に動きが少ない印象だったので、 ムービーは難しいにしても、もうちょっと一枚絵を工夫して動きを付けて欲しかったところ (パラパラ漫画的な演出とか)。
今回大きく手を加えられたのが戦闘パート。 何より、アナログキーで光武の移動、Aが攻撃、Bが溜め、Xが防御、Yが回復と振り当てられた アクションゲームのようなインターフェースが素晴らしい。 加えて、ボタンを連続で押すことで最大5回まで連続攻撃ができることが軽いアクセントになっていたり、 必殺技の演出がキャンセルできたりで、戦闘の煩わしさが大幅に減少。 前作ではイマイチ印象が薄かった「隊長コマンド」も、今作では各行動の消費行動ポイントを変化させるということで、 ちゃんとゲームに組み込まれて、それが絵的にわかり易い「ARMSゲージ」という表示も非常にグッド。 戦闘内容と舞台のバラエティーという点でも、随分といろいろ考えられており飽きさせない作りになっている。
惜しむらくは前作同様に(いや前作以上に、か)戦闘の難易度が低すぎること。 おそらく、隊員の信頼度がゼロでもゲームになるように調整されてるんだろうけど、 そのゲーム内容を考えれば、 隊員の信頼度を上げる必要or戦闘を工夫してこなす必要、そのどちらかをユーザーにチョイスさせるような難易度くらいは欲しい。 CPUの思考も頭が悪すぎるし、 せめて、ゲーム開始時に戦闘の難易度が選べるような仕様が、前作に引き続き求められた。
また、フィールドや敵能力を知るという部分のインターフェースがイマイチなのも気になる。 視点を変えられない「上空コマンド」でしか敵の攻撃範囲がチェックできないのも疑問 (視点が限られるので攻撃範囲がわからないことが多い)。
今作の一番の見所はポリゴンの光武によるイベントシーンだろう。 これは自分がほとんど期待していなかった部分だったので、嬉しい不意打ちを急所に喰らった感じ。 生き生きと動く光武のイベントには何度となくシビさせられ、 やっとそのオリジナリティ溢れる光武のデザインが生かされた気がする。 演出として「サクラ大戦」に必要だった最後のパーツが、見事に補完されたんじゃないだろうか。
舞台は帝都から花の都パリに移った。 今までは「大正浪漫」がひとつのキーワードだったわけで、 そこらへんが必然的に薄れることに心配があったんだけど、 意外に違和感がなくマッチングしていて、またパリという舞台もちゃんと生きていた。
今作の巴里華撃団のメンバーはシリーズ最小の5人。 一応、メインヒロイン的な存在が「エリカ」なんだけど、 それほどのウェイトはなく他の隊員と同列に近い印象。 相当なオマヌケキャラ&お笑い部門担当なところもあり、非常に頼りないところが逆に新鮮かも。 ポイントが高いのが子供キャラの「コクリコ」。 前作までのアイリスとは違い、普通の子供キャラとして非常に好感が持てるキャラで素直にカワイイ。 そして、誇り高き貴族の「グリシーヌ」、悪党「ロベリア」、おとなしいお嬢様「花火」と、 華撃団の一員にしちゃあ、ちと危ういメンツばかり。 主人公の大神自身が途中参加だった帝国華撃団花組に対して、 今回はゼロから自分が隊長となって部隊を作っていくということもあり、 この全体的に「頼りない」ってのが今回の話的なひとつのポイントとなるわけだ。 そういう作りなこともあって、各キャラへのいち隊員としての感情移入度は前作以上。
ストーリー的には、必然的に前半がメンバー紹介的な話になってしまうこともあって (加えて、そうではなかった前作と比べると)やや小ぶりな印象かも。 ただ、全体的な話のまとまりという点では、よくできていたんじゃないかな。 設定的に残念だったのは、新作の男キャラで魅力的なキャラがほぼ皆無だったこと。 話的にそこまでのボリューム的な余裕がなかったってのもあるんだけど、やはり設定の段階から魅力に欠けていたと思うなぁ。
最後に音楽。 このサクラ大戦というシリーズを通しての大きな軸となってるのが、 田中公平氏による音楽だと思うし、それは今作でもやはり健在。
とにかく、戦闘の改善、ポリゴンによるメカ演出がこの3作目の2大ポイントで、 「サクラ大戦」という素材が更に魅力的に仕上がったと思う。 ギャルゲー云々とかではなく、アニメそのものに拒絶反応を示さない人であれば、 ほぼ間違いなく楽しめるんじゃないかな。 そういう意味じゃオススメしてもいいんだけど、 個人的には、やはり1作目、2作目をプレイしてこそ最大限に楽しめる一本だと思う。
ベタ、ベタと言われるけど、実際にベタな熱さを感じさせる作品って、意外に少ないと思うんだよね。
2001年4月3日記載