37.◆体内時計◆

私たちの体内には、ある周期でリズムをとっている時計のようなものがあ
ります。これを体内時計と呼んでいます。体内時計は目のすぐ裏側にある
視床下部の視交叉上核とよばれる部分にあり、９０分周期や一年周期など
いくつかの種類がありますが、その中でサーカディアンリズムという２５
時間周期のものがあります。

この２５時間周期の時計は睡眠のリズムや体温変動、ホルモン分泌などに
深く係わっています。一日は２４時間ですから体内時計とは１時間の時差
があり、体内時計のままなら毎日１時間のズレが生まれることになります。

このズレはどこかでリセットしなければなりませんが、朝起きて太陽を浴
び、体を目覚めさせることでリセットを行っています。つまり、網膜から
光情報を受けることで毎日２４時間に修正しているのです。

もし、真っ暗な部屋で生活したとするとリセットができないので、一日は
２５時間周期になってしまいます。昼まで寝過ごしたときなどは、十分睡
眠を取っているはずなのにだるく感じるのはこのリセットがうまくいって
いないためです。

朝、眼で太陽の光を感知すると、視交叉上核から松果体という器官に信号
が送られ、松果体からは時計ホルモンと呼ばれるメラトニンが分泌され
ます。メラトニンは約１４時間後に睡眠を促すホルモンで、これが正常に
分泌されないと不眠となってしまいます。


不思議なのは、体内時計がなぜはじめから２４時間ではなかったのかとい
うことですが、これには諸説あるようです。有力なのは一日がぴったりと
正確に２４時間ではないことに関係しています。一日が正確に２４時間だ
ったなら、４年に一回のうるう年は要らないことになります。

つまり、一日が正確に２４時間ではないので、体内時計もぴったりと一日
に合わせることが神様もむずかしかったようで、２５時間にしておいて、
毎日リセットさせることで実際の一日のリズムに体を合わせているという
説が有力です。

いずれにしても、規則正しい生活は体の自然なリズムを守るために、非常
に重要なことだといえます。

蛇足ですが、地球を含む太陽系が誕生し、地球の一回の自転が一日となり、
その一日に合わせた体内時計を持つ人間が誕生し、その人間が一日の微妙
な誤差を太陽の光を受けて毎日リセットしていると考えると、宇宙の不思
議さをあらためて感じます。