REPORT『SPIDER-MAN』
PlayStation
2001年4月26日発売発売:サクセス/ACTIVISION 開発:Neversoft
最も人気のあるアメコミヒーローのひとりであろう“親愛なる隣人”スパイダーマンを題材にした、 海外ではスマッシュヒットを飛ばしたらしい3Dアクションゲーム。 タイトル画面ではあの「スパイダーマン♪ スパイダーマン♪」という曲が流れ、何とも懐かしかった。
形式としては、方向キーを入れた方向に進み、 「カメラを正面に向かせる」ボタンで視点の調整を行うタイプ。 残念ながらアナログ操作への対応は中途半端で、 そろそろと歩くことはできないし、 レバー+ボタンで技を出す必要があるので、 デジタルのみかデジタル・アナログ併用で操作することになるだろう。
何より、スパイダーマンらしいアクションが楽しく、 その2大アクションは「ウェブスイング」と「壁に張り付く」になる。 「ウェブスイング」はクモの糸を振り子のように使ってターザンのように進むお馴染みのアクション。 着地地点(もちろん壁でも可)に近い場所でボタンを押すと、という発動条件にやや曖昧なところはあるんだけど、 そのお陰で、原作同様「どこを支点にしてるんだよ」的なアクションも可なのが嬉しい。 ビルからビルへ飛んでいく屋外はもちろん、 建物の中とかでも、スピードの速い移動手段として使える。 「壁に張り付く」はまさにそのもので、天井や壁などに張り付きそのまま移動することができる。 その自由に移動できるってのが、レバーを入れた方向に進むという操作にやや馴染まなく、 時折視点との関係でどこにレバーを入れればどこに進むのか分からなくなることもしばしば。 これはこの場面に限ったことじゃないんだけど、 もっと背後のカメラの固定を強めにして、主観っぽいゲーム内容にしてもよかったんじゃないかと思う。
そのアクションを生かしたゲーム内容は、 ビルからビルへ飛び渡るシーン、室内での探索・戦闘・隠密など多彩で面白く、 空間的なステージ構成も楽しい (ただ、個人的にはもうちょっと隠密行動のシーンを増やして欲しかった)。 各ゲーム雑誌のレビューでは「戦闘が大味」と言われていたけど、 さすがに『トゥームレイダー』なんかよりは面白みがあるし、 ゲームの内容からすればまぁ妥当なレベル (終盤のザコが強くなってくるステージはちょっと鬱陶しいが)。 趣向が凝らしてあるボス戦は概ねグッド。 やや当たり判定がウソ臭いところがあるのが残念で、 全体的に敵の攻撃の当たり判定が見た目以上に大きいのが気になる。
難易度は適度。 洋ゲーらしく一発で死んでしまうシーンもあるし、 結構ゲームオーバーになるんだけど、 繰り返しのプレイがそんなに苦痛でないので丁度良い感じ。
お楽しみ要素としては、各ステージに隠された計32個の「コミックアイコン」で、 これを取るごとに、実際のコミックの表紙とその内容のあらすじの説明が見られる。 ただ、このコミックアイコンがかなり見つけづらいのが難点なので、 できれば、このステージにいくつのコミックアイコンが隠れてるのかくらいは教えて欲しかったところ。 スパイダーマンのコスチュームも複数(というか、コミックで使われたコスチュームは網羅されてるっぽい) 用意されているんだけど、 この出現条件が明示されていないのも残念。
グラフィックは上々。 特にビミョーにコミックっぽい雰囲気がある背景はグッドで、 その可視範囲の広さといい、海外らしい技術力の高さがうかがえる。 キャラクターのモデリングもそれなりで、アメコミの雰囲気は上手に表現されていると思う。 ただ、女性キャラの限界を超えたブサイクさだけはいただけないが (ブラックキャットとメリー・ジェーンだけとはいえ)。
ステージ間に挿入されるムービーシーンのキャラクターはゲーム本編と同レベル。 よって違和感は確かにないんだけども、 さすがに手がグーのまんまなトコとか、人間の顔とかは気になるショボさではある。
登場する敵キャラクターは、ベノム、ドクター・オクトパス、ミステリオ、ライノ、スコーピオン、カーネイジなど、 コミック「スパイダーマン」からゾロゾロと登場。 ちょい役的なキャラとしても、デアデビル、ヒューマントーチ、キャプテンアメリカ、パニッシャーなどが登場し、なかなか豪華。
日本の声優が声を当てるという話を聞いたときには、一瞬イヤ〜な予感がしたんだけども、 意外にもコレが上々。 そのまま海外アニメの日本吹き替えって感じで、 アニメ「スパイダーマン」の雰囲気そのまんま。 テンション高いナレーションもそのまんまで楽しい。欲を言えば、英語音声との切り替えがあれば、なおよかった。
キャラクターゲームとしてだけじゃなく、 3Dアクションゲームとして見てもなかなかの快作。 もちろん洋ゲー的な部分はあるにしても、 洋ゲー好き以外にも薦められそうな程度に良くできてると思うし、 特にスパイダーマンファンじゃなくても、 このテのゲームが好きであれば楽しめるんじゃないかな。
2001年4月29日記載

REPORT『Forget me not −パレット−』
PlayStation
2001年4月26日発売発売:エンターブレイン 開発:サクセス
第4回アスキーエンタテインメントコンテストのグランプリ受賞作品で、 元は『RPGツクール95』で作られたソフトなんだけど、それをPSに焼き直したもの。
確かに、話の見せ方、構成は非常に上手い。 ある少女の心の中を探り、その記憶を取り戻すというのが目的で、 記憶が断片的に再現されていき、最後にストーリーが大きく展開するという、 ストーリー的なカタルシスは十二分に楽しめる。
で、話の見せ方は上手なんだけど、 ゲームの作りとしては、それそのものが上手いというよりも、 ツクールの使い方が上手いという部類だと思うし、 それがアリアリと感じられるような内容。
元が『RPGツクール』の作品ということで、 いわゆるRPGのようなキャラとマップになっており、 部屋や廊下、屋外にしてもかなり狭いスペースが、 「記憶の出口」というもので繋がっている。
ゲームシステムの根幹は「精神ゲージ」。 アイテム的な存在である「記憶の断片」を手に入れるごとにそのMAXの値が増えていき、 「記憶の出口」を通るときや、マップ上に置かれた「精神障壁」を壊すときに1つずつ消費。 ゼロになった時点で、最初の「シアンの部屋」に戻される。
問題の一つは、ゲームの進行が、 結局その大部分が総当り的にマップを調べるだけになってること。 特に、行動範囲が広がってくる中盤〜後半は、かなり面倒。 何かのフラグをキッカケにして「記憶の出口」が開くというタイミングを、 状況から判断できない(唐突なだけ)というのが、そういう印象を強めている。 また、プレイヤーの移動(ゲームの進行)を制限する手段が、 「記憶の出口」と「精神障壁」という2種類あってそれが(プレイヤーにとって)効果的に役割分担を行えてないのもマズいし、 「精神ゲージ」を回復させる「回復の光」の扱いが中途半端なのもイタい。 基本は精神ゲージが残り1になった状態で特定場所に出現するんだけど、 ほんの一部に最初から出現してる回復の光があったり、 また、回復量の基準も謎で、作り手のプレイヤー誘導手段という感じがアリアリ。 ここにもうちょっとマトモなルールを作れれば、ゲーム的なひとつのキモになれただけに勿体無い。
プレイ時間は3時間前後、 ゲーム的な仕掛けは十分とは言えず、 演出も今のゲームの水準に達していない。 ストーリー的なカタルシスだけと言ってもいいこのゲームに、\4800は高すぎる。 単純に『パレット』を商品化するというのであれば、 もっと低価格(\1500とまでは言わないけど、せめて\2800とか)で行くべきだったし、 あるいは、今のゲームに見合うだけのリメイクを行うべきだったろう (リメイクの価値はある題材だと思うし)。
こういう形の商品化ということにしても、細かい部分にイロイロと不満がある。
まず、SFC時代のRPGのようなグラフィック。 RPG的な表現(パーツを組み合わせるようなグラフィック)であるにしても、 もっと写実的なグラフィックの方が、テーマに合ったと思うし、 どうせなら一枚絵的な方がベストだったろう。
演出上の細かい配慮も不足。 基本となるフォントはイマイチだし、 メッセージ部分以外のフォントのチョイスも適切とは思えない。 メッセージ送りの操作性が悪いのも気になり、 イベントシーンでメッセージを読む前にそのテキストを流してしまったことが何回かあった。 イベントシーンのテキスト表示部分が少ないにも関わらず、 “人物名「セリフ」”という形の表示をしていることもその原因のひとつだろう (簡単に言えば“人物名”の部分は不要)。 タイプライターを意識したテキスト送り・改行の効果音も、 特にイベントシーンでは浮いてしまっていて耳障りで、 オープニングのそれも日本語にはタイプライターは合わないという印象を強めている。 アニメっぽくなく絵画のようなタッチのイベントシーンの一枚絵は上々なんだけど、 それならそれで、人物の絵にももうちょっと気を配ってほしかった。
何より、その商品化の考え方に非常に疑問が残った一本だった。 話の見せ方自体は秀逸なものがあるので、 PCユーザーであれば、無料で配布されている元の『パレット』のプレイを推奨する (こちらのエンターブレインのページからダウンロード可)。
2001年4月29日記載

REPORT『MDK』
PlayStation
1999年8月5日発売発売:SCE/Shiny Entertainment 開発:Neversoft
続編『MDK2』が、PCや海外DCで結構好評のようで、 じゃあその前作はどうなんだろうということでプレイ。 ちなみに、「MDK」は「My Dear Knight」の略で、 主人公のパートナーである六本足の犬型ロボット「ナイト」のことらしいけど、 ゲーム的にそれほど重要な意味を持ってるわけじゃない。
ゲームの狙いは良かったと思う。 ステージは、そんなに広くないフィールドを細い通路で繋いだ形になっており、 そのフィールドで戦闘や簡単な謎解きを行って次のフィールドへの扉を開き先に進む、というのが大まかな流れになる。 『DOOM』ほど戦闘偏重でもなく、それなりにアクションの比重が高いめで、 その動きは、アクション・シューティング性を強くした『トゥームレイダー』って感じ。 レスポンス良く動くし、 ジャンプしてから翼を出しての滑空アクションや、 狙撃を行うスナイパーモードを常備(しかも、頭を撃ち抜けば敵は即死)してるなど、 操作していて楽しい内容になっている。
が、問題は、どう考えてもPSというハードでできる以上のことをやろうとしてるってとこにある。 このテのアクションゲームにしては珍しく、主人公はポリゴンじゃなくて一枚絵のキャラ。 それもあってか、どうにも一枚絵の主人公とポリゴンの背景のマッチングの精度が低く、 旋回したら立ち位置がズレて下に落下、なんてことが多々ある。 可視範囲はかなり広い一方で、背景のポリゴンの密度は粗いし、 洋ゲーらしくフレームレートに関してはかなり大らかで全く安定感がない。 ポリゴンの密度の低さが、状況把握を難しくしていたり、 狙撃やジャンプアクションのネックになっていたりすることもある。
背景そのものは、そのダイナミックな作りと幻想的な雰囲気で上々。 主人公を背後から見るタイプで、 グリグリ動いて、しかも背景にミョーなパースがついてるので、 酔い易い人はヤバいかも。
主人公キャラが特徴的なデザインの割に、 敵キャラは比較的(洋ゲー的には、だけど)フツーな感じ。
アナログ操作への対応(キーコンフィグ)が中途半端で実用性に欠けるんだけど、 おそらく元々のPC版はデジタル操作を前提に作られてたんだろうし、 敵を細かく狙うようなゲームでもない(そういう用途にはスナイパーモードが別途用意されている)ので、 結局はあまり気にならなかった。
日本向けに調整されたのか、全体的に難易度はマイルドだし、 全6ステージというのは『トゥームレイダー』や『DOOM』なんかに比較するとボリュームに欠ける印象。
自分は新品を約1500円で購入したわけなんだけども、 洋ゲーが好きならば、それなりに納得できるセンかな。
ベースが良いだけに、それなりのハードで作られれば、非常に楽しい一本になりそうな気配がある。 できれば『MDK2』を国内でも発売してほしいんだけど・・・、 ま、海外版のプレイを考えておくか、ってのが現実的か。
2001年4月26日記載

REPORT『風のクロノア2』
PlayStation2
2001年3月22日発売発売:ナムコ
PSで「埋もれた傑作」という評価が固まった感のある『風のクロノア』の続編。
ゲーム形式は全く変化ナシ。 『マリオ64』のようなフィールドを360°自由に動けるタイプではなく、 古典的な2Dジャンプアクションの延長で、決められたルートを前後に進むだけ。 また、アクションの内容も前作から変化ナシ。 敵を捕獲し、それを横に投げて攻撃したり、下に投げることで2段ジャンプをするというのがゲームのキーになっていて、 背景が3Dということで、画面奥や手前に敵を投げたりすることもできたりと、一応、空間的な仕掛けも存在する。 いぜんとしてアクションとパズルのバランスは絶妙なんだけど、 さすがに内容が変わり映えしなさすぎる気はするし、 アクションがシンプルなだけにパズル的にバリエーションを持たせるのが難しかったっぽく、 正直、全体的に遊び甲斐に欠ける印象。
ステージをクリアする以外の要素としては、 ステージ中に6つ隠されている「モメットドールズの鈴」を集めることと、 150個以上の「夢のかけら」を集めるという2つの要素がある。 「モメットドールズの鈴」は、前作での「住人」集めと全く同じで、 ゲームの形式的に探索という要素には限界があるってのはわかるんだけど、 にしても、それを探すことに苦労することはほとんどないし、 それを実際に手に入れる段階でもそれは同様。ちなみに、これを集めることで2箇所の難易度が高い隠しステージが出現する。 一方で「夢のかけら」集めはシビアすぎ。 集めるのが単純にパズルとして難しいというよりも、 一過性のシーンで夢のかけらを取り逃してしまうと、 わざわざ死んでその前のチェックポイントからやり直しする必要がでてくるのが非常に面倒 (まぁこれも、探索という部分で幅が持たせられないゲーム形式ゆえにやむを得ないとは思うんだけど)。 自分はココをやり込む気にはなれなかった。 他の部分に比べると異常にハードルが高いので、 一般的な「遊び甲斐に欠ける」という意見に対して提示できる要素ではないと思うな。
前作では、一般的なキャラクターはレンダリング、背景・ボスはポリゴンだったけど、 今作ではそのハードの変化にともなって、当然のごとくフルポリゴンになった。 これはゲーム的にどうのこうのというより、演出的に新しい効果をもたらした。
まず目立ったのは、 クロノアがドーンと上昇するのを真下から見上げたり、長い距離を落下するときに真上から見下ろしたりというシーンで、 基本的にスピード感に欠けたゲームだけに、良いアクセントになっている。 また細かいところでは、場面によってカメラを大きく引いたりすることによって、 前作にあった先や下が見えないという不満点はかなり解消されたってのも、フルポリゴンの恩恵と言えるかもしれない。 大きく飛んでの場面転換時などの演出の向上も、当然この恩恵を受けるわけだけども、 その一方で、自分で操作できない時間のビミョーな長さが気になることも。
一応、今作での一番大きな新要素は、 ボードに乗って滑るステージの追加ということになるんだろう。 サイドビューで通常ステージの強制スクロール版的なシーンと、 クロノアを背後から見るシーンがあり、ま、その形式から想像できる程度の楽しさはある。 ただ、このシーンですらアナログ入力に未対応ってのは残念。
ボス戦は前作以上に淡白か。 特にラスボス戦の淡白さは肩透かしもいいとこで、驚きのレベル。
当然のように、グラフィックは非常に美しい。 PS2ソフトで時折見られるようなテクスチャのチラツキも皆無といってもいいだろうし、 遠くまで広い範囲をちゃんとポリゴンで構成されている背景もサスガ。 キャラクターは枠線が付いてるけど、いわゆるトゥーンシェイディング処理(平面的な陰影を付ける処理)はされておらず、 見た目で新鮮さを感じさせるものではなかった (背景から浮かせる効果はあるので、ゲーム的にはグッドだったんだけど)。
主人公クロノアに代表されるように、色的にも形的にも焦点がさだまらないキャラクターデザインは、 意外にもというか、こういうアクションゲームではイタい部分じゃないだろうか。 個人的には、このシリーズがブレイクしない原因のひとつだと思うんだけどな。
前作は、ナムコのハイレベルなCGムービーがゲーム本編で生きた数少ないゲームのひとつで、 それに加えて、通常のゲームシーン&メッセージウィンドウという形のイベントシーンで進行したんだけど、 今作ではムービーは皆無で、ポリゴンキャラの人形劇的なイベントシーンになった。 表現力という点ではCGムービーに及ばないのはやむを得ないとしても、 問題なのはそれが非常に中途半端な形に落ち着いてしまったこと。
まず、前作同様、クロノア語とでも言えるような独自の言葉にメッセージウィンドウで字幕を付けるという形式が、 この表現方法にマッチしていない。 セリフの量が多めなので、メッセージウィンドウを目で追うとキャラの演技までなかなか目が届かないし、 メッセージをボタンで飛ばせるんだけどキャラの演技はキャンセルできないという、 イベントシーンのテンポが悪くなる典型的な仕様なのもイタい。 こういう形にするのであれば、セリフよりもキャラクターの演技&カメラの動きにもっと注力すべきだろうし、 セリフがキャンセルできるような仕様にする必要はなかった。 そして最低限、映画字幕のような文字表示にするべきだったし、 個人的には、思い切って日本語音声にしてしまった方がベストだったと思う。
ストーリー的に面白みに欠けるというのは、その演出だけではなくストーリー自体にも問題がある。 結局、今作はクロノアにとって人事な話なわけでそれほどの感情移入はできないだろうし、 最後の最後で説明不足なまま、やや概念的な話に行ってしまったのもマイナス。
丁寧に作られた良作であるのは間違いないと思う。 しかし、どれだけの人がこれに\6800という価値を見出せるのか、非常に疑問。 アクション好きといっても、特に3Dアクションが好きでイロイロと遊んでる人にとっては物足りなく感じるに違いないし、 ジャンプアクションの基本だけで持ってるところがあり、 スピード感、爽快感、そして解法を考えるという点ではやはり物足りないものがある。 加えて、(演出も含めた)ストーリー部分が極めて凡庸になってしまったのが、 一般的に人に薦めるという点では、致命的だったんじゃないだろうか。 「つまらなくない」という意味では非常にハイレベル、という言い方もできるかもしれない。
ちなみに、ストーリーに前作との直接的な繋がりはなく、 ゲーム的にも前作をプレイした人向けということでもないので、 「2」と付けたことが果たしてプラスだったのか、ってのもちょっと気になったところ。
2001年4月21日記載

REPORT『ILLBLEED』
Dreamcast
2001年3月29日発売発売:セガ 開発:クレイジーゲーム
DC初期に『ブルースティンガー』でスマッシュヒットを飛ばしたクライマックスグラフィックスが、 社名をクレイジーゲームと変更しての第1弾で、自称「世界初のお化け屋敷ゲー」。
ゲームの大まかな流れは、全6ステージのお化け屋敷を順にクリアしていくもので面クリア形式に近く、 一応、その基本は『ブルースティンガー』やPS2『EXTERMINATION』のような レバーを入れた方向にキャラが進むタイプのアクションADV。 その操作はややクセが強く、小回りが効かずにレバーを入れた方向にすぐには進んでくれないのには参る (ただ、これは戦闘でのバランスとの兼ね合いなのでこれ単体で良し悪しを判断するのは難しい)。 また、レバーを弱く入れると歩く、強く入れると走るというのではなく、 最初にちょっとだけレバーを入れるとレバーをニュートラルに入れない限り歩きっぱなしで、 最初にグイッとレバーを入れると走りっぱなしという変わった操作にも戸惑うんだけど、 これは歩くことが重要になってくるゲームなりの工夫ということで慣れればOKな部分だと思う。
視点は、背後にカメラを固定したタイプの近・遠と、 『PSO』のようなビミョーにカメラ位置が調整されるタイプと、 ほとんどカメラ位置が調整されないタイプの4種類。 これを十字キーの上下で選択し、あとはLキーによるカメラを正面に向かせる操作のみ。 その性格上、自分のお気に入りの視点を使うというものではなく、その場に応じた視点を使うという感じなので、 十字キーの上下で視点を選択させるよりも、十字キー4方向のそれぞれにその視点を設定してくれた方が助かったな。
とにかく、結論から言って、ゲームとしては未熟&ツッコミどころ満載とお話にならない。
ゲームのキモとなるはずだったのは、 視覚・聴覚・嗅覚のセンサーを頼りに、 「ショックイベント」と呼ばれる罠がある場所を未然にチェックする「警戒」という行動だったんだろうけど・・・。 全6ステージ中の3ステージでその「警戒」がお飾りになってしまうことからもわかるように、 残念ながらゲームの根幹を支えるシステムにはなりえなかった。
キャラのステータスには、「体力」「出血量」「心拍数」「アドレナリン」がある。 「体力」はその通りの肉体的なダメージの耐久度を表していて、当然ゼロになると死亡。 「出血量」は、時間と共にこれに応じたダメージを受け、この出血量が一定数を超えてもやはり死亡。 「心拍数」は、255を超えたときやゼロになったときに死亡。 それぞれショックイベントや戦闘でダメージを受けることになり、 例えば、出血量と心拍数はじっとしていると回復したり、 出血量が一定数を超えると心拍数が下がったりと、ここら辺はよく工夫されている。 「アドレナリン」は警戒で消費する値で、 ショックイベントを未然に警戒できたときや、戦闘に勝利したときに増加する。 前述の通り、警戒が飾りになるステージでは浮いてしまう要素なので、 もうちょっとこの数値の応用範囲を広げるような工夫がほしかった。
戦闘は、概ね逃げることができて、 逃げてダメージを回避するか、戦闘してアドレナリンを得るかという戦略的な意味ではよかったんだけど、 戦闘そのものはイマイチ。 戦闘のキモは、一瞬全身無敵になる「回避行動」で、 これを用いて敵の攻撃を避けてこちらが攻撃する、というのが基本。 小回りが効かない移動はまだいいとしても、 ダメージの基準が曖昧なことと、こちらの攻撃ヒット時の相手のヒットバックの基準が曖昧なことにより、 かなり理不尽なものがある。 戦闘の場所が限られているにも関わらず、戦闘用の視点がイマイチなシーンがあるのもイタい。 ただ、「避けて攻撃」という色がよりハッキリするボス戦は随分マシ。
ゲーム的には、そのステージを実際にプレイして死亡し、 ロードしてまたそのステージを最初からプレイして前のプレイで学習した事を使って攻略するという感じ。 例えば、 ステージ中にはアイテムショップがないのに、実際にステージに入るまではどんなアイテムがあった方がいいかわからんとか、 同様にステージに適したキャラを選ぶ基準が無いなど、 繰り返しプレイして学習させるのであれば、そういうことを踏まえたシステムを構築する必要があっただろうに。
ステージクリア後の報酬が減る要素としてクリア時間があり、 そのステージを時間をかけてクリアするだけ報酬が減る。 問題は、イベント中にも時間が計測されつづけるということで、 より報酬を得るためには、イベントをキャンセルした方がよかったりする。イベントが命のゲームであるにも関わらず。 また、ポーズメニュー中にも時間を計測するなら、 時間経過によるステータス変化(出血や心拍数の回復)も同様に行われるべきだし、 本当にリアルタイム性を重視するのであれば、それこそ『PSO』のようにウィンドウ的なメニュー表示にすべきだったろう。
自分がいる場所のマップがいつでも見れるというのも、ゲームの題材的には相応しくない。 緊張感を持たせるのであればマップは不要 (最低でも自分が進んだ部分だけ見えるようなマップのみ)で、もっと目視による状況確認を重視させるべきだった。 そういう意味では、警戒以外の主観視点モードがほしかった (現状では、主観に移るだけでアドレナリンを消費する)し、主観視点へ移る時のレスポンスを上げる必要もでてくる。
警戒に必要な「ホラーモニター」が各ステージのスタート時点の近くに隠されており、まずそれを探す必要があるんだけど、 なぜ、基本アイテムとして最初から持っているような仕様にしなかったのか、非常に謎だ。
こうなるとゲームを作るセンス云々という以前に、単純にゲームを作る能力の問題じゃないか?
個人的には、プレイの積み重ね=攻略、戦術よりも戦略重視というような、 例えば『ローグ』『不思議のダンジョン』のようなゲームにすべきだったんじゃないかと思う。 もっとショックイベントのランダム性を強め、 ステージ中にもアイテムショップを設置し、持てるアイテムの数を制限し、 武器や効果の大きい補助アイテムはレンタル制、 死亡→データロードじゃなくて、死亡もゲームの一部にする工夫をする (つまり、死んで繰り返しプレイすることで攻略していくという部分もちゃんとゲームの中に組み込んで)、などなど。
にも関わらず、思いっきりお気に入りな一本になったのは、それ以外の部分が非常に優れているからに他ならない。
『ブルースティンガー』でもグッドだった2点、 グラフィック(特に背景)の良さとゴージャスな音楽は非常に良好。 テクスチャが上手なのか、背景の質感は素晴らしい。 『ブルースティンガー』では時として「ムダにゴージャス」とも言われたBGMも、 今作ではテーマにバッチリとマッチ。
英語による音声も良い感じで、キタナーイ感じの英語が楽しい。
全6ステージはそのストーリー、その舞台のグラフィック、共に多彩。 各ステージ共に(質の良し悪しではなく、あくまでもテイストとしての)B級ホラーっぽさ満点のストーリー展開で、 特に、「トイストーリー」のパロディ的な第6ステージには大ウケ。 そのステージ内の背景のグラフィックも、細かいところまで非常によくできている。
戦闘そのものは特に面白いわけじゃないんだけど、 敵キャラの(動きを含めての)ビジュアルと、血ドバドバ(またこの噴き出し方が素晴らしい)な演出によって、 意外に楽しめる。
キャラクターの表情が全く変化しないのにはコケたけど、 少なくともゲーム本編ではそう気にならない要素だったので、まぁOKだろう。
(真エンディングじゃない方の)スタッフロールも非常にクール。 特に変わった仕掛けがあるわけじゃないんだけど、 絵と音のマッチングがサイコーで、マイベストスタッフロールと言っても過言ではない。
やはり、ホラーってよりは、スプラッタ映画ファン向けなところがあるので、 (ゲーム部分がアレってのもあるし)安易には人に薦められないんだけど、 映画「ブレインデッド」とかが好きな人なら、ホントにタマランはず。 個人的には、PS『プラネットライカ』に並ぶカルトゲームだと思うし、こんなテイストは他では味わえない。
できれば、クリア後のオマケ要素として、 戦闘やステータスを排除した、それこそ「お化け屋敷モード」でもほしかったところだ。
2001年4月18日記載