REPORT『ICO』
PlayStation2
2001年12月6日発売発売:SCE
雑誌等での情報を見て、てっきり海外で開発されたゲームと思いきや、 思いっきり国内で開発されたゲームだったという3Dアクションゲーム。
で、その内容は、 『トゥームレイダー』とはまた違った解釈で行われた『プリンス・オブ・ペルシャ』系の3D化、そんな感じ。 『トゥームレイダー』と違って客観的な視点で進行するし、 ラジコン的な操作じゃなく、レバーを入れた方向にキャラは進む。 ただ、ジャンプの感覚や、崖の縁につかまって「うんしょっ」ってな感じでその上にのぼるところなどは、 『プリンス・オブ・ペルシャ』系統(『フラッシュバック』『エイブ・ア・ゴーゴー』など)の影響が強い。
基本的な操作は左スティックでの移動と、 攻撃、アクション、ジャンプ、落下という4つのボタンで行う。 主人公の少年が使うことになるアイテムは、木の棒、剣、爆弾くらいのもの。 木の棒は火元の前でアクションボタンを押すことで火を点すことができ、 それで爆弾の導火線に火を付けたりすることもできるし、剣は攻撃のほかにロープを切ることができたりもする。 あとは、スイッチであるとか、地形であるとか、押したり引いたりできるブロックを活用するとか、 垂れ下がった鎖に掴まるとか、そんなこんなで先に進んでいくことになる。
そして、このゲームの何よりの特徴は、 その少年を操作して、言葉の通じない少女を連れて行くという部分だろう。 R1ボタンを押すと少女を呼び、 少女が近くにいるときにR1ボタンを押しっぱなしすると少女と手を繋ぎ、 そのまま引っ張って進んでいくのが基本で、段差があるときも上からR1ボタンを押せば、 下にいる少女に向かって手を伸ばして引っ張り上げる。 少女にしか開けられないドアが各所にあるので、 パズルを解いていってそこまでの道のりを確保し、そこに少女を連れて行き、また先に進む、というのが大まかな流れになる。
道中、時折「影の巣」という黒い影が出現し、そこから少女を影の巣の中に連れ去ろうとする影の怪物が発生することがあり、 少女が影の巣に完全に飲み込まれてしまうとゲームオーバーになるので、 少年は手に持っている棒や剣で怪物を攻撃したり、影の巣に半身飲み込まれている少女をR1ボタンで助け出したりすることになる。 これをこのゲームのアクセント的な存在にしようという意図はわかるんだけど、 戦闘そのものに面白みや緊張感が無い割に結構延々と怪物が発生してくるので鬱陶しいし、 その戦闘が他のアクションやパズルと絡み合ったシーンが極めて少ないので、 ゲームを水増ししてるだけという印象が強い。 ちなみに、ステータス的なものは一切無く、戦闘においても少年が攻撃によって死んだりすることは無いので、 ゲームオーバーになるのは、非常に高いところから少年が落ちてしまうか、 少女が影の巣に飲み込まれてしまうかしたときだけということになっている。
ただ、少女の存在以上に印象に残ったのは、 “フィールドの広大さ”と“光と影のコントラスト”に特徴があるゲームプレイ中のビジュアル。 まず、とにかく空間が広い。 さまようことになる「霧の城」の部屋の一つ一つが3次元的に非常に広い。 さらに驚かされるのが、空が見えるような開けた場所でのグラフィックで、 さらに輪をかけて非常に遠くまで描画されている。 これらによる高さ&広さのインパクトは相当なもので、 個人的には空間の広さってことではN64以降そこまで目立つような変化は無いだろうと思ってたこともあって、 かなり衝撃的だった。 城のひとつひとつの造形はリアルなのに、そのスケールには明らかに人智を超えたところがあり、 その不思議な存在感は『MYST』などに通ずるものがある。
その存在感を更に際立たせているのが、光と影を使った演出で、 影のリアルな描写もさることながら、より印象に残るのは数々の光の演出だろう。 “闇&暗さ”を演出に考えているゲームは数知れないけど、 “光&明るさ”さらに“眩しさ”までを演出として活用できてるゲームは、かなり少ないんじゃないだろうか。
当然、グラフィックそのものの質も上々。 淡い色合いで統一された色感もいいし、城の壁面はもちろんのこと、草木、水関係の描写も優れてる。 解像度の低さはあるけど、引いた視点がメインだし、細かい部分を注視するようなゲームじゃないんで、それほど気にならず。
視点操作は右スティックによって周囲を見渡すという操作のみで、 主観視点が欲しいという人もいるだろうけど、 周囲のスケール感とプレイヤーキャラクターの対比を生かすという意味で、このゲームにはこれがあってるように思う。 ただ、この操作の動きがニブいのはマイナス。 さらに、デュアルショックとの相性のマズさもあるのか、見たいところをジッと見るようにはなかなか視点が定まってくれず、 フレームレートの低さもあって、少々目が疲れる。
と、強烈に光る部分を持ったゲームなんだけど、 残念ながら、ゲームとしてはかなり物足りない
自分の場合、1周クリアした時点でのプレイ時間は約7時間半。 2周目には少女の言葉も和訳されるというオマケがあるので、一応、2周目くらいは楽しめるけど、2周目となると3時間ほど。 フィールドが広いだけに単純に移動するシーンも多いし、 緊張感があるわけでもないのにダラダラとしてるところがある戦闘など、 プレイ時間の少なさそのものよりも、どうにもプレイし甲斐という部分で相当物足りなさが残った。
確かにヒントが少なく試行錯誤でプレイしていくゲームなんだけど、謎解きそのものはかなり単純。 一部にある“先に進むためにあることをする”というんじゃなく、 “あることをしたら先に進めるようになった”という謎解きも気になるところで、 理詰めで考えさせる部分は意外なほどに少ないのに、 その性質上、どうしても詰まってしまう人もいるだろう(自分も1、2箇所で危うく詰まりそうになった)。 また、自分の場所によって自動的にカメラが調整してくれるゲームとしては、 かなりプレイしやすく調整されている部類なんだけど、終盤にはいくつか調整不足のシーンも見られた。 説明書で説明されてないアクションがあったのも気になるところで、 ムダに敷居を高くしてるところもある。 もっと導入で間口を広くし、その代わりに奥を深くするような作りにしてほしかった。 客観的な視点ということで、どうしても距離感がつかみ難いところが出てきてしまうから、 そういう方向性のシビアさを追求するのは難しいのはわかる。 下手げにステータスのようなものを追加して戦闘をゴチャゴチャさせるのも×だろう。 であるなら、個人的には『MYST』のような謎解き重視な方向性で押し進めたら良かったと思うんだけどな。
説明書にはひと工夫あって、最初のページにある最低限の説明を除けば、 画面写真もなく、挿絵と文章だけという絵本調に統一されていて、アクションの説明などもその中で行われている。 その工夫は買いたいんだけど、肝心の文章に読ませる工夫(力量?)が足りず、 “絵本風に狙ってみました”という意図だけが押し付けられるという印象。
最後に、まぁこれは大したことではないんだけど、ラストの演出は不要だったように思う。 物悲しい話も、それはそれでいいじゃないか。
ソフトメーカーとしてのSCEをちょっと見直した一本で、 必ずしもストーリーや(ハリウッド)映画的な演出だけがプレイヤーの情感を動かす要素じゃないんだ、 ということを示してくれた良作であるのは確か。 雰囲気は最高に良い。 空間表現という点に限れば、かなり傑出していると思う。 試行錯誤をメインにプレイさせたいという方向性にも好感が持てるし、 『プリンス・オブ・ペルシャ』を独特に消化できたところも評価したい。 だけど、あまりにも物足りない。 いろいろと素材には優れたところがあっただけに、 さらに、ここから何かの展開(続編であるとか)ができるようなゲームではないと思うだけに、 かなり勿体無かった。心底、惜しい。 自分としても、「ぜひプレイしてみて」と人に貸したくなるソフトではあるけど、 (どんな人に対しても)「ぜひ買ってみて」と薦めることはまず無いと思う。
2001年12月14日記載

REPORT『ひっぱリンダ』
PlayStation2
2001年12月6日発売発売:角川書店 開発:トレジャー
かつては職人集団と呼ばれたトレジャーも、 セガ、エニックス、任天堂、ゲームアーツとパートナーを変えていき、 今回の『ひっぱリンダ』はついに(ってのも失礼な話だが)角川書店からの発売となった。 一応、トレジャー初の3Dアクションゲームってことになると思うんだけど・・・。
左スティックで主人公「リンダ」を、 右スティックでリンダにくっついてる「マフラーの腕」を操作して、 そのマフラーの腕で敵を掴み、ひっぱって伸ばして離した反動でダメージを与えるというのが基本。 その他の操作は、 R1でマフラーの腕を前方に伸ばす、 L1ボタンを押している間は敵をロックオンして敵を正面に捉える、 L2ボタンを押しながら左スティックでその場で見回す(L2ボタンを押せば、リンダの向いている方向に視点が動く)、など。 モノを掴んでいると「限界ゲージ」というものが溜まっていき、 限界ゲージが一杯になると、掴んでいるのが敵であればその敵に頭突き攻撃をし、 掴んでいるのが地形であれば、そっちの方向へロングジャンプを行う (ちなみに、ボタン一発で行うようなジャンプは無し)。
まず気になるのが、肝心のリンダの動きの重たさ
そして、視点の定まらなさもイタい。 まったりと自動的にリンダの向いている方向にカメラが調整されるという仕様がなんとも逆効果で、 ビミョーにカメラからリンダまでの距離が近いのも、周囲の状況が把握し辛い原因だろう。
さらに気になるのが、肝心要であるはずのマフラーの腕の狙いの定まらないこと。 右スティックでの操作は、リンダから見ての上下左右なので、 L1ボタンを押して主観風の視点にしないと、マトモに狙いを定めることはムリといっても過言ではない。 よって、ロックオンをして攻撃することが基本となるゲームといっても良いんだけど、 そのロックオン時には視線が下がってしまい、頭がデカいリンダが邪魔で先が見え難くなるというのが困りもの。 ここがキモのはずなんだから、もっとシッカリ調整してくれよ・・・。
グラフィックは、つまんで伸ばすことによる変形がウリってこともあって、パッと見は相当にショボい。 一部に凝ったエフェクトがあって、そこでなんとかPS2らしさを出してる感じ。
ワールドマップ的な(といってもグルっと一望できる程の小ささ)「悶絶美術館」にある扉から、 それぞれのステージに行くことになり、 ステージは大きく分けると「ザコ部屋」「ボス部屋」の2種類。 「ザコ部屋」でザコ敵を倒して「ひっぱりポイント」を溜め、 その「ひっぱりポイント」を消費してそれぞれの「ボス部屋」の扉を開けてボスと戦う、というのが大まかな流れになる。
「ザコ部屋」に通常のアクションゲームのようなステージを想像すると大いに肩透かしを喰らう。 ステージはそれほど広くはないし、地形にこれといった面白みがあるわけでもない。 何より、ゴールのようなものがなく、ステージ内の敵を全て倒してもスタート地点にある扉から美術館に戻るだけ (倒さなくても戻れちゃう)。 そのザコもゲームを通して2種類だけで、これといった工夫もなくステージ内に配置されている。 ボス戦でも「ひっぱりポイント」がゲットできてしまうこともあって、 4つあるザコ部屋は、それぞれ1回ずつくらいしかプレイする機会はなかった。 要するに、ザコ部屋はオマケであって、12人のボスを次々と倒していくだけのゲームと思ってもらって間違いないと思う。
ボス戦は、一応それぞれのボスにシッカリと攻略法があって、それなりに面白い。 ただ、敵からのダメージがかなり少ないので、 攻略法を見つけずにチクチクと攻撃を繰り返してるだけでも倒せてしまったりするのがなんともはや。 結局、ボスからのダメージが原因で死んだのなんて、ラスボスで1回ポッキリ。 例えば、通常ステージがあってこういうボス戦がある、とかであればまだしも、 このボス戦だけでゲームを構成できるような内容じゃない。 2、3時間でクリアできてしまうし、 スコアやタイムアタックなどの形に残るやりこみ要素も皆無。難易度設定もナシ。 ボリュームが全てとは言わんけど、ものには限度ってもんがあるだろうに・・・。
自分的にはトレジャーのゲーム全てが楽しかったわけじゃない(概ね楽しかったけど)し、 今作に対しても多大な期待はしてなかったものの、とにかく想像を絶するヒドさだった。 なんでもひっぱるという発想は良かったんだけど、あまりにも未消化。 ゲームとして面白い・面白くない以前に、\5800の商品として許されるクオリティーじゃないだろう。 「できちゃったから売っちゃおう」ってんじゃなく、 トレジャーという看板を少しでも大事にする気があるのであれば、 これはボツにするべきだったと思うぞ。
このゲームの企画の一番のマズさは、下手げに3Dアクションゲームにしてしまったことにあるんじゃないだろうか。 空間的な要素が生きてないどころかむしろゲームの足をひっぱっている。 これはPS『ラクガキショータイム』でも思ったんだけど、このメーカーには空間的なゲームを作る力量は無いに違いない。 思うに、高低の要素を極力排除してトップビューの2Dゲーム的なものにすれば、 まだマシなゲームが作れたんじゃないかな。
2001年12月7日記載

REPORT『METAL GEAR SOLID 2』
PlayStation2
2001年11月29日発売発売:コナミ 開発:KCEJ WEST
特に海外で高い人気を得たらしいPS『メタルギアソリッド』の続編で、今作も、やはり海外でバカ売れとのこと。 PS『Helix fear effect』の反省を踏まえて、最初から難易度ハードでプレイし、13時間ほどでクリアした。 難易度的にはこれくらいで程よいという印象。
とにかく、絵と音は圧倒的といっていいほど隙が無い。
グラフィックは頭抜けてる。 基本的に質が高く、エフェクトの凝りようも凄いので、 デモシーン中にもR1ボタンを押すことでズームインができたり、 クリア後のオマケで、イベントシーンのキャラを他のキャラに代えて鑑賞できたり、 そういう仕掛けが無かったらCGムービーだと勘違いしてしまったであろうシーンが多々ある。おそるべし。 ゲーム中のグラフィックにしても、イベントシーンほどのインパクトはないものの、 やはり質が高くイロイロと細かいところまで、そしてかなり広い範囲が描画されている。 全体的に空気感の表現が非常に上手く、 例えばデカいロボットはデカく見えたりと、スケール感がリアルに感じられるのが良い。 一点、キャラクターの表情にはまだまだ硬さが感じられたが、 これも他の部分が良すぎた結果目立ってるだけだろう。
音楽も隙がない。 ゲーム中のBGMの音量が変えられないところにやや不満はあるけど、 耳に残るメロディというのではなく、雰囲気を盛り上げるBGMということでは最上の部類。
イベントシーンでのカメラワークの上手さも群を抜いていて、 そういう部分に限って言えば、映画並の臨場感が得られていると思う。 演出に関しては、ジョン・ウー作品や「マトリックス」の影響が強く感じられるけど、 これは映画の方にもそういうムーブメントがあると思うし、まぁOKでしょ (さすがに、ハトを飛ばすのはどうかと思ったが)。
ゲームシステムの根幹は、前作と大きく変わらずで、 固定され気味の客観視点で進行し、敵の視界が表示されるレーダーを頼りに潜入ミッションを進めていく。
敵兵士たちの行動がよりリアルになったのはグッド。 定時連絡してる兵士を倒してしまえば、その連絡が途絶えたことで敵の警戒感が上昇したり、 主人公を発見して無線で仲間を呼んでる途中にその兵士を倒せば「おい、何があった!?」って感じで敵が増員されたり、 敵の死体が発見されると「くそっ、やられた!」とやはり敵が増員されたりするし、 状況に応じては、ローラー作戦のように数人の兵士によって探索されたりもする。
敵に気付かれずにその敵に対して近くから銃を構えることで行うホールドアップ、 それでゲットできる敵兵士のドッグタグ集めは、一度ゲームをクリアした後のお楽しみ要素としては最適
飛んでるハトを撃ち殺せたり、消火器を撃てば消化剤が噴出したり、 カメラに水滴が付いたり、明るいところから室内に入ると一瞬視界が暗くなったり (ただ、この二つに関しては、「カメラで見てるんだぞ」っていうのを必要以上にアピールしちゃった面もあって、 “プレイヤー=主人公”というのを若干阻害してるかも)、 そういう細かい部分のコダワリも前作以上で、ニヤリとさせらることが多い。
ここらへんは純粋に評価したいところ。
ただ、残りの部分は論外。
あまり語られることがないけど、ゲーム本編にもかなり不満がある。 まず何より、このレーダーを頼りにした2D的なゲームシステム。 「これこそがメタルギアなんだ」という人もいるだろうけど、 このままではあまりにも進歩がないと思う。 今作では主観視点で狙うことが多くなり(というか、主観視点以外で銃器を使う機会はほぼ皆無)、 客観→主観という切り替えが大きなギャップになってしまっているというのも、 2D的な要素と3D的な要素のギクシャクさを示している。 さらに、主観視点時にはロクな移動行動ができず、 (いくら「見つからずに潜入」がテーマのゲームとはいえ)銃撃戦そのものが面白いゲームになってるとはいい難い。 これは特にボス戦で顕著で、客観視点での状況把握のしづらだもあって、ボス戦は全体的に面白くない。 また、高低差や何か遮蔽物があったときの敵の視界がわかり辛いのもイタい。 さすがにFPSにしろとは言わんけど、 せめて『トゥームレイダー』『サイフォンフィルター』『天誅』などのような視点でプレイするゲームになってほしかったところ。 で、敵の視界をもうちょっとリアルにしてほしかった。 そういう仕様になっても成り立つ素材だと思うし、 PS2というハードに転換ということで、良い機会だったはずなんだけどなぁ・・・。
中途半端に自動化された操作も頂けない。 意図しないところで壁に張り付いてしまったり、首くらいの高さの段差が上れなかったり、 前転しようとしたらしゃがんでしまったり、這ったまま進もうとしたら中腰の状態になっちゃったり・・・。 ゲーム中のモーションは重みが欠けてフワフワしたところがあるので、 意外に操作していて楽しいというゲームにはなってないのが残念。
自力で(というか、主人公が自分で考えて進む部分が極めて少ないのも×。 今回は設定的にやむを得ないところがあるにしても、アレやれコレやれといちいち鬱陶しい。 これに関しては、便利すぎる「体内通信」という存在が逆にネックになってるように思う。
しかし、何より論外なのは、ストーリーとイベントシーンの使い方だろう。
まず何より、イベントシーンが鬱陶しすぎ。 ちょっとプレイしてはイベントシーンがダーっと流され、 またちょっとプレイしてはイベントシーンが・・・・。 大詰めのビッグバトルの後、30分を越えるイベントシーンが流され、 淡白な最終決戦の後、また30分弱のエンディングになるという最後の流れは、このゲームを象徴している。 映画好きなのは承知してるが、 だからこそもっとプレイヤブルな部分での演出を考えて欲しかったし、 その余地は十二分にあるように思われる。 また、ほとんど音声だけで進行する「体内通信」シーンの存在も、 ある意味で逃げ道になってしまい、 必要以上にセリフで頼りになってしまっているんじゃないだろうか。
ゲームにメッセージを持たせること自体には反対しない。 でも、最後にセリフで長々と語らせるなんてのは愚の骨頂。 何か語りたいテーマがあるのであれば、それをゲームの中に組み込むべきであって、 それができないのであれば語る資格なし
そのタイトルとは裏腹に、ソリッドを扱えるのは導入のタンカー編だけで、 本編となるプラント編では「雷電」という耽美めな若者が主人公になる。 よって、シブさ・男臭さという部分はかなり薄れてしまった。 この雷電というキャラクターの青臭さも批判の対象になってるようだけど、個人的にはそれはそれでまぁOKだと思う。 ただ、場違いで鬱陶しい「ローズ」というヒロインの存在が、それを必要以上に際立たせてしまってるのも事実。
で、ソリッド・スネークの扱いが中途半端なのも気になるところ。 プラント編でもそれなりに行動してるにも関わらず、プレイヤーに与えられるのは無線での状況報告のみ。 思うに、プラント編にしても、 本来ならザッピングのような形で雷電とソリッドを交代交代でプレイさせる形がベターな内容だっただろう。 まぁ手間暇の問題があるし、X-BOXあたりでそういうものに作り直す予定があるのかもしれんけど。 また、エンディングでソリッドが急に饒舌になって語り出すのもイタかった。
SF風にも関わらず、SF的な考察がダメダメなのも相変わらず(というか悪化)。 小難しい言葉で誤魔化しているが、その大筋の発想はトンデモ系の本と変わらん。 そこに遺伝、巨大ロボなどがトンデモに絡んできて、もう大暴走。 細かい部分にしても、移植した腕から意識(&記憶)が潜入であるとか、 影縫いであるとか、奇跡で弾が逸れていったりとか、説明もないままとりあえず不死とか、 迫り来る銃弾の群れをことごとく刀で叩き斬ったりとか、 そういう少年漫画並みの発想を、こういう近未来を舞台にした作品で展開せんでくれ。
「△ボタン」であるとか「スタートボタン」という言葉がセリフに出てくるというのは、 前作同様、やはり舞台にそぐわないと思うんだけど、前作ほどは気にならなかった。 タンカー編の演説のシーンもウケたし。 が、“無限バンダナ”ってアンタ・・・。
以前、「良いスピーチとはどういうものか」という話で、 「話すべきことを話す。それと同じくらい重要なのは、話すべきでないことは話さないということ。」 というのを聞いたことがある。まさに金言だと思う。 で、これはゲームに関しても同じことが言えるんじゃないだろうか。 セリフの厳選という意味でもそうだし、 まずゲームありきで考えれば、(EEの存在を含めて)オタコンの身内話、場違いなローズの存在、 そういうものは全く必要がなかった。 映画風のお涙頂戴のシーン(この際、お涙が頂戴できたかは置いといて)では必要だったんだろうが、 そういう発想そのものが腐ってることに気付いてほしい。
自分の場合、前作『メタルギアソリッド』はそんなにお気に入りというわけじゃなかったので、 今作もある程度覚悟をしてプレイしたにも関わらず、 最後には吐き気を催すような嫌悪感(比喩じゃなくてマジの話)に包まれたまま、ゲームを終了することになった。 とりあえず、前作に何らかの不満点や物足りなさを感じた人は要注意。 そういうものはおそらく払拭されていないはずで、 最後には自分のように、期待ハズレ感どころか、嫌悪感が残るだけになる可能性がある。
2001年12月7日記載

REPORT『アランドラ2 魔進化の謎
PlayStation
1999年11月18日発売発売:SCE 開発:Matrix
前作から約2年半の期間を経て発売された続編で、 それなりに名が知れてる前作に比べると、なぜか異様に知名度が低い一本。
ゲーム的には前作同様のアクションRPGなんだけど、 共通点を見つけることが難しいくらい別モノになった。
何より最大の変化は、前作が2Dのグラフィックだったのに対して、 今作は地形もキャラクターも全てポリゴンになったことだろう。 視点は角度が固定されている斜めからの俯瞰でL2、R2キーによって45°単位で回転することができるというものなので、 視点を回転させることができる『ランドストーカー』『アランドラ』といった感じ (主観視点も無いし)。
武器は剣の一種類だけになり、その代わりパワーアップするとコンボ技や溜め技が使えるようになっていき、 前作では特殊移動という意味合いが強かったダッシュも、 今作ではボタンを押している間は速く移動するというものに変化。 また、フィールド的なマップは存在しなくなり、 移動だけしかできないワールドマップのようなもので、町からダンジョンなどに移動するようになった。
さらに、ストーリー関係も全くの別モノに。 そもそも、今作の主人公がアランドラじゃないどころか、 全編通して、アランドラは登場しない(話にも出てこない)。 夢の中に入り込める種族エルナという設定も無く、夢との係わり合いは皆無。 世界観的にも若干文化レベルが上がって、 やや『ロックマンDASH』寄りになったような雰囲気。 キャラデザも玉木氏ではなくなった。 アイテム、地名などのダジャレ系のネーミングは、好き嫌いが分かれるところ (タイトルの“魔進化”も“マシン化(機械化)”だったりする)。 個人的には特に気にしないんだけど、世界観を大事にしたいなら避けたほうが無難だと思うな。
経験値という概念がないタイプのアクションRPGという以外、共通点を探す方が難しい。 なんでこれに「アランドラ2」という名前を付けたんだ? (いや、ネームバリューをアテにしたんだろうけどさ)。
一応、システム的な特色としては「ポケットシステム」と「エレメント」がある。 これは、武具関係の装備品以外に、アイテムを3つまで「ポケット」に入れることができるというもので、 ポケットに入れておけば、クイックセレクトでそのアイテムを選択し、アイテムボタンを押すだけでその場で使用できる。 さらに、ポケットに入れておくだけで効果があるアイテムもアリ。 「エレメント」はそのまんまの精霊のことで、冒険を進めていくにつれ風・水・土・火の4種類の精霊をゲットすることができる。 このエレメントを装備した状態でアイテムボタンを押すと、 「エレメントショット」という弾を撃つことができるんだけど、 意外に出が遅い上に威力がないので戦闘にはほとんど使い物にならず、 エレメントと同色の柱を撃ったりすることで仕掛けを作動させるというのが主な使い道。 このエレメントはポケットに1種類しか入れることができず、それぞれに装備するだけで発動する能力がある。 ・・・とあるものの、ここらへんのシステムはガタガタ。 ポケットに入れるだけで効力を発揮するアイテムがもっとあれば面白いシステムだと思うんだけど、 これがかなり少ない(というか、自分は結局最後までゲットせず)ので、 かなり意味がなくなってしまった。 回復薬関係にしてもそんなに頻繁に使うわけじゃないんで、 むしろその代わりに、装備エレメントをその場で切り替えられるような操作を設けて欲しかった。 ポーズメニューを開いてポケット内にある回復薬を使うと、なぜかそのアイテムが選択状態になってしまい、 ポーズ解除後にエレメントショットを出そうとして回復薬を暴発使用、なんてことも。 エレメントもそれぞれの特色が弱い。もっと戦闘で使えるような特色を与えて欲しかった。
そして、このゲーム最大の難点は、基本操作の操作感の悪さにある。 痛恨なのが、方向キーを入れっぱなしにしてLRキーで視点を回転すると、最初に進んだ方向に進み続けるという仕様。 これによって、操作しながら視点を回転させる操作にムリが生じてしまっている。 だったらだったで、ポイントポイントで視点を回転させるようなマップにすりゃいいものを、 操作しながら視点を回転させたくなるような比較的入り組んだマップが多かったり、 キャラの上方にあるオブジェで視界が遮られる場所が多かったりと、 終始イライラさせられる。 アナログレバーに未対応で8方向にしか動かせないのもマイナス。 この2点が解消されるだけで、随分マシなゲームになったはず。 ただそれ以外でも、歩くスピードが遅すぎて使い物にならない(終始ダッシュ)のに、 ダッシュには微妙に慣性がついて微妙に操作しづらかったり、 ヘンに地形にひっかかることが目立ったり、 剣振り・ジャンプなど全体的に動きが重く、 ダメージを喰らってダウンしてから立ち上がる動作や、 はしごを上りきって上の段に上るときの動作のムダな部分が気になったり、 ジャンプに高さがなく、イスを飛び越える等の簡単なショートカットができるような個所がなかったりと、 操作しているだけでビミョーにストレスが溜まっていく。 基本中の基本の部分に洗練が足りない。
ダンジョンの謎解きは悪くない。 前作ほどのボリューム感、バリエーションはないけど、 それなりにパズル色があったり、それなりにアクションが求められたりと、まぁ悪くないデキ。 ここが唯一の救いといってもいい。
その一方で、ボス戦はダメダメ。 攻撃のバリエーションが物足りない上に、 前作の反省からか、どうもボスの体力が低く、超アッサリ倒せてしまう。 ある程度ダメージを与えてから短いショートカット的なイベントシーンが挿入された後でも、 大して攻撃バリエーションに変化がないまま死んでいく。 更に使えないのが視点。 ボス戦では視点の回転ができないように固定され、 ボス用に視点を調整してくれるのかと思いきや、 これがむしろ足枷になってしまい、敵や敵の攻撃が見切りにくくなることが多すぎる。ワケワカラン。 意外にマガマガしい各ボスキャラのデザインだけは悪くなかった。
そういや結局、剣・盾共に、 全6段階中の4番目の強さの装備のままクリアしてしまったんだけど、そこらへんの仕様も謎。 店で売ってもないし、どこかに隠されてるんだろうか?
ゲーム本編以外の部分で足を引っ張るのが、そのストーリーとイベントシーン。 とにかく、イベントシーンが鬱陶しい。 よく動くし、エフェクトは凝ってるし、絵そのものはPSの中では良い部類に入ると思うんだけど、 語られる内容が面白くない上に、ローディングを挟んでのテンポが悪い。 イベントシーンが終わって暗転してローディングして、やっと操作ができるのかと思ったらまたイベントシーン。 かなりウンザリ。 これも前作の反省からか、なぜかコミカルな演出が目立ち、かなり笑いを狙ってる模様。 その間は悪くないんだけど、 時折場違いに感じることもあるし、元々の色調の暗さがなんともミスマッチな感じ (なんでこういうところだけ前作から継承するんだ?)。 キャラクターのアニメっぽさが中途半端なのが気になるところで、 ここまでやるならもっとアニメっぽく統一した方が良かったんじゃないかと思う。 シナリオそのものもマズい。話の展開自体に面白みは無いし、 製作側だけが納得してるようなバカヒロインに振り回されるようなシナリオは、プレイしていて本当にツラい。 で、主人公「フリット」が全く喋れらないという演出が、これに拍車をかける。 プレイヤーキャラを黙らせておけばプレイヤーとの一体感が高まる、なんて安直な考えはヤメレ。 この程度にシッカリと作られたイベントシーンならば、そういう仕様は不自然さと、逆に“やらされてる感”を増幅するだけだ。 ここらへん、先発の『ロックマンDASH』なんかを見習って欲しい。 フリットの前に立ちはだかる海賊3人組は、 肉体派のリーダー「テッツォ」、その娘で小悪魔的な「ルビー」、息子の冷静でちょっと間が抜けてる「アル」と、 兄弟か親子かという違いこそあれ、どうもに『ロックマンDASH』のボーン一家を思わせる。 アレの場合はコブンっていう存在があったから海賊っていう設定もうなずけたんだけど、 そういうものがなくて3人だけで海賊ってのもなぁ・・・。 で、この扱いが、ヒロイン的な「アイーシャ」同様、どうにも中途半端になってしまった。 そもそも、話とイベントシーンのボリューム以上にムダに登場人物が多いんじゃないだろうか。 黒幕の娘であるとか、フリットの父であるとか、削れるところは削って、 アピールするべき部分をしっかりアピールするべきだった。
ダンジョンにボリュームが出てくる後半こそまだマシになったものの、ダンジョンが淡白な前半は本当にツラかった。 決して手抜きをして作られたゲームではないが、 アクションRPGとしての力の入れどころを完全に見誤った駄作だろう。 『アランドラ』→『アランドラ2』、これがまさに魔進化だった。
2001年12月5日記載