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VENOM




VENOM
巨大複合企業体クロームの兵器生産部門である、クローム・マスターアームズ製の汎用コア『モデル016』を中心に組み上げられたAC。平面の組み合わせで構成される装甲と、長めの腕部というクローム製らしいプロポーションを持つ機体である。レイヴンが使用するカスタマイズされたACとは異なり、基本的に固定されたパーツの組み合わせでクローム社内に配備され『ヴェノム』という統一された名前で呼称される。『ヴェノム』はその殆どがクローム社内の品質管理部門(CQC)第二課に配備されている。『ヴェノム』はCQCが担う殆どの任務に従事しており、各種工場の警備や輸送部隊の護衛、果ては企業間紛争に至るまで、クロームが関わるあらゆる局面でその姿を現している。現在配備されている『ヴェノム』は肩部をクレスト社製CR-A92XSから一部流用している。これは肩部ハードポイントの仕様を現状に合わせる為、クローム・マスターアームズの自社製品から手っ取り早く他社からの部品供給に切り替えたものであり、クロームらしい合理的な判断が伺える。その他の各パーツも、すべて標準的なACの規格に準拠したもので、それぞれの交換も容易ではあるが、頭部と脚部を交換する事は殆ど行われておらず、一部の火力支援型が腕部を交換するに留まっている。逆に武装に関しては状況に応じて様々な種類のものを装備することになっている。
なお、クローム製汎用コア『モデル016』はミラージュ社でも若干数がライセンス生産され『YC-07 CRONUS』の名称が与えられている。原型となった『モデル016』が基本的にクローム社内だけの使用に限られているのに対して、『YC-07 CRONUS』は一般にも販売されており、レイヴンがこのコアを入手しようとする場合には、こちらの販路を頼る事となる。
既に『ヴェノム』の存在をご存じない向きも多くなってきたのではないかと思いますので、経緯とともに以下に簡単に紹介しておきます。
『ヴェノム』というACは、ACPPの設定にのみ存在するACで、ゲーム中には登場しません。設定上はクローム社専用のACで、一般に云う『ザコメカ』に相当する存在の量産機です。この『ヴェノム』を改良して『ヴィクセン』が設計されたという設定で、そのうち1機がACPPのライバルキャラ、スティンガーに手渡されたという事になっています。
初代ACでは、対立する二大勢力である『ムラクモ・ミレニアム』と『クローム』のそれぞれに、専用のACが設定されていました。
ムラクモ専用ACは『有明』『狭霧』『陽炎』『不知火』が存在し、これらはそれぞれゲーム中に登場しました。
クローム専用ACは高級機と量産機の2種類が設定され、それぞれ『スパイトフル』『スウィフト』と命名されましたが、ゲーム本編には登場せず、名称は他の通常のACに流用されました。ACPPではそれぞれ新たに『ヴィクセン』『ヴェノム』と名づけられ、前者はスティンガーの愛機として登場しています。2002年に発売になった『アーマード・コア・メカニカル・ガイダンス』(ソフトバンク刊)で名称の混乱がみられるのはこの辺りが原因になっている様です(要するに『~ガイダンス』は古い設定を参考にしたのか間違った記述になっています)。
『ヴィクセン』はその後、デザインを変えて後継作品に登場した様で、それがACVIとしてキット化されています。従って、ACVIの『ヴィクセン』と対応する『ヴェノム』は存在しないのですが、もし、存在したらどうなるか、しかも、ACVIの『ヴィクセン』から簡単に改造して作るならどの様になるのか、といった事を考えながら、お手軽改造を行ってみました。
基本的に「引き算」の方向で改造しています。『ヴェノム』のデザイン画は、設定とは逆に『ヴィクセン』を元に「引き算」の方向で描かれているので、ちょうどそれと同じ様な展開になります(設定上は『ヴェノム』が先に設計されたという事になっていますが、デザイン作業上は『ヴィクセン』が先に描かれています)。ACVIの『ヴィクセン』から、高級機然としたディティールを消す事で、量産機らしい形状へと改造しました。
まず、全体的に、機体全体の斜め線のリブ状のモールド(「////」といった形状の物)は基本的に全て削り落とすか埋めるかして消しています。単純に好みの問題で、これがどうも面を無駄に埋めている感じがして好きではなかったからです。
恐らく最も目が行くポイントであろう頭部は、ACPP版のデザイン画稿を参考に、側面のスリット、上面のダクト状のモールドを埋めてあります。また、額に相当する上面中央のエッジは立てず、なだらかな曲面形状にしました。ACPP版のデザイン画稿では、顎に相当する部分も一体になっているのですが、ここは無改造です。『ヴィクセン』のブレードアンテナの基部は単純にエヴァーグリーンのプラ板を貼って埋めただけです。本来ならばここにドーム状のアンテナ・フェアリングが存在するのですが、省略しています。頬に相当する部分のセンサも、本来は側面が曲面になるのですが、これもACVI版のままとしています。個人的に、こうして『目』どころか『顔』も存在しないというのが、『ヴィクセン』や『ヴェノム』のチャームポイントだと思っています。若干ヒーロー然としたデザインでも、親しみのある「顔」、あるいは精悍な「顔」が存在せず、何処か怜悧な印象を受けるといったギャップが楽しいメカだと思います。
コア部は前述の通りにリブのモールドを消した以外は殆ど無改造ですが、前端にプラズマガンの発射口らしきもの、側面にダクト状のものを増設しています。
腕部もまた『ヴィクセン』と大きく異なる部分ですが、ここでは簡単にACVIの『クレストCR-C90U3』に付属する腕部『CR-A92XS』をそのまま流用しています。酷い手抜きですが、簡単に作る事、誰でもちょっとだけがんばれば手に入れられる事、などを目的とした改造なので、この程度です。肘から下は『ヴィクセン』と同じですが、『CR-A92XS』は肘から上が意外に長く、無改造でもクローム系らしい、腕の長いプロポーションになるのが嬉しいところです。
脚部は、あちこちでディティールの「引き算」をしています。股間の、所謂「褌」部分の装甲は取り付けず、基部に簡単なディティールアップパーツを着けています(グリーンマックス製の東急3000系から流用)。膝も同じ様にしていますが、ここは基部となるパーツの形状がフレーム風で面白いので、これを生かしています。足首前面のユニットは可動範囲を狭めるの省略、爪先は、歩いた時にひっかけて転び易いと大変なので、先端をモールド部分で切り離し、プラ材で蓋をしています。
『アーマードコア・プロジェクトファンタズマを一生遊ぶ本』に収録されている設定画稿はコピックで着彩されているので、コピックを使って塗ると設定そのものの色合いが再現できそうな気もするのですが流石に無謀なので普通に塗装してあります。色のイメージは『ガンダム・センチネル0079』版のザクIIの薄緑(黄色系顔料の無いビリジアン系の緑色)なので、GSIクレオスのMGザク2.0用を使ってみたのですが、イメージと全く異なっていてダメでした(そもそもMGザク2.0用は濃淡2色の緑の色調に差がありすぎます。同系色の濃淡といった具合ではありません)。これを使う前にはクレオス#312のグリーンFS34227と#319薄松葉色の印象があったのですが、実際に塗ってみたらコレでイメージにピッタリでした。薄緑部分に#312、濃緑部分に#312と#319を混色したもの、影色として#302グリーンFS34092を吹いています。関節などグレーの部分は「メカ部分は暗色だと整備し辛く、白だと汚れが目立ちすぎる」という考証(?)から明度を高めにして#306グレーFS36270を吹きました。
これだけの簡単な改造で、『ヴェノム風』あるいは『ACVI準拠のヴェノム』といった感じの存在を妄想、捏造してみました。『ヴィクセン』は、かなりヒーロー然としたデザインなのですが、僅かにデザインを変更し、色を地味にするだけで普通のミリタリ系メカになる、というのがデザインのポイントだと思っています。それをACVIでも実証してみようと試みたのですが、如何でしょうか。
それにしても、後年にアレンジが入り当初とは違ったデザインで、かつ『ヴィクセン』からの改造という形ではあれ、『ヴェノム』の立体物を手にするとは、画稿を描いた10年以上前には想像もしていませんでした。自分のデザインしたメカが立体化されるというのは幸運にも何度かあったのですが、プラモデル・ベースでというのはやはり一際嬉しいものです。




*注意*
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これらに影響を与えるものではありません。