中学校柔道部 練習中における事故について

平成18年2月27日に行なわれた、第1回市会定例会・予算第一特別委員会(局別審査 第4日 教育委員会)で、菅野義矩が伯井美徳教育長に質問した。
 神奈川新聞、朝日新聞に掲載(平成18年2月28日付)された。詳細の内容は下記のとおりです。



神奈川新聞 2月28日(火) 掲載
・神奈川新聞掲載
 柔道練習後に障害 生徒の両親、原因究明訴え 横浜市立中


 横浜市立奈良中学校(青葉区、木村長利校長)で、二〇〇四年、柔道部の三年生男子生徒=当時(15)=が、部活の練習で顧問の男性教諭=当時(26)とのけいこ後に意識を失って倒れ、開頭手術を受けて、現在も高次脳機能障害などの後遺症を抱えていることが二十七日、分かった。生徒の両親は「けがの原因は何だったのか学校は明らかにしてほしい」と詳細な調査を訴えている。
 両親によると、男子生徒は同年十二月二十四日午後三時五十分ごろ、同中の柔道練習場で、全日本選手権優勝暦のある顧問の教諭と乱取りけいこを行い、絞め技で気絶。正気を戻した後も顧問教諭が乱取りけいこを続け、再び絞め技をかけられた。その後、生徒は帯を締め直していた際に意識を失って倒れた。救急車で病院に運ばれ、外傷性急性硬膜下血腫の診断で、緊急開頭手術を受けた。また、その後の検査で脳挫傷や、首のねんざ、右耳奥の骨の骨折など硬膜下血腫を含め四つのけがが判明した。
 外傷性急性硬膜下血腫が生じた原因について、両親は主治医から、「頭が高速で回転した際に起こる」と説明を受けている。生徒は、数分前のことをすべて忘れる記憶障害、唇のまひ、右手のしびれなどの症状が残り、リハビリを続けている。
 両親は事故後、市教委などに原因調査を求め話し合いを続けたが、事故から二年たった今月十六日になって、市教委は両親に対し調査結果を郵送。乱取りけいこや絞め技で気絶したことは認めつつ、それぞれのけがの発症原因については「判断できない」と回答、さらに「不適切な指導や体罰はなかった」とした。現在まで教諭の処分なども行われていない。
 これに対し両親は「健康だった息子が突然、脳内出血する理由がわからない。柔道の練習中でのけが明らか」と訴えている。
 事故は、二十七日に開かれた横浜市会予算特別委でも取り上げられ、市教委は「けがの原因について、保護者の了解を受けた上で、ほかの医療機関から意見を求めたり、警察に事故状況を申告することも考えている」との見解を示した。(桐生 勇)


・朝日新聞掲載

 元柔道部員 顧問が技 後に脳挫傷
 横浜市立中 市教委、落ち度否定


 横浜市青葉区にある市立奈良中学校で04年12月、柔道部の練習中に部員の男子生徒(当時3年生)が顧問の男性教諭から投げ技をかけられた後に突然倒れて病院に搬送され、脳挫傷と診断されていたことがわかった。現在も記憶力が低下するなどの後遺症に悩まされているという。事故を公表しなかった市教育委員会は、朝日新聞の取材に「診断した医師は投げ技との因果関係はわからないとしており、教師の瑕疵(かし)を認めることはできない」と説明している。
 27日開かれた市議会の予算第1特別会委員会で、民主党の菅野義矩市議が伯井美徳教育長に質問した。
 教育長は「当該選手は部員21人と練習中、帯を締め直している際、意識を失い倒れた」と答弁したうえで、「教委は生徒や教師、外部の専門家ら42人から調査した。顧問教師の指導計画は運動部活動指導の安全手引きにのっとり、適正とみている。病院で治療に当たった医師は、疾病の原因について特定できないとの見解だ」と述べ、教師の責任については否定した。
 市教委が朝日新聞の取材に明らかにしたところによると、男子生徒は午後3時ごろから始めた部活中に、柔道2段の顧問の教師と1対1で技を掛け合う


朝日新聞 平成18年2月28日(火)掲載
約4分間の「乱取り」を行い、教師から絞め技をかけられて気絶しかけた。約30秒後に再び教師と乱取りをし、体を回転させて投げられる「体落とし」という技をかけられ、その後、絞め技を受けた。この際に落ちた帯を生徒が拾って結び直そうとしたところ、突然倒れ、病院に搬送されたという。
 一方、男子生徒の父親(59)は朝日新聞の取材に、生徒は脳内出血で緊急手術を受け、搬送された病院に約3週間入院し、物忘れが激しくなるなどの高次脳機能障害を後遺症として引き起こす、外傷性急性硬膜下血腫などと診断されたことを明らかにした。
 現在、生徒は県内の私立高校に通っているが、パニック状態で自分の居場所がわからなくなる時もあるといい、居場所のわかる全地球測位システム(GPS)機能付きの携帯を持たせているという。
 父親によると、診断した医師は「頭を軸とした高速の回転がかからない限り、このような脳内出血は起こらない」と説明したという。父親は「練習中のけがであるのは明らかだ」としている。(柴田菜々子、藤山圭)