|
上田交通の5000系(左)と5200系。平成4年5月、別所温泉にて。
昭和29年に東横線に登場したモノコック構造車体、直角カルダン駆動などの新機軸を採用し、東急の車両の高性能化のはしりとなったのが5000系です。車体の重量は骨組みで支えると言う従来の設計とは異なり、外板そのものを強度部材とする構造(モノコック構造)としたため、従来車よりも約3割の軽量化を果たしました。また、その独特のスタイルから「青ガエル」というニックネームがつきました。
しかし徹底した軽量化構造のために冷房装置が載せられないことから徐々に東横線の地を追われ、昭和50年代後半から全国の中小私鉄に譲渡されるようになりました。
上田交通には昭和61年10月より、日本初のステンレスカー(外板のみステンレス)5200系を含めた12両が転籍してきました。
|
|
上田交通5200系の運転台。
前面非貫通のため、広々とした運転台です。
5000系は上田電鉄のみならず、長野電鉄、松本電鉄、岳南鉄道などなどに譲渡されましたが、車齢が40年以上に達している上に冷房化もままならず、最近になって他の車輌に置き換えられるケースが増えてきました。
上田交通でも現在では5000系は5200系を含めて全廃され、平成5年5月より元東急7200系の冷房車に統一されています。
|
|
熊本電鉄の5000系。平成7年4月、御代志にて。
熊本電鉄には昭和56年11月から昭和60年12月にかけて6両が譲渡されました。
熊本電鉄は直流600Vの線区なので(東急は直流1500V)、降圧化工事が施工されています。
両脇に後方確認のためのミラーがついていることから、ワンマン仕様であることがわかります。
|
|
両運転台化された熊本電鉄5000系。平成7年4月、藤崎宮−黒髪町にて。
熊本電鉄では単行(1両のみ)運転が行われているため、連結面側にも運転台が新設されています。
もともと丸みがある表情が特徴的だっただけに、個人的にはちょっと違和感を感じます。
なお、熊本電鉄も近年都営三田線で活躍した6000形を導入して車両の近代化を図っており、5000系全廃の日もそう遠くなくなってきました。
もはや全国で5000系が現役で頑張っている姿を見ることは、できなくなりそうです。
|
|
おまけ:倉庫になった5211号。平成4年5月、下之郷にて。
これは上田電鉄に在籍している5211号で、運用には就いていませんが倉庫として余生を送っています。
車内には目蒲線時代に使われていた広告がそのまま残っているそうです。
|