山猫は眠らない  Sniper
最上級のB級娯楽映画 ★
  男臭さとシブさを兼ね備えたトム・ベレンジャーを、主演作としてはおそらく代表するであろう一本。
  トム・ベレンジャー演ずるベテランのスゴ腕スナイパーと、腕はいいんだけど実戦経験のないスナイパーが、 米政府からのコロンビアでの要人暗殺任務を受けるのだが・・・というお話。
  とにかく、スナイパーをフィーチャーした時点で、そして、それをシブくリアルに男臭く描いた時点で、ある意味、勝ちは決まったようなもの。 あまり予算がかかってないのか、ジャングルっぽい暑さの表現がイマイチで、 若干絵的に安っぽく感じられるのはマイナスなんだけども、 トム・ベレンジャーのシブさとスナイパーの緊張感を上手く表現している。 脚本にもムダがなく、言葉っ足らずに感じられることも、冗長に感じられることもない。 A級娯楽映画ではないかもしれないけど、B級娯楽映画としては最上級だと思うな。 そして、このイカした邦題を付けた人に敬意を表したい。
(1993年)


ヤング ブラッド  The Musketeer
発想としては面白かった ★
  よくわからん邦題が付いてるけど、デュマの「三銃士(The Three Musketeers)」のリメイク作。 アクション監修に香港人を起用し、香港アクション映画のテイストを西洋時代劇に用いたということで、 ちょっと話題になったアクションムービー。 ちなみに、原作は読んだことないし、ちょっと前の映画「三銃士」の内容も覚えてないしと、 どの程度のリメイクがされてるのかは謎。
  全体的に言葉っ足らずなとこがあって、話の筋もそうだし、 肝心の(というかタイトル的にも元からあまり重要視してないのかもしれないが)三銃士の描写が不足してて魅力薄だったり、 敵役も魅力&貫禄不足。 とはいえ、肝心のアクションシーンのデキは良好。 ワイヤーアクションなんかも使った各種アイデアは良いし、 まさに香港アクション映画的なテンポも心地良いし、 西洋時代劇を香港テイストで見せるっていうアイデアは良かったんだと思う。 それで結構満足なところもあるんだけど、 その内容に見せ方が追いついてない感じもあって、意外に迫力が無かったりするのが残念。 くすんだような色調&ザラついた質感も、娯楽アクションムービーにはミスマッチな印象しか残らない (まぁ、超大作ってわけでもないし、誤魔化しの手段なのかもしれないが)。 もっとド派手なアクション映画を目指せば面白くなったんじゃないかねぇ。
  そういや、クリックリッした感じのヒロインはなかなか可愛らしくて好印象だったな。
  あと、有名な「ONE FOR ALL, ALL FOR ONE」という銃士達の掛け声に、 「我らは銃士、結束は固い」というヘンな字幕が。 いくら限られた字数の中で真意を表現するのが字幕の仕事とはいえ、 ちょっと考えすぎなんじゃない?>戸田奈津子


誘拐犯  The Way of the Gun
若干の納まりの悪さが良い方に出た ★★
  「トラフィック」でスゴく印象に残ったデルトロが主演で、 監督・脚本は「ユージャル サスペクツ」の脚本を書いた人らしい。
  ゴロツキふたりが、金持ちの代理出産を行う妊婦を誘拐してという話。 で、その金持ちというのが裏社会の大物で・・・となってくんだけど、 そのストーリーの大筋以上に、それぞれの人物が一筋縄でいかなくて、ゴタゴタと話が流れていく。 教訓じみた感動があるわけでもなく、ストーリーに極端な仕掛けがあるわけでもなく、 特にアクションが素晴らしいわけじゃないけど、そんな人物群像が楽しいタイプの映画か。 そういう意味じゃ似たような感じの 「アメリカン ビューティー」や「L.A.コンフィデンシャル」ほどの納まりの良さは無かったんだけど、 その奔放な感じもまたこの映画の味な気がする。 よく出来た映画だと思うし、非常に面白かった。 そして、やはりデルトロの印象強し。


ユージュアル サスペクツ  The Usual Suspects
「面白い!」以上に「ズルっ!」 ★
  若手映画監督ブライアン・シンガーの出世作。 確かにヒジョーに面白かったんだけど、 “映像そのものがウソ”ってのを、“新しい”ととるか“ズルい”ととるか・・・。 自分的には結構後者ぎみ。 いや、かなり面白かったんだけど・・・。
  しかし、ケビン・スペイシーにはまたヤラレタよ。


夜の大捜査線  In the Heat of the Night
ストーリーそのものより描写を楽しむ面が強いけど ★
  ドラマ「踊る大捜査線」のタイトルの元ネタ(の1つ)としても有名な、アカデミー賞を受賞した刑事ドラマ。 アメリカ南部の田舎町で殺人事件が起こり、 警官が容疑者として(大した考証なく)捕まえた容疑者は、北部の都会で殺人課に務めてる黒人警官だった。 その黒人警官が、南部の人種差別の壁にぶち当たりながらも、事件の真相に突き進む・・・というお話。
  とにかく、当時を知らぬ身としては、その人種差別っぷりに衝撃を受けてしまう。 南部の田舎町、アホな白人社会、知的で社会的な黒人デカという構図は、 なんとも分かりやすく、主演の黒人警官役の人はカッコいいし、 白人警察署長と黒人警官のビミョーな関係も、 人種差別という壁があるからこそ、実に深く、濃厚なものになってる。 あからさまではないからこそのカッコ良さが。シブい。 意外に、事件の構造で「なるほど〜」と思える映画ではないんだけど、 テンポが良く、グイグイと引き込まれてしまった。 音楽には時代を感じてしまうものの(ある程度は意図的なものなんだろうけど、音的に古臭いところが)、 今観ても、全く見劣りしないというか、逆に、その時代だからこそ撮りえた映画と言えるんだろう。