REPORT探偵 神宮寺三郎 灯火が消えぬ間に』
Playstation
12/12/2000
先日『夢の終わりに』と同時に普及版(\1500)として再発売された 探偵神宮寺三郎シリーズ第7弾。 元々は1999年11月25日に発売されているので、比較的最近のゲームということになる。
当然、推理アドベンチャーゲームなんだけど、 ゲームの形式は前作から大きく変化した。
まず、ザッピング要素が完全に廃止され、神宮寺の視点だけからゲームが進むようになった。 前作ではザッピングが効果的に使われてるとは思えなかったので、 当然の改良だろう。
そして、前作は典型的なコマンド総当たり系ADVだったのに対して、 今作は場所移動で時間が進み一日の捜査時間が限られている、という時間制限があるタイプになり、 その変化と共に、バッドエンディングが追加されることになった。 また、助手を対象にその日の捜査を指示できるようになったのも、ゲーム的な新要素で、 これらの変化により、前作と比較すると、飛躍的に「捜査してる感」が向上した。
ただ、そういったシステムが最大限に生かされていたかとなると非常に疑問。 バッドエンディングがあるといっても難易度は低く、 ある程度適当にプレイしていても本道を踏み外すことはないし、 助手による捜査も、本編を左右するような結果を生むことは非常に希。 頻繁に挿入される推理シーンも、実際に推理を必要とされる部分は少なく、 誘導尋問といった雰囲気になってしまっているので、 せっかくの充実した「手帳」(事柄と人物がリンクしているデータベース的な存在)も、開く機会がない。 重要なはずの「聞き込み」行動も、 話の展開で重要な情報を探るっていう部分が希薄で、 そのほとんどが、本筋と関係のない部分でいかに相手の気を良くするか、 というのが鍵になってるのが非常に疑問。
それでも序盤・中盤はまだよかったんだけど、 話のテンポが上がると共にそれが更に顕著になっていき、 終盤にはそういったゲーム的なシステムは飾りと化してしまう。
一応、マルチエンディングをうたっているものの、 実際は本道+バッドエンディングという形で、ストーリー自体がマルチに変化するわけではないっぽい (初プレイでベストエンディングだったようなので未確認)。
システム的には、より本格的な内容に対応できるモノになっているので、 非常に勿体無いと思う。
とゲーム的にはナイスな変化をしたのだけど、 ビジュアル面は好みでない方向に
前作は、キャラデザの寺田克也さんの画風が反映された無骨な雰囲気だったんだけど、 今作では、キャラ・背景共に全体的にモヤがかかったような感じで、 ゲーム中のビジュアルの原画も、寺田さんのタッチとはかなり違った感じになってしまった。 総合的に考えれば、良し悪しの評価は分かれるところだろうけど、個人的にはマイナス。
ゲーム中のムービーは内容も良くない (ムービーの方向性は同じなんだけど、絵の質が変化し、 その絵の密度の低下がかなり気になった)し、 画質もよろしくない(OPムービーは例外)。 ここ一番を全てムービーにするのではなく、 ムービーを使わない演出をもうちょっと考える必要があったんじゃないだろうか。
フォントがショボくなったのは、誰の目から見てもマイナスだろう。
ストーリーはまあ及第点か。
感動とはほぼ無縁と言ってもいいけど、 全体的な話の展開はいろいろ起伏があって良好だし、 ザッピングが廃止されたことにより、話に「まとまり」と「締まり」が出た。 ただ、終盤の日本を離れてからの展開にちょっと余裕が無さ過ぎな気もする。 話のテンションを上げようとしすぎてか、 ゲームとしてのテンションは逆に下がってしまっているし。
人間関係では、今作の重要人物である「正隆」が、 神宮寺の考え方や人格を写す鏡のような存在となり、 神宮寺への理解はより深まり、一体感が得られた。 つかず離れずな助手・洋子との関係も相変わらずいい感じ。 神宮寺の独白調のテキストがなかなか練られてる感じで良好なことが、 全体的な好印象のベースにあるように思う。 一方で、犯人側の心理描写はやや甘い気はする。 独白だけじゃなく、過去のシーンのプレイバックのような描写が欲しかったところ。
細かいところだけど、中途半端な章分けは疑問。 章分け自体もその必要性に疑問があるし、 章始めの白地にその章のタイトルを表示するというシーンも、フォントのショボさが目立つ。
前作同様、BGMはグッド。 メインテーマを基本に、場に合わせた様々なアレンジで楽しませてくれる。
終盤ややダレて、いぜんとして中途半端な部分もあるんだけど、 お手軽さと捜査感が同居するナイスな推理探偵ゲームとして生まれ変わったと言えるし、 総合的には非常に楽しめた。 キャラクターには愛着が持てたので、 次作が出ればとりあえず手を出すと思う。 今作はJ・B・ハロルド的な味付けをされた従来の形式のADVという感じだけど、 これが、従来のADV的な味付けがされたJ・B・ハロルド的なADV、に変化してくれるといいんだけどな。
ちなみに、\1500という値段を前提とすれば、 まず買って損することはないはずで、 キャラクターを知るという意味では前作『夢の終わりに』と合わせてのプレイを推奨 (過去の話として重要なエピソードが含まれているので)。 なんせ2本でも\3000なわけだし。 そういった意味では「オススメ」と言えなくもないんだけど、 この極端な価格設定にはイマイチ賛同できないんだよねぇ・・・。

FIRST IMPRESSION『天誅 弐』
Playstation
12/08/2000
『天誅』は、自分的にも一般的にも意外なヒットゲームで、 『天誅 忍凱旋』『天誅 忍百選』という自分的にはどうでもいい寄り道の末、 いよいよ続編である『天誅 弐』の発売となったのだが・・・。
今のところ、おそらくゲームの1/3〜1/2程度進めたくらいの進行具合。
ゲーム的な主な変更点は、 刀をしまうことができるようになったことと、 鉤縄に制限ができたことで、 概ね、操作法、操作感に変更はナシ。 一応、メーカー側の言う今作のウリとしては、 「多彩になった舞台」と「ストーリー性の向上」にあるらしい。
まず、追加された要素をチェックしていく。 純粋にプラスに働いたと思われるのは、 倒した敵を探ってアイテムを取得できたりするようになったことと、 倒した敵を引きずって動かせるようになったこと (敵が死体を発見すると、その敵の索敵意識が上がるようになった)、 忍具の種類が増えてたこと、あたり。 また、水に潜るという行動の追加も、 舞台に多彩さを与える結果になっていてグッドだと思う。
一方で、「刀をしまう」には必要性が感じられない。 一応、移動速度が上がったり、視点がキャラクターの目線に近くなったりするんだけど、 元々の移動テンポ・視点に難アリなので、逆にそれを強調する結果になってる。 もっと、刀を出したら戦闘モード、刀をしまったら移動モードって感じで、 しっかりと性格分けをするべきだったんじゃないだろうか。
鉤縄の制限ということでは、 前作ではあらゆる所にひっかけることができた鉤縄が、 今作では、崖などの淵に対してしか投げられなくなった。 前作にあった楽しみのひとつが削られてしまったのは確かなんだけど、 一方で「それ鉤縄か?」って感じになってたのも事実だったんで、まぁ良し悪しか。
また、ストーリー性が強まり、フルポリゴンのイベントシーンが多数追加された。 その質はPSでも中レベル程度で、 その前の長めのローディング時間が気になるところ。
ひとつのステージが広くなったんだけど、 その分、密度が減った感じで、より平面的なマップ構成になってる印象を受けるし、 敵の配置もなんか適当さを感じる。
自キャラは前作と同じく力丸と彩女の二人(クリア後にもうひとり追加になるらしい)で、 それぞれデザインが変わったんだけど、それもそれぞれに疑問がある。 力丸は微妙な変更で、 長袖から半袖になり(アップのシーンが多いってのもあるんだけど)手のモデリングのショボさがより目立ってしまっている。 彩女は思いっきり変更となり、前作のシブめのデザインから、 幼顔+漫画「あずみ」の衣装(しかも色は赤)に。前作ですら彩女はほどんど使わなかったのに、自分的には更に魅力半減。 ちなみに今作では、それぞれのキャラクター別にステージ(&ストーリー)が設定されている。
ステージエディットはかなり強化されたようだけど、 個人的に全く興味がない部分なのでパス。
というのが概要。
で、『天誅』は元々ある種のストレスを楽しむゲームだったんだけど、 どうにも今作は別種のストレスが溜まる。
まず、見える範囲が狭すぎるということ。 舞台が広くなったにも関わらず、可視範囲はそのままなので、 非常に状況把握がし辛い。昼間などの明るい場所では非常に違和感もある。 加えて、なぜかよりキャラクターに寄ったカメラ位置となっており、 周囲の状況の把握し辛さに拍車をかけ、先の見通しの悪さが更なるストレスを生む。
そして、今作の最大の問題は、ボス戦の重要度が増したこと。 基本的に、1vs1の戦いは相変わらずで、 そのものを楽しめるような操作性には至ってない。 にも関わらず、今作では各面にボスがいて1vs1の戦いを強いられる。 操作感は重たく、狭い場所でのカメラワークは劣悪、 攻撃判定はあやふや、ガードの基準も分かり辛い、 体力回復には大きな隙が必要となるので長期戦も難しい、 と、このボス戦でよく死ぬ。で、そのステージ最初からプレイし直しとなる。 繰り返しプレイする道中は緊張感を失うし、何より非常に面倒。 元々道中ではそう死ぬゲームではないので、 道中とボス戦のウェイトが、非常にアンバランスに感じられる。 正直、この部分にウンザリさせられた。
道中はそれなりに楽しいので、 せめてボス戦で死んだらそのボス戦からコンテニューできるような仕様なら良かったんだけどな・・・。
設定でBGMの音量を下げると登場人物のセリフの音量も下がるという仕様はかなり謎 (字幕があるので、話がわからなくなることはないんだけど)。
とりあえずの印象は、 元に問題があるままに厚化粧したら、とても見れない面になってしまい、 スッピンの方が遥かにマシだった、そんな感じ。 PSで続編を作るのなら、ビジュアル面での向上はたかが知れてるわけだから、 自キャラの操作性と敵の行動などのもっと根本的な部分で改良をして、次に繋げてほしかったところ。 とても一気に進める気にはとてもなれないので、 一応、FIRST IMPRESSIONということに。
常々「もし『天誅』がPS2で出れば、自分的なPS2のキラータイトルになる」と断言してたんだけど、 どうにもその心意気が思いっきりグラつき始めた。 可視範囲が広くなり、それに対応した改良がなされればいいゲームになる可能性はあるんだけど、 このゲームをプレイする限り、アクワイアにそういうゲームを作る能力があるのか、疑問が残る。
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REPORT探偵 神宮寺三郎 夢の終わりに』
Playstation
12/06/2000
和製探偵推理ゲームを代表するシリーズモノといえば、 PCではJ・B・ハロルド、 家庭用機ではこの神宮寺三郎だろう。 FCとディスクシステムで4作の作品を出した後、 SFC時代の沈黙を経て、PS・SSの『未完のルポ』で復活。 で、この『夢の終わりに』はシリーズ6作目にあたる。
ちなみに、自分はこのシリーズ初体験。 結構続いちゃってたシリーズだけに途中からは手を出し難かったのと、 意外にこのシリーズの話題を聞く機会がなかったのがその原因で、 今回の普及版(\1500)を機にプレイしてみることにした。
そのゲーム内容は、良くも悪くも予想通りの凡作ADVという感じ(決して駄作ではない)。
形式としては、ベタなコマンド選択式ADVで、 一応途中で推理モードなんかはあるんだけど、 基本的に詰まることのないタイプでスイスイ進む。 あからさまなフラグ立てが頻発したり、無駄な場所を見たりしてその反応を楽しませたりするのは、 なんとも古めかしいADVといった感じ。 ただ、コマンドが整理されていて無駄が無く(基本は「見る」「話す」「移動」のみ)、 それぞれのキャラクターに設定された特有のコマンド (例えば神宮寺なら「タバコ吸う」。要するに「考える」に値するんだけど)が、 いいアクセントになっていて、全体的なプレイ感は悪くない。
システム的な大きな特徴といえば、 複数のキャラクターから選択してそれぞれの視点でプレイすることができるザッピングなんだけど、 これが残念ながらゲーム的に全く生きてない。 とりあえず神宮寺オンリーで一度最後までプレイしてしまったという自分のプレイ方にも問題があったのかもしれないけど、 それだけでほとんどの内容が把握できてしまうし、 近い立場のキャラクターにしかなれないので物事を変わった視点から見るということがなく、 ザッピングの旨みはほとんど感じられない。 よって、クリア後に他のキャラクターのエピソードを見る気になれなかった。 区切り毎に前に戻って違うキャラのエピソードを見る、っていうプレイをすべきだったんだろうか? 2作目だか3作目だかからの伝統だそうだけど、 もっとゲーム的にもストーリー的にも効果的な使い方を考えるか、 そうでなければザッピングという要素は除外して一本のシナリオに集中するべきだったと思う。
ストーリーはまあまあ。 やや盛り上がりに欠ける気はするし、 犯罪者側の描写が足りない気はするものの、 適度に起伏があり、そんなに悪くはない。
このシリーズ初体験の自分的に意外だったのは、 神宮寺が予想以上に普通の人間だったこと。 シリーズ途中からプレイしたからかもしれないけど、 人間としてのバックボーンが希薄で、無味無臭な印象。 かといって、JBハロルドのようにプレイヤーの分身っていうんじゃなく、 しっかりとしたキャラクターなのがチグハグな感じ。 とはいえ、全体的に見ればキャラクターは魅力的だった。
で、そのキャラクターの魅力は、原画の寺田克也氏のビジュアルに頼るところが大きい。 原画をそのまま取り込んだようなキャラクター (といっても、記憶違いでなければ、寺田さんはPCで直接描いてると思ったけど)は、 普通の手塗り風彩色にアリガチな安っぽさがなく、 あのタッチそのままに生き生きとしている。 また、あのタッチのままのキャラクターがアニメーションするムービーは結構感動モノ (実際アニメする部分は少ないけど、それでも見ごたえがある)。
その寺田克也氏の絵がそのまま動いてるようなアニメーションムービーは抜群に良かったものの、 ここ一番で挿入されたフルCGムービーはかなりショボく腰砕け。
シブいBGMは雰囲気があってかなりナイス。
ウィンドウ関係のデザインはまとまってるし、テキストも見やすい。 実写の背景も色合いなどに気遣いが見られてグッド。 ちと誰が喋ってるのかわかり難い部分はあるけど許容範囲だし、 非常に丁寧に作られてる印章はある。 が、ストーリー自体を楽しませるわけでもなく、 その事件のトリックを楽しませるわけでもなく、 結局、寺田克也チックな雰囲気を堪能するだけの内容になってしまってるように思う。 まぁ絵・音が良くそれだけでもそう損した気にはならなかったので、 7作目の『灯火が消えぬ間に』(普及版)を購入、現在プレイ中。
しかし、この普及版\1500という価格設定はいかがなものか。 安くなってユーザー的には嬉しいってな単純な問題じゃなく、 ゲーム自身の割高感を高めるだけで自ら首を絞めてるような気がするんだけどな・・・。

REPORT『バンジョーとカズーイの大冒険』
Nintendo64
12/04/2000
先日続編が発売されたばかりの、レア社製アクションゲーム。
ゲームの形式としては、 『ソニックアドベンチャー』のような決められたルートを進むタイプではなく、 『マリオ64』のような箱庭の中にパズルが詰め込まれてるタイプで、 ひとつのステージの中には10個のパズルのピースと100個の音符があり、 それを集めるのがゲームの基本の進行となる。 各ステージを繋ぐ「グランチルダのとりで」がワールドマップ的な存在(『マリオ64』での「お城」)で、 パズルのピースは各ステージへの入口を開くために、 音符は「グランチルダのとりで」内にある音符ドアを開くために必要となる。
また、操作系も『マリオ64』の影響を強く受けていて基本は同じ。 その上で、熊のバンジョーが鳥のカズーイ(ちなみに♀)を背負って進んでいき、 そのカズーイを使った多彩なアクションが用意されており、それがこのゲームのウリと言える。 で、そのお陰で操作がやや複雑になっている (Zボタン+CボタンユニットorAorBにそれぞれ別の役割がある)。
各ステージは海外製作らしいダイナミックなマップ構成で、舞台も非常に多彩。 そのパズルは、なんせ数が多いだけに作り込まれたものは少ないんだけど、 それでもなかなかよく工夫されてるし、 ミニゲーム的なイベントもよくできてる。
難易度はやや高めかもしれないけど、 一部の即死を除けば理不尽さは感じない。 また、全てのピースと音符を集めなくてもクリアはできるので、 詰まることも少ないはずだし、特にアクションが得意な人でなくとも十分にプレイ可な範疇だと思う。
ただ、主人公のバンジョーとカズーイを筆頭に、 キャラクターにはイマイチ華に欠けたとこがあり、 特に「この世でいちばんきれい」という理由で魔女にさらわれるバンジョーの妹チューティは、 むしろかなり可愛くない (ちなみに、彼女を助けるのがこのゲームの第一の目的)。 逆に、メインではないキャラの方はカワイかったりする。 このゲームが、数あるこのテの任天堂のゲームの中ではウケがイマイチな方だったのは、 そのキャラによるところが大きいのかもしれない。
あとは、ほのかに香る洋ゲーテイストか。 自分としては、そこが実に楽しかったワケで、むしろ『マリオ64』よりも好感触だった。
まぁゲーム的にそれほどクセがあるわけでもなく、 実によくできた3Dアクションゲームなので、多くの人にオススメできると思う。
しかし、ちょっと変わった日本語訳といい、 ややオゲレツなネタといい、 バンジョーのピースを取った時の「ダハ♪」という間抜けな声(これが実にツボにハマった)といい、 かなり天然のバカゲーテイストが漂ってると思うなぁ。

REPORT『パワースマッシュ』
Dreamcast
12/04/2000
リアルで美しいグラフィックと、 シンプルな操作系ながら奥が深いゲーム内容で、 今もアーケードでロングヒットしてるテニスゲームの移殖版。
一見すると、既存のテニスゲームをリアル路線にしただけに感じるかもしれないけど、 実際はかなり根本的な部分で違ったゲームになってる。
まず最初に戸惑うのが、キャラクターの移動。 単純にレバーを入れた方向にすぐ進むわけではなく、 (『バーチャストライカー』のように)あくまでも画面中のキャラクターはステップを踏んで歩くので、 急には方向転換できない独特な操作感になっている。
そして最初は気付かないんだけど、結局一番の違いだと気付くことになるのはその打法。 かつてのテニスゲームは、球を打つボタンのタイミングだけで打球の方向を指定していた。 それに、打った瞬間の方向キーの入れ具合で球の落とす場所を指定するという要素を加えて、 今も続くヒットシリーズとなったのがナムコの『ファミリーテニス』だった。 そしてこの『パワースマッシュ』では、ショットボタンのタイミングと打球の方向は関係なくなった。 ショットボタンは、ラケットを振るボタンではなく、ラケットを振り始めるボタンで、 早くボールの落下地点に行って十分な体勢で打てれば打てるだけ、より強い球を打つというシステム。 打球の方向調整は、ショットボタンを押してから実際のボールを打つまでの方向レバーの入れ具合で決まる。 細かいところだけど、相手のコートの目標を指定するのではなく、 あくまでもストレートに対して左右にどれだけ向けるかを指定するというのも『ファミリーテニス』との違い。 例えば、レバー操作無しでショットした場合、『ファミリーテニス』は相手のコートの中心に球を打つが、 『パワースマッシュ』はストレートに打つ。
慣れれば慣れるほど、既存のテニスゲームとは違った感覚になっていくし、 かなり精度が高くボールをコントロールすることができるようになる。
おそらく「こういうゲームを作る」という前提だったのではなく、 「リアルなテニスゲームを作る」という前提から生まれた結果だとは思われるけど、 『ファミリーテニス』から初めてテニスゲームが進化した、 もしくは、任天堂の『テニス』の呪縛から脱した初めてのテニスゲームという言い方もできるかもしれない。 パッケージ裏に書いてある「まったく新しいテニスゲーム!」の言葉に偽りなし。
ビジュアル全般はかなり素晴らしいし、 音の面では、観客の微妙に変化する歓声が雰囲気を盛り上げる。 選手、コート、観客席が渾然一体となって、かなり雰囲気がある。
AC版からの追加された要素は、 「ダブルス」と「ワールドサーキットモード」。
待望の追加となったのが「ダブルス」。 CPUをパートナーにすると、LRキーでベースライン、ネット、中間の指示を出せるだけなんだけど、 これだけでも意外に熱くなれて、 まだゲームに慣れないうちには、随分とCPUパートナーに助けられる。 そして、人同士で組んでのダブルスは更に熱い。
1人用のモードが「ワールドサーキットモード」。 色々な大会(といっても一試合プレイするだけだけど)やミニゲームでのトレーニングを行い、 各種隠し要素(キャラ、コスチューム、ステージ)を出現させていく。 ボリューム自体はさほどではないものの、 ミニゲームでのトレーニングは実際のスキルアップに繋がるし、 ACモードではプレイできない奥側からのサーブや手前側からのレシーブの練習をする事もできる。
CPU戦、ワールドサーキットモードのミニゲーム共に、終盤の難易度は高めだけど、 それが上達の実感に繋がると思われるので、全然アリだと思う。
(今までのテニスゲームのクセが抜けずにどうしてもそうなるんだけど) 最初は手打ちだったプレイヤーが、 見る間にテニスらしくなっていく様は、なかなか感動できる。 操作系自体は単純(レバー+2ボタン)なので、接待用としてもイケると思うし、 よっぽどテニス自体に興味が無いという人以外には、安心してオススメできるゲームじゃないかな。